「記憶力も意欲・運動次第」
2006年(平成18年)1月8日 日曜目
「門松や冥土の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」
成人の日だって似たようなもの−−脳の神経細胞は20歳以降は日に数万個ずつ死んでいくだけ、という話を信じていたときはそう思っていた。しかし最新の研究によると成人の未来はもっと明るいかもしれない。
常に細胞誕生
脳神経細胞20歳ピーク説は、死後の脳の研究から出たらしい。70年代には人間の大脳皮質の神経細胞は誕
生時の百数十億個が最も多く、その後は減る一方という人もいた。
しかし、近年、マウスなどの実験から、年をとっても脳には常に神経細胞が生まれているということが常
識になっているという。
もちろん若い頃と同じというわけにはいかない。
東大の久恒助教授の研究では、人にすれば60歳以上に相当するカニクイザルの脳で新しくできる神経細胞
の数は、20歳相当のサルの20分の1だという。子ザルはさらにその数倍の細胞ができる。
この差が脳の年齢的衰えと関係ありそうだ。ただ、あきらめるのはまだ阜い。久恒助教授は続ける。
マウスの脳を使った実験で、記憶をつかさどる海馬のあたりに、シータ波と同様の刺激を電気的に与える
と、新しい神経細胞が増えることが分かったという。
つまり、努力すれば記憶力は維持できるらしい。
電話帳のような分厚いテキストで、道の名前、番地、道順を暗記して、厳しい資格試験に通らなければならないロンドンのタクシー運転手の脳は、一般人の脳より海馬が大きい、という研究もあるという。
それに、記憶能力の年齢的な低下は、40代くらいまでは本人が思うほどではないのだという人もいる。
東大の池谷助手は、「記憶力が低下するのではなく、覚えようという意欲が低下するからLという。要は意欲次第。「物忘れしやすいという年配の女性が、好きな韓国スターの名前をすべて覚えているのが一つのいい例でしょう」
しかし、記憶力の維持には「意欲と勉強」が必要といわれると、私などげんなりしてしまう。
散歩でも有効
そんな人には別の方法もある。「運動で、マウスの脳の神経細胞が増えた」という研究があり、有酸素運
動がいいらしいのだ。宮下充正放送大教授(スポーツ科学)は散歩でも有効だという。「何かを見つけたり、段差に気をつけたりするといった行為が、自然に脳を刺激しているのでしよう」
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