筆者の主張はこうである。(以下要約は私による。)
「日本における戦闘は、古来より弓兵などを中心とした遠戦が中心であり、軍記物などに書かれている刀を振り回してのチャンバラのごとき白兵戦などはほんの例外に過ぎない。にもかかわらず白兵主義という戦術思想が生まれたのは、日露戦争後の陸軍が、故意によるものかどうかは分からないが、白兵主義は日本古来からの伝統であり、日本の特技であるとしたことからである。日本には「白兵主義時代」がかつてあったということは、軍記物の影響があり専門家の間にまで定着しているが、これは誤りである。」
筆者の言い分がどこまで文献等の資料解析に基づくものかは、現代文庫であるという性質上分からない部分も多い。ただ、筆者が分析している事例(長篠の三段備えや川中島の戦いなど)について言えば、少なくとも日本史に興味のあるゲーマーであれば、軍記物に語られるこれらの事例を「全き事実」とはしていないであろうから、さして珍しい主張であるとは言えない。
筆者は、古来より矢傷による死傷者が実際は多かったとしきりに述べるのだが、私などには逆に、「もしそれが本当であれば、どうしてそれに対する備え(盾を用いるなど)を十分にしてこなかったのか、何百年もの間、日本人は矢を防ぐということに考えが及ばなかったのか。」という疑問が生じてしまうが、それに対する回答はないことも、一般人を対象としていれば仕方がないことなのだろうか。2001年9月読了。 |