7012 川崎重工業
2003/12/ 4
1.再検討の目的
川重株を購入したのは6年前の平成9年12月。当時破綻した山一證券株の購入をきっかけに、株にのめり込み始める初期に購入した銘柄です。
今回は、この銘柄が今後保有するに値するかどうかを考えたいと思います。
売れば損が出るから、という理由で保有しつづけること(いわゆる「塩漬け」)は時間の無駄です。値段が倍になるのを5年待つなら、1年で倍になる銘柄にとっとと乗り換えるべきです。
2.当初、購入した理由
当時も銀行預金金利はすでに1%を切っており、郵貯のニュー定期の裏技(1口を細分化して利子課税を回避する方法)が話題になった頃です。一方で、企業業績は最近ほど深刻に悪化しておらず、多くの企業が安定配当という慣行を続けることが可能な状況でした。
なぜ川重を買ったか、については以下のとおりです。
・ 重工株なら成長性は見込めないが、業績は安定しているだろう。
・ 川重は配当利回りも高い。4円配当で195円で購入したので、配当利回りは2%強。
・ 川重には二輪事業という、三菱重工など他重工にない強みがあった。
・ 「株式ニュース」という番組で、値動きが軽いという話をよく耳にした。当時は株を始めたばかりで、仕手株もどきに心が踊った。
3.現状を踏まえての再検討
購入からすでに6年が経過しました。一時期300円を超える時期もあったようですが、私自身ここまで業績が悪化するとは思っていなかったので、当初の長期保有の方針を継続し、結局利益確定し損ねました。売却益は取り損ねたものの、当初の目論見は現在も当てはまっているのでしょうか。つまり、継続保有する価値があるかどうかを見てみましょう。
・ 11月28日時点の株価は119円。今期配当は2円の予定。つまり配当利回りは1.68%。
・ PER=12.4倍、ROE=7.46%はまずまずの値。
まあ、こんなもんでしょう。銀行預金よりはマシといったところです。
しかし、私の住宅ローン金利は2.25%なので、これではローン金利を賄えません。もともと住宅ローンを目いっぱい組んだ理由は、「こんな安い金利で貸してもらえる機会はない」と踏んだからです。でも、調達資金の費用も賄えない投資を続けることはできません。
では、川重の経営状況を見て、今後どうするかを考えましょう。
4.川重の経営戦略
15年3月期の事業報告が手元にあったので、それを読んで、3点に注目しました。
・ 投下資本利益率を9%にする。
すばらしい目標です。負債も多いので、ROEは跳ね上がるでしょう。
・ 選択と集中。
日本飛行機の完全子会社化を見ると、実現に対する意志を伺えます。
でも、造船などの分社化については、連結ベースでは何も変わらないのではないでしょうか。目的としては「自立体制で事業競争力を高める」とありますが、分社化する部門のお尻をたたく以外、何かメリットがあるのでしょうか。
それとも、今までは部門別の収益性をまったく把握していなかったか、または、把握していたものの、その収益性の低さを放置していたのでしょうか。
・ プラント・環境・鉄構事業
事業規模縮小に対応した生産体制の見直しであり、妥当な対応だと思います。
総じて、やるべきことはやっているが、まともな意識を持った企業ならどこでもやっていることです。言ってみれば、このレベルのことは「やって当たり前」です。日本の大企業はなかなか構造転換を図るのに苦労するみたいですが、だからといって構造転換できる企業が優良企業かと言えば、必ずしもそうだとは言い切れません。「それくらいできて当たり前」だからです。
しかも、やるべきことはやっているとはいえ、先ほど言ったように、造船などの分社化後の見通しが示されていないところに、中途半端という印象を持ってしまいます。いきなり「分社して売却」なんて発表すると、社内で軋轢があるのでしょうが、それをできないようではスムーズな事業再建はできません。
5.結論
川重は「生き残れる大企業」だとは思いますが、今新たに積極的な買いを入れようと思う銘柄ではありません。成長を望めないくらいに大きくなった企業の株の要件としては、私の場合、せめて配当利回り2.5%はほしいところです。2円配なら80円、昔の4円配でも160円でないと買う気になれません。
いまの再建計画が進めば、4円配も可能となる日がくるでしょう。しかし、それまで待てませんし、業績改善が見える頃には株価も上がっていることでしよう。
したがって、川重は近々売却して、その売却代金は、価値がある他の株を購入する資金に充てることにします。配当が確定する3月まで持ち続ける見通しがないのであれば、早めに売却して、MMFか何かで利子・配当を確保するほうがいいと考えます。
その後
12月25日にようやく、127円で売りました。その間、「やっぱり配当を貰ってからにしようか」とか「どうせ売るなら高く売りたい」と欲が出ました。
高くなるまで売らないのなら、塩漬けと同じだ、とやっと割り切れたのが、年内受け渡し最終日。春に出た儲けと相殺して余りある損失。来年に損失を繰り越すことになるので、税金がちょっと少なくなります。