1.ココナッツ椰子の栽培法
クーロンプロゴ県では椰子の木は親の代から譲り受けたものです。よい椰子の木は質・量とも良い花蜜を産出します。花蜜の質に影響を及ぼすのは大きく二つ、季節と気候です。
A ココナッツ椰子の植栽法
まず良い親木から椰子の実を得ます。良い椰子の実とは以下のような特徴を持ったものです。
@形:卵型または球型
A月齢:12-14ヶ月目
B重さ:約1.5kg(原生種)
C病害・虫害にかかっていないこと
B 苗作り
@圃場整備
a.小石,砂利,根っこ,雑草などを取り除きます。
b.土を柔らかくしておきます。
c.高さ25cm,幅2mの畝(うね)をつくります。長さは適宜(例えば長さ25mとすると2000本の苗を育てることができる計算になる)。
d.土と鶏糞を1:1の割合で混ぜておきます。
A椰子の実の吸水を早めるために平たい部分の皮を切ります。
B椰子の実を2/3畝に埋めます。この時,畝の両端に植えますが、そのやり方に正条植えとジグザグ植えの二通りあります。ちなみにジグザグ植えの方がたくさん植えられます。
C毎朝夕水やりをします。
D2週間で3-5cmくらいの芽が出てきます。
E6ヶ月後,苗は移植可能になります。
C 良い苗の見分け方は以下の通りです。
1.葉っぱが4枚以上ついていて,毎月1枚葉っぱが出ること
2.茎が太くて硬い
3.病気にかかっていない
4.萎縮していない(のびのび育っている)
D 本畑への移植
雑草は取っておきます。よく肥えた土壌なら幅50cm×長さ50cm×深さ50cmの穴,粘土質の土壌なら幅・長さ・深さとも80cmの穴を移植する2週間前に掘っておき,掘り出した土は別にしておきます。植え穴に入れる土は掘り出した土ではなく、表土と鶏糞を1:1で混ぜた土を使います。農薬・化学肥料は使いません。植栽間隔は土壌条件,水条件、周囲の環境などにより4m×4m,6m×6m,8m×8m,6m×8m,6m×9mなど適宜決めます。
E 日常の手入れ
1.肥料:インドネシア全体の平均は一本・一年当り225kgですが,クーロンプロゴ地区ではほとんど肥料はやらない。ただ,付近のコーヒーや野菜にやる有機肥料が流れて栄養となっているようです。もちろん肥料をやった方が花蜜の質・量とも向上します。
2.水:表流水や井戸があるところでは乾季は毎夕に散水します。
3.その他:適宜草取りし,鍬などで根元近くの土壌を柔らかくしておきます。
F 花蜜の生産可能量
ココナッツ椰子は十年経って花蜜採取可能となります。農民はどの椰子の木がもっとも品質よく大量に採取できるか選別し,採取します。15本の椰子があればおよそ10本から花蜜を採ります。花蜜以外にも料理用の素材など椰子の恵みを利用したいからです。採取に適した樹齢は特にありません。農民が登れれば採取するだけのことです。これまでの記録では20mまでなら農民は採取できるようです。20m以上の高さになった時,高すぎるために花蜜の採取を諦めます。椰子がこの20mの高さになるまでにはおよそ30年かかります。つまり,花蜜が採取できるのは30年間ということになります。その間の花蜜の生産量と家族の収入について一例をあげると以下のようになります。
例:ココナッツ椰子の本数:15本
竹筒の数:30本
花蜜の生産量:約18リットル/日
HC生産量:4kg/日
以上の条件で計算すると・・・
花蜜/本:1.2リットル/日=36リットル/月=432リットル/年=8,640リットル/20年
HC/本:8,640リットル÷5=1,728kg/20年
15本では:1,728kg×15本=25,920kg/20年=1,296kg/年
現金収入:1,296kg/年×Rp.2000/kg=Rp.2,592,000/年=Rp.216,000/月
だが,以上の計算はあくまで紙の上であって,季節・気候によって生産量は上下します。
---雨季のはじめから乾季にかけて(つまり雨季の間中),花蜜は酸性が強く,結晶化に失敗することが多い
---乾季はまた霧も多いため良質な花蜜とならない
※本当にこの収入がコンスタントにあり,自給的農業が維持されていれば何とか生活はできるでしょう。しかし近年の気象異常は農業生産性に影響を及ぼし,経済状況が低迷したままなので農作物も満足な値段で売れないというのが現実です。もっと高い値段で椰子砂糖を販売しなければ子供を学校にやることもできないのです。
2.ハニココを煮詰めるかまど
ハニココを作っているNiraMakmur村では50家族が改良かまどを使っています。このかまどはDianDesa財団(注1)とともに創り上げたもので,以下の利点があります。
---薪の消費量が少なくて済む
---熱効率が良い(少ない薪で同じ熱量が出る)
---煙が少ない
---煤がつかない(気管支への悪影響がない)
注1:DianDesa財団=ジョグジャカルタにある,インドネシアで最も大きなNGOの一つです。FAOが進めるアジアかまど改良プログラムの事務局も務め,かまどの改良による母子保健の向上や薪採取労働の軽減,森林伐採の減少などに長年取り組んできました。HCは農村の収入向上と薪採取量削減の両立を目指した事業で,現存の椰子砂糖をいかに効率良く,付加価値をつけて生産するかをテーマにKulonprogo地区でDianDesa財団スタッフが中心となって始めたものです。なお,西カリマンタン州のDianTamaは過去DianDesaからかまど改良事業スタッフを3年間受け入れ、トホ郡でのかまど改良事業をスタートさせたことがあります。
URL= http://www.arecop.org/
3.かご
KulonProgoから少し離れたSleman地区では竹を使った生活用具を作って副収入としています。MinggirのProgo川に沿って展開しているこの地区には様々な竹が繁茂しており,住民は昔からいろんなものを竹を利用して作ってきました。
Bambu apus(Gigantochloa apus), Bambu ater(Gigantochloa ater), Bambu gading(Bambusa
vulgaris)などはクラフト用の竹として有名で、apusはマットなど,編んで作るのに適しており,繊維の柔らかい1-2年生のものが使われます。
この伝統は親から子へ受け継がれてきたもので,HCと同じくいつ,誰によって始まったのかは誰も知りません。HCの籠も彼らの昔から作られてきたクラフトの中の一つです。
家族内の役割は,まず父親が竹を伐採して細い条に裂き,それを使って母親と子供たちでマットなどを編んで仲買人に売るというのが普通です。ただし,彼らは毎日竹を伐採しているのではありません。腐食や病気などの関係でいつ竹を伐採していいか,彼らは知っていて、適期に伐採し、乾燥します。
現在、この地区の5つの村と二つの集落に住む1000人に及ぶ人々が竹のクラフトを作っています。彼らの生産スピードは家事など何もしない場合、二枚組みのマットを一日50組(100枚)仕上げるという速さです。時々ちょっとした規模の会社と仲買人が共同でマットを含む竹のクラフトを買い集め,生産量が膨大な数に上ることもあります。これだけの量になると農民もある程度の収入になりますが、彼らの悩みは継続して注文が来ないことです。
ハニココの竹籠購入で彼らの伝統を少しでも支えてあげたいものです。

ハニココをもっと知るために
〜ヤシ栽培・かまど・かご

ジャワの屋敷林で栽培されるココナッツ椰子


にっこり笑ってはい!できあがり。

籠職人のほとんどは主婦。家事の合間に籠を編む
籠の材料となる竹Apus

ディアンデサが導入した改良かまど。薪の消費が半分で済む。

インドネシアで一般的に使われている三つ石型のかまど。薪を多量に必要とする