「ラストシーン」




私の好きな映画のラストシーンに、こんな台詞がある。




「俺たち、もう終わったのかな・・」




挫折した少年が、ふと漏らす言葉である。

この言葉を一度も思ったことの無い人はいないだろう。




基本的に私は挫折をしたり、挫折したことのある人が好きだ。

例外もあるが、大抵の人は一回り大きくなり、

たとえ成功できなくとも圧倒的にやさしい目をしているのである。

辛い目にあったり、悲しい目にあった人は、やさしいことが多い。

勝ち組・負け組などという言葉をよく聞くが、そういう意味では負け組の方がすきである。




本来楽しめるホームページを目指しているので、こんなことを書くのは禁句かもしれないが、

以前住んでいたところの近くには、ホームレスの方たちが住んでいた。

恐らく300人ほどいた。

世間的には負け組である。




しかし、話してみるといい人が多く、驚くほど普通の人であった。

犬の散歩をしながら、仲良くなった人に、

「うちには他に居候もいるし、もしよかったらうちに来る?」といったことがある。




わたしより10歳ほど年上に見えたその人は、深々とお辞儀をして

「ありがとう。とてもありがたいですが、私はまだ一人でやっていけます」と言い、

私も出すぎたことを言ったと詫びた。




その時、昔聞いた話を思い出した。

ある時、修道女が行き倒れてる人を見つけ、

死にそうなその人を手当てした時に、その人はこう言ったそうである。



「どうもありがとう。

しかし、これは私の望んだ人生の結果で、

あなたのそのやさしさに包まれて、その中で生涯を閉じることは望まない」




その後、しばらく考え込んだものである。

人の数だけ、幸せはあり・・・。

この答えは、まだ出るまい・・。




少なくとも、人生最後の一呼吸の瞬間に後悔はしたくないと、願うのみである・・。





最初の映画の台詞には、続きがある。

「俺たち、もう終わったのかな・・」といった少年の言葉を受け、

もう一人の挫折の味を知る少年が、こう答える。








「まだ、始まってもいねえよ!」









私も、この言葉をつぶやくこと、しきりである・・。







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