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鳥の惑星
プロローグ
| 鳥の惑星 |
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少し霞んでいる青空。冬ではない。白い雲、夏ではない。風は刺すような冷たさは持っていない。海上を滑空する鳥を発見。
眼下は、後方に流れていく海面。
フルスピード。風切音で頭の中が埋め尽くされる。
前方にうっすらと現れた陸地を確認する。高度を上げ,雲の中に進入する。視界は、ゼロ。
ひんやりと雲の粒がフードやスーツを濡らし始める
やがて前方視界に崖の尾根がうっすらと見え隠れる。
崖の上には、ぼんやりと広い草原が続いている、、、
高原が静かに高度を上げ、近づいてくる。
ふと気がつくと、両翼に山が切れ立ってくる。『高度を上げないと、、、』。ふと呟くが風切音で自
分にも聞こえない。
速度を落とし、聴覚を鋭くする。モンタの羽ばたき音だけが白い雲の空間に響く、高原地帯に侵入する。所処に10メートルも無い小山が見える。
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テトの村落から0.5リーグほど離れた山岳の入口。
雲が切れはじめ、久々に高原のいたるところに陽が射し込んでいた。
カイは、草原の斜面で寝転んでいるヤンのそばで草をゆっくりと咀嚼していた。
最初に気が付いたのはカイだった。
ふと咀嚼を止めたカイに気が付いたヤンは、大の字に寝転び、空を見つめ、耳をすました、、、、。
低音で伝わってくる羽ばたきの音
『、、、、モンタだ、、、、海の方から来る!、、、、』
『クー』ヤンの思いに同意するカイ。
カイを置いて、小山を駆け上るヤン、、、、前方は雲で覆われている。
羽ばたき音だけが聞こえる。雲に覆われ何も見えない。
「一羽じゃない、、、、戦闘タイプだ、、、、」
唐突に、目の前に今まで一度もヤンが見たこともない装甲を施したモンタが5羽現れ、頭上を掠めた。
ヤンは思わず首をすくめると、初めは四つん這いで、やがて立ち上がり、カイに駆け寄った。
カイに飛び乗って羽ばたこうとした瞬間、遅れて飛来した、もう一頭のモンタが横を通り過ぎた、、、。
「未確認タイプのモンタを発見!」
「なに、未確認タイプだと、、調査する。全機旋回、目標を確認しろ」
「了解!」
急速方向転回し、高度を上げつつ、遅れてきた一羽と合流する編隊。
すぐに地上に彼らを発見し、急降下する編隊。
一歩も滑走する事無く、飛び立つカイ。
「なに!滑走しないで飛んだ?」誰となく叫ぶ。
「ニュータイプのモンタか!」
カイは左に見える林に低空で突っ込んだ。 「速い!追跡しろ」 林間を飛ぶカイ。
林の手前で減速し上昇する編隊。
一機だけが上昇しないで林に向かう。
「ドライテ、やめろ、危険だ」
カイに続いて林間に飛び込む。
林間を無尽に駆け抜けるカイ。追うドライテ。
小枝に風防マスクを引っ掛けるヤン。
避けきれずに大木に激突するドライテ。
「うわー、隊長!」
「ドライテ!」
「、、、、、、ドライテを収容する、、、」
ドライテの激突した大木の根元へ慎重に着陸する編隊。
ヤンのマスクを拾う隊長。
=:=:=
ゆっくりと隊列を組み飛行するモンタ。
「メテアの軍隊が到着しました」
隊列を見つめるスキネアのステン国王。
「スキネアとメテアの更なる友好を ステン国王」
「遠路遥遥、長旅の訪問は友好の証。来国を歓迎する。聞けば途中、事故に遭遇し、死者が出たと聞く、犠牲者に哀悼の意を」
「ステン国王。事故ではなく戦闘が遭ったのだ。しかも貴国の領土内でだ」
「ステネア領土内での戦闘と?しかも南の外れと聞いた。テロトワの偵察隊か?それはおかしな事だ。テロトワとの国境からは離れすぎている。しかも御国メテアとの国境からも離れている。だいたい貴公はいかようによって南から来られたのか?」
「海から来てはならぬとの取決めはなされてはいない。それとも南には見られては困るものでもあるというのか」
「いかにも そのような約束はない。友好国であるメテアに隠さねばならないものがあるわけもない」
「これに見覚えは?貴国の物では?」
「これは?」
「先程の戦闘機に搭乗していた者が身に付けていたマスクだ。もしや、貴国は独自で戦闘機を密かに育てているのではないか?」
「我が国に戦闘機と?我がステネアは農業の国、対テロトワ防衛はメテアとの安全保障条約で御国の役割、この条約をたがえる訳がなかろう」
「もしや密かにテロトワと密約でも?」
「失礼な!いくらメテアの友好団と言えども言っていい事と悪い事があるぞ」
「ならば、このマスクをなんとするか」
「確かに我が国で使用しているマスクに似ている。しかし仮にそのモンタが我が国の物としたら、それは戦闘用ではなく民用のモンタになる。貴公は非戦闘用のモンタと交戦したと言われるか」
「ステン国王、メテアの優秀な戦闘用モンタを侮辱するのか、民用のモンタと交戦し、負けたというのか」
「何を言われるか?そこまで言われるなら、そのモンタを見つけ出すがいい。我が国に戦闘用モンタはいない。よろしいならば、南に調査隊をだそうではないか」
「スワナ!早速、捜索隊をだせ。メテナのテレネア殿にも同行を願えよ」
「言われるまでもなく。捜索は我々メテアが先頭に立とう」
鳥の惑星2 |
単語解説/
鳥の惑星:
直径400万キロの地球型惑星。
重力が地球の4分の一ほど弱い。ほとんどが海に覆われ陸地は15%しかない。地軸と太陽との公転軸は大きくずれており、緯度によって環境が大きく異なる。
1リーグ:古代のモンタが1飛躍で飛べる距離。約20キロ。現在は改良されて長距離飛行用モンタなら6リーグは飛べる。高速タイプのモンタで4リーグ。農耕用のモンタは2リーグほど。
モンタ:古代大型生物として、唯一生き残った鳥。羽を広げると10b全長6メートル高さもほぼ6メートル(誰か物理的計算で訂正をお願いします)。草食動物
ステネア国:
王は、任期が20年の国民投票で選ばれる王制民主国家。
農業を主な産業としている。
メテナ国:
ステネア国と同じに王制民主国家。近隣諸国を統率し、法の維持と軍事が主な産業。
テロトア国:
形式上、王制民主国家であるが4代に渡って血族が王となり、近隣諸国との友好関係を断絶、血族による独裁国家となった。
弱小地域を征服し、あらゆる産業を一族が独占している。