頭金3万円で東京公演を打とう
なんとかなる劇団運営
演劇誌○○○に連載。2000年インターネット公開版
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以下の文章は経験的なものであり、事実とは異なりますが、
まんざら嘘でもありませんので、ご容赦ください。 やのひでのり
0.序章
お芝居を観て感動しちゃった。ミス・サイゴンの松たか子さんって最高! 私も松たか子みたいに舞台に立ってみたい。なんて思ったことないでしょうか。プロをめざそうがアマチュアだろうが、とにかく舞台に立ってみたい。スポットライトを浴びたらどんな気持ちになるのかしら。実はその気になれば誰でも舞台に立つことができるのです。そんなあなたのためのお芝居デビューマニュアルです。
これを読めば、観る側から、観られる側に、大変身。
さて、お芝居をやりたいといっても、なにもかもはじめて。で何からやっていいかまったく分からない。どうすればいいんでしょう。とりあえず、演技の勉強からかなあ? 昔、学園祭で主役を演じたことあるし、そのときは先生も友だちもうまいっていってくれた。だから、演技なんて自己流でいいわ。そういう人もいるでしょう。しかし、お芝居はひとりでできるものじゃありません。え? 一人芝居はどうなんだって? 一人しか出てないから一人でできるって? とんでもない! 照明さん、音響さん、受付、会場整理の係。たくさんのスタッフがいます。路上でパフォーマンスをするんじゃなかったら自分一人ではどうにもなりません。ここでは、いわゆる劇場といわれるところで、舞台に立ちたい。そういう人を対象にしたお話をします。
1.あなたの今の身分は?
お芝居がしたい! という人に最初に必ず聞くことがあります。それは、
1.今、何をしてるのか。 OL? 学生さん? プータロー?
2.プロをめざすのか。 それともアマチュアか?
ってことです。もしプロをめざすなら、覚悟が必要です。よく舞台俳優は親の死に目に会えない。といいますが、これは本当のことです。筆者の劇団でも、なんどかそういうことがありました。公演の初日に、女性劇団員のお父様が亡くなったんです。代役がいない限り、プロである以上絶対に休むことはできません。彼女は千秋楽まで休まずに(あたりまえですが)、しかも他の出演者が動揺したらいけないので秘密にして最後まで舞台を務めました。あなたは親が死んでも葬式にも出ずに、そして舞台ではまったく動揺せずに、役を演じられますか? それができる! それほど演技が好きなんだ! というならあなたはプロをめざす資格があるでしょう。できない、というなら、厳しいようですがプロはあきらめた方がいいです。それだけ厳しい世界なのです。
もう一つ。あなたの身分は? 会社員ですか? 学生ですか? プロの劇団にはいるとアルバイトができなくなるくらい、時間を拘束されて、いそがしいです。稽古も大抵、昼間ありますので、とても会社員じゃ勤まりません。あなたは会社を辞めなければならなくなるでしょう。それでも大丈夫ですか? あなたが学生の場合、できないことはないのですが、試験が公演と重なったりすると留年を覚悟しなければなりません。もちろん普段の授業もまともにでることはできないでしょう。その覚悟はありますか? それでも大丈夫なら、合格です。是非、プロをめざしてください。
いいえ、私はアマチュアで楽しくやりたいです。と言う方。社会人だろうが、フリーターだろうがこれは全く問題ありません。当然、親の死に目にも会えます。ただただ、舞台に対する情熱があればできることです。時間は多少拘束されますが、がんばればなんとかなるでしょう。
さて、プロになるか、アマで楽しむかが決まりました。でも、あなたは、お芝居などまったくやったことがない。いや、やったことがあったにしても学芸会のレベルだ。中学の学芸会よりはうまくないとちょっと恥ずかしい。では、どうやって演技などを勉強すればいいのでしょう。本などを読んで独学で勉強するっていうのは、できないことはないのですが、通信教育の空手講座を受講するのと同じくらいナンセンスなことです。一番手っ取り早いのがカルチャーセンターなどの演劇入門クラスに入ることです。一週間に一度くらい、2、3時間の稽古をして、演技の基礎の基礎を学びます。筆者もこれはお勧めだと思います。いきなり最初からプロを対象にしたプログラムに参加してもいいのですが、天才でない限り到底ついて行けません。最初は初心者対象の講座に参加してみましょう。東京でしたら、いろんなところでやってます。例えば新宿の朝日カルチャーセンター、池袋のコミュニティーセンターなどがあります。受講料は一回3千円から1万円が相場でしょう。
演技を学べるところ。他には、タレント養成所などがあります。ここでも演技の勉強はできます。しかし、これはくせ者です。都内にあるタレント養成所の多くはいわゆるお金儲けのためにあるのです。馬鹿高い授業料を払わせられるのが落ちです。よくある手が、オーディションには落ちたけれども付属養成所に入って演技を勉強しなさい。勉強することによってタレント事務所に所属することができる。それには入所金と授業料がいくらかかります・・・実際にレッスンを受けてみてその事務所に正規に所属できる人はほとんどいません。このような悪徳事務所が東京には星の数ほどあります。悪徳事務所といいましたが、実は有名なタレント事務所。例えば、○ーニングとかもそうです。ほとんどのタレント事務所がそういうことをしてると思ってもらっていいです。あなたに経済的、時間的にゆとりがあるならそういうところにいってもいいのですが、純粋に演技を勉強したいならやめた方がいいです。
2.劇団に入ろう!
さて、カルチャーセンターなどに通って、演技のさわり程度は、勉強した。でも、公演とかに出たことないし、もっとちゃんとした、いわゆる基礎から演劇の勉強をやってみたい。そんなとき、一番良い方法が、既成の劇団にはいることです。古くからある新劇、新派という劇団。古典の歌舞伎、能。旅回りの大衆演劇。そしてアングラ。子供劇団。市民劇団。学生劇団。いろいろありますが、自分にあったところを選べばいいです。どんな劇団でもそうですが、かならずオーディションというものがあります。これに通過しないといくらお芝居をやりたいといっても、やらせてもらえません。オーディションは、劇団によって難易度があるし、特徴もあります。お笑いがやりたいのに新劇団(文学座など)に入っても意味がないですし、ミュージカルがやりたいのにストレートプレーの劇団にはいってもしかたありません。まずは、入りたい劇団の公演を最低1回は見に行きましょう。それで入る劇団をきめます。
・プロをめざすなら
将来はプロの役者になりたい。夢は舞台女優。ってそんなことを思ってるあなた。とにかくオーディションが難関といわれてる劇団にチャレンジすべきです。ミュージカルなら劇団四季、宝塚など。新劇なら、文学座、俳優座、円、青年座、無名塾など、といろいろあります。とくに俳優座、無名塾は劇団費、いわゆる劇団研究生としての授業料が無料なので、とくに難関です。倍率はその年にもよりますが数百倍から数千倍です。大きな劇団は大抵2月から3月に年に一回入所試験があります。受験料は1万〜3万。筆記試験、実技、ダンス、歌などがあります。大きな本屋さんに行けば劇団の試験の問題集が置いてあるのでそれを参考にしてください。
いわゆる小劇団。劇団員が10〜30人の小さな劇団。これは不定期に募集することが多いです。インターネットや、演劇雑誌。たとえば、シアターガイドやぴあ、などに役者募集の広告がでるのでそれに注意していましょう。例えば上川隆也が所属する人気若手劇団、「キャラメルボックス」などは難関だといわれてます。数百人の応募の中から1〜3名が入団できると聞きます。久本雅美、柴田理恵などが所属する「わはは本舗」などもそうです。とにかく人気がある劇団にはなかなか入れないと思った方がいいでしょう。
・劇団ひ○わりについて
劇団ひ○わり。有名だけど入っては駄目な劇団です。ほかには劇団○草、劇団○俳、テアトル○カデミーなどがあります・・・いや、悪いといってるわけじゃありません。ちゃんと演技を教えてくれます。しかし、この劇団はおもに子役のための劇団なんです。影ではエキストラ養成所なんてこともささやかれてます。ひ○わりには青年部があり大人でも入れるのですが、活躍の場は限られてます。もちろん、この劇団に入ると有名になれないわけではないです。しかし、過去の実績がありません。ひ○わりの出身者一覧に有名人の名前がたくさん載っていますが、これは短期間所属したことがあったというだけで、あくまで広告宣伝用です。
当然、劇団ひ○わりに入るにはオーディションがあります。実は、受験者ほぼ全員合格するといわれてます。合格するとその後に、とても高い入所金と授業料を払わせられます。それでも演技を学びたいというならそれはそれでいいです。丁寧には教えてもらえると思います。難関劇団には落ちてしまって、それでも演技が勉強したい。そして経済的に余裕があるときは入っても良いでしょう。何年かひまわりで修行を積んだ後、文学座や俳優座にはいり直した。と言う人も少なくありません。
・アマチュアで楽しくお芝居をやりたい
アマチュアで楽しくお芝居をやりたい。こういう人ならどこの劇団を選んでもいいです。市民劇団でも十分楽しいし。東京なら何百何千と劇団がありますから、好きなところに問い合わせして、いれてもらえばいいです。しかし、ちいさな劇団であればあるこそ、仲間内で閉じられた世界でやっているために、新しい人をなかなか受け入れなかったりします。電話をかけるなどして担当者に聞いてみましょう。
アマチュアなので稽古の時間も限られてます。社会人が多いところは、土日を中心に、本番前は平日の夜に稽古をするところが多いです。フリーターを中心に活動しているところは、平日の昼間稽古をして、夜働く。それぞれいろんなスタイルがあります。
3.劇団研究生の生活
プロの劇団にはいったからといって、いきなり劇団員になれるわけではありません。大抵の場合、劇団研究生として、見習い期間があります。だから劇団の入団試験に受かったからといって喜んではいられないのです。劇団にもよるのですが1年〜3年、研究生として扱われます。文学座などは正規の劇団員になるためには5年かかるといわれています。ちなみに西田敏行さんの所属する青年座は2年。約60人の研究生のうち劇団員に昇格できるのは数人です。筆者が入団したことのある岸田今日子さんの所属する演劇集団円では、研究生の期間は2年でした。そして同期30人のうち劇団員になれたのは3人だけでした。さて、劇団員に昇格できなかった人は、どうなるのでしょう。スタッフになるのでしょうか。いいえ、たいていの場合、首です。劇団と縁がなくなります。そして首になるとまた、他の劇団に入り直す人がほとんどです。また、そこで首になると、また他の劇団に移ることになります。そして劇団を転々とする。そんな人もいます。そしてそのうちあきらめて、夢やぶれて田舎に帰っていくのです。それがプロの世界です。
4.劇団を作ろう!
さて、これからが本題です。劇団員にもなれず、でも、演劇は続けたい。しかし、オーディションにも受からず、演劇をやる機会があたえられない。そんなときはどうすればいいのでしょう。
来月につづく。
5.自分たちで劇団を作ろう!
劇団員にもなれず、でも、演劇は続けたい。しかし、オーディションにも受からず、演劇をやる機会があたえられない。そんなときはどうすればいいのでしょう。
演劇には商業演劇とよばれる分野があります。これはおばさんを対象にしたいわゆる新橋演舞場や、コマ劇場みたいなところでやるスターを中心にしたお芝居のことです。こういうところにフリーの役者としてオーディションを受けて舞台に立つ、という方法があります。しかし、フリーというとかっこいいように聞こえますが、役者でフリーということはフリーターよりたちが悪いのです。台詞のある役は、大手プロダクション、有名劇団や大手劇団の人たちがもっていって、どうでもいい、残った端役しか募集しないのが現状です。だからフリーで役者をやってつらいことは、演技をさせてもらうチャンスがない。→演技の経験が少ないので、うまくならない。→仕事が来ない。のジレンマにおちいることになります。
俺たち、私たちは演技がしたいんだ。そして、うまくなりたい。自分たちのやりたい役がやりたい。それは自己満足でもかまわない。でもそのチャンスがない。・・・・役者の卵たちはある日気がつくのです。やりたい役があれば自分たちでプロデュースすればよい。そうだ、劇団を作ろう。公演を打とう。
6.劇場を予約する時期は?
劇団を作りたい。そんな仲間が2,3人いればそれで劇団ができます。1人で、劇団作るぞ!っていってもどうしようもないけれど(劇団ひとりっていうタレントいますが〜)、自分以外に仲間が2人いればなんとかなるものです。3人寄れば文殊の知恵といいますが、本当になんとかなります。実際に筆者も劇団を作るときは3人で作りました。そしてそのまんま劇団参人芝居と名付けました。
劇団作りたい仲間ができた。劇団、できた! たまらん! 早く芝居がやりたい。明日、いや、今日やりたい! まてまて、あわててはいけません。お芝居をやるには劇場を借りないといけません。それには予約が必要です。都内には何百という劇場があります。いろんなところをあたれば、2ヶ月先とか3ヶ月先に空きがあることがありますが、これは後に述べますが、時期を早まるほど条件が悪くなります。劇場を押さえるにはどんなに早くても半年後、6ヶ月先を考えましょう。それからデビュー劇団(旗揚げ劇団という)に優しい劇場とそうでない劇場があります。劇団のデビュー(旗揚げ)を下北沢の本多劇場とか、紀伊國屋ホールとかでやろうというのはとうてい無理です。こちらがどんなにお願いしても断られてしまいます。
旗揚げに優しい劇場。ズバリ、新宿のタイニイアリス(キャパが120人〜150人)あたりでしょう。タイニイアリスは伝統もあり、今では有名になってしまった数々の劇団が旗揚げをするときにつかった劇場です。しかし、人気があるので予約は一年先までいっぱいです。
演劇シーズンというのがあります。要するにお客さんが演劇を観たい思う時期です。春は4月から5月。秋は10月から11月に劇場に足を運ぶお客さんが多いと言われてます。逆に、2月、8月は客足が遠のくと言われてます。2月は寒いのでできるだけ外にでたくない、もしくは週末はスキーやスノボーにいく。8月は暑いので芝居に行くくらいなら、海や山に行く。ちなみに12月、1月は年末年始で忙しいのでサラリーマンのお客さんには不評です。しかし、僕たちは演劇がやりたいだけで、時期はいつでもいいんだ。客席がガラガラでもいい。と、言うなら迷うことなく8月、2月がおすすめです。とくに8月はお盆休みですから、劇場もスケジュールがスカスカだったりします。お盆休みの時期に予約をしてくれたら割引をします。という劇場も多々ありますので、その辺は劇場の方と相談してみてください。
7.劇団の使用料はいかほどか?
初めての公演(旗揚げ公演)はなるべくお金をかけない方がいいでしょう。経費を最低限に抑えるつもりでいかないとふとしたことでお金が入り用になります。しかし、劇場を借りるのにはどうしてもお金がかかります。これはさけて通れません。制作費のほとんどは劇場費だと思った方がいいでしょう。週末、金曜日〜日曜日使うとすると、劇場使用料の合計がが30万円から60万円かかると思った方がいいでしょう。いろんなお客さんに観てもらってのちのち有名になりたいなら、東京都内の劇場がよいです。自分のうちに近いからと言って、横浜、大宮、浦安などでやるとお客さんが偏ってしまって残念なことになりかねません。将来、劇団を大きくしたいなら旗揚げはなにがなんでも都内にしましょう。筆者のお薦めは先ほどのタイニイアリスですが、これと同じ程度の広さの新宿にあるパンプルムスという劇場もよいです。実はここ。昔、タイニイアリスだった劇場です。オーナーが変わったので名前が変わっただけです。知られてない割には新宿駅に近く交通の便がよいです。おすすめ・・・後は、銀座のど真ん中にある銀座小劇場。駒場アゴラ劇場。大塚ジェルスホールなどがあります。どれも劇場使用料は土日を含んで50万円前後です。ただし、お盆の時期だと20万円〜30万円くらいで貸してくれる劇場が多々ありますので、シアターガイドなどの雑誌を観ながら、探してみましょう。劇場を選ぶ目安は入場料が2000円から3000円の劇団が使っているところです。入場料が安いと言うことは劇場費が安いと思っていいです。間違っても入場料が5000円の劇場(たとえば、新宿シアターアップルなど)に手を出しては駄目です。
8.つかえない劇場
演劇には公民館や公共のホールは使えません。確かに公民館は安いです。何百人も入る大きのホールが一日、1万円以下で借りられるところもあって、ここを使えばどんなに安く芝居が打てるのだろう。と思ってしまいます。ところがこれは素人考えです。演劇はコーラスやダンスの発表会とは違うのです。公民館を使うと言うことは、旗揚げ劇団にとって逆にお金がかかってしまいます。それはなぜかというと、そもそも公共のホールが演劇用に作られてないのです。だから演劇をするために自分たちでなにからなにまで用意しないといけません。演劇用の照明はないのでレンタルしないといけないし、照明を吊るためのバトンと言われる設備もつくらないといけません。これだけでたぶん4,50万円はかかってしまいます。公共の施設なので舞台には釘が打てないでしょうから、舞台も自分たちで作らないといけません。音響施設もお芝居用でないためスピーカーや、ミキサーなどを設置しないといけません。プロの劇団は、自前でこれらの設備をもっているから大丈夫なのですが、公民館や公共のホールは使わないのが賢明です。
もう一つ使えない劇場があります。これは劇場主(オーナーなど)にポリシーがある劇場です。オーナーがよい劇団だと認めない限りどんなにお金を積んでも使わせないというような劇場です。たとえば、両国のシアター×(かい)。ここはプロデューサーが演目を厳選するといわれています。当然旗揚げ劇団は使えません。あとは下北沢の本多劇場グループ。スズナリ、駅前劇場、オフオフシアターなど。ここも制作スタッフが専任できちんとしていないと使わせてもらえません。コネがあれば簡単に使えるのですが最初はやめた方がいいでしょう。後は、銀座みゆき館。銀座なのに(一日3万円〜)極端に安いのですが、劇場主が頑固者だと言われてます。旗揚げ劇団にはまず貸さないでしょう。このように劇場にもいろいろな特徴があるのです。
9.いざ、3万円もって契約にいこう!
どこの劇場にするかだいたいの目星はついた。そうしたらすぐに劇場に電話をして予約をいれましょう。劇場の予約は電話一本で簡単にできます。(劇場の電話番号はぴあやシアターガイドを参照せよ。)電話を入れた時点で仮契約がすんだことになります。その際、劇団名と代表者の連絡先を聞かれますが、劇団名は仮で適当な名前でいいでしょう。連絡先(代表者)は電話をかけたあなたになります。旗揚げ公演なら、木曜日が仕込みの日(準備の日)、金曜日夜が初日。土曜日、日曜日と合計4日押さえるのがいいでしょう。最初から一週間以上の長い公演はさけた方がいいです。劇場使用料1日7万〜10万円と計算して30万〜40万円くらいです。電話で、劇場の方から一週間以内に本契約に来てください。と言われます。そうしたら劇場に行きましょう。そのとき多少なりとも前金を入れなければなりません。いったいいくら持って行けばいいのでしょう。ずばり、3万円です。劇場からそれ以上入れてくれ、といわれるかもしれませんが3万円でお願いします。と言いましょう。小劇場は3万円でよいと相場が決まってます。もちろん10万円入れてもなんら問題はないのですが、少なくてすむほうがいいでしょう。
劇場にいくと、前金3万円と自分の名前のサイン、そして印鑑を押すことになります。劇場によっては身分証明書と保証人の印鑑もいることになりますが、保証人が必要だからといって深刻に考えることないです。保証人は三文判を用意して、その辺の誰かの住所と名前を書くだけでよいのです。当然、契約に保証人が同伴する必要もありません。
劇場と契約書を交わした時点で劇団の活動の始まりです。
10.直ちに制作を開始せよ!
今はたとえば2月だとします。6ヶ月後、8月に劇場タイニイアリスを予約しました。正式な契約も結びました。まだ半年ある。余裕だ・・・・と思ったら大間違い。ここから本番までやることがいっぱいあります。休んでいる暇はありません。なぜならプロの劇団なら、制作という部署が専門でやってくれるところを全部自分でやらないといけないからです。
まずは正式な劇団名を決めましょう。どんな名前でもよいのですが、なるべくなら日本語で発音できる方がよいです。電話で「劇団○×△ですけど・・・」と言ったときに恥ずかしくない程度がいいのですが、現実にはスケコマシアターとか、カムカムミニキーナとか、渡辺えり子が主宰していた3○○(さんじゅうまると読む)。野田秀樹の夢の遊民社。とにかくいろんな名前の劇団がありますので、ネーミングは一概にどんなのがいいとはいえません。が、途中で変えることができないので慎重に考えましょう。なぜ劇団名を決めることが最初に必要かというというと、これから稽古場を予約したり、劇団費などを管理するために貯金通帳などを作るときに使うからです。
劇団名が決まると今度は、劇団事務所を決めましょう。これはあなたのアパートでいいです。住所と電話と、できるならファックス、メールがつかえるといいでしょう。
これは自由なのですが、劇団の印鑑と住所の印鑑をつくると便利です。劇団の印鑑があれば領収証を発行するときや、劇団のDMをだすときに使えます。
先ほど書きましたが、劇団の銀行口座をつくることをおすすめします。代表者の身分証明書と印鑑さえあれば法人口座を作ってもらえます。アマチュアの劇団でも会費を集める目的です。といえば法人口座を開くことができます。なぜ劇団の口座があると便利かというと、劇団費の徴収などもそうなのですが、のちのち、チラシを印刷所に発注したり、スタッフさんにギャラを支払ったりするときに、いちいち領収証を発行しなくてすむからです。銀行振り込みにすると、はっきり証拠が残りますから、払った払わなかったの問題が起こらなくてすみます。ぶっちゃけ、劇団をつくって一番最初に起こる問題は、払った、払わないという金銭問題です。お金の出し入れだけはっきりしておいた方がいいです。
来月号に続く・・・・。
予告。
これからやらないといけないこと。
・全体の予算を決め、仲間からお金を徴収する
・劇団員を募集しよう。
・照明、音響のスタッフを押さえる。
・上演台本をオリジナルにするか、既成にするか決めて、既成なら上演許可を取る。
・稽古場を押さえる(最重要事項)。
・チケットぴあに登録などしてマスコミに宣伝する。
・チラシを作成し、折り込みをする
などなど。
第2章 劇場入りしてから必要なこと
ばらしまで。
第3章 精算・会計報告まで。劇団の存続の仕方。賞をとろう。
11.契約をキャンセルできるのか
先月号で劇場を予約したわけですが、一つ気をつけないといけないことがあります。契約した後に、もっといい条件の劇場が見つかったとか、やっぱり公演をするは見送ろうとか、諸々の理由で契約を破棄したいことがあるでしょう。そういうときはどうしたらいいのでしょうか? もし、公演日の1年から7ヶ月前だとすると無料でキャンセルできると思われます。でも、あなたは6ヶ月後の公演にサインをしてしまいました。通常、公演の6ヶ月前にキャンセルするにはキャンセル料として劇場費の50%を支払わなければなりません。おそらく20万円〜30万円を払うことになります。それでキャンセルできます。これが公演日の3ヶ月前だったとしましょう。ほぼ全額(普通約80%)を納めなければならなくなるでしょう。しかし、キャンセルするということがどういうことか、よく考えましょう。理由はともかくとしてその劇場にあなたは二度と出入りができなくなります。要するに今後一切貸してもらえなくなるのです。演劇界は広そうでとても狭いですから、あそこの劇団に貸したらキャンセルされた、と噂されるかもしれません。契約することは簡単です。しかし、契約したら最後。どんなことがあっても公演を打たないといけない。と思った方がよいでしょう。ですから、電話で予約して本契約する前にはもう一度じっくり考えましょう。
しかし、万が一、不幸にも公演が打てなくなることがあります。直前に、出演者が入院してしまったとか、激しい仲間割れにによって劇団が解散してしまったとか(実はこれが一番多い)。そういう例は少なくありません。そのときは病む終えません。
もう一つ気をつけることがあります。劇場に予約の電話を入れたときに劇場主さんから「2ヶ月後に使用できますが、いかがですか? 劇場費50万円のところ半額以下の20万円にしますよ」と言われることがあります。これはどういう意味か考えましょう。公演間近の2ヶ月前にキャンセルした劇団があったということです。劇場側はキャンセルした劇団からキャンセル料が手に入り、余った劇場のスケジュールを埋めることによってさらにあなたからお金を取ろうとしてるのです。この手に引っかかってはいけません。特に旗揚げ劇団は駄目です。なんとなく2ヶ月もあったら公演なんてできそうな気がします。はっきり言います。不可能です。プロの劇団でさえもいきなり2ヶ月後に公演を打つということはやりません。スタッフ、キャストの手配、観客の動員、チラシの印刷、どれを考えても間に合うとは思えないからです。ただ、スタッフやキャストや観客動員なんてあまり考えない、趣味レベルの学生劇団ならやってもいいかもしれませんが。
12.総予算を決めろ!
契約時に手付け金3万円は劇場に納めました。さて、今後いったいどのくらいお金が出ていくのでしょう。だいたいの予算を知っておかないといけません。あなたが大学生で、演劇研究会などに入っている場合。これが一番お金がかからないケースです。まず、人件費を考えます。スタッフ。照明さんに払うお金。学生がやるのでボランティアで無料です。音響さんに払うお金。これもボランティアで無料。舞台監督、これもボランティアで無料。演出家、自分がやるので無料。当日の受付などの手伝い。学生同士がやるので無料。稽古場代、教室を借りるので無料。あなたが大学生なら、なんでもかんでも無料ですむことばかりです。お金がかかるとしたらおそらく宣伝用のチラシの印刷代でしょう。これも白黒コピーですましてしまいます。おそらく劇場費入れて総予算60万円ですみます。
一般的な場合を考えましょう。照明さんに支払うお金。これはピンキリなのですが、20代の照明さんに頼むとしたら徹底的に値切りましょう。照明にはプラン料と、オペレーション料がかかります。これを込みで7,8万円に押さえられます。知り合いだったり、まだ、照明を勉強している学生レベルの人だとしたら3万円くらいにしましょう。30代以上のいわゆるプロと呼ばれている照明さんに頼むとしたら12万が最低ラインでしょう。あんまり値切ると嫌われるので20万円くらいが妥当だと思われます。もっとも、その道何十年というベテランの照明さんに頼む場合はもっと高いですが、旗揚げ公演ですのでそういう人に頼むのはやめましょう。無駄です。さて、今度は音響さんですが、これもピンキリです。照明と違って舞台の特別な知識がいらないので、昔、バンドをやっていたというようなPA(ミキサーなど)が扱える人なら誰でもできます。素人に頼む場合は1万円〜3万円で交渉しましょう。プロなら10万円くらいです。舞台監督、これは大道具など舞台セットがあったり、舞台に仕掛けがあるときは必ず頼まないといけません。しかし、大がかりなセットなどいらない。芝居だけでいい。というなら頼む必要ありません。舞台に部屋を作り込むなど大がかりなセットを考えるとそれなりの制作費もかかってしまいます。大道具の制作費で20万〜100万はかかるでしょう。旗揚げ劇団だとしたらそれは避けるべきです。セットは作るのではなく、その辺のありもの(椅子とか机とか)を借りてきて使いましょう。
次に考えるのは稽古場代です。これは公民館の会議室などを使わせてもらうとしたら一ヶ月借りても合計5,6万ですむでしょう。宣伝費、チラシの印刷代は10万円くらいをみておくといいでしょう。後で述べますが、チラシは合計、2万枚刷ることをおすすめします。友達に宣伝するだけだからといって2千枚で済ませると思ったように宣伝ができなくなります。
これらを踏まえて、劇場費、スタッフのギャラ、大道具、稽古場代、宣伝費など、総予算120万円くらいですむことになります。
しかし、これはありと、あらゆるものにお金をかけずに削りまくったときの値段ですから、普通は150万円くらいかかると思った方がいいでしょう。なにが起こるかわからないので総予算は150万円に設定しましょう。
さて、参考までですが、通常の中堅の小劇団の総制作費はだいたい500万円くらいです。大道具を作り込んでいる劇団だと7、800万円くらいかかっているとおもいます。キャラメルボックスなど、人気スターのいる劇団の場合、一回の公演が何ヶ月もあり、期間が長いということもありますが、7000万円だと聞いたことがあります。
13.上演演目を決めよう
お芝居がしたい! というあなたの仲間が3人だけならば総制作費の150万円は3で割ることになります。ということは、一人50万円を払わなければならないと言うことです。これはちょっと辛いですね。なので普通はもっとたくさんの出演者を募ります。例えば10人出演するとしたら単純に10で割るのですから、一人15万円支払うことになります。これは払えないお金ではないですよね。3000円のチケットを50枚売るという計算ですから。
では、10人出演すると決めましょう。そして、10人出る演目を考えます。まず、オリジナル台本にするかどうかを決めます。これは仲間の中に脚本が書ける人がいるかということが問題になります。今後の劇団の発展を考えるなら、なるべくならオリジナル台本を上演することをお薦めします。なぜなら、今後、東京で成功するためには既成の台本だと、まったく注目されないからです。既成の台本を演じると言うことは、バンドでたとえるとコピー曲を演奏するのと同じなのです。友達のバンドを見にいってビートルズの曲をえんえん聴かせられて3000円の大金を払う気になるでしょうか? とてもうまければいいのかもしれませんが、オリジナル曲を演奏するのが普通です。劇団も同様です。シェークスピアを演じるのはいいのですが、台本通りそのまま演じたのでは話題性もなく、退屈なものになります。松本幸四郎のようなスターがシェークスピア演じるのとは訳が違うのです。
しかし、どうしても脚本を書く人がいない場合、しかたありません。既成の台本を使いましょう。図書館や本屋さんに演劇のコーナーにあるのでそこで戯曲(舞台台本)を手に入れて適当な物を選びましょう。その際、重要なことがあります。上演許可を取らないといけないことです。出版社に連絡して作者にコンタクトをとってもらっても良いです。または、作者が劇作家協会の会員である場合、日本劇作家協会に電話して連絡先を聞いても良いでしょう。いずれにせよ、上演許可を願い出ましょう。運良く上演許可が得られた場合、発生するのは上演料です。これを払わないと上演できません。例えば、キャラメルボックスの成井豊さんの場合、上演許可さえ得られれば上演料は一切いらないという作家さんもいらっしゃいますが、基本的には上演料は支払わないと。目安は総制作費の5%だといわれてます。150万円だとすると5〜8万円くらいが妥当でしょう。しかし、「もっと払え」と言われるかもしれません。が、「本当にお金がないのです」作者に、情に訴えかけましょう。そうすると3万円くらいになることもあります。これはプロの大劇団の話ですか、三浦綾子さんの銃口を戯曲化するとき、通常おそらく4,5百万円は払わないといけないところを、劇団代表が三浦さんのいる北海道まで出向いて、三浦綾子さんに直接交渉し、20万円にしてもらったという話もあります。そうなのです。熱意があれば作家はなんとでもしてくれるものです。筆者も、東野圭吾さんの作品を脚本化したことがありますが、制作者が東野さんに頼み込んで無料になったとききます。確か、原田宗典さんの作品を脚本化したときもそうでした。無料だったと聞きます。とにかく、有名な作家さんはお金を持ってますから、今更、儲けようなんて考えてないのです。交渉するときの、ポイントは、「とにかくお金がない」「儲けるつもりはない」「あなたの作品に感動した。どうしてもやりたい」ということを強調することです。日本を代表する劇作家、別役実さんに頼む場合もそうです。決して無料にはなりませんが、どうしてもお金がないといえば8万円くらいだと聞きます。上演料というのはそんなに安いの? だったら、既成の台本で十分だ。と思いがちですが、こういう話もあります。10年くらい前に劇団民藝が、劇作家、斉藤憐さんの「グレイクリスマス」への上演料を口約束で50万円で契約したのですが、後々、日本劇作家協会が弁護士を立てて上演料をあげることを交渉して、700万円になりました。これはかなりの高額ですよね。このように上演料というのは本当にどうにでもなるのです。ほとんど運ですので、良い台本が見つかったなら、とにかく作家と交渉する、が大切です。
今月はここまで。来月は、出演者を募ろう、です。
14.プロデューサーになる
上演する台本が決まると正確な出演者の数が決まります。男が6人、女が4人。そのうち若い男が3人。おじさんが3人。若い美人が2人。ブスが1人。おばさんが1人。等という様な内訳がでてきます。あなたはこれから、プロデューサーにならなければなりません。台本をよく読んで役に合いそうな役者さんを探すのです。その際、自分の演じる役も考慮しながら、役者を探します。実はこれが一番難しいのです。10人出演する台本だとすると10人が10人とも見せ場があるとは限りません。それで、150万円を均等に折半するのかどうか問題がおきます。ちょい役は5万円で台詞の多い役につくなら20万円にするとかいろいろ決めないといけません。だから、最初は台詞が均等にある台本を選ぶのが良いでしょう。そうすると15万円づつ均等に折半することになります。オリジナル台本なら、そういう風に書き換えればいいのですが、10人均等に見せ場があって、かつ、おもしろい台本を作るには作家的な力量が必要になります。出演者のキャラクターをみながら当て書きをする作家のことを座付き作家と言いますが、劇団の座付き作家になった人はここで悩むことになります。役者も満足させて、そして、観客も満足させないといけないのです。かの近松門左衛門もこれで悩んだと言います。大物役者から見せ場が少ないと言われると、見せ場を作るために書き直さないといけない。あまりに一人に見せ場を作りすぎると観客も引いてしまう。その加減が難しいのです。
配役(キャスティング)においては、必ずもめます。これは演劇にかかわらず、ドラマや映画でもそうです。誰が何の役をやるかでつかみ合いの喧嘩になるようなこともあります。一番いいのは権威のある人に決めてもらうこと。例えば演出家にキャスティングをしてもらうのです。しかし、旗揚げ劇団で演出家が不在の場合どうしたらいいのでしょうか。とりあえず、あなたが演出家になるのです。リーダーシップをとる人が演出家だと思えばいいです。例外もあります。演出家は一人だというのは昔からのしきたりでした。しかし、近年、集団創作をする劇団も増えてきています。例えば、「劇団青い鳥」という劇団の演出家は市堂令というのですが、出演者全員で演出、創作をしているのです。(だから演出家名が市堂令(一同礼)なのです)。そういう場合もありますが、基本的には誰か一人が仕切ることになるでしょう。
演出家に関しては、外部から演出家を雇う、ということもあり得ます。蜷川幸夫のように有名な演出家は無理ですが、演劇学校の講師などをやってる程度の人に頼む場合、可能でしょう。10万円から30万円が相場です。これもピンキリです。本当に演出が好きでお金なんていらない。という人もいます。その反対に、例えば第三舞台の鴻上尚史さんのように演出料は500万円とることもあります。これも同様、上演許可を取る場合と同じく、情に訴えると安くなります。しかし、作家と違って演出家は皆さんと少なくとも1ヶ月間、日々をともにしないといけません。だから、あまりにケチると演出家さんも生活がつらくなっていい仕事をしてくれません。少なくとも1ヶ月間は、拘束することになるわけですから、15万円は払いましょう。
頼める演出家をしらない、という場合は、仲間うちの誰かがやるのが妥当です。おそらく、旗揚げ劇団の99%は演出家を雇わず、仲間うちの誰かが演出をしています。
15.出演者を口説く
実際、役者やスタッフをどうやって集めたらいいのでしょう。知り合いの役者はいるけれど、この演目をやるにはイメージと違いすぎる。いい役者がいるのだけれど、本番が自分たちのお芝居と重なっている。現実、役者はなかなか見つかりません。ならば、どうやって探せばいいのでしょう?
今、一番簡単な方法はインターネットで募集をかけることです。演劇情報サイトなどがありますので、「出演者募集」というタイトルで掲載します。公演場所、○○劇場にて ○月×日〜×日まで。稽古は○〜○日の夜間。ノルマ一人3000円×50枚アリ。電話番号メールアドレス。等を載せます。有名な劇団だと、このような記事を載せるだけで応募が殺到しますが、あなたの様な旗揚げ劇団だと応募してくるのは、運が良くて一人。またはゼロというのが現実です。でも募集をしないよりましですから。ネットで載せるのも手でしょう。しかし、ぶっちゃけた話。まったく見ず知らずの劇団にノルマ15万円も払って出演したい。という人はいません。ですからネットを使って手軽に募集できる分、応募は少ないと思った方がいいです。
後は、ぴあ、シアターガイド、月刊デビューなどの出演者募集に載せてもらうことです。掲載は無料なのですが、掲載希望する劇団がたくさんあるので載せてもらえる可能性は低いです。有料で載せてもらうと確実なのですが、その効果はインターネットの募集と同じです。馬の骨ともわからぬ劇団に出演したいと思わないのが普通です。ですから期待できません。
では、どうすればいいのでしょう。これは筆者の知り合いがやっていたのですが、ひたすら友達や知り合いの公演を観に行くということです。それで、気に入った役者さんがいれば、そこで声をかけて、出演交渉をするのです。この方法をとっている劇団制作者は結構います。役者の実力もそこで分かるわけなのでオーディションをする必要もありません。要するにスカウトマンになった気分でお芝居を見に行くのです。実際に私の劇団を見に来た有名演劇プロデューサーさんが劇団員Yをを自分のお芝居に出演させたい。と交渉してきたこともあります。
スカウトするときに、気をつけること。あなたは所詮、はじめてお芝居をする旗揚げ劇団な訳ですから、高望みしてはいけません。いくら演技がうまいからといって、芸歴20年選手をスカウトして口説き落とせるとは思えません。自分たちが今度公演を予定している劇場にでてるレベルの役者さんを選びましょう。スカウトの仕方は、まず、劇団を旗揚げするのであなたに出て欲しい。ということ。上演台本を本人に渡すこと。予定している配役を告げること。この配役がいかに重要かをのべること。最後にノルマがあることを伝えること(ノルマがあることを告げるのは最重要です)。ここでのポイントはやはりノルマです。大抵、ノルマ15万円はきつい、まけてくれ。と言われます。しかし、そうだからといって、ノルマ10万でいいです。とダンピングしてはいけません。ダンピングするのはどうしても役者がみつからないときの最終手段ですから。とにかく必要な役者と思ったら、熱心に口説きましょう。スカウトを続けても、10人は断られるのが常です。これはナンパと同じなのです。街頭でお店の女の子をスカウトしているスカウトマンと同じです。100人、口説いて落ちるのが一人あればラッキーなのです。
一番、確実に役者を見つける方法、これは、演劇の先生に紹介してもらうことです。あなたに演技を教えてくれた先生がいるはずです。その先生を訪ねていくのです。お芝居がどうしてもやりたいのですが、役者が足りません。だれか紹介してくださいませんか? と頼みます。演劇を教えるくらいの人でしたら、演劇人のコネはたくさんあるのが普通です。一生懸命頼めば、最低一人は紹介してくれます。実際、筆者の場合もそうでした。ほとんど先生から紹介してもらいました。私は演劇集団円の養成所を卒業したわけですが、円の事務所を訪ねて、そこにいる演出家に誰か紹介してくれと頼みこみました。人間、真剣に頼めば、相手に伝わるものです。同じ演劇を志す者が困っている。ならば助けてあげようと思うのが心情です。私は甘えすぎて、役者ばかりでなく、スタッフ、大道具に至るまで、円から借りていました。本当に感謝しています。ですから、普段から人間つきあいを大切にしないといけません。大学の演劇サークルなんかに入ってる人は、演劇サークルの先輩、後輩を訪ねてみるのもいいでしょう。とにかく、使えるコネは全部つかって探すのです。
16.企画書をつくれ!
さて、劇場も決まった。演目は決まった、スタッフも決まった。役者も決まった。次はどうする?
次はマスコミ対応をします。いくらあなたがすばらしい演劇を作ったとしても、お客さんがすべて仲間うちだけだとしたらそれは自己満足にすぎません。知り合いは「よかったよー」とほめてはくれますが、本当かどうか全く分かりません。もし、一般のお客さんが見に来てくれたなら、それはそれで厳しいです。アンケートなんかに「寒い、なんとかしろ」という劇場の空調のことを書く人もいるし、「つまらない! もう二度きません」って書かれることもあります。その反対に「すばらしい、次回作も是非見に来ます。おうえんしてます」とか書かれたりすると、うれしくて涙がでるものです。一般のお客さんはお付き合いではなく好きでお金を払って見に来ているわけだから、厳しいのはあたりまえなんですけど・・・。おそかれ早かれ、劇団を続けるとしたら、やっぱり知り合いではなくて一般のお客さんを開拓していくことは必要になります。
マスコミ対応で、一番最初にすることがあります。それは、企画書を書くことです。これはどういう形でもいいのですが、対マスコミ用として絶対に必要になります。そんなのわかんないよ。企画書なんて学校で教えてくれなかったよ。という人もいるでしょう。そうです。誰も教えてくれません。ですから、どんな形でもいいので努力して作ってみてください。タイトルは「演劇公演企画書」でもなんでもいいです。筆者の劇団の企画書を末尾につけます。これを参考にしてなんとかつくりあげてください。
末尾に載せる
※企画書は遅くとも公演の3ヶ月前には作っておきましょう。早ければ、はやいに超したことはないです。キャストやスタッフが完全に決まっていなくても仮の企画書を用意したほうがいいでしょう。
キャストや、スタッフに依頼するときに企画書を見せてくれと言われることがあります。ですから、企画書は作るのが早いほどいいです。
17.チケットぴあに登録せよ
企画書ができました。これをどこに持って行けばいいでしょう。ずばり、ぴあに送ります。慣れてくると、ぴあに送る企画書はファックスだけでいいのですが、旗揚げ劇団はそれだけではいけません。
チケットは自分たちで印刷するのでぴあには頼まないから関係ない。という人もいるでしょう。しかし、チケットの印刷は自分たちでするにしても、ぴあには登録することをお勧めします。ぴあは思ったより効力があります。ぴあ、扱いにすると、確実に雑誌ぴあに掲載されます。30万部と言われるぴあに載るわけですから、宣伝としては文句はないでしょう。当然、無名劇団なので2行くらいしか載りませんが「作、演出、出演者のところに自分の名前が載ります」これは、うれしいものです。やる気がでるのです。掲載回数は、最低、チケット発売日の一週間前、チケット発売日。公演中。の三回は載せてもらえます。
ぴあの登録料は1万くらいだと思いました。
ちなみに、チケットぴあの他にセゾン、ローソンチケットなどがありますが、必要ありません。宣伝効果はおろか、ほとんどチケットが売れないのが現状です。
来月につづく!
あとはチケットが売れるとその売り上げの10%はぴあから持って行かれます。3000円のチケットなら300円がシステム使用料としてぴあに徴収されるのです。しかし、甘えてはいけません。ぴあに登録したからと言って、チケットが売れるわけではありません。
旗揚げの無名劇団だと、一回の公演で3枚売れると万々歳です。ぴあってそんなに売れないの?そうです。ぴあの窓口にいって買ってくれるお客さんなんてほとんどいないと思ってくれていいです。結局自分たちで売ることになるのです。
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