お菓子より甘い匂い
照の利きシャンプーという意外な特技が発覚して以来、
淡と誠子を中心にした照への挑戦の日々が続いていた。
それぞれのシャンプーをシャッフルし、いつもと違うシャンプーを試し、
照の鼻を惑わそうと必死に作戦を考え、日々奮闘していた。
菫の冷たい視線も無視し、知恵を振り絞る淡と誠子。
そしてそれに付き合わされる尭深。
だが、そんな努力も虚しく、3人は照の前に敗北を繰り返していた。
今日も部室に淡の声が響く。
「なんでー!?なんで分かるの!?」
正解を言い当てられた淡が地団駄を踏む。
「絶対に分からないと思ったのにー!」
なんと今日は2種類のシャンプーを混ぜるという荒業を繰り出してきた。
だが、それでも照は正解した。
驚愕する白糸台麻雀部の面々。
もはや新発売のシャンプーで対抗する以外に手はないように思えた。
だがそれは淡達にとって、完全敗北を意味していた。
挑戦者として、最低限のプライドを捨てる訳にはいかなかった。
「次は負けないんだからー!」
情けない捨て台詞を残し、淡は部室を出て行く。
「お先に失礼します」
「お疲れ様でした」
誠子と尭深もそれに続く。
そして部室には照と菫だけになった。
呆れたように菫が呟く。
「まったく…なんなんだ、その無駄な特技は…」
「菫もやれば?」
「私はやらん。部長がこんな風に遊んでたら他の部員に示しがつかないだろう」
「ふーん」
そう呟きつつ照は立ち上がり、菫の背後に立つ。
そして菫の長い髪を手に取り、その髪の匂いを嗅いだ。
「私はやらないと言ってるだろ」
「………」
10秒ほど、匂いを嗅いでから照は呟く。
「…菫のシャンプーは分からないかも」
「そうなのか?」
あれだけ正解を続けていた照があっさりと敗北宣言をする。
そして、少しだけ熱の籠った声で、囁く。
「どんなシャンプー使っても、菫は菫の匂いしかしない」
「っ…」
「菫の匂いが、一番好き…」
「な…何を言って…っ」
突然の照の告白に、顔が紅潮する菫。
照はそのまま髪の匂いを吸い込み続ける。
菫は薄々気付いていた。
照が匂いに対してフェティシズムを持っている事を。
いつも照は菫の匂いを執拗に嗅いだ。
そして、それが"始まり"の合図だった。
照はそのまま後ろから菫に抱きつき、髪に顔を埋めた。
「良い匂い…」
「ちょ、ちょっと待て、今日は…体育があったから…その…」
「大丈夫」
「え?」
「菫の汗の匂いは、すごく良い匂い」
「……っ」
照の手は既に菫のスカートの中に置かれていた。
照が太ももを撫でると、菫の背筋に電流が走る。
「ん…っ」
「どうしたの?」
その反応を見て、照はわざとらしく聞く。
「な、なんでも…ない…っ」
照はそのまま菫をソファに押し倒す。
「や、やめ…、こんな所でっ…!」
「大丈夫。鍵はかけてあるから」
「そ、そういう問題じゃない…!」
菫の首筋に顔を近づけ、匂いを嗅ぐ照。
そして、耳たぶを甘噛みする。
「や…っ、…んっ」
菫の制服のリボンを解き、ボタンを一つずつ外していく。
「もうみんな帰ったよ」
「だからそういう問題じゃ…!」
「菫ももうその気になってるくせに」
「だ、だから…!」
照がベルトに手をかけた時には、既に服はほぼ脱がされていた。
抵抗は言葉だけで、実際には何も出来ない菫。
そんな菫に、照は意地悪く言う。
「その気になってるのは否定しないんだ?」
「……っ、この…、変態…!」
悔し紛れに精一杯の罵声を浴びせる菫。
だが、照はそれを軽くいなす。
「菫もね」
「なっ…」
「一緒になって興奮してる菫も、同類」
「……くっ」
何も言い返せない菫。
それは、悔しほどに図星だった。
「もういい…!好きにしろ…っ」
「分かった。好きなだけする」
「そ…それ意味が違…っ」
そして今日も、照にいいようにされてしまう菫だった。