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著者 藤沢周平
収録作 |
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●ストーリー 「盲目剣谺返し」 下級武士の三村新之丞は城の毒味役を勤めていた。しかし運悪く毒にあたってしまった三村は、命は取り留めるものの失明してしまう。自害も考えた三村であったがなんとか思い留まり、盲人として生きていくことを選択する。ある日三村は、妻の加代が浮気をしているのではないかと疑念を持つ…。 |
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●感 想 藤沢周平の原作短編『盲目剣谺返し』は短編集『隠し剣秋風抄』の最後に収録されている。『隠し剣孤影抄』の姉妹編的な短編集。各短編に秘剣を伝授された剣士が登場、様々な理由により、その技を使用する状況が訪れる。やむを得ず「秘剣」を使わなければならなくなるまでのドラマ展開が面白い。そして対決場面も緊迫感があり楽しめる。『盲目剣谺返し』の主人公は秘剣を授けられていない。剣術の覚えがある三村新之丞であるが、盲目となった今、対決に勝機を見いだすことはできるのか?夫婦の愛が感動的な一編。 |
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製作年度 2006年 製作国 日本 上映時間 121分 |
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●感 想 山田洋次監督・藤沢周平原作の時代劇シリーズ第3弾。人情時代劇として手堅い仕上がりで面白かった。三村新之丞役の木村拓哉、時代劇役者としてはどうだろう?…と不安要素だったが、実際観てみると、それほど悪くはない。いつものキムタクと大きな違いはないが、キャラクターが合っていたのかも。剣道の経験があるということで、素振り場面などもなかなか決まっている。献身的な三村の妻・加世役の檀れいも良かった。そして奉公人・徳平役の笹野高史が実にイイ味出している。桃井かおりと共に、重いストーリーにコミカルな味付けを加えている。細かい不満点としては、毒味役の三村が倒れる直前まで「大丈夫」とか言って強がってるのはダメだろ(笑)。毒味役なんだから体に変調を感じたらすぐに報告しないと。全体的にはなかなか良い出来かと思うが、ラストシーンは原作の方が奥ゆかしくて好みかな。 原作は短編『盲目剣谺返し』。前二作『たそがれ清兵衛』と『隠し剣 鬼の爪』は複数の原作短編を組み合わせて脚本化しており、幕末の近代化描写も追加されていた。しかし本作は『盲目剣谺返し』のエピソードのみで構成されており、三部作の中では一番原作短編に忠実な内容。原作タイトルは『盲目剣谺返し』であるが、主人公・三村新之丞は秘剣・谺返しを伝授されているわけではない。死闘の際、相手を斬った剣が「谺返し」の極意に迫ったのではないかと推測するぐらいである。原作とタイトルが違うのは「谺返し」を映画タイトルに持ってくるには扱いが弱いからだろう。「武士の一分」というのは原作にも出てくるフレーズ。映画では緒形拳演じる師匠の元で修行するが、「谺返し」の名称は出てこない。三村が修行して強くなるのがちょっと早すぎるかな…。もう少し鍛錬場面をじっくり描いてもよかったような気もする。 2007/02/27 |