「傾聴専門員」
傾聴専門員とは・・・傾聴専門員養成講座を実施し、資格者となったプロの傾聴員が独居高齢者や施設入所者のお話を伺います。
◇なぜプロの傾聴専門員が有効なのか・・・
被介護者は、常に最も下の身分であると感じ、気がねの中で生活しています。だから、家族、介護職員、専門家の先生、ボランティアの方々にも本音を話すことができない境遇にあります。(口には出しませんが)
①しかし、仕事で傾聴する傾聴専門員の場合は、利用者さんがお客様ですので上の立場になり、水が高いところから低いところへ流れるように、話しが流れ出てきます。
②また、話してもらわないと仕事にならずお給金をもらえないと、泣き言をいえば、しかたないねと相手をしてもらえます。
③さらに、聞いた話は絶対に漏らさない、もし漏らしたら守秘義務違反で傾聴専門員の資格を取られて、仕事ができなくなって収入がなくなるから絶対に話さないと、説明すれば、安心して話しをしてくれます。
利用者満足度調査で、普段話さない方がたくさん話してくれたと言ったら、介護職員がびっくりしたということがありましたが、そういうことなのです。
職員やボランティアの方がいくら頑張って傾聴しても、被介護者は心を開かないから、傾聴専門員が少しでも癒しのお手伝いをしたいというのが、この「傾聴専門員事業」の発想です。
(傾聴を実践してのエピソード)
〇まずは、自分の意見を言う雰囲気を最初につくること。
「何か不自由はないですか?」といきなり聞くと、「まあ、皆さんよくやっているんじゃないですか。」と評論家の話しになってしまいます。
そうならないように、心で感じていることを自然に伝えるように思ってもらえる、最初の一言がすごく大事です。
例えば、「お風呂の後でしょう。疲れとらんかん。」、「どっちの耳が聞こえやすいかね。」と聞き、まずは、今の気分を聞きます。話さなくても顔の表情や手のしぐさでもわかります。
そこで、すかさず、「今日は、悪いね―。〇〇さんの意見を聞く仕事で来たもんで、話してもらわんとお手当てをもらえんで、助けてくださいね。」とか言うと「しょんないね。なんだん。」と話にのってくれます。
〇人生の大先輩から教えて頂く。
話しを聞くことは、手段であり、目的は、話しの中から自分の人生の教訓を得ることであると思います。
要介護者だから、介護してあげるという上から目線では絶対にだめ。人生の大先輩から色々と教えて頂くという視点が必要であり、経験豊かな方々には、しっかりと見通されます。
○こんな話がありました。小さい時から般若心経を読まされた、その時は訳が分からなかったが、今ではとてもありがたく、毎日、上げさせて頂くだけで、一日が楽しく過ごせる。とのことでした。
やはり、加齢とともに死期が近づくのは避けられないことで、若いうちには考えないが、そのことに向き合う信仰心というものが、やはり救いになるのだな、教えて頂けたこともありました。
〇傾聴専門員でしか救えない、漆黒の闇夜に差す一筋の光なること
中には、「あんたとなんか話したくない。」、「話してもしょんない。」と怒る人もあります。
そういう方は、回りの人は先生ばかりで、注意されてばかり、話しを聞いて味方になってくれる友達はいない、そういう中で自暴自棄になってしまっているのだと感じます。
しかし、そういう方ほど、言いたいことがたくさんある方で、最後には本当にいい笑顔になり、たった15分なのに、こんなにゆっくりと話ができたのは初めてと涙ながらに話される方もみえました。
○認知症や妄想が進み、一見会話が成り立たないと思う方もみえます。
その場合には、自分もその世界で一緒に遊びます。
お母さんとあやとりをするといったら、教えてもらい、どの子が可愛いかとの話しには、おとうさん流の口説き方を教えてもらいます。
そんな銀河鉄道の旅が、時折、その方の軌道にもどることがあります。
あやとりをしていたお嬢さんが、自分の子どもには「嘘だけは許さんかった。だから、毎日、来てくれる。」と教えてくれます。
ずっと歌を歌っていた方が、最近職員が忙しくて口腔ケアの時間が短くなったと教えてくれました。
