ハサブ Khasab, Musandam Peninsula

ペルシャ湾の入り口、
海に突き出してホルムズ"海峡"を形成、
ペルシャ湾とアラビア海を分けているのが、
ムサンダム半島。

ここは、UAE(アラブ首長国連邦)の中にあるオマーンの飛び地。

観光客を受け入れるようになってまだ数年、
ただでも観光しにくいオマーン。加えて、ラマダン中。
どうせ何にもできないんなら、島に行ってビーチでのんびりするか
ということで、オマーンのマシラアイランド(マシラ島)に行くことにした。

チケットを買いに行くと、
マシラアイランドは今、
アメリカ軍のアフガン攻撃の基地になっていて立ち入り禁止、
飛行機も飛んでない、と言われた。

いちおう、
何軒か代理店を回って、
オマーン航空にも聞いたが、
本当に立ち入り禁止になってるらしい。

もー。
どこ行っても観光どころじゃないな。
イエメンでスコトラ島に行きたかったけど、そんな雰囲気じゃなかったし。
オマーンは平和だから、結構いいリゾートライフが送れると思ったのに、
米軍に先取りされちゃったか…

せっかく大金出して移動するつもりになったんだから、と
飛行機じゃなきゃ行けない、ムサンダム地方の町ハサブに行くことにした。

特殊な時期で、ただでも観光客がいない上にラマダン中なので、
やってるかどうかもわかなんないし、
やってたとしても、
するかどうかはわかんないけど
ハサブには、ダウ船でのクルージング、というオプションもあるし。


ハサブの空港に着く。

何にもない。

バスもいなけりゃ、タクシーもない。
オマーンでは普通にできるはずのヒッチをしようと思っても、人がいない。

こんなんなら、さっさと空港から出てきて
他の乗客を迎えに来てる車に同乗させてもらうんだった。
空港から町までは一本道だけど、結構遠いらしい。

しょうがない。歩くか…


空港から町に行く途中にある宿は、
どうしよ、ってくらい立派だった。
安くなかったけどここに決めたのは、
部屋にキッチンが付いてたから。

ハサブに来てよかった…(泣)

東南アジアを離れて以降、食べたいものも食べられない。
そこに、手を抜かない本格ラマダンでトドメをさされ、
私の精神的飢餓はピーク。
観光より何より、食べたいものを作って食べれると思うと、
それだけで万金に値する環境。

さっそく町に食材を買いに行く。が、ロクなものがない。
このムサンダム地方は、他のオマーンと違って、出だしが相当貧しいようだ。
一部の住民には、他のオマーンでは感じなかった、すさんだものがある。
たまたま、石油で潤うオマーンという国に属せたから、
その反射で今があるだけ。
でも、本土と離れてるから、お金には困ってなくても、
生活の内容は今までの通り、って感じ。

せっかくキッチンはあるのに、ロクなものが買えなかった。

夜、ドバイ発の現地ツアーで日本人のNさんが宿に着いた。
ムサンダム地方は、オマーンからだと飛行機じゃなきゃ行けないが、
UAEのドバイからだと、車で来れる。
日本人なんて久しぶり。
どこに行ってもいなかったのに、
まさか、こんなところで一緒になるとは思わなかった。

クルージングをするというので、ご一緒させてもらうことにした。

気が向いたらクルージングをするかも、
で、ハサブには来たけど、
1人だし、どうしよっかな、
部屋にキッチンがあるからこもっちゃおっかな、
だったのだ。

クルージングは1人5千円弱。

Nさんは、安いって言って喜んでたけど、
私は、そんなのに参加してるのを考えると、へこむ自分もいた。

オマーンの物価は、もう感覚として身についてたし、
ダウ船なんて、普通の船で、ここでは全然特別じゃない。
当時は、オマーンの物価や実情から考えて、ムチャクチャな値段設定だ、
とんでもない無意味なことに、大金を払うことで、人工的に超ゼイタクを作り出してるだけ、
そんな一端を担って、「何やってんだろ」ってふと思っちゃう気分が、
どこかにあった。

でも、今こうやって振り返ってみると、
Nさんの気持ちがすごくよくわかる。

5千円、価値あることに使えてよかった。


船はダウ船。大きい。絨毯の敷いてあるところでくつろぐ。
アラビアスタイルのソファもある。これを乗客2人だけで占拠。
こーんな感じで、クルージングを楽しむ。
乗組員はキャプテンとその息子。2人とも客との間にちゃんと距離を置いてくれ、それでいて自然体で親切だった。
彼がキャプテン。さすが、絵になってるでしょ。
彼の着ている服は、このハサブエリアの衣装。他のエリアでは見なかった。
イルカがたくさんいる。
ほとんど終日、こんな感じで何頭もくっついてくる。
青い海と、緑一つない岩山の入り組んだ海岸線を進む。 振り返ってもこんな景色。
すぐ海まで迫る岩山の下に、海岸線にへばりつくように小さい、本当に小さい集落がある。 クルージングでは、こうした村々にも寄ってくれる。
これがお昼ご飯。ラマダン中だけど、観光客を相手にしたこのクルージングは、治外法権。飲み物も用意され、乗船中いつでも飲めるし、昼になれば、こんな感じで堂々と明るい中で食事ができる。手前のペーストは近東でよく見るホンモス。アラブ式のパンにつけて食べる。UAEもオマーンも、こうした食事は近東スタイルのものだった。今まで食事らしい食事がなかったんだな、と思った。 メインはカレー。Nさんは新鮮だったかもしれないけど、私としては、これは悪夢のようなメニュー(笑)。でも、昼間まともな食事ができるってだけで、すごくうれしかった。慢性的に肉不足だったので、普段の食事よりは多いこの肉の量でも、すごく切なかった。いっつも肉ーっ!って思ってた(笑)。
キャプテンは、昼食時には給仕になる。 シュノーケリングや海水浴のできる穏やかな入り江にも停泊してくれるので、泳ぐ。
海岸線はとても入り組んでいる。ゴミもなく、美しい海と景色。 入り江にある村々は、すべてから隔絶している。定期船はもちろんなく、自分たちのボートだけが、外部との接触手段。
海はとても穏やか。 学校で地層の勉強をしたとき、全然ピンと来なかったけど、これだけ岩がむき出しだと、イヤでも地層が気になる。こういう環境にいたら、授業で習ったことがもっと身についてたと思う。
見事なまでに緑がなく、乾いたむき出しの岩の連続なのだが、全然圧迫感も、荒涼感もなく、美しいと思った。 キャプテンは張りつきではなく、こんな感じで時々いなくなる。
操舵席のこの風景、美しいしゆったりしてるし、なんともいえず和み、お気に入りだった。
今はラマダン。日が沈むと…。 彼はインド人の召使。主人や来客の世話を黙々とする。
オマーン人はラマダン中、屋外にテントを張り、日没と共にそこで、主人や来客たちが、こんな感じで遅くまで歓談する。
絨毯、アラビアスタイルのソファ、シーシャ(水タバコ)♪、はセット。
テントとはいっても美しく、とても居心地がいい。テレビもある。
毎夜友人宅のテントを訪問しあう。身の回りのことは召使がやってくれるので、座っておしゃべりしてるだけ。ちなみにここの主人(旅行会社オーナー)は20代。来客は男なので、この席は男だけの世界。
この家の女性は出てこない。イスラム世界の基本。私は明らかな外国人なので埒外。オマーン男性はそのくらいの分別はあるので、こうした席での不快は全くない。
ラマダンテントは、マスカットのシェラトンやインターコンチクラスの大きなホテルの庭にも設置されていた。
テントで過ごすのは日没後なので、当然食事も出される。これが食事。そのほかにデーツ(ナツメヤシの干したもの)。
これがアラビア半島のこの一帯の本来の食事だと思う。
どこに行っても、「日本人」という物珍しさで、みんながこうした席に呼んでくれるので、このころにはもう…。
1日の断食のあとのお楽しみがこれ。しかも毎日これ。みんなよく飽きないな、と顔で笑って心で泣く。正直、美味しくない。
奥と右は東南アジアなんかでも見られる揚げ物。それから、豆。手前の白いのは、ホワイトソースを作ろうとして横着して失敗した時にできる、小麦粉のかたまりみたいな感じ。バターじゃない油分がたっぷり。いろんな意味で、非観光地のラマダンにはやられました…。
これがハサブでの私の宿。これだけで十分満足なのに…。この宿はコンドミニアム状態。まだまだいろいろ、私だけの空間がある。 これが玄関。ここはもう私の部屋。こんなにキレイで広いのに、一人で泊まるなんてつまんなさすぎ。この廊下、寝袋だったら何人寝れるだろうか、と考えてしまう私。インテリアにアラブのアクセントがあって、とってもいい感じ。
ということでキッチンもある。
この数ヶ月、食に煮詰まり続けた上に、とどめのラマダン。日本を出て以来、食べたい味のものを食べられる♪
こっちはベッドルーム。
ベッドルーム、きれいで何でも揃ってるキッチン、きれいなバストイレ、応接間、ゆったりした美しい廊下。充実の超快適ライフ。ひとりはツマンナイ…と珍しく思う私。こんなこと思ったのは、この旅行中あとにも先にもこれ1度きり。帰国してもまだ思ってない(笑)。
ハサブの町。他の入り江の村々よりは、少しだけ奥行きがあるので町になった感じ。やっぱり奥は行き止まりになって、空港がある。緑色は全部デーツ(ナツメヤシ)。デーツ畑が広がる。 ハサブは、対岸のイランとの貿易が盛ん。盛んといっても、こんな感じの個人レベル。
オマーンの各地に必ずある、フォート。
どこもきれいに整備されていて、とても絵になる。
フォートの中。壁にかかってる半月刀(ジャンビーヤ)はオマーンスタイル。イエメンとは形が少し違う。


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ラマダン 〜イスラムの皮肉と矛盾〜
(2001年12月 オマーン・マスカットにて)

マジメな文章(写真なし)


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