3日目
 バンクーバーに着いて3日目、今日もレンタカーを利用して遠出をする。昨日はウィスラーで自然を満喫したが、今日は、バンクーバーからフェリーを乗り継いで、バンクーバー島(Vancouver Island)に渡り、美しい町々を散策してみたい。効率的に、かつ自由にどこにでも行けるレンタカーならではの醍醐味だ。短期旅行には頼りになる。

 車で、バンクーバー島に渡るには、バンクーバー近郊の港から出ているB.C.フェリー(BC Ferries)を利用する。
また出港する港と行き先によってルートはいくつかあるが、行きは、バンクーバーの北側にある、「ホーシュー・ベイ」(Horseshoe Bay)から、「ナナイモ」(Nanaimo)へ渡るルートを選んだ。もちろん1日を有効に利用するため、始発の6時20分発を目指す。バンクーバー市内からホーシュー・ベイまでは、昨日ウィスラーに行ったルートの途中なので、道に迷う事はない。約30分くらいで着くだろうが、フェリーに乗り切れなかったら困るので、5時過ぎに
ホテルを出た。夏のカナダとは言え、まだあたりは暗い。道はさすがにすいていて、順調にホーシュー・ベイへ到着した。すでに、乗船待ちの車が並んでいる。行き先によって、並ぶレーンが違うのでナナイモ行きのレーンを確認し、列に並んだ。このレーンの先にそれぞれ料金所がある。しばらくすると列が動き出し、料金所で車と人の乗船料+燃油サーチャージ+港使用料を支払った。チケットには、レーン番号が書かれていて、そのレーンから係員の誘導に従って乗船する。外国でフェリーに乗るのは初めてだが、特に問題なくスムーズに乗る事ができた。やれやれということで、車を止めて客室に行ってみた。フェリーも動き出している。朝一番の割には、そこそこ人がいた。そして考える事は皆同じで、今度は朝食のためカフェテリアに長い列を作っている。



 もちろんご多分にもれず、朝食(パン、サラダ、スクランブルエッグ、ソーセージ、コーヒーなどがセットになっている)をしっかり頂いた。船内には、カフェテリアのほか、ビュッフェ、キッズコーナー、ビジネスコーナーなどもあり、なかなか立派なフェリーだ。天気もよく、湾内は波も穏やかで船はほとんど揺れる事もなく、1時間半ほどでナナイモの町が見えてきた。まもなく「車に戻るように」とのアナウンスが流れ、ほぼ定刻の8時にデパーチャー・ベイ(Departure Bay)に到着した。

■ナナイモ(Nanaimo)

 ナナイモはバンクーバー島の中南部に位置しジョージア海峡に面した港湾都市で本島と結ぶフェリーの玄関口の一つでもある。ブリティッシュコロンビア州では3番目に古く、歴史ある町で、その昔は、炭坑の町だったらしいが今はその面影はない。
 フェリーが到着したデパーチャー・ベイはナナイモの中心街の北部にあり、下船して、1号線を南に少し下ると市内中心部に入る。そして、すぐ目につくのがナナイモのシンボルでもある「バスチョン」(Bastion)という八角形の白い建物だ。
 バスチョンは、ハドソン湾の会社が1853年に砦兼倉庫として建造したもので、今ではナナイモの象徴的記念碑である。建物の中はちょっとした博物館となっているらしいが、朝が早いのかまだ開いていなかった。またここからは、ナナイモの歴史をたどる散策コース
の起点でもある。港から鉄道駅に向かうと旧市街となり、落ち着いた静かな町並みが続く。住宅街の一角にそびえるのはセントアンドリュース教会で町並みと溶けこんだ情緒ある風景が楽しめる。

■シュメイナス(Chemainus)へ
 ナナイモから1号線をさらに35qほど南下したところにシュメイナスという小さな町がある。もともとは林業の町として栄えていたが1970年代には、工場の老朽化とともに町も衰えをみせていた。しかし1980年に入って、補助金をもとに町の歴史を壁画として描くプロジェクトができ、現在まで36の壁画を完成、観光名所として町の復興を図った。

 町の中心にある駐車場に車を止めると、早くも大きな壁画が目に飛び込んでくる。壁画散策コースは、ここからだ。町全体をぐるっと回っても1時間くらいなので、特に順番はないが、まずは「OLD CHEMAINUS」と書かれた公園のゲートをくぐって、メープル通りに向かった。ひっそりとした町並みをゆっくりと散策。色とりどりの花が美しく飾られている。家の造りも可愛い。そして、壁画(Mural)だ。あるある。


 オールドタウンから駐車場に戻り、今度は南側の町並み、壁画を探索する。こちらは、またダイナミックな壁画多い。するどいタッチでシュメイナスの歴史が描かれている。やはり製材をテーマにしたものが多いようだ。


 壁画が描かれている建物のほとんどは現在も普通に使われている。だから町並みにとけこんでいて不自然さはない。生活と一体となっている感じだ。そして、この小さな町にかつて日本人が居住していた事も数枚の和風壁画から伺える。

■ダンカン(Duncan)へ
 シュメイナスから1号線に出て30分ほど行くと先住民族、カウチンの町「ダンカン」に到着する。ここには、カウチン族が自然を崇拝し、守り神として手彫りしたトーテムポールが点在する。いわゆる、トーテムポールの町だ。
 カウチンと言えば、あのカウチンセーターで名が知れているが、このあたりカウチン渓谷に住む先住民が紡ぐセーターが本物である。狩りや農業で生活していたカウチン族の生活は、開拓者が鉄道を建設し、この地に入植後、ヨーロッパ文化がもたらされ生活様式一変した。ダンカンの町ができたのは1912年。駅舎は現在、博物館になっていて当時の
生活風景が再現されている。
 トーテムポールは、町の中のふとしたところに建てられてありうっかりすると気がつかない事もある。駅舎(博物館)の横から無料ガイドツアーもあるが、トーテムポール地図を片手に散策してみた。全部回ると20個以上はありそうだ。


■花の都ビクトリアへ
 ダンカンのトーテムポールを堪能したあとは、一路、BC州の都「ビクトリア」(Victoria)を目指す。バンクーバー島では、ナナイモからビクトリアまでが1号線である。このほぼ中程にあるのがダンカンで、ここからだと60qほど南下するとビクトリアだ。バンクーバー島の東南端にあたる。日本では、観光名所、花の植物園「ブッチャート・ガーデン」がよく知られている。短期旅行といえども、もちろんここは外せない。ビクトリア到着
は、12時45分。あまりあちこちに行く時間はないが、「ブッチャート・ガーデン」の前に、州都の敬意を表して、州議事堂を訪問したい。

 ビクトリアの市内に入ると1号線は、Douglas通りとなる。都市の景観とともに交通量も多くなってきた。長距離バスの発着所、バスディーポ(Bus Depot)が見えたらそこを右折、Belleville通りに入ると、右手はインナーハーバー、そして、左手に広大な敷地があり、その向こうに州議事堂(The Parliament Buildings)が伺える。見るからに威厳があって立派な建物だ。

 建物を拝見する前に、まずは駐車場だが、建物のにそって走っていると、Government通りから建物の裏手(南東)に入るところにきちんと駐車場があった。特に何の表示もなく、自由に止めてよさそうだ。車を置いて、正面に回るとまたこの建物の重厚さと大きさに驚く。そして、空の青さと芝生の緑がまぶしい。天気も良く、くつろいでいる人達も多い。入口に立っているガードマンとの対比がおもしろい。

 さて、館内の拝見だが、中に入って自由に見る事も可能だが、せっかくなら本会議場にまで入れる無料ツアーに参加したい。建物の正面脇にあるツアーカウンター整理券を頂いた。次の時間は1時からである。ちょうどいいタイミングだった。時期にもよるが30分〜1時間おきにツアーが行われているようだ。ただし通常は残念ながら英語のガイドである。1時になると整理券を持った人達が集まり、いよいよガイドツアーが始まる。ガイドさんの自己紹介と集まった人達の国籍など言い合い、打ちとけたところで、建物の外観の説明から始まった。今の建物の基礎は1897年に完成し、1970年代に大改装されて今の姿になったとの事。

 建物の中へは西側1階の通用口から入った。まっすぐ進むとドームの真下にでるが、ここが「ロウワー・口タンダ」(THELOWER ROTUNDA)という場所。ここからどの省庁にも直接向かうことができる行政サービスへの通路の中心である。上部はドームまで吹き抜けになっていて、高さは30mもある。またドームの形は8角形で、ここからは見えないが先端には金でメッキされたキャプテン・ジョージ・バンクーバーの像が立っている。
 またここ口タンダの壁には、ブリティッシュ・コロンビア州の紋章や1930年代の貴重な壁画を見る事ができる。

 一つ階段を上がると、メモリアル・口タンダ(THEMEMORlAL ROTUNDA)という名のフロアになる。ここは州出身の戦没者に捧げられた慰霊の場という事で、この名前が付けられた。フロアの隅には追悼帳が置かれ名前が記されている。
 上部には、1965年に制定されたカナダ国旗のほかカナダ海軍旗、ブリティッシュ・コロンビア州旗が記念として置かれている。

 そしていよいよ州議事堂の拠点、本会議場の見学だ。ここへの入場はツアー参加者だけの特権。会議場の広さは12×18m。真っ赤な絨毯のフロアに壁は紫と白の大理石、調度品は深見のある木製で天井は吹き抜け構造となっている。とても広いという訳ではないが、落ち着きと重厚感がある。一番奥は、議長席で、左右に別れて、与党と野党の席が並ぶ。手前には、職杖(The Mace)と呼ばれる議会権威のシンボルが展示されている。最初は何だろうと思ったが、これは、書記のテーブルに置かれるもので、議会が進行中である事を示すもの。原材料に銀を使用し金メッキされた手作りの装飾はみごとである。

 最後に、レセプションホールにある二つのステンドグラスの説明を受ける。一つは ゴールデン・ジュビリー・ウィンドウ(Golden Jubilee Window)と呼ばれ、エリザベスニ世の2002年の即位50周年を記念し、州政府から贈られたもの。(←左)
 もう一つのステンドグラスは、ビクトリア女王のダイアモンド・ジュビリー・ウィンドウ(Diamond Jubebilee Window)と呼ばれる。この窓は、ビクトリア女王の即位60周年(1897年)を記念して造られたもので、実は地下室で保管した後、永く忘れられていたが、1974年の修復工事中に偶然発見された。(右→)
 ガイドツアーはここまでで、所要40分。20人くらいが参加した。本会議場にも案内され、丁寧な説明を受けた上に無料とはありがたい。

 さて車に戻り、このあたりでランチをとりたいところ。港(フィッシャーマンズ・ワーフ)で手軽に食事といえば、あれしかない。入り江にそって車で少し奥まで進んでみると、いい感じのところに出た。適当なところに車を止めて、少し歩くと店らしきものを発見。間違いない。
 名前は、BARB'S Placeと書いてある。建物は波止場の脇にあるボートハウスのような造りだ。小さな橋を渡るともういい匂いがしてきた。店までいくと、お〜人が多い。そして皆並んでいる。さっそく注文の品を決め、支払いを済ませると、レシートに番号が書かれてあって、出来上がると呼ばれる仕組みだ。別に並ばなくてもよいのだが、皆待ち遠しいのか受け渡しの窓口に集まっている。

 15分ほど待って、ようやく出来上がりをゲット。フィッシャーマンズ・ワーフの定番フィッシュ&チップスだ。もちろん揚げたてのほかほか!。白身魚はホクホクでボリューム満点。青い空と海を見ながら、ほおばる味はまた格別だ。このうまさはレストランでは決して味わえない。満足、々。
 ビクトリアには日本人観光客が多いと聞いていたが州議事堂のガイドツアーといい、なぜかこういうところで日本人を見かけない。
皆どこにいるのだろう?

■ブッチャート・ガーデンへ
 ビクトリアと言えば、優雅にアフタヌーン・ティーも頂きたいところだが、なにせ駆け足旅行なもので、また次の機会とし、ビクトリア郊外にある、花の植物園「ブッチャート・ガーデン」(Butchart Gardens)に移動する。ここが本日最後の観光スポットとなる。ビクトリア市内から、17号線を17qほど北に進むとKeating Cross通りを左に入る。17号線は高速道路のような立派な幹線なので、この通りへの標識を見落とさないよう注意が必要だ。また進行方向は日本と左右反対なので、左折という事は追い越し車線から対向車線を横断しなければならない。さらに、これだけの観光スポットへのアクセスなのに、信号がない。まあ車が少ないゆえんなのか少し驚いた。Keating Cross通りに入るとあとは1本道で、突き当たればブッチャート・ガーデンに到着する。

 花で飾られた美しい街、ビクトリアに来て、やはりこのブッチャート・ガーデンは外せない。ビクトリア郊外では、最も人気のある観光スポットで、世界的に有名だ。もちろん日本からのツアーでもよく知られている。バンクーバーから日帰りもできる事から、オプショナルツアーもたくさん設定されているため、当然混雑が予想される。特に、春から夏にかけてのピークシーズンの午前または午後のすぐは避けた方がよさそうだ。今回は、時間設定が自由なので、1日の行程の最後に訪れる事にした。ゲートで料金を支払い、駐車場に車を止めると、午後3時。ちょうどいい時間かも知れない。

 ブッチャート・ガーデンは、ブッチャート氏が残した石灰岩採石場跡に1904年、ジェニー夫人が造園したのがはじまり。今では広さ67,330坪(222,600u)の敷地に四季おりおりの花々が楽しめ、毎年、世界各国から100万人を超える観光客が訪れるらしい。
 入口でもらった地図には見学コースが書かれていて、それにそって歩き出した。



 花の名前は苦手だが、入口に入ったところから、色鮮やかな花が一面満開状態。そのカラフルさには驚かされる。また見応えのある飾り付けはお見事。
 ブッチャート・ガーデンには、大きく分けて4つの庭園があるが、その1つ目がサンケン・ガーデン(Sunken Garden)だ。もっとも規模が大きく、一番の見どころかも知れない。コース通りに進むと、見下ろす景観がすばらしい。花はもちろんの事その造園技術はたいしたものだ。


 サンケン・ガーデンを抜けるとトーテムポール広場に出る。2本のトーテムポールを見上げ、順路にそって花壇を進むとこの先は、ローズ・ガーデンだ。


 甘い香りが漂うローズ・ガーデンを出るとサメの噴水が見えた。赤い鳥居の向こうには、日本庭園が造られている。これまでの華やかさとガラット変わって、ここには花はほとんどなく、草木で落ち着きのある空間ができている。

 コースの後半は、ベゴニアで飾られた星形の池。そして締めくくりは、イタリアン・ガーデンへと続く。

 所々で休憩をとりながら、ゆっくりと回って来た。時計を見ると5時なので、約2時間くらい庭園そして草花を観賞してきたことになる。どのくらいの花があったのか分らないが、実に堪能した。常に見頃の花を用意し年中無休というから、手入れも相当大変な事だと思う。さすが、世界的にも有名で人気のある理由が分る。ぜひ、季節を変えて、また来たくなる場所だ。

 さあ、ブッチャート・ガーデンをあとに、17号線に戻り、バンクーバーへのフェリー乗り場、「スワーツ・ベイ」(Swartz Bay)に向かう。スワーツ・ベイからは、バンクーバーの南に位置する「トゥワッセン」(Tsawwassen)に到着する。ちょうど午後7時のフェリーに間に合いそうだ。


 早朝から1日かけてバンクーバー島を楽しんだ。バンクーバー市内を起点に1号線から17号線にかけて周遊した事になる。バンクーバーのダウンタウンとはまた違ったBC州の街と文化を垣間見た。初めて来たわりにはフェリーにも無事乗れたし、道に迷う事もなく道中スムーズに移動でき、効率のいい旅となった。また幸いにも天気に恵まれ気持ちのいい充実した時を過ごす事ができた。