2日目
 ぐっすり眠って、一夜が明けた。と言いたいところだが、時差の関係か早目に目がさめ、明け方からはウトウトと時間を過ごしてしまった。
 今日は、早朝からレンタカーを借りて、ウィスラーまで足をのばす予定にしている。バンクーバーには、多くの大手レンタカー会社が営業しているが、事前のチェックで、ホテルのすぐ近くに「ハーツ」があるのを見つけたので、日本で予約を済ませておいた。ホテル(シャトー・グランビル)のあるグランビル通りから1本東側のシーモア通りに面してハーツ営業所があり、徒歩5分である。7時30分の開店早々、窓口で予約表と国際免許証、クレジットカードを差し出し、手続き完了。キーを受取り、車の番号を告げられ、見るとトヨタの車だった。ただし左ハンドル。でもハーツのレンタカーは、料金が高めだが、さすが車は新しくて清潔だ。

 ウィスラーは、バンクーバー近郊のスキーリゾート地として有名だが、最近では夏のアクティビティーも豊富で、なにより大自然が満喫できる場所として人気がある。バンクーバーからの行き方は、ダウンタウンのジョージア通りから西へ進み、スタンレーパークをぬけると、ライオンズ・ゲート・ブリッジを渡り、1号線、99号線と北上。距離は約120Kmである。バンクーバーの市内を7時50分に出発。市内へ入る通勤経路とは反対なので、渋滞はなく、1号線のハイウェイにうまく入れた。バンクーバー島へ渡る、フェリーの発着地「ホーシューベイ」の手前からは、99号線に入り、あとはひたすら北へ向かった。この99号線は、海と山間部を結ぶ幹線道路である事から「Sea to Sky Highway」と呼ばれている。大リニューアルのため、あちこちで工事をしていたが、交通量が少なく概ね快適に走れた。

 バンクーバーを出発して2時間ほどで、ウィスラービレッジの標識を確認。ウィスラーに到着だ。99号線から標識のある三差路を右折すると町に入る。さらに車を進めると突き当たりに広大な駐車スペースが完備されている。ウィスラーでは、まず、ウィスラー山に上がりたかったので、ゴンドラ乗り場に近い、南側のスペース(Lot2)に車を止めた。
外に出ると緑が豊かで、空もよく晴れわたり、すごく爽やかだ。駐車場から通りを挟んで、ロッジ風のホテルを眺めつつ、さらに南側に歩いて行くと、コンドラ乗り場が見えた。結構賑わっている。とりあえず切符を手に入れたいが、料金表を見るといろんな種類の切符があって、戸惑ってしまう。
 ゴンドラで山頂との往復だけだと29.95ドルと分ったので、列に並び、切符を手に入れた。切符売り場の右隣がすぐ乗り場になっている。コンドラに乗るまで、いくらか待たされるかと思ったが、相乗りでもなくすぐに乗りこめた。山間をぐんぐん登っていくと、やがて、眼下にはウィスラービレッジが眺望できるようになる。ナイスビューだ。コンドラの途中駅「OLYMPIC STATION」を過ぎ、延べ25分で終点、「ROUNDHOUSE STATION」に到着した。ここまで結構乗りごたえがあった。駅には標高1809mと表示されている。ここは、まだウィスラー山頂ではなく。ウィスラー山を楽しむための中腹にある拠点といったところだ。ちなみに、山頂(標高=2182m)へは、さらにリフトに乗り継いで行く事ができる。

 コンドラを降りると立派なラウンドハウスロッジがあって、レストラン、ショップ、展望施設など整っている。まずは、2階に上がって、展望デッキに出てみた。うぉ〜。ウィスラーの眺望がすばらしい。そして山々には残雪というか、万年雪があって、雄大な景色が広がっている。ここまで来た甲斐があったというものだ。天気は快晴だが、半袖だとさすがに肌寒い。上着を羽織って、ショップであたたかいコーヒーを注文。体を温めながら、しばらく大自然の景色を楽しんだ。


■レッツゴー・トレイル
 このウィスラー山、そして隣のブラックコム山周辺には、多くのハイキング・トレイルが整備されている。夏期ならではの楽しめるイベントだ。中でも、山腹にある美しいハーモニー湖(Harmony Lake)を目指すハイキングコースは、距離的にも適度で一番人気があるらしい。迷わずここに決定した。

 いざ、出発!とロッジを離れたが、道がよく分らない。ロッジの周囲はだだっ広くて、目印がないのだ。看板はあるにはあるが、「Harmony Lake」または「Trail No.」が見当たらない。これには意外だった。しかたないので、おおまかな地図を目安に、あっているのかどうか分らないがとにかくそちら方面に歩き出した。
 しばらく不安げに進んで行くと、コース中にある手前の湖を過ぎたところでようやくハイキングトレイルの小さな看板を発見。これじゃ遠くからだと分かんないよと思いつつ。やっとこの道だと確信して、山間へと入って行った。いわゆるハイキングコースとなっているのは、ここからである。ハーモニー湖までは、900mとあった。話しは変わるがウィスラー周辺では、野性の熊(クマ)を保護している。自然環境下では、人も熊も共存関係という訳だ。したがって、ハイキングの途中で熊に遭遇しないために、「熊鈴」着用など注意喚起されている。という事で、日本で調達しておいた鈴を腰にぶら下げ、カランカランと音をさせながら歩き出した。
 ゆるやかな下り道を10分も行くと、もう湖が視界に入ってきた。なるほど確かに手軽なコースだ。と思いきや、湖を間近に急に、下り勾配がきつくなり、息が切れてきた。下りが急だという事は、返りの登りの事を考えてしまうが、ともあれ、湖畔に向かってどんどん下って行った。ここまで何組かのハイカー達とすれ違ったが、人気コースの割にはあまり人の気配はしない。静けさの中に、鈴の音だけが響いていた。どこかで、熊がこの音を聞いているかもしれない。熊は普通、人の気配で、逃げて行くらしいが、中には、人好きの熊もいるらしく、そんなやつが寄って来られたどうしようと思いつつ周囲を注意深く眺めながら眼下の湖を目指し、重力にまかせ足を運んでいると、ほどなくして視界が開けたと思ったら湖畔に到着していた。
 そこは静寂の中に、湖がひっそりと広がっていて、時間が止まったような空間である。決して立派な湖ではないが、情景がすばらしく、湖面のわずかな揺らぎ以外は微動だにしない1枚の絵画のようだ。

 ゆっくりと流れる時間、爽やかな自然の香りを十分たのしみ、心身をリフレッシュ。見えるものは、空、雲、山、木々、湖水だけだ。人工的なものはなにもない。実に癒される空間である。

<ハーモニーレイク Harmony Lake>


<ウィスラーマウンテンからの眺望>


■ウィスラー近郊、グリーンレイクへ
 ウィスラーは山と湖に囲まれた自然豊かな町で、本来ならゆっくり滞在してもっと探索してみたいところだが、今回は短期旅行につき、午後は、近郊のグリーンレイクに絞って行ってみる事にした。
 ウィスラー山を後に、乗って来たコンドラで町まで引き返し、再びレンタカーに乗りこんだ。地図を確認して、ともかく湖の方へ(北へ)向かって車を走らせた。地図によると湖畔にそって走るようなので、どこか湖の見える適当な景勝地か公園みたいなところを見つけて駐車しようと考えていたが、湖はちらっと見えたものの、その後はほとんど山間を走っているような感じで、それらしきところがないまま走っていると、どうやら湖を行き過ぎてしまったようだ。たしかに、日本でも下調べをしたが、このあたりの情報はほとんどなかった。しかたないので、引き返しながら、グリーンレイクの方向への脇道があれば、その都度入ってみたが、どうやらどこも別荘のようなところばかりで、公園らしきものはない。もちろん99号線の幹線道路からも湖へのアクセスを示す標識はなかった。諦めかけていたが、最後に「ALPINE WAY」と表示された交差点を湖に向かって(東へ)進んだところ、「エッジウォーターロッジ」(Edgewater Lodge)と書かれた看板を発見。宿泊施設?と思いながら、看板の方向へ向かうと、たしかにロッジ風
の建物に到着した。表札は「EDGEWATER OUTDOOR CENTRE」とあり、そこはまさに湖畔になっていて、探していた駐車場もあり、ボートも借りられるようだ。やっと遊べそうなところを見つけた。知る人ぞ知る場所なのか、できたばかりなのかは、よく分らないが、係員以外、人はボートを浮かべている人を含め数人しか見当たらない。もちろん日本人ではなさそうだ。ともあれ、さっそくボートを借りる事にした。ロッジ風の建物の中に入ると、愛想のよいお兄さんが、ボートについて丁寧に説明してくれた。ここではボートといっても、「カヌー」(Canoe)と「カヤック」(Kayak)があって、それぞれスタイルが違う。
 ・カヌーとカヤックの違い
 ・カヌーの種類
 今回は、湖に浮かべてのんびりするだけなので、いわゆる日本で言う「手漕ぎボート」に似たカヌーをレンタルした(1時間=CA$22)。操作もこちらの方が簡単だ。料金を払うと、救命胴衣とカヌーが準備され、簡単な指導を受けた。そしてカヌーに乗りこみ、いざ出港!。パドルの操作もコツをつかんで沖へ沖へと漕ぎ出した。グリーンレイクというだけあって湖水の色は薄い緑色をしている。透明感のある色ではないが、カヌーからの眺めは実に美しい。パドルを止め、そよ風を感じながら、さざ波に揺れる感触は格別だ。

 様々な景観をもつウィスラー、バンクーバーからの日帰りではあったが、自由な行程で雄大な山と潤いの湖を楽しみ、まる1日、自然を満喫した。

■本日のディナー
 滞在中のホテルがあるグランビル通りからヘルムケン通りを東に5分ほど行くと、イエールタウンのエリアに入る。レンガ造りの建物が並ぶハミルトン通りの一角は、レストラン街となっていて、その中から、「チョッピーノ」(Cioppino's)という店に入った。通りに面した、テラス席をお願いし、まずは、カナディアンビールで喉を潤した。夏場というのに、さすが夜は冷えるらしく、天井からは暖房器具がぶら下げてある。注文した料理は、ロブスターサラダ、パスタ、レモンリゾットなど何品か頼んだが量は日本人向けで(日本人の客はいなかったが)、量より質を重視した感じだ。もちろん味付けも良く、満足できる内容だった。
・チョッピーノ(Cioppino's Mediterranean Grill)