底割れ局面の株式投資
日経平均株価が先週、19年振りに安値にまで急落した。「底割れ局面」は、ここ1年間で3度目だ。株式運用を続けるなら,こうした局面を常に想定しておく必要がある。「5つ星」の高い評価を得ている日本投信(フアンド)の運用担当者に取材して、底割れ局面での投資手法や心構えを考えてみた。

昭和電工やアルプス電気を買って、タクマ,豊田合成などを売却。----。T&Dアセットマネジメントの衣川氏は、3年前から投信、アクティブバリ−オ−プン「アクシア」の組み入れ銘柄を一部入れ替えた。昭和電工などは最近業績の情報修正が伝えられ、一旦株価が急上昇したが、相場全体の動きに引きずられて上昇前の水準に戻った銘柄。

衣川氏の目には投資する好機に映すった。「好業績の銘柄を平常時には買えない価額で入手できるのが底割れ局面」日経平均が急落していくなかでも、冷静に個々の銘柄の値動きを視察する事が肝心だ。
「黒潮」と名付けた投信を運用する大和銀行投信投資顧問の窪田氏も先週、割安の好業績株にシフトした。

窪田氏の割安株の選び方はこうだ。まず、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)が極端に低くなったり、予想配当利回りが高くなった銘柄に目をつけた、更に業績の安定性や財務ないようを分析する。こうして買い付けたのがPER10倍台のトヨタ自動車、PBR1倍割れの日立製作所、配当利回り2%台の積水ハウスなどだ。

割安銘柄を選び相場反転を待つ
衣川氏,窪田氏ともに売却したのは、相場全体が反転した時に連動して上がりにくいと判断した銘柄。衣川氏はタクマなどについて、最近の軟調な相場の中で値持ちが良かったため、他の銘柄と比べた割安感が薄れたとみた。窪田氏は日経平均と連動性が低い電力株の比率を下げた。相場の反転局面での成果を最大限に上げるため資産構成を見なおす−。両氏の共通した底割れ対処法だ。

取材した運用者が担当するフアンドは、少なくとも運用評価会社を得ている。基準価格の暴落率はマイナスだが、日経平均や東証株価指数より良い値動きを保っている。他の日本株フアンドより,波乱続きの相場をうまく乗り切ってきたといえる。「いずれ上昇に向かう」と信じつつ、その時々の最善策をこうじる姿勢が株式投資には不可欠だ。

「帝人,石川島,東芝、キリン....。以前から安い値段で指値注文を出し続けて来た銘柄が株価下落のおかげで買えた」−−。日経平均が一時9000円を割りこんだ4日夕方6時ごろ、さわかみ投信の沢上社長はこう語った。「長期投資で必ず成功できる」という確信のもと、待機させていた現金で数多くの銘柄を買いつけた。沢上社長を勇気付けるのは底割れ局面での個人投資家の反応だ。3日、4日はフアンドの購入申し込みの電話が殺到した、対応に大わらわだったと言う。

□□ 先週の下げ局面で動かずに様子を見たのは、「新和光ス−パ−トレ−ド」を担当する新光投信の外山氏。売買を控え、従来の銘柄を保有し続けた。短期的な需給要因で相場が荒れただけで、投資判断は変える必要はないないと考えている。組み入れ銘柄のトップは三菱東京フアイナンシヤル、グル−プ。独自の分析で「勝組企業」とみており、最近のように銀行株の下げがきつい場面でも、売る気はまったくない。 将来有望と確信出来る銘柄を持つことは,個人投資家にとっても底割れ局面で動揺しないための重要なポイントになるはず。