下端定規の作成」と「テーブルソー(トリトンワークセンター2000)の鋸刃調整」に学ぶ直線と直角の出し方

木工においては直角と直線を正確に出せるかどうかは作品の精度に大きく影響します。
したがって利用する工具は、常にこの直線と直角を正確に出せるよう調整しておく必要があります。

まず正確な直線や直角を計る道具として定規やスコヤが浮かびますがJIS規格でも数パーセントの誤差が認められています。
つまり完全な直角であるという保証はないのです。
最終的な作品においてこの程度の誤差が生じるのは致し方ないにせよ、基準にする定規は正確なものを使いたいものです。

木工の世界ではこのような問題はある意味常識となっており、そのため精度が要求されるようなものについては自分で作成することが当たり前になっています。
製品として発売されている定規やスコヤで精度がでないものを、自分で作成して精度を出すという点について、ちょっと奇異に感じられるかも知れません。
しかし、実際にカンナの下端(したば)の平面を確認する下端定規などは市販の定規を信用せず、ほとんど自分で作成しているのが実態のようです。

ここでは、この『下端定規の作成の仕方』と『テーブルソーにおける鋸刃の直角出し』を通じて、正確な直線と直角の出し方を説明したいと思います。考え方のベースにあるのは「まったく同じ規格の2つの材を作り、両者を比較することで、正確な直線および直角を確認することが可能である」という点です。

この"直線だし"と"直角だし"の考え方は、非常に理にかなった考え方に基づいており、この考え方を理解しておくと木工を行うに当たって様々に応用することができると思います。

   ※ 参考資料・情報提供元 「手づくり木工事典」、「千葉のプロ家具職人 ポプリ村上氏」


(1)『下端定規の作成の仕方』に学ぶ正確な直線出しの考え方

それでは早速下端定規の作成の仕方をご説明しますが、結果的に2つの下端定規が出来上がります。その理由は以下を読んでいただければご理解いただけると思います。
下端定規は通常、ホオなどの変形しづらい材料を使って作成されることが多いようです。
定規の材料となる同じ材を2つ用意します。 2つの材に両面テープなどを貼り、ずれないように2つの材を合わせます。
その状態で材の長面をカンナ等で削ります。これでまったく同じ面を持つ2つの材が出来上がりました。
今削った面同士を合わせてみます。光に透かして隙間がなければ2つの面は完全に直線がでているということになります。 市販の定規を当てて確認をしてみても隙間はありませんでした。この定規も正確な直線が出ていることがわかります。

(2) テーブルソー(ワークセンター2000)における鋸刃の直角出し

テーブルソーの鋸刃の直角を調整する際、左下の写真のようにスコヤを当てて確認する光景をよく見かけます。
しかし実際の鋸刃は全体のプレート部より、刃の部分が若干盛り上がっており正確な直角をどこで計ったらよいか迷ってしまうこともありますし、実際にスコヤで計って直角でも、カットしたら直角が出ていない場合もあります。
そこで以下に説明いたします手順で鋸刃の直角を調整してみてください。
 同じくらいの2つ材を用意します。
ここでは幅60mm×長さ250mm×高さ35mmの大きさの材を使いました。
 作業を間違いなく進めるため材の先端一箇所に目印をつけます。  テーブルソーの切削フェンスの幅を55mmにセットします。(幅は何mmでも構いません)  60mm幅を55mmにするわけです。
同じようにもう片方の材も55mmにカットします。
 両方の材を55mm幅にカットしたら、今度は下記の写真のように材をひっくり返します。
この際、絶対に上下をひっくり返さないように注意してください。
 そして今度はフェンスを50mmにセットします。  そしてひっくり返したまま材をカットします。
つまり先ほどと反対の面をカットしたことになります。2つの材とも同様にカットします。
 これで50mm幅の2つの材が出来上がったことになります。この材を写真のように向きをあわせ重ねます。

 そして写真のように指で上下の材の段差を確認します。若干上の材が大きいようです。
正確に直角が出ている場合は材の段差はありません。
 上の材が大きい場合は鋸刃がフェンスの方に傾いていることが分かります。

 逆に上の材が小さい場合は鋸刃がフェンスと反対の方向に傾いていることがわかります。
 鋸刃の傾きに応じて鋸歯の傾きを調整します。  スコヤを当てているのは直角を測っているのではありません。現在の傾きから、あとどのくらい傾ければ良いのか間隔を測っています。  刃の調整をしたらテーブル面を載せますが、その際写真のようにクリップクランプでテーブル面と下の台座面を固定しておくと作業時にテーブル面が上下に動くことがなくなり、直角面が正確に出せます。
 幅を狭くし、先ほどと同様2つの材の左右をカットします。
 再度、2つの材を重ねて状態を確認します。今度はピッタリです。これで正確に直角が出せました。  最終的に材は40mmになりました。  ノギスで確認してみると正確に40mmです。


以上のように、まったく同じ規格の2つの材を用い、両者を比較することで、正確な直線および直角を出すことが可能になります。

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