袴腰ヶ岳山頂





今別八幡宮
  
  津軽の雪は下から降るという
  津軽の寒さは夢まで凍れるという
  津軽は心頭滅却の地だと
  太宰は著書「津軽」の中で言っている

どだればち

 津軽二股駅裏の林道をスキーを着け袴腰ヶ岳を目指して歩き出す。
 この時期はマタギしか登りませんよと役場で言われ、それなら尚更面白そうだと思った。

 雪は30センチ程で、前日四駆野郎が走ったのか轍が2本。その所々は雪が融け黒い地面が覗いている。
 小高い丘まで登るとすぐに暑くなってフリースを脱いだ。
 曇っているが気温は高い。一本目のタオルが汗を吸って重くなった頃沢すじに出た。急峻な崖を削って道は続く。薄い表土が剥ぎ取られ、赤くもろい岩がカラカラと転げ落ちている。
 青森県も無茶するなぁ。

 轍は深雪に諦めたのか引き返していた。渓をいくつも越え、3時間もかかってやっと登山口に着いた。夏ならここから山頂まで30分だという。
 峠だというのに全く風が無い。ブナが気ままに枝を伸ばしている。
 ここは普段もあまり風のない所かもしれないな。

   ブナ林の頭越しに目指す山頂が見えた。
  林を少し進むと斜度がきつくなりスキーを目印代わりに雪に突き刺した。グズグズの雪に身体が沈み、四つん這いになって登る。濃い灌木の下をくぐり抜け1時間足らずでピークに立った。

 下北半島も北海道も竜飛岬もぼんやりとしか見えない。しかし津軽がとても身近になった気がした。
 ハァハァ、フウフウ、ヘトヘトでしか味わえない旅もあるだ。
 空模様が怪しいので早々に下山する。スキーを置いたところまでグリセードで下り、狭い林道をターンの一つもできないまま滑る。

  車に着いた頃は雨が降りだした。
 雲に隠れた山頂を何度も振り返りながら「篤志家向けの山」そんな言葉が浮かんだ。
 その言葉にまるで自分がイイ事でもしたように満足した。

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