縄 文 杉  −太古へのいざない−

<屋久島>

周囲約132キロほどの屋久島は、九州の最高峰といわれる宮之浦岳(1935)をはじめとして標高

1000メートル級の山が40以上もあるそうです。花崗岩が隆起して出来た屋久島は、亜熱帯から

亜寒帯までの気候分布があり、島の大部分が、縄文杉を初め、紀元杉などの深い屋久杉の原始

林で覆われており、1993年に「世界自然遺産」に登録されました。ーーーーーー


<縄文杉>

標高1280m地点にある屋久島最大の杉。1966年に発見されました。樹高24.3m、胸高周

囲16.4m、推定樹齢7200年ともいわれます。1996年保護策が取られ、10数メートル程手前

に観察台が設置されました。以後一般の人は、杉に近づいたり触れたりすることが出来ません。


<縄文杉へ−遥かなる太古への道−>  2004.4.12

「屋久島へ行くなら縄文杉に逢いたい」それが兼ねてからの口ぐせだった。そして今年その機会

が訪れた。まずインターネットで調べる。「縄文杉登山」と題してツアーが組まれていた。コースガ

イドやQ&Aを読む。そして「大丈夫、自力で行かれる」と判断、ガイドを頼まずに主人と二人で歩

くことにした。朝4時半起床、おにぎりをひとつずつ食べ、車で出発。宮之浦の宿から荒川登山口

(標高600m)まで約1時間、身支度を整えて6時40分出発。青空の広がる良い天気に恵まれた。

かつてのトロッコ道を行くこと50分、小杉谷小中学校跡(標高660m)で休憩、ふたつ目のおにぎ

りを戴く。紅い葉をつけた山桜が静かに咲いていた。

そこから1.8キロで楠川分れ(標高720m)別ルートとの合流地点だ。北海道から来たというグル

ープに出会う。シーズンオフのしかも月曜日だというのに、さしたる途切れもなく登山者が続く。

山桜の花びらを踏みながら倒木更新、切株更新に目を向け、更に3キロほど行くと左手に視界が

開け、谷向うに山桜で覆われた小高い山が現れた。思わずカメラのシャッターを切る。この辺りの

標高は900m。大株歩道入口まであと一息。大株歩道入口にはトイレがあり、登山者は皆ここで

小休止して、これからの登りに備える。片道10.6キロ、ようやく8.1キロ来た。

いよいよトロッコ道から登山道へ。いきなり這い蹲るような急階段である。資料によれば「急なとこ

ろが一部あります」じきに平坦になるだろうと高を括ったが、そうはいかなかった。ウィルソン株まで

30分、木で階段こそ作ってくれているものの、四つん這いになる箇所もあり、足の豆の痛さもさる

ことながら心臓が苦しい。10分毎に立ち止まった。狭心症の主人はどこで引き返そうかと思案し

ながらであったが、ここまで来たらあと少しだという思いが先にたって、休み休み縄文杉を目指すこ

とにした。ウィルソン株の標高1020m、残る標高差は260m、まだまだ大変そう。大王杉まで辿

り着いた時、ようやく先が見えた気がした。あと800メートル、標高差80m、予想時間40分。

そして12時、ほぼ予想した時間でゴール。「到着ですよ」と言われながら階段を登る。

アレツ?と思った。地面から数メートルも上って行く。「エツ!どこどこ」とキョロキョロした。観察台の

遥か10数メートル向うに、太古から生き続けてきた縄文杉が聳えていた。ドーンと大きいと思って

いたのに、遠いので確たる大きさが分らない。ましてや、そのぬくもりに触れることも叶わない。そ

ばへ行かれると思っていただけにチョットがっかり。「仕方がない、逢えただけでいい・・」「世界自

然遺産なんだから大事にしなきゃ〜」神々しい縄文杉の姿をカメラに納めた。スケッチもと思い描き

始めたが時間がないと言われて断念。お昼のお弁当を食べて、汗だくになった服を着替え、元の

道を一目散に下った。暗くならないうちに下山しなければならないからだ。アップダウンがあるとは

いえ、下りはかなり楽だった。途中ウィルソン株で1回休憩しただけで大株歩道入口まで下りた。

「バンザーイ」という歓声を上げる人もいた。「もう着いたも同じだ〜」と喜ぶ人たち、しかし平坦とは

いえ復路のトロッコ道8キロは、結構辛かった。というのも、不覚にも足の指という指に水ぶくれが

出来、足の裏も腫れてきてすごく痛い。予想以上の事態は前半から現れ、歩行を困難にした。


スケッチ道具より代りの靴を持って来るべきだったと悔やんだ。かくして午後5時

登山口に帰着。休憩時間を含めて登り5時間20分、ゴールでの休憩1時間、下

り4時間だった。宿に着いた時は踵で歩く始末。お風呂に入り、薬を塗って足を

高くして休んだ。疲れ過ぎたせいかなかなか寝つけない。それでも、いつしか眠

って翌朝目覚めた時には、なんと普通に歩けるようになっていた。この日は屋久

島一周のドライブ、宿のロビーや途中の千尋の滝で、登山で出会ったグループに

再会し、お互い思わず声を掛けあった。束の間の苦楽を共にした同志として・・。


−高塚山1396の中腹1280に立つ縄文杉−

−トロッコ道−

−全山満開の山桜−

−大株歩道入口/高塚山からの清流−

−縄文杉をバックに 2004.4.12.12時−