La Bataille D'Aomori

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関連図書のページ・中世(6C〜15C)

 

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タイトル 双頭の鷲&傭兵ピエール
著者 佐藤賢一
出版社 新潮文庫(双頭の鷲)、集英社文庫(傭兵ピエール)
感想等

 ナポレオニックに続く小説の紹介である。日本語で読める百年戦争の資料など、私は知らない。貴重な作品であろう。
 これらの作品は、東北大学大学院でフランス中世史を専攻した佐藤賢一氏による小説であり、当時の歴史的事実を著者が脚色し、すばらしい小説に仕立て上げている非常におもしろい作品なのだ。「傭兵ピエール」は後述するようにジャンヌ・ダルク絡みの内容となっているのだが、リュック・ベンソンもあんな映画を撮らずに、こっちにすればよかったのにと思わざるをえないほどのできなのだ。

 「双頭の鷲」は、百年戦争中期におけるフランス側の希代の英雄、フランス大元帥ベルトラン・デュ・ゲクランの生涯を扱っており、ポアティエの戦い(1356)でのフランス軍の大敗北の場面からスタートし、デュ・ゲクランの死亡(1380)後までを期間としている。対して、「傭兵ピエール」は百年戦争後半の英雄(と言い切っていいかどうかは疑問があるものの)ジャンヌ・ダルク伝説を題材としたものであり、小説前半はジャンヌ・ダルクの火刑で終わっているといってよいと思う。なお、主人公はあくまで「傭兵ピエール」なのだが、前半はジャンヌ・ダルクが主人公であるといってもよいだろう。対象となっているのは、アザンクールの戦い(1415)〜パリ奪還(1436)くらいだろう。因みに、オルレアン開城は1428年、火刑は1431年だ。なお、両小説の時間的関係は、「傭兵ピエール」の育ての親(アルマン・ド・ラ・フルト。こちらも大宰相といわれた実在人物らしい。)が「双頭の鷲」においてデュ・ゲクランの小姓として出てくるという具合だ。

 ゲーマーとしては、まずは「双頭の鷲」を読んでいただきたい。「双頭の鷲」では、百年戦争前半の政治状況がよくわかり、非常に有意義な内容となっている(小説としても「双頭の鷲」に軍配を上げたい。)。Longbow(BSO)やポアティエの戦い(GDW)などをプレイするに当たり事前に読んでおけば、フランス軍を担当することになって(さんざんにやられて)も納得できるプレイが出来るかもしれない(笑。02年に読了。

 

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タイトル ブルゴーニュ家
著者 堀越孝一
出版社 講談社現代新書 1996年7月20日第一刷 2002年7月5日第三刷
感想等

大学入試などにおける定番の問題形式として、ある地域における歴史的事実を示し、その時代と同じ時代における他地域での歴史的事実を答えさせるという問題があるが、一般的な歴史教育の中で育った私にとって、非常に苦手とする問題であった。横軸で考える訓練がされていないことが原因 だ。この本を読んで、改めてこの事実を認識させられてしまった。
 マクシミリアン1世がブルゴーニュ侯女と結婚した事実(1477)は知っていたし、ジャンヌ・ダルクの敵方にブルゴーニュ侯爵がいる(火刑は1431)ことも知っていたが、この二つを併せて考えることをしたことはなかったのだ。もちろん、これらの間には 約45年という開きがあるが、歴史に興味があるのであれば、それでもこの二つを関連して考えることができる能力がやはり必要となるのだ。
 さて、本書の内容であるが、そのものズバリ、ブルゴーニュ侯家の歴史である。先に紹介したハプスブルク家とは違い、歴史的事実を淡々と語るというのではなく、一見関係がないと思われる、通常歴史教育 では登場しない人物の詩や絵画から、その時代の空気を伝えようとする記述となってい て、面白いと思う一方、ちょっと凝りすぎかしらとも感じる。また、本質的なことではないことを指摘させていただけば、この本、読みづらいという問題がある。「痛快!ローマ学」の塩野七生氏と同様に、いわば口述をそのまま文字にしたような文章なのだ。これにはちょっと参った。 また、地名がよく分からない。ブルグンドにフランシュコンテ、ガンにヘント、リエージュにライク、混乱するよ。03年1月読了。

03/04/30追記
 ここではブルゴーニュ候という表記をしているが、ブルゴーニュ家は公爵家である。いろいろな書を見ると、候と公、両方が使用されており、どちらが正しいのか分からなかったが、にゃまさんと中嶋さんからいろいろと御教示いただき、候と公の別について、次のとおりであることが判明した。両氏に感謝。

中嶋さん
 日本の西洋史学界に於いて、故堀米庸三教授(堀越孝一教授の師)の学派はDukeを「侯」と訳します。これは掘米教授の「Dukeの一般的和訳は「公」だが、この漢字は「おおやけ」を意味する。西洋中世の貴族は極めて「私」的な権力存在であるため、これでは意味が逆転する和訳となってしまう。よってDukeは「侯」と和訳したい」という主張からと言われています。ですから、Dukeを「侯」としている書籍は、堀越教授を筆頭とする掘米学派の系譜の研究者のものとわかります。

にゃまさん
 大陸で爵位としての侯爵が確立したのは 16世紀前後といわれており,乱暴に言えば,近世以降に侯爵を意味することになる語は,marquis(仏)が辺境伯,furst(独)が侯(皇帝・王の封臣)の意味でした.

省略

タイトル 新書ヨーロッパ史 中世篇
著者 堀越孝一、河原温、甚野尚志、関哲行、近藤壽良
出版社 講談社現代新書 2003年5月20日第一刷 2003年6月13日第二刷
感想等

 堀越氏による概説「ヨーロッパの成立」のほか、各氏による特論から構成されている。ゲーマーに関わりがあるのは堀越氏の論文だけだろうか。ガリア時代からフランク王国、各領邦の成立史、最後にブルゴーニュ家と、概要だけではあるが、神聖ローマ帝国以外のヨーロッパの各地域史が対象となっている。おもしろいのは、地域名などについては、当時の発音表記になっていること。ブルゴーニュではなくブルグーン、アキテーヌではなくアクィテーン

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タイトル 英仏百年戦争
著者 佐藤賢一
出版社 集英社新書 2003年11月19日第一刷
感想等

 双頭の鷲などフランス中世期の歴史小説を主に書いている作家佐藤氏による英仏百年戦争の概説書。英仏百年戦争を理解する前提としていわゆるアンジュー帝国から筆を進めており、背景をより詳しく知ることができ、非常に助かった。
 ノルマンディー公ウィリアムのイギリス征服など、高校世界史の知識としては知っていたが、イギリス王とされているこの当時の王らがフランス人に過ぎないことを知るだけでも、本書を読む価値はあると思う。王たるもの、下賤な言葉(当時の英語)を話せなくても当然なんですね、フランス人なんだから。ところで、ヘンリー2世(これもアンリ2世が正しい?)はオック語を話していたんでしょうか?

省略

タイトル 神聖ローマ帝国
著者 菊池良生
出版社 講談社現代新書 2003年7月20日第一刷
感想等  書かずにいたら内容を忘れてしまった。いずれ再読した際にでも。

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タイトル ブーヴィーヌの戦い
著者 ジョルジュ・デュビー著、松村剛訳
出版社 平凡社 1992年9月18日初版第1刷
感想等
  1. 著者について
    中世歴史研究におけるカラヤンとも呼ばれる、アカデミー・フランセーズ会員。アナール学派。
  2. ブーヴィーヌの戦いについて
    1214年7月27日(日)、フランス国王フィリップ2世と神聖ローマ皇帝オットー4世の(著者によれば戦争ではなく)決戦
  3. 本書について
      本書で重要なのは、ブーヴィーヌの戦い自体についての記述ではなく、下記目次にある「注釈」の部分だ。ゲーマーとして重要な、戦い自体については、そもそも詳しい記録もないのだから、詳述されていなくても仕方がないのだ。著者が考えるものという留保をつけなくてはならないのだろうが、「注釈」にある戦争と決戦の概念は、日本の中世にも通ずるものがあると私には思われ、非常に面白かった。ただし、著者が史料として掲げているのが、年代記(本文中で引用されているのみならず、関連部分が「史料」部分にまとまって掲載されているというのは珍しいと思う。)などであるため、その内容については吟味が必要だろう。その向きとして下記「中世ヨーロッパの城の生活 」をお勧めしたい。それにしても、著者は本気で本書にあるようなこと(騎士道など)を信じているんだろうか。文章の所々に「わざとこんな風に書いているんだよ。信じているわけないでしょ。」と勘ぐりたくなるような部分があるんだけれど。2005年7月読了。
     
  4. 目次(各章の概要を追記することが今後あるかも。)
    1. 事件
      1. 舞台設定
      2. 当日
    2. 注釈
      1. 平和
      2. 戦争
      3. 決戦
      4. 勝利
    3. 伝説
      1. 神話の誕生
      2. 再燃
      3. 史料
      4. 図版

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朝日選書版

タイトル 王妃エレアノール ふたつの国の王妃になった女
著者 石井美樹子
出版社 平凡社 1988年4月5日初版第1刷
感想等

 アキテーヌ公爵の娘に生まれ、フランス王ルイ7世の嫁ぎ、王とともに十字軍に参加。その後離婚し (離婚を禁じるキリスト教が支配する時代ではあるが、なんとも簡単に離婚できることよ。)、未来のイングランド王ヘンリー2世と再婚。ヘンリー2世とともに アンジュー帝国を築き、ヘンリー2世死後は、フランス王フィリップ2世らを相手に、イングランド王家の紋章獅子のごとき働きにより落日のアンジュー 帝国を支えたエレアノール(アリエノール・ダキテーヌ)の、小説風の伝記だ。 小説風ということもあろうが、非常にわかりやすい内容となっており、アンジュー帝国の成立から崩壊までの歴史をすんなりと理解することができた(覚えておける自信はないけど)。それにしてもだ、大法官トマス・ベケットはなんと重要な人物だったのであろう。2005年9月読了

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タイトル 中世ヨーロッパの城の生活
著者 ジョゼフ・ギース/フランシス・ギース著 栗原泉訳
出版社 講談社学術文庫1712 2005年6月10日第1刷
感想等

 11世紀ら13世紀にかけての人々の暮らしについて書かれたもの。イングランド王ヘンリー2世の名補佐役で、上記「王妃エレアノール」でもその活躍ぶりが伺えるウィリアム・マーシャル(ギョーム・ル・マレシャル)も所有していたことがある、ウェールズ境界近くのチェプストー城がどのような変遷をしてきたのかからはじまり、城(チェプストー城に限らず一般的な意味での城)での主らの生活の様子、そこで仕える家令などの人々の生活、騎士、そして村人達の生活を明らかにしてくれる。これらを明らかにするに当たり、著者らは、年代記、裁判記録、当時の歌や詩、家令が主人に送った報告書、家計簿など様々なものを紹介しており、なかなかに面白いものとなっている。ちょうど、ウィリアム征服王からヘンリー3世の治世までを中心としたものとなっており、これまでの知識を補完することができ、たいへん楽しいものとなった。2005年9月読了

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タイトル リチャード獅子心王
著者 レジーヌ・ペルヌー著 福本秀子訳
出版社 白水社 2005年3月20日発行
感想等

 ジャンヌ・ダルク研究の第一人者(らしい)によるリチャード1世伝。前に紹介した王妃エレアノールと同じ小説仕立てといってよい本だ。 王妃エリアノール読後に読むとちょうどいいだろう。肩肘張った歴史書ではないため、根拠に乏しい記述であるのはエレアノールと同じであり、かつ、わかりやすいという点も同じだ。Crusader Rex (Columbia)をプレイする前に読んでおいて損はない。また、私は面倒だからしなかったが、エレアノールの記述と見比べ、相違点を書き出してみるのも面白いだろう。2005年10月読了。

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タイトル アラブが見た十字軍
著者 アミン・マアルーフ著 牟田口義郎、新川雅子訳
出版社 リブロポート 1986年4月20日初版第1刷発行 (現在は、ちくま学芸文庫にあり)
感想等

 これまで西欧側からの十字軍を2作(エレアノールと獅子心王)読んだため、反対側からのものを読んでみた。前2作は小説的なものであったが、こちらはしっかりとした史書という感じになっている。前2作は十字軍を主題とするものではないため十字軍の詳細については語られていないし、西洋側の本は概して宗教面の記述が多そうな気もする(私は読んだことがないのであくまで推測)ため、十字軍について、特にその戦いの経緯について知りたいのであれば本書を読むべきだろう。もちろん、西洋側から書かれた日本語で読める本があるのであれば、併せて読むべきだろう。1096年の第1次十字軍から1291年の アッコン陥落までを対象としており、単に戦闘等の経過を述べるだけではなく、当時のアラブ側の諸事情等も記されており、非常に有意義な本だと思う。
 文明度では優位にあったアラブが、200年間だけではあれ、何故西洋に屈したのか、また、十字軍に最終的には打ち勝ったアラブが、何故今日においてはその優位を西欧社会に手渡してしまったのかといった点に ついても筆者の見解が載っており、その意味においても有意義であった。2005年10月読了。

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タイトル 十字軍騎士団
著者 橋口倫介
出版社 講談社学術文庫1129 1994年6月10日第1刷 「騎士団」(1971年4月近藤出版社)が底本
感想等

 本書は、テンプル騎士団及び聖ヨハネ騎士団(ホスピタル騎士団)の創設からテンプル騎士団の廃絶までを扱った学術入門書である。修道騎士の生活の実態なども含まれた内容であり、特にはじめにある騎士団の定義など、指輪の1巻目のはじめみたいなものかと少しばかり危惧したが(指輪物語は何とか最初の部分を突破して読み通しましたよ。)、修道騎士というだけあって、彼らの持つ軍事的な役割や彼らが活躍した個々の戦い(いずれも十字軍時代が対象)が詳述されており、Crusader Rex (Columbia)のプレイに併せて読んで損はない内容となっている。
 アンデュー帝国を出発したときには、ここまで来るとは考えてもいなかったが、とうとう十字軍までたどり着いた。次はどこに行くのかなぁ。05年12月読了。
 歴史群像誌No75に、テンプル騎士団(佐藤俊之)あり。

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タイトル 十字軍 ヨーロッパとイスラム・対立の原点
著者 ジョルジュ・タート著 池上俊一監修 南條郁子・松田廸子訳
出版社 「知の再発見」双書30 創元社 1993年9月20日第1版第1冊
感想等

 本シリーズは図版が多く、歴史をビジュアルに理解できる点がすばらしい(クラック・デ・シュバリエの写真を見るとなかなか感慨深い。)のだが、本書の場合、それに加えて資料編が重要だろう。現代の研究論文などの抄訳のみならず、イブン・アル・アシールの「完史」などのアラブ側の記録も載っており、当時の状況を読み取ることができるのだ。シャイザルのアミールであったウサーマ(1095-1188)が、古くからいるフランクと十字軍でやってきたフランクを区別している点など、ゲームには関係のない内容だが、なかなかに興味深い。ゲームの資料としても、フランク王国の成立から滅亡までの簡単ではあるが通史となっている点、比較的詳しい年表がある点などを考えると、買って損はないと思う。05年12月読了。

タイトル 図説 モンゴル帝国の戦い 騎馬民族の世界制覇
著者 ロバート・マーシャル著 遠藤利国訳
出版社 東洋書林 2001年6月25日 第1刷
感想等

チンギス・ハンから 第6代大ハンのティムール(「あの」ティムールではない)までを中心的に扱ったモンゴルの通史。チンギス・ハンのことはある程度は分かっても、その息子や孫たちの行跡となるとあまり知られていないモンゴルの歴史を、その周辺の民族(東洋圏は当然として、イスラム圏もヨーロッパ圏も)との関係をも含めて知ることができる、なかなかの良書。ルイ九世による十字軍がエジプトを目指した理由など、いろいろと興味深い内容であった。ヒストリー(AH)での扱いは不当である(笑)と思わせてくれるだけの内容を持っているお薦めの本。2008年1月読了。

 

タイトル カペー朝 フランス王朝史1
著者 佐藤賢一
出版社 講談社現代新書 2009年7月20日 第1刷
感想等

 佐藤賢一氏によるフランス史本の3作目(ダルタニャンもの百年戦争もの)になるのだろうか、これぞ本命、フランス史である。本書のカペー朝からはじめ、おそらくブルボン朝までを扱うのであろう。「累代にわたる国造りの物語として、諸王の奮闘を描き出す試み」とのこと。手軽な新書という媒体でこのような取組をしてくれるのはありがたいことだ。
 本書は王を単位とする紀伝体となっているのだが、フィリップ2世やルイ9世といった有能な王に多くの紙面が割かれている。製品版で250頁程度のためそれほど突っ込んだ内容にはなっていないが、それぞれの王が生き生きと描かれており、とても読みやすいしわかりやすい。フランスの歴史を知る格好の教材となるように思う。「新書ヨーロッパ史 中世篇」も併せて読むべきだろう。'09年09月読了。