中国人寿保険股[イ分]有限公司(中国人寿)

2003/12/18

 12月8日(月)、証券会社の営業さんから電話がありました。今度は、中国人寿保険股[イ分]有限公司(持ち株会社)といい、香港に新規上場する、元国営保険会社だそうです。中国の生命保険会社は逆ザヤに苦しめられていると聞いているので、当初はあまり乗り気ではなかったのですが、せっかく話を持ってきてくれたので、とりあえず目論見書をもらうことにしました。
1.中国人寿の沿革

 目論見書を見ただけではさっぱりわからないので、インターネットで検索してみました。インターネットは便利ですね。整理してみると、下記のようになるみたいです。
中国人民保険公司
(国営企業)

96年 改編
(親会社)中国人民保険集団公司
(子会社) 中保財産保険有限公司
改称
中国人民保険公司
中保生命保険有限公司 中国生命保険公司
中保再保険有限公司 中国再保険公司
そのうち、中国生命保険公司については
中国生命保険公司 中国人寿保険公司 (親会社)中国人寿保険集団公司
  (99年6月以前の契約を継承)
(100%子会社)中国人寿保険股[イ分]有限公司
  (99年6月以降の契約を継承)
とリストラ(日本ではやりの「事業縮小」ではなく、文字通りの「事業再編」)しています。
 目論見書によると中国人寿保険公司は赤字続きのようです。どうやら、逆ザヤになっている古い契約を集団に残し、最近の儲かる契約だけを股[イ分]に移し、財務体質の良い股[イ分]を上場させることで、市場から資金調達しようという目論見のようです。
 実際のところの契約管理は、集団からみてさらに孫会社にあたる「中国人寿保険資産管理有限公司」という会社が行なうことになります。(正確には、集団が40%、股[イ分]が60%保有。)
 何だかややこしい仕組みです。投資家にメリットを出すような仕組みにしないと上場できないのは理解できますが、それにしても、かなり無理があるような気がします。
2.財務状況

 今回の増資では、集団が持つ200億株に加えて、59億株を増資するというものです。それと同時にニューヨークと香港に上場するという計画です。なんと、既存株主にとっては20%もの希薄化です。
 財務予測は以下のとおりです。
2003.12(予) 2004.12(予)
当期純利益 54億人民元 84億人民元 香港『経済通』による
1株当り当期利益 0.21人民元 0.32人民元 希薄化後
1株当り配当 0.021〜0.042人民元 0.032〜0.065人民元 配当性向を20%とする
株価 2.98〜3.65人民元 売り出し予想価格(中国経済産業新聞)
配当利回り 0.6%〜1.2% 0.9%〜2.2%
PER 14.3〜17.5倍 9.2〜11.3倍
ROE 20.2% 31.5%
3.結論
 中国人寿への投資は見送ります。理由は、事業モデルの仕組みが素直でないからです。
 中国の生命保険市場は、今後の成長が期待される有望な市場です。中国人寿でも相当の増益が予想されます。でも、そのような期待がありながら、どうしてこのようなややこしい事業再編を行なってまで、上場させる必要があるのでしょうか。中国政府が何か企んでいるのでは、と勘ぐりたくなります。
 さらに、売出価格にもよりますが、PERからみて割安感はありません。配当利回りにも魅力がありません。しかし、ROEが猛烈に大きいのと、将来にわたって相当の増益が予想されるので、それを織り込めば相当割安と判断していいでしょう。7人民元でもいいくらいかもしれません。
 とはいえ、皮算用で投資するわけにもいきません。先に述べたように、ややこしい事業再編を行なっているので、警戒心を持ってしまいます。いい解釈をすれば、投資しやすい環境を作ってくれていると捉えることもできます。でも、大株主である集団に黒字化の見通しが立たない仕組みなようなので、グループ全体でみたときに、本当に中国人寿がいい投資先なのか疑問を感じます。
 それにしても、やっぱりいリストラの仕組みがよくわからない。上の解釈は間違っているかもしれません。しかし、そうであったとしても、「誤解を招くようなややこしい仕組み」ということで、やはり投資対象からは外れることになります。わかりやすい事業を投資対象にしたいです。