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著者 夢枕獏 出版社 エンターブレイン
『大帝の剣 1』
『大帝の剣 2』
『大帝の剣 3』 |
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●ストーリー 大阪夏の陣より23年後、徳川治世の江戸時代…。女を誘拐し、山中で身代金の到着を待つ野盗の一団。彼等の前に現れたのは、大剣を背負った大男。その名は万源九郎(よろずげんくろう)。圧倒的な力で野盗集団を切り倒す源九郎。その時、天空を横切る巨大な光があった。光は山中に落下。興味を惹かれた源九郎は光が落ちた場所へと向かうが…。 |
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●感 想 夢枕獏の『大帝の剣』は、著者初の時代劇…といっても普通の時代劇ではない、荒唐無稽なSF伝奇アクション小説になっている。超人的な技を持つ忍びや剣豪が激突するだけではなく、「地球外生命」まで絡んでのバトルが面白い!豊臣秀頼の血を引く娘を護り、江戸を目指す真田忍軍。彼等を狙う徳川の刺客。三つ揃えば世界を制すると言われる「三種の神器」をめぐる争奪戦。天空からやって来た謎の異星寄生体。それを追う別のエイリアン。加えて宮本武蔵や柳生十兵衛、死んだはずの天草四郎時貞、佐々木小次郎らまで登場する四つ巴、五つ巴の超トンデモ展開。様々な勢力が複雑に入り乱れ、剣術・忍術で激闘を繰り広げるのが楽しい。主人公の万源九郎は人間離れした強さの大男で、普通の時代劇なら無敵レベルだろうが…、この作品では源九郎と互角に戦える化け物(忍者・剣豪・異星人)が次々に登場、超人的な活劇場面が見せ場。山田風太郎とか好きな方にお薦め。 最初に新書で『大帝の剣天魔の章 巻ノ壱』が発売されたのは1986年。連載していた掲載誌の廃刊もあって、『大帝の剣 巻ノ五』が出たところで中断。ひとつのシリーズが完結していないのに新しいシリーズを次々に開始する著者の為、再開のスケジュール調整もつかず、長期に渡って「未完」状態で放置されていた。それが映画化に伴い2005年「週刊ファミ通」誌上で連載再開。2007年4月、「飛騨大乱編」と「天魔望郷編」を収録した『大帝の剣3』がやっと発売。「週刊ファミ通」誌上で何度か休載期間を挟みながらも連載継続中。なんとか完結まで持っていってもらいたいところ。 |
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製作年度 2007年 製作国 日本 上映時間 110分 |
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●感 想 堤幸彦監督の映画版『大帝の剣』、原作のシリアスな雰囲気とは全然別物。小ギャグをまぶした軽めのSF時代劇になっている。原作に忠実な映像化を望む方にはお薦めしない。随所に挿入されたお笑いが合わないと観るのが辛いかも。最初から原作とは「別物」だと割り切って観る分には、それなりに楽しめた。「お馬鹿映画」と呼ぶには突き抜け方が弱くて中途半端な気がするが…。ノリとしては特撮ヒーロー系、戦隊物や仮面ライダーに近い感じか。怪物造形・CGもそのレベル。しかし(原作ほどではないにしろ)血しぶきが出たり腕がとんだりするので、子供向けには微妙。原作自体完結していないこともあり、映画ではキャラクターやストーリーが大幅に省略・単純化されている。基本設定は冒頭のナレーションで「全て」ネタバレ説明してしまう潔さ(笑)。宮本武蔵や柳生十兵衛などもカットされてるので登場しない。原作要素を盛り込みすぎて収拾つかなくなるよりは映画としての分かりやすさ優先という感じ。 万源九郎は実写にするのは難しそうと思ったが、阿部寛は結構似合っている。長谷川京子の舞もなかなか。黒木メイサ演じる牡丹も凛々しくてカッコいいが、なんだかストーリーと全然絡まない役になってしまったのが残念。ラスト近くで完全に投げっぱなしの扱いだし。牡丹、一体何がしたかったんだ(笑)。冒頭のチョイ役・前田愛がかわいかったり。遠藤憲一の権三はお笑い怪人か。原作じゃ怖いんだけど…。「土蜘蛛衆」は忍びというより、完全に怪人軍団ですな。竹内力の破顔坊、全然「破顔」じゃないぞ(笑)。風呂場にて、阿部寛と杉本彩の全裸対決、ここはギャグなのか(笑)。まあ肩の力を抜いて観る分には退屈しなかったが、クライマックスの盛り上がりがかなりしょぼいのが残念。ラスボス造形、CGも安っぽい。最後にもう少し派手な剣劇バトルが見たかったところ。 2007/04/11 |