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著者 クレイグ・トーマス 訳者 広瀬 順弘 |
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●ストーリー ソ連が開発した新型戦闘機ミグ31ファイアフォックス。レーダーでは捉えられず、思考制御式火器管制システムを装備、最高速度はマッハ5以上。実戦配備されれば西側にとって重大な脅威となる。この事態に対処すべく米CIAと英SASが考案した計画とは…ファイアフォックスを盗み出すことだった!前代未聞の任務を与えられた米空軍パイロット、ミッチェル・ガントはソ連に潜入するが…。 |
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●感 想 冒険小説の傑作。潜入・奪取までの前半と、飛び立ってからの後半、大きく二つに分かれた構成になっている。前半では、モスクワに潜入したガントを執拗に追跡するKGB大佐プリャービンが登場。後半はファイアフォックスを奪って逃亡するガントと、ソ連将軍ウラジミーロフとの息詰まる頭脳戦!イーストウッドの映画版は後半「特撮映画」になってしまったが、原作は最後まで緊張感が持続、サスペンス溢れる展開。映画では割とあっさりしていた「給油シーン」も大きな見せ場となっていて面白い。レーダーに対し完璧なステルス性能を誇るファイアフォックスだが、強力なエンジンを積んでいる為、赤外線探査をされるとあっさり見つかってしまうのがちょっとマヌケ。やはりステルス性能にプラスして「マッハ5」なんてスピード出すエンジンを載せるのは無理があると思うぞ(笑)。『ファイアフォックス』の発表から6年後、映画の公開後に続編『ファイアフォックス・ダウン』が発表される。こちらもお薦め! |
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『ファイアフォックス』(Firefox) |
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●解 説 『ファイアフォックス・ダウン』は前作ラスト直後(!)から話がスタート。なんとまだ逃げ切っていなかったのだ!2号機との死闘により機体が損傷、ガントは不時着を余儀なくされる。追いすがるソ連軍。プリャービン、ウラジミーロフらが再びガントを追いつめる!ファイアフォックス強奪作戦の結末は?第3作『ウインターホーク』は東西緊張緩和の時期。ソ連軍保守勢力の不穏な陰謀が進行する。情報員救出の任務で再びソ連へ潜入するガント。宿敵プリャービンとの最後の対決!第4作『ディファレント・ウォー』は冷戦終結後のお話。新型旅客機の試験飛行中に事故発生!調査を依頼されたガントは巨大な陰謀に巻き込まれる…。『ファイアフォックス』『ファイアフォックス・ダウン』『ウインターホーク』は三部作のような構成で、冒険小説ファンには絶対お薦め。3作目までと比較すると4作目の『ディファレント・ウォー』はイマイチな出来なので、無理に読まなくてもいいと思う。 |
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製作年度 1982年 製作国 アメリカ 上映時間 136分 |
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●感 想 映画『ファイヤーフォックス』、ストーリー的には原作にかなり忠実。原作前半ではKGB側の動きも詳細に書き込まれていたが、やはり映画では端折り気味。映画ではいまひとつ緊張感が感じられず。ファイアフォックスが飛び立ってからの後半は派手なSFXが見せ場になってしまって、前半とは別の映画みたいな感じ。ほぼ原作通りの展開で話がすすむが、全体的なサスペンス描写は残念ながら原作には遠く及ばない。SFX担当は『スター・ウォーズ』のジョン・ダイクストラで、スピード感溢れる飛行場面は迫力あり。しかし山岳地帯でのチェイスシーンなど、どうしても“スター・ウォーズ風味”でリアリティはいまひとつ。 熱線追尾式ミサイルを避けるために使用する囮熱源“フレアー”が、当時の字幕では“後部ミサイル”と訳されていて、「ファイアフォックスって後方にもミサイル撃てるのか?」と誤解させる。「後ろの敵を“後部ミサイル”で撃てよ!」と思った人もいるのではないだろうか?字幕担当者が軍事知識に乏しかったのだろうが…、当然ながら「後方には攻撃できない」という前提でクライマックス空中戦が描かれており、オチに影響する重大な「誤訳」と言えるだろう。映画公開当時は、あまりにも未来的なミグ31のデザインに「リアリティないなあ」と感じたが、実際のステルス戦闘機やステルス爆撃機を見た後では、おとなしい「普通の飛行機」に見えるぞ(笑)。ちなみに「ロシア語で考える」というのは映画オリジナル設定で、原作『ファイアフォックス』にそのような記述はなかった。しかし映画公開後に書かれた続編『ファイアフォックス・ダウン』(献辞がクリント・イーストウッド宛)には「ロシア語で考える」という描写が取り入れられている。 |