世界債券オープン(ゴールドマン・サックス・アセット)

2004/03/06

1.当初、購入した理由
 ゴールドマン・サックス世界債券オープン(Aコース:限定為替ヘッジ)は平成10年10月から毎月1万円ずつ、4回に分けて購入しました。
 それまでは株ばかり買っていたので、目先を変えて債券関係にも手を出してみようと考えました。
 実は、そう思ってコツコツ購入を始めたのですが、すぐに面白い個別債券を買ってしまったので、GS世界債の購入は4万円で終わってしまいました。とても中途半端です。
 要約目論見書には「世界の高格付け債券を中心に分散投資するファンドです」とあります。そして、「付加価値の獲得を目的に、通貨のアクティブ運用を行います」とあります。
 為替ヘッジの有無でAコース(ヘッジあり)、Bコース(ヘッジなし)に分かれています。その後、分配金が出るサイクルが半年ごとから毎月に増えたバージョンであるCコース(為替ヘッジあり)、Dコース(為替ヘッジなし)が増えたようです。また、例に漏れず、それらをまとめたマザーファンドができあがり、各コースはマザーファンドに投資する格好に変わりました。
 信託報酬は1.05%で、その他に信託事務費用が別途かかり、合計で年間費用は1.155%になります。
2.債券と為替のアクティブ運用
 それでは、「世界の高格付け債券で売買益を目指す」とは、何を意味しているのでしょうか。
 対象となるのは高格付け債券だけなので、銘柄選択で利益を狙うことはありえません。すると、「世界の高格付け債券」を対象とするということは、世界中から金利の高い国を探す、ということと同じです。
 また、「通貨のアクティブ運用」を行うということは、単に各国の金利動向だけでなく、将来の為替を織り込んで、対象国を選別するということを意味しています。
 つまり、このファンドは、「信頼の置ける企業が発行する債券を買って、固定利息をもらい続ける」のではなく、「各国の金利と為替のマクロ経済見通しで勝負する」ものであることがわかります。
3.債券ファンドのリスクは小さいか
 債券ファンドと聞くと、株式ファンドに比べて基準価額が安定しているように思えます。本当にリスクは小さいのでしょうか。
 答えは、リスクはとんでもなく大きいか、とんでもなく小さいかのどちらかだと言えます。
 まず、リスクがとんでもなく大きいと考える理由を見てみましょう。仮に債券のアクティブ運用をしない、「穏やかな」債券ファンドがあったとします。
 その場合でも、このファンドは「各国の金利と為替のマクロ経済見通しで勝負する」という点で、賭けに近いと言わざるを得ません。それは、さまざまな経済評論家が経済見通しを立ててはいるものの、たいてい当たったためしがないことからもわかります。
 株式のほうが、個別の分析の成果が反映されるという点で、よほどリスクが小さいのではないでしょうか。
 逆に、リスクがとんでもなく小さいと考える理由を見てみましょう。
 そもそも、為替+金利には裁定が働いており、そこからの利益を狙うことは困難だという見方です。これは次のようなことを意味しています。
 たとえば、いま100万円を運用しようとしているとします。現時点でドル債が金利5%、円債が金利1%、1ドル=110円だとします。すると、裁定が働いている限り、1年後の為替は1ドル=114.36円になる(と予想されている)はずです。その結果、円で評価する限り、1年後には、ドル債で運用しようと円債で運用しようと、結果は同じ101万円になるのです。
 この見方では、銘柄選択での収益を放棄しているこの債券ファンドは、そもそも収益を上げられる構造になっていません。円建ての高格付け債券を自分で買う方がよほどマシです。わざわざ信託報酬を払ってまで、こんな債券ファンドを買う必要はありません。
4.コストに見合うか
 何度も言っているように、とにかく投資信託は金食い虫です。
 投資信託を購入する目的は、以下のように整理できます。
・情報収集の手間を省く
・個人では不可能な規模の銘柄分散する
・個人では利用できない種類の投資をする
 債券は流通市場が整っていないため、売りたいときにいくらで売れるか、そもそも買い手がつくかわかりません。個人が証券会社で買った場合は、たいていの場合、その証券会社に買い取ってもらうことが多いようです。そのときの買い取り価格は証券会社の言い値です。
 このように、債券でのアクティブ運用は個人では難しく、その点でこの投資信託を利用する価値があるでしょう。
 しかし、このファンドは、高格付け債券しか対象としない点で、情報収集の必要がありませんし、大規模な銘柄分散も必要ありません。それを考えると、このファンドが目指す運用を、投資信託という形をとって行う必要がどれほどあるのでしょうか。
4.結論
 このファンドは分析の成果が生きない内容です。それに対して年間1.155%の信託報酬(信託事務費)は暴利です。
 このファンドを自分で再現する方法を考えましょう
 もし裁定が働かないと考えるのであれば、世界中の高金利国を探して、その国の国債を買いましょう。
 もし裁定が働くと考えるのであれば、日本国債を買いましょう。
 私は裁定は働かないと考えています。「裁定は働いたとしても、それはあくまでも期待値に対する裁定に過ぎない」と考えています。
 だから、最近米国債や仏国債などを買いました。それで十分代替できると考えています。