本文へジャンプ
コラム−読書記録(仮)


ベイジン

著 真山仁

久しぶりに感想文を書いてみよう。
で、今回のお題は真山仁の”ベイジン”だ。

”ハゲタカ”でおなじみの真山仁。
というかこの作品よりハゲタカシリーズの
レッドゾーンを早く文庫化して欲しいなぁ。
まあそんな感じで読んでみました。

感想としては非常に感動しました。
ということで内容を紹介!!

− − − − − − − − − − − 
2008年8月8日、北京五輪開幕。
いよいよ開幕まで1時間前から
ストーリーが始まる。

場所が中国の大連市にある原子力発電所”紅陽核電”
で最高技術顧問である田嶋が拘束された。
田嶋は原発が稼働できる状態ではないことを訴え、
送電を止めるようにした。
そして拘束したのはこの原発の最高責任者である
大連市党副書記であるドンだ。
今から世界が注目する五輪が始まり、国の威信を
かけたこの原発が動かさないなんてあり得ない。
これがドンの判断だった。

そして話は3年前に遡る。。。。
田嶋は中国最大の原発の最高技術顧問として
大連行きを上司より命じられる。

大連行き前に田嶋は前任者に会いに行く。
そして言われた言葉が
「中国人に殺されるぞ!!」

大連に着いた田嶋は文化の違いを痛感する。
規律を重んじなければならない原発の現場とは
思えないずさんな管理体制。
こんなんじゃ稼働なんて無理だ。
田嶋と絶えず衝突したのが最高責任者であるドンだ。
改善を訴える田嶋に「ここは中国だ。」の一言で
一蹴してしまう。

実はドンは原発の最高責任者であるが、
原発の開発で暴利を貪っている連中を
摘発すべく密命を受けて大連にやってきた。
ドンは共産党のエリートではあるが、
兄が天安門事件に参加したため、
恵まれた人生を送ってきたワケではなかった。
そして彼は党の有力者の娘と結婚し、
有力者の不正を摘発し続けることで
今のポジションを手に入れた。

田嶋は重要な部品の欠陥を見つける
それは暴利を貪る企業の関係会社で作られ、
決して許される品質ではなかった。
田嶋はドンの協力を得てなんとか問題を解決した。
衝突を繰り返す田嶋、ドンだが五輪までに
この原発を稼働させるという目的は同じだった。

さまざま問題を乗り越え田嶋とドンは信頼関係を築いていく。
そして阻害要因である企業のトップを排除する。

田嶋は日本での盟友である門田を呼ぶ。
門田は厳しいが優れた現場責任者だ。
田嶋、ドンの思い通りに動き始めた現場。

しかしまた問題が発生する。
門田の厳しさが中国では受けいられなかった。
工員に暴力を振るったと問題になる。
しかもそれがネット上に流れ大問題に。
”現場で日本人が中国人を暴行!!”

確かに門田は厳しかった。しかしそれは
原発を稼働させるには必要なものだ。
田嶋はドンに言われ泣く泣く門田を
日本に帰すことに。
友を守り切れなかったことを悔やむ田嶋。

田嶋は頑張って現場の規律を徹底させるが、
ラジオを持ち込み工員が続出する。
なんとか稼働できる状態にはしたが・・・
不安の募る田嶋。

そして五輪開催当日、最悪の問題が発生した。
良く現場を確認したところ嘘の報告があり、
致命的な嘘でありこのまま稼働したら
大事件が発生する可能性大だ。
ドンに掛け合うが、ドンにしてみれば
五輪の開幕式に電気が行かないなんて
あり得ない。田嶋とはいえ許されない。

ドンは田嶋を発電所から追放。
開幕式は無事終わった。
そして記念パーティに出席。

ついに田嶋の恐れた事が起きてしまった。。
原発で火事が発生した。
田嶋の諫言を聞かなかった自分を責めるドン。
火事は工員が持っていたラジオが発火したものだった。
原発内にどれくらいのラジオがあるというのだ!!

ドンは田嶋を呼び戻し事態の収拾を図る。
そして田嶋は自らの使命から原発を守ろうとする。
田嶋をみて己の浅はかを痛感するドン。
しかし原発の混乱は収まらない。
このままではメルトダウンが起こり取り返しの
つかないことが起きてしまう!!

そして田嶋とドンは原発を守るべく、
最後の戦いに臨む!!
− − − − − − − − − − − 

日本人技術者田嶋が中国で奮闘するこの物語。
最後の事故のシーンはグッときました。

物語は田嶋、ドン、そして天安門事件を撮ろうと
している女性映画監督が主人公。
成りあがったドンが自らの使命をかけて仕事に
臨む田嶋をみて己の人生を見つめなおす。

テーマとしては”希望”。
主人公それぞれが希望を見いだせるか。
事故の際にドンが言った”我々は世界最強コンビです”。
ちょっと感動。泣きそうになりました。

物語としては事故の途中で終わる。
この非常に厳しい状況を田嶋―ドンが乗り切った
かどうかは読者のご想像にお任せ。
しかし最後の書き方は”希望”が見えた感じ。

まあこの紹介だとすごい大雑把で、伝えきていない
ことが確実なんで一読をお勧めします。

仕事に命をかける男の生き様に溢れた大作でした。



告白

著 湊かなえ

話題の本を読みました!!
って結構、流行遅れな感もありますが
2009年度本屋大賞に選ばれた本です。

だいたいストーリーは知っていたけど
予想以上に重い話でした。
そして結構、考えさせられるラストでした。
というワケで早速、内容を紹介!!

− − − − − − − − − − − 

市立S中学1年B組では3学期の終業式のあとの
ミルクタイムが終わった。
そして担任の女性教師森口が教師が辞めると発表した。

ある生徒が「理由はあの事件ですか?」と聴いた。
”あの事件”とは森口の愛娘が学校のプールで死体で
見つかった事件のことだ。
森口が否定せず、その事件の真相を話し出した。

当初、事故と報じられたが殺人だった。
そして犯人はこのクラスにいる二人の少年だという。
少年Aが発明した開けると感電する財布で娘は感電させられ、
怖くなった少年Bは娘をプールに突き落としたのだ。

そして森口は恐ろしいことを口にする。
シングルマザーである彼女は娘の父親がHIVに感染している
ことを言い、父親の血液を少年A,Bの飲んだ牛乳に入れたという。
そして森口は教室を出て行った。

そして新年度が始まり2年となったクラスメイト。
少年Aは登校してきたが、少年Bは登校してこない。
新たに彼らの担任となったのは男性の熱血教師。
男性教師は少年Bのために授業のノートのコピーを
女生徒の美月と届ける。

そしてクラスでは少年Aのイジメが発生する。
きっかけは牛乳だった。
イジメはエスカレートして彼に牛乳を投げつける
クラスメートたち。
そんなクラスメイトの行動に疑問を持った美月だが、
イジメに参加しない彼女がイジメの対象となってしまう。
徐々に近づく美月と少年A。
そして美月は熱血教師を殺そうと企てるようになる。

少年Bにノートのコピーを届けていた熱血教師と
美月だが、ある日、事件は起こる。
引き篭もっていた少年Bが母親を刺殺したのだ。
自身がHIVに感染してしまったと思い発狂して
しまったのだ。

そして距離が近づく美月と少年A。
美月が薬品を集め、爆弾を作る計画を立てる。
そしてある日、少年Aは美月を絞殺する。

少年Aは爆弾をつくった。
2学期の始業式で彼は表彰される、その場で
爆弾を爆発させるのだ。
少年Aは父親と離婚して離れ離れになった実母に
会うために勤めるK大学に行くのだった。
そこで彼は信じたくない実母の行動を知る。
研究に打ち込むために自分、父親と離れたと
思い込み、誇りに思っていた実母。
しかし新たに結婚して新しい生活をしていた。
彼は失望する。

そのときが来た。少年Aは起爆装置である
携帯電話のボタンを押した。
しかし何も起きない。
爆弾の置いた場所を見る少年A。
爆弾がない。何故だ?
そのとき携帯電話が鳴った。
恐る恐る電話に出る少年A。

電話の主はあの森口だった。
爆弾をはずしたのは彼女だった。

そして彼女が全てを語った。
熱血教師は彼女と知り合いだった。
そして彼の行動は森口の助言という名の
指示で動いていたのだ。
そして実はあの日、牛乳には血が
入っていなかった。
そして彼女の口から恐ろしい一言が。
あの爆弾は爆発していた。
その場所は彼の母親の居るK大学だった・・・。


− − − − − − − − − − − 

今までは読了後の後味の悪さでは小川洋子さんを
超える作家はないと思っていたけど、
小川さんを軽く超えたね。恐るべし。
もし子供が居たら安心して学校に行かせる
事が出来ないな、こりゃ。

作品は女教師森口の生徒への恐ろしい復讐劇。
彼女の復讐により少年A,Bは母親を殺すという
行動をとってしまう。


ちょっとラストを読んだときにゾックときました。
怖いって。。。。
最後の数行の文章の凄みと言ったら!!
これは映像化したらダメだって・・・。

月並みにこの感想を書くと、彼女の復讐に対して
同情出来るかどうかだ。
彼女は少年Aに対する電話ではっきりと彼への
殺意を口にするが、彼の更生のため(?)
彼の作った爆弾、そして彼自身がボタンを押させる
ことで母親を殺させた。


彼女の復讐によって様々な不幸が生まれた。
全くもって罪のなかった美月。
そして少年A,Bの母親。
この罪のない人たちの命が亡くなった。


なにより彼らのクラスメイトだ。
彼らは必然のように少年Aをイジメた。
これから彼らは重くて苦い記憶と共に
生きていかなければならない。
(正直言うといじめっ子の気持ちは分からないが。)

あと思ったことは"言葉は暴力になり得る"。
彼女は"話すこと"で少年A,Bを地獄の底に突き落とした。
確かに彼女の言うとおり、この2人は幼くて、馬鹿だ。
でもね・・・。
いやー親殺しというテーマは重いっすね・・・。


ともかくもこれだけセンセーショナルな内容なら
話題になって売れるのは納得です。
それに読者を引き込む湊さんの構成、文章力は凄い。
最初に事件のあらましがあって、物語の語りべを
代えながら徐々に事件の真相が見えてくる。
そして並行して進む森口の復讐劇。
怖いーーー。怪談より怖いよーーーー。

というワケで読んで損のない作品だと思います。
但し中学生の子供がいる人は読まないほうが
精神的に良いと思います。



虚像(メディア)の砦

著 真山仁

”ハゲタカ”シリーズでお馴染みの
真山仁の作品。
2007年に文庫化されていたのだが、
やっと読もうかなぁ、と思って
手にとってみました。

てなワケで簡単に(?)ストーリーを紹介。

− − − − − − − − − − − 

舞台は1996年。
民放PTBで警視庁担当のサブディレクターとして活躍する風見。
家族で買い物に出かけようとすると、ライバル局の
東洋テレビでスクープが報道された。
”新興宗教による秋月弁護士一家殺害事件のきっかけは、教団幹部に
秋月弁護士のインタビューをみせた事によることだった。”

このニュースに驚く風見。この真偽を確認する。
なんとこのスクープは紛れもない事実だった。
しかし上層部はこの事実を隠蔽する。

秋月弁護士の娘の家庭教師をしていた学生の織田馨。
”PTBはビデオをみせていません。”
PTBの報道を聴いた織田馨は愕然とする。
この瞬間、彼女は報道という仕事に失望する。

風見と同じくPTBで働く黒岩。
”報道のPTB”という評価のなかでお笑いを
担当し、高視聴率番組を作り上げた。
売れない落語家・桂亀の輔とタッグを組み
作り上げた、亀の輔は幼馴染でもあった。

番組が高視聴率のなか亀の輔と飲む黒岩。
亀の輔が番組降板を申し出てきた。
理由を聴くと最初は”理想の笑い”を実現
出来ていたが、最近はそれから遠ざかっている。
それに本業に力を入れたいという。

そして決定的な理由として、彼らの番組が
”子供にみせたくない番組”で常に1位になっていた。
世間の評判を気にするPTBは、番組を改善する
象徴として亀の輔を降板させるという。
これはすでに上層部の決定らしい。
これを聞いた黒岩は怒り、店を出ていたった・・・。

時は経ち、200X年。
PTBの報道のエースとして活躍する風見。
かねてからつながりのあるNGOから中東で邦人が
誘拐されたという情報を入手した。
この特ダネを報道するか悩むPTB。
そうしている間に他局にスクープとして
先を越されてしまったのだ。

これを挽回すべく特別チームを組むPTB。
特別番組を無理矢理にバラエティー番組を
潰してしまった。
これで面子を潰されたのは同じく大活躍の
黒岩だった。その結果、大手プロダクションに
お詫び周りをする羽目に・・・。
そんななか風見からお詫びのメールが着た。
互いに面識はないが、真摯なお詫びだった。
報道に馬鹿にされてばかりのお笑い担当と
して、このような対応された黒岩。
このメールに感動を覚えるのだった。

誘拐事件は全くゴールが見えない。
誘拐された邦人の家族が、誘拐犯が要求する
自衛隊の撤退を訴えると世論が変わった。
誘拐された邦人の”自己責任”を責める
論調が高まってきたのだ。
PTB含むテレビ局の報道も影響していた。
これに不信を覚える風見。
調べていくと、これは支持率不振を極める
石動政権から報道に圧力を加えていた。
反石動政権のPTBとしては、石動政権の
責任を問う報道を始めた。

1996年、学生だった織田は警視庁に入庁。
女性キャリアとして出世を重ねた。
そして現在は人材交流として総務庁の
放送局の監視をするポストを勤めている。
PTBの放送の偏重から与党の政治家から
苦言を呈される。だんだんと政治家、
総務省、テレビ局の歪んだ関係が
見えてきた。

誘拐事件に進展が見えない中、
風見は中東行きを決意する。
そして見事に邦人の解放を
スクープとしてレポートして見せた。
そして現地で見たのものは政府の
高慢な態度だった。
風見は日本に帰り、この誘拐事件を
振り返るべく渾身の報道番組を作った。
局内で試写会を行い、大絶賛の嵐。
とうとう放送か、というときにPTBに
大激震が走る。

PTBの粉飾決済が問題となり
検察が動いたのだ。
これは紛れもない事実であり、
長年の総務省とPTBの癒着にも
問題があったのだ。
それ以上にPTBの報道を苦々しく
思っていた政治家が潰しに
かかってきたのだ。

この状況で風見はPTBを救えるか?、
報道マン風見の大逆襲が始まる!!
− − − − − − − − − − − 

ほらね、簡単に説明できなかった。。。。
ストーリーも複雑で、登場人物も多かった。

明らかにどこのテレビ局がモデルになっているか
わかる感じが素敵ですかね。
新興宗教の名前を書きませんでしたが、
明らかにあれです。

そして沢山のキャラクターが登場します。
風見の手がける利発的な女子アナ、
反政府のキャスター等々。
書くとキリがない。

簡単に述べると、政治と総務省と
テレビ局の歪んだ三者の関係性、
これがこの作品のテーマ。
テレビ局の内部の争い、問題点を
描きつつも風見や黒岩のテレビマンとしての
誇りを賭けた行動を通して、テレビ放送の意義も描く。

紹介だと風見だけが活躍しているようだけど、
実際は黒岩、織田も大活躍。

黒岩はバラエティのプロとして理想の笑いを
追い続ける。
24時間テレビの司会者を誰にするかで
大手プロダクションともめたり。
本当にそんなことあるのかなぁ。

織田も官僚としてPTBに大きく
関わっていく。そして自らの正義を貫く。
風見の作った報道番組のビデオを
武器に与党の政治家に戦いを挑む。

これは作者が巨大なメディア出身
だからこそ書ける作品かなぁ、
なんて思いました。



終末のフール

著 伊坂幸太郎

久しぶりに伊坂作品を読む。
今回はミステリー要素なし。
爽やかな感じ。
という事で作品を紹介。

− − − − − − − − − − − 
8年後に小惑星に衝突して、地球が滅亡する。
そう予告された人類。
絶望した人類はパニックに襲われ治安は悪化。
5年後、小康状態になった。
そしてここは仙台北部の団地「ヒルズタウン」。
あと3年後に人類は滅ぶ。
住民は様々思いで日々を過ごす。

・息子の自殺から疎遠になった娘と父親。
家族の絆は戻るのか。そのためのささやかな
母親のついた嘘とは。。

・不妊治療の成果でやっと妊娠が分かった夫婦。
生まれても3年しか生きれない命を産むべきか?

・自殺した家族の恨みを晴らすべく、自殺に
追い込んだキャスターを殺しに行く兄弟。
彼らの恨みは晴れるのか。

・両親が自殺し、取り残された女性。
父親の書斎に篭り読書をしていた。
しかし読む本が無くなった。
ふと気付く「恋をしていない・・・」。
彼女は運命の人に出会えるか?

・ストイックにキックボクシングの
練習に勤しむかつてのチャンピオン。
そしてそんな彼に憧れる練習生。

・自殺を決めた元会社社長。
死ぬ前に天体オタクの同級生に会う。
そして彼はなに思う。

・女優の夢が潰えて、地元の仙台に
戻ってきた女性。彼女は演じる事を
辞めない。

・レンタルビデオ屋を営む男。
彼の父親は団地の屋上に櫓を作っている。
最後の最後まで諦めない父親。
ほぼ完成した櫓の上から見えた
景色から見えたものは?

− − − − − − − − − − − 

という感じの爽やかな短編集。
と言っても人物が繋がっていきます。
すべての作品が"○○の○ール"、
という名前になっています。

3年後に地球は滅亡するという
状態の中で彼らは何を考えて、
どう行動するか。
それぞれの死生観がテーマに
なっている。

ストーリは違えども、
"死神の精度"を読んだあとの
爽やかな感じを受けました。
あ、映画のフィッシュストーリー
はこの作品の設定を借りたワケね。

それと登場するキックボクシングの
チャンピオンは武田幸三がモデル
だってさ。確か"砂漠"にも出てきた
ような記憶が・・・。

なんですかね、伊坂作品の読了後の
この爽やかな気分。
この作品は劇的にストーリーが展開しない。
そして3年後に地球が本当に滅んだか、
言及していない。
静かに彼らの日々を描いている。
やっぱり伊坂作品は止められないね。



魔王
モダンタイムス

著 伊坂幸太郎

書こう、書こうと思って書いていなかった
この2作品の感想文。
実は"魔王"を読んだときに読んだときに
感想文を軽く書いたがイマイチ上手く
まとめられたなかった。
(いつも通りじゃん、という感じだけど)
そして続編(?)のモダンタイムスを
読んだら何となく書けそうなんで
書こうと思います。
(**注意− とっても長文デス!!**)

− − − − − − − − − − − 

"魔王"前半
主人公は安藤。普通のサラリーマン。
両親は子供のときに亡くしており、
弟の潤也、弟の彼女の詩織との3人住まい。
3人仲良く暮らしている。

あるとき安藤は自身の超能力に気付く。
それは"腹話術"だ。
自身の思ったことを他人に喋らせる
事が出来るのだ。
電車では老人、会社では同僚に試した
ところどうやら本当に使えるらしい。
潤也、詩織を実験台に能力について
実験したとこと自分の歩幅30歩に
いる相手まで有効みたいだ。

時代は混乱している。
日中関係、日米関係は悪化。
そしてアメリカで日本対アメリカの
サッカーの試合が行われたのだが、
試合後に日本代表の選手が殺される。
これをきっかけに国内の反米感情が
一気に爆発してしまう。
安藤の近所に住んでいる日本に帰化した
アメリカ人アンダーソンの家が
放火されたり、ファーストフード店の
看板が燃やされたり。

そんな世論を扇動しているのが野党の
未来党の若き政治家犬養だ。
過激な発言を繰り返し、宮沢賢治の詩を
引用し、世論を煽る。

安藤はそんな犬養を見る度にムッソリーニ
を思い出してならない。
そして犬養が国民の支持を得ていくことで
"ファシズム"の恐怖を感じてしまう。

そして安藤は腹話術で犬養と対決する
ことを決意する。街頭演説を行っている
犬養に腹話術を使うのだ。
安藤は犬養の演説に熱狂する群集の
中に入り、犬養との距離を歩幅30歩
まで近づいた。そして腹話術を使った。
「私を信用するな!」
しかし熱狂は収まらない。
そんなとき安藤の意識が遠のく。
脳溢血だった。
弟の事を思いながら、安藤の人生は終った。

"魔王"後半

安藤の死から5年経った。

潤也と詩織は結婚した。
そして済んでいた東京を引き払い、
仙台に居を移した。

潤也は猛禽類の調査を行う仕事に
就き、詩織も派遣会社に登録し
共働きをしている。
彼らは安藤の死から新聞、インターネット
等の情報を一切遮断して生きていた。

安藤の死から潤也に変化が現れた。
運がつき始めたのだ。
ジャンケンで負けない。
他愛のないことだが、気になった2人は
競馬場に行くことに。
どれだけついているか確認するため。
その結果、どうやら10分の1の確率の
ものは百発百中に当てられる。

時代と言えば、未来党の犬養が総理大臣
になり景気も回復した。

潤也は毎週末、東京に出るようになった。
そんな潤也を疑う詩織。そして貯金通帳を
見つけてしまう。なんと残高1億円!!
潤也は能力を使い黙々と金を貯めていたのだ。
潤也に確認をする詩織、すると肯定も否定も
せずに「お金で人を救えることは出来るかな?」

そんな会話をしていると、詩織は亡くなった
安藤がオオタカになって2人を見守って
くれている錯覚に陥る。
"お兄さん、元気ですか?"
そのとき空を飛ぶオオタカが鳴いた。

モダンタイムス

話は変り"魔王"の舞台から50年後の日本。

主人公はごく普通のSE渡辺拓海。
ある日、彼は自宅でイスに縛られていた。
そして見ず知らずの男に脅されていた。
"あんた浮気しているんだろ?"
どうやら妻に浮気がばれたみたいだ。

そして浮気相手の名前を言わないと
爪を切り落とすと脅された。
仕方なく浮気相手の名前を言い、
開放してもらうことが出来た。
妻は恐ろしい、一般論ではなく
本当に怖いのだ。
何の仕事をしているか分からず、
経歴も怪しい。
そして浮気一つでゴロツキを雇い、
拷問をかけるのだ。

妻に怯えながら会社に行くと、
嫌味な上司から新たな仕事を命じられる。
"ゴッシュ"という会社の仕事を請け負うことに。
本来は出来る先輩の五反田の仕事だったが、
何故か五反田は失踪してしまった。

ゴッシュの発注はさほど難しいものではなく、
五反田ほどのSEが仕事を投げ出したか分からない。
しかし問題はゴッシュとの連絡はメールのみ、
電話番号すら分からない。
営業に聞いても、担当者が失踪してしまった。
念のため五反田に連絡する渡辺。
そのとき五反田に釘を刺される
「見て見ぬふりも勇気だ。」

良く分からないまま、仕事をこなして
いくと不思議なプログラムに出会った。
つい解析してしまうのがSE気質。
ということで解析を進めると色々と
分かってきた。
ある単語を検索すると反応するようだ。
"播磨崎中学校"、"安藤商会"、"個別カウンセリング"
この3つの単語だ。

渡辺のピンとくる言葉は"播磨崎中学校"だ。
5年前起きた事件の現場だ。
播磨崎中学校に9人の銃を持った人間が
現れて1クラス全員の生徒が殺された。
そのとき用務員だった永嶋丈が現れて
犯人を銃殺したのだ。
そんな永嶋は国会議員になった。

どうやらこの3単語の検索をすると
危ない目にあう事が分かってきた。
心優しい部下の大石は痴漢に間違われ、
渡辺を拷問したゴロツキの岡本は
自宅に火を付けられた。
そして嫌味な上司は自殺をしてしまった。
五反田もこれに巻き込まれたのでは?

渡辺は友人の作家である井坂に相談。
井坂は播磨崎中学校についての本を
書くため、調査をしていた。そして
安藤商会についても調査をしていた。
井坂は安藤商会という名の会社が
ある岩手の山奥に行ったのだが、
突っ返されたらしい。

渡辺は安藤商会に行って見る事に。
安藤商会は安藤潤也という老人がやって
いる何をしているか分からない会社だ。
そして安藤は安藤詩織という老女に会う。
どうやら安藤潤也は亡くなっていた。
奥さんの詩織は潤也との人生を語ってくれた。
安藤潤也は常人では考えられない能力で
競馬、競輪で沢山のお金を作っていた。
兄の仇とも言える犬養とも接点を持っていた。

そして驚くことに渡辺は安藤潤也と
血縁関係にあったのだ。
この血縁関係の人間は超能力を持って
いるらしい。ということは自分も?

そしてもう一つ重要な事実を知る。
播磨崎中学事件で亡くなった生徒の
父親が安藤商会に身を寄せていた。

東京に帰った渡辺。周囲が騒がしくなる。
岡本が拷問されているビデオが送られてきて、
井坂が女性に刺されて亡くなった。

そして五反田と再会。五反田は失明していた。
五反田は渡辺に提案する。
"事実を確かめるために永嶋丈に会いに行くぞ"
ということで渡辺、渡辺妻、五反田、大石の
4人は永嶋丈に会いに空港に出かける。
永嶋を見つけたが渡辺、五反田、大石は捕まる。
なんとか渡辺の妻は逃げれたが。

どうやら事実に近づくものは拷問にされる
システムらしい。そして永嶋丈から戦慄の
事実が語られる。

そして物語は衝撃の結末を迎える。
− − − − − − − − − − − 

うー、長くなった。。。
伊坂幸太郎が世に問う問題作だ。
ボリュームが凄かった。

ここまで長文を書いておいて
こんな事を書くとなんだが、
完結にまとめるとこんな感じ。
- - - - - - - - - - - - - -
@安藤兄、腹話術を覚醒。
世の中を変えようとしたが失敗。
A安藤弟、"運"が覚醒。
頑張ってお金を貯める。
B半世紀後、親戚の渡辺くんが
不倫をして妻に殺されかける。
そして世の中の真実に近づく。
- - - - - - - - - - - - - -

"政治"というテーマで書かれた超大作。
主人公が政治家ではなく普通の市民だ。
そして登場人物が超能力を持っていると
いう伊坂ワールド全開だ。

まずは作品のタイトル。
"魔王"は"誰が魔王か?"ということ。
読んでいると犬養みたいだったが、
途中から分からなくなる。
安藤兄かもしれないし、安藤弟かもしれない。
このモヤモヤがハッキリするのが
"モダンタイムス"だ。
タイトルはチャップリンの映画から。
チャップリンが歯車に巻き込まれるシーンが
印象的な映画だ。
みんな世の中のシステムを動かす歯車の
一つに過ぎない。
この作品では犬養、永嶋、そして安藤兄弟もだ。
つまりは"魔王"はいない。
これが私の解釈ですがどうでしょうか?
結局のところ"魔王"は"モダンタイムス"
の序章に過ぎなかった。
だからちょっとしたモヤモヤが晴れなかった。

誤解を与えるといけないので書いておきますが、
この小説では政治的な意見を押し付けるものではない。
ただ時代のなかで主人公達がどう考え、行動したか
という話だ。だから基本的には娯楽小説。
強いてメッセージとしては安藤兄、渡辺が
口にする"考えろ考えろ"かもしれない。

ユニークな点と言えばモダンタイムスで
渡辺の友人として現れる作家井坂好太郎。
もちろん洒落ているのだろう。
作品で井坂が「人生は要約できない」
というけど、本当にそうだと思う。
あと自身の小説が映像化されることについて
ちょっと厳しいことを書いてあった。
本音かなぁ。

そしてSE気質であるために事実に近づいて
しまう渡辺、五反田、大石。
これは作者自身はSEだったから書けたの
かなぁ、と思ってみたりします。

"モダンタイムス"で安藤潤也の人生も
ハッキリして良かった。
不明な点は"モダンタイムス"で出てくる緒方と
"魔王"のドゥーチェのマスターが同一人物か?
どうもハッキリしなかった。
安藤兄のことも知っていたし多分そうだろけど。
何よりも渡辺の妻が何者か?ってことかなぁ。
最後まで分からなかった。

良い忘れたけど"死神の精度"の千葉も出演してます。

本当に長くなったが、伊坂幸太郎らしいユーモア
に溢れた作品なのでテーマなどは深く考えず
楽しく読むことをおススメします。



天地人

著 火坂雅志

昨年末に読んだ、"篤姫"に続き今年も
来年の大河ドラマの原作を先取りだ!
主人公は謙信亡き後の上杉家を
支えた直江山城守兼続だ。
歴史好きだけど恥ずかしながらあまり
知らない人物。
読んでみて、こんな人も居たんだなぁ
と勉強になりました。
というワケで作品を紹介!
(**注意− とっても長文デス!!**)

− − − − − − − − − − − 

時代は1576年。
ある兄弟が川中島の妻女山に居た。
兄は主人公である後の直江兼続である樋口与六兼続(17歳)。
弟は与七実頼、後に兄と上杉家を支えていく。
ともに上杉謙信の家臣だ。

2人は敵情視察のため武田家の領地に入っている。
兼続は主君であり、師である謙信が十数年前に
戦った川中島を見て感慨にふけるのだった。

2人は病気の母親のために善光寺参りをすることに。
(何度も言いますが善光寺は武田領・・・・。)
そしたら案の定、武田家の兵士に見つかり逃げることに。
そんな2人を助けたのは"ノノウ"と呼ばれる巫女の初音。
初音のおかげでなんとか越後に帰れた2人だった。

さて越後で兼続と言えばエリートコースまっしぐらだ。
子供の頃からその才能を認められ、謙信の甥っ子である
長尾顕景(のちの上杉景勝)に仕えていた。
顕景と兼続は同年代ということもあり、主従の関係以上の
友情を結んでおり、いわばツーカーの関係。
長尾顕景が謙信の養子になったことで、故郷を離れ
謙信のいる春日山城に行くことになった。
そして景勝とともに春日山城に行った兼続。
ここでも謙信に才能を認められ寵愛を受ける。
そして謙信から英才教育を受ける。

なにより謙信が兼続に伝えたのは"義"。
"義"こそが上杉家の家訓なのだ。
謙信の教えを受けて大きくなる兼続。
そして謙信が亡くなった。

カリスマ上杉謙信の下、一枚岩だった上杉家
だったが跡継ぎ争いが始まる。
候補は2人。一人はもちろん兼続の仕える上杉景勝
あと一人は北条家から養子に入った上杉景虎
上杉家は真っ二つに。
春日山城を押さえた景勝が有利な状況だったが、
内乱が長引き状況は五分五分に。

そんな状況をみた甲斐の武田、関東の北条家が
越後に攻め入ってきたのだ。
景虎と実家の北条家が手を結んだら景勝に勝ち目はない。
しかも結果的に上杉家は北条家に乗っ取られる。

圧倒的な不利な状況の中、弱冠21歳の兼続が
ウルトラCの作戦に打って出る。
それは"武田家との同盟"だった。
確かに仇敵との同盟は厳しいがこれしかない。
相手側の武田家も信玄亡き以後、長篠の合戦で
織田、徳川に負け状況が厳しい。
お互いに利益のある同盟だ。
そしてこれが功を奏し、北条家は退却し
景虎は自害して果てた。
そして上杉景勝が謙信の後を継ぐことに。

兼続は功から21歳ながら上杉家の家老に。
景勝は兼続に絶対の信頼を置き、実質的には
上杉家はこの21歳を中心に動くことに。

さすがに若い兼続に対して風当たりは強かった。
そんなおり上杉家の重臣直江信綱が
刃傷沙汰でなくなってしまう。
景勝は兼続に直江家に婿養子に入るよう命令。
これは若い兼続に名家の当主という重みを
つけてあげる景勝の気配りだった。
そして未亡人のお船(おせん)と兼続は結婚。
直江家を継ぎ樋口兼続から直江兼続となった。
これよりお船と兼続は仲良く生涯をともにする。

さて武田家との同盟を強め、上杉家にも平和な日々が
続くと思いきや武田家が織田信長に滅ぼされる。
信長の次の標的はもちろん上杉家!!
大軍勢の織田家に上杉家は窮地に追い込まれる。
若き家老兼続が上杉家のため戦う。
そんなとき織田軍が退却を始めたのだ。
なんと信長が本能寺で亡くなった。
強力な織田軍もカリスマの死でバラバラに。

織田家の後継者に注視する兼続。
柴田勝家が後継者になると思っていたが、
なんと織田家を引き継いだのは羽柴秀吉。
力を強める秀吉。そんなおり秀吉から上杉家に
同盟を持ち込まれる。北陸に居座る柴田勝家が
目障りな上杉家としては願ったり叶ったりだ。
秀吉と会い兼続は人物の大きさに驚く。
家臣の石田三成とも会い大いに共感しあった。
そして秀吉と上杉家は同盟を結ぶ。

秀吉がとうとう天下を獲った。
上杉景勝は五大老として豊臣を支える。
主君景勝と京都デビューをした兼続。
カッコよく、頭が切れ、風流が分かる
男として名を馳せるのだった。
そのなかで諸侯や千利休とも交流を深める。
でも暴走気味の秀吉、三成に不安を覚える兼続。

そんななか兼続にとっては急転直下の事態が。
なんと慣れ親しんだ越後から米沢に国替えに。
謙信が守った越後を離れるのは不満であったが、
時代の勢いを考えると仕方なく応じる。
上杉家は120万石を抱える大大名。
豊臣家の中でも家康、毛利につぐ実力者に。
執政の兼続もなんと30万石!に封じられる。
しかし家臣風情が、ということでこれを辞退。
でも6万石の大身にまで上り詰めた兼続。
そして朝廷から官位まで賜るまでに。

そして秀吉が亡くなる。。。。
豊臣を任された景勝は前田利家と共に
徳川家康を抑える役割を担う。
秀吉に続き前田利家が亡くなると家康と
石田三成との衝突が避けられない状態に。

もちろん上杉家は反徳川。
"義"を通さない家康に組するなんて
考えられないのだ。
そんななか家臣の一人が反徳川の
雰囲気に反旗を翻し出奔。
徳川家に"上杉家は謀反を企んでいる!"
と通報、怒った家康はなんと上杉景勝では
なく直江兼続を名指しで質問状を送る。
兼続はその傍若無人な質問状に対して後に
"直江状"と呼ばれる見事に家康の"不義"
を突いた返信を送る。
そしてこれが関が原の戦いの引き金となる。

烈火の如く怒った家康は上杉家討伐の軍
を諸侯で結成した。
なんとここまでは兼続の作戦通り。
家康が出兵したあとに石田三成が反徳川軍を
決起させ、徳川軍を上杉軍と挟撃するのだ。
徳川を破り、上杉家が天下に名を馳せる。

しかし三成が決起のタイミングを誤る。
早すぎたのだ。そして徳川軍と石田軍が
関ヶ原で激突する。

上杉家は後ろに徳川寄りの伊達政宗が
いるから動くに動けない。
しかし兼続はこのタイミングを逸したら
天下を獲れない事が分かっているので
強引にでも挟撃する決意をしたのだ。
しかし兼続は動けなかった・・・。
ここまで兼続のやることを全て許してきた
景勝が兼続の動きを止めた。
まさかの主君の待ったに涙を流す兼続。
理由は逃げる敵の背を攻めるのは"義"に
背くからだ・・・・。
これで上杉家の反徳川への戦いは終わりを告げる。

時代は豊臣から徳川へ。
反徳川だった上杉家は120万石の所領を
なんと
30万石まで減らされてしまった。
そして兼続も変った、というか上杉家存亡の
ために変らざるを得なかった。
家康にケンカを吹っかけた男が、徳川家の
重臣の本多正信に取り入った。
あまりの変節にこれまで支えてきた
弟が兼続を見限ってしまう。
しかし景勝と兼続の2人は何を言われても
"上杉家のため"に徳川に気に入られようとした。

大坂夏の陣を経て、天下は徳川のものとなった。
そして21歳から上杉景勝のために働いた
兼続は60歳の生涯を終えた。

− − − − − − − − − − − 

以上が兼続研究の成果です、なんちゃって。
作品としては読みやすく、面白かったのが
正直な感想かな。

兼続と上杉景勝が如何に動乱の時代を乗り切った
かというお話ですね。
正直言って、謙信以降の上杉家は知らなかった。
"景勝がイマイチだったから、上杉家は没落
したんじゃないか?"と思い込んでいました。
スイマセン。兼続と上杉景勝に謝ります。

話の大筋は紹介した通りですが、作品では
兼続と真田幸村や"ノノウ"の初音、千利休との
交流が描かれていて面白かった。

兼続の人生のハイライトはやはり関ヶ原。
"直江状"の件なんて痛快なわけです。
結局は海千山千の家康には勝てなかった。
関ヶ原前の動きは表面上は紹介したとおり
なんだけど、そのときの家康の深謀遠慮
はとても凄いモノがあった。

しかし関ヶ原のとき上杉軍が動いていたら・・・。
でも組んだ相手が石田三成という時点で兼続の
人物眼がイマイチだった感は否めない。
石田三成は本当に優秀な武将だったことは
間違いない、政治的理念もあった。
ある程度、平和な時代に収束して
いくときは実力を発揮できる。
しかし関ヶ原前後の激動の時代では三成に
付くか、家康に付くか考えると答えは
明らかだったとおもう。
兼続と上杉家の基本理念である"義"が
最終的には全て裏目に出た結果だ。

でも"義"という信念があったこそ、上杉家は
武田家、織田家のように没落しなかった、
そして新しい時代に対応することが出来た。
これは凄いことであり
上杉謙信 <= 上杉景勝 + 直江兼続
ということは間違いないと思う。

それにしても上杉家は謙信のときの
宇佐美定満と言い、智将が出る風土が
あったのかなぁ、と思ったりしました。

来年の大河ドラマが期待出来そう!
というのが今回のシメです。
(長文になり過ぎた・・・・。)



ゴールデンスランバー

著 伊坂幸太郎

やっと読んだよ"ゴールデンスランバー"。
今年度の本屋大賞をとった作品だ。
早速、本編を紹介だ。

− − − − − − − − − − − 

舞台は首相公選制が布かれた日本。
そして場所はもちろん仙台だ。

主人公は青柳雅春。ある日、青柳は大学時代の
旧友である森田に呼び出させる。

大学時代は青柳、森田とともに樋口晴子、
後輩のカズとよくつるんでいた。
一時期、青柳と樋口晴子は交際していた。
現在、樋口晴子は同姓の男性と結婚し
一女を出産し、幸せに暮らしている。

森田は青柳に言うのだった。
「おまえははめられている逃げろ。」
「オズワルドにされるぞ。」
この日、仙台出身の金田首相の凱旋パレードが
行われる日だった。

そのとき遠くで爆音がした。
パレード中の金田首相にヘリコプター型の
ラジコンが近づき、爆破した。
金田首相は即死した。

森田に逃げ出すように促され、逃げる青柳。
逃げるが会う警察に銃を向けられる。
必死に逃げる青柳。

青柳は現在、無職だ。ただ2年前までは
配達運転手だった。
運転手時代に強盗にあったアイドルを
助けたことで、時の人となった。
青柳の謙虚な姿勢が世の中の人たち
の心打ったのだ。

必死で逃げる青柳だが、森田の車が
爆発して森田が亡くなった。
そして後輩のカズを頼ろうとしたが、
警察に先周りされ、カズが暴行された。

必死で逃げる中、青柳は首相殺しの犯人と
して大々的にマスコミが取り上げ始めた。
もともと知られていた青柳だけに、
すぐに知れ渡ってしまう。
追い込まれる青柳。

カズを助けに行ったときに遂に
青柳は警察に捕まってしまう。
これまでか、と思った青柳に救いの手が。
なんと仙台市内を恐怖に陥れている
通り魔"キルオ"が助けてくれた。
そしてなんとか休むことが出来た。
何故かキルオは青柳を助けてくれる。

次に青柳はかつての会社の先輩に
自分を運ぶように頼む。
快諾してくれたのだが、何故か
その情報が漏れて警察に囲まれる。

なんとか逃げる青柳はかつて大学時代
に車を放置していた場所に向かう。
その車はエンジンがかかった。
これはかつての彼女、樋口晴子が
バッテリー交換を行ってくれていた。

さまざまな人の助けで逃げる青柳。
逃げる中で一つの疑問が生じる青柳。
自分が犯人とされる証拠となった防犯カメラの
映像で、間違いなく自分ではないものがあった。
自分の偽者がいるのでは?

偽者を探す中で真実に近づいていく青柳。
そして遂に彼はテレビカメラの前で
無実を訴える覚悟を決める。
事件発生から三日目の午前4時。
青柳は仙台市役所前の中央公園に現れる。
そのとき・・・・。

− − − − − − − − − − − 

すげー感動したよ。
本の帯に"現時点での集大成"とあったけど3章までは
"確かに面白いけど、"重力ピエロ"や"アヒルと鴨"の方が
面白いし、感動するよ。"と思っていた。
でも4章を読んだら凄い感動してしまった。
ラストの13ページは味わって読むべし!!

この青柳の逃亡劇のなかで監視社会の恐怖を
描いている今作品。
作品のなかでセキュリティポッドなるモノが
登場する。街中を監視するR2-D2みたいなモノ。
カメラで街を監視し、電波を傍受する。
青柳はセキュリティポッドから逃げることとなる。
ノリとしてはモダンタイムスの同じですね。
モダンタイムスについても今度、書きますが。

監視社会の恐怖だけで終らないのが
伊坂作品の良いところだ。
この作品で大事なのは"絆"だ。
青柳の逃亡を様々な人が支える。
大学時代の仲間、バイト時代の社長、
何故か通り魔、敵とも言える警察官。
そして息子の無実を信じる両親。
森田の言葉が胸を打つ。
"人間の最大の武器は、習慣と信頼だ。"
その信頼が彼を支えていく。
この小説の肝はきっとこれだ。

個人的にベストシーンは4章の青柳の
実家で"痴漢は死ね"と書かれた
手紙見て母親が嗚咽し、
父親が涙をこらえるシーン。
ちょっとグッときたね。

この作品も数年後に映画化されそう。
個人的にはじっくりと連続ドラマで
観てみたい気がするかな。

最後にこの作品の感想を一言で表すと。
"たいへんよくできました"
(読んだ人しか分からないか・・・)



容疑者Xの献身

著 東野圭吾

久しぶりに読書感想文を書いてみる。
実は沢山の本を読んでいて、
面白い本もあったけど書く気が起きず。

なんかヒマになって、精神的に落ち着いて
きたから書こうと思う。
で今回のテーマは!!

てなワケで東野圭吾さんの"容疑者Xの献身"だ。
お馴染みの"探偵ガリレオ"シリーズ。
シリーズ初の長編にして、直木賞を受賞した
記念碑的な作品だ。
今秋には映画化も決まっている話題作。
そんな作品がやっと文庫化。

長い前フリは置いといて、作品を紹介!!
(映画を観たい人はネタバレになるから
読まないほうが良いです。)


− − − − − − − − − − − 
〜ここまでのお話〜
凄腕刑事、草薙俊平は不可解な事件になると
親友・湯川学を訪ねる。

湯川は帝都大学準教授。長身で色白。
黒縁眼鏡をかけた秀才タイプ。
物理学の世界では超が付く天才。
草薙−湯川コンビは様々ナゾを解いてきたのだ。

*ここからが本編。

天才数学者でありながら、家庭の事情で
いまは高校で数学を教える石神。
そんな彼はお隣さんの花岡靖子に密かに
思いを寄せている。
花岡家は靖子、娘の美里の母子家庭。
靖子に会うことを目的に今日も、
靖子が働く弁当屋に通う石神。

そんなある日。
靖子のかつての夫である富樫が現れる。
このダメ男は例の如く、靖子に金を
せびりに来たのだ。
そして金を渡して帰るように言う靖子。
そして事件が起こる。
美里が花瓶で富樫の頭を殴った。
激昂した富樫は暴れる、命の危険を
察知した靖子は電気炬燵のコードで、
富樫の首を絞めた。
そして富樫は死んでしまう・・・。
("はぐれ刑事"っぽい事件だね・・)

途方に暮れる花岡親子。
そんなとき、いつも弁当を買いにくる
お隣さんがぶらっと訪れてきた。
なんか騒がしいから、見に来たらしい。
"何にもない"と石神に告げる靖子。
しかし石神には全てばれてしまった。。
"女性だけで死体の処理は無理ですよ"

仕方なく石神に全てを告げた靖子。
そして石神は彼女達の犯罪の隠蔽に
協力することになった。

そして2日後。
旧江戸川の堤防で男の死体が見つかった。
死体は顔が潰され、指紋が分からない
ように手が焼かれたいた。

警察はこの身元不明の死体の身元を
調査し始める。
その結果、ここ数日間に連絡が
取れていない富樫という男だった。
この事件の担当は草薙になった。

富樫の身辺を洗う草薙。
富樫には離婚した女性がいた。
花岡靖子だ。
花岡靖子の身辺を調べる。
石神という隣人に聞き込む。
そこで母校・帝都大学からの郵便物が。
気になった草薙が聴くと、石神は
帝都大学出身だった。

靖子は警察の調査に協力していた。
そして石神の指示通りに答えていた。
指示通りに答えればアリバイは完璧だ。

事件の進展がなく、愚痴をこぼしに
帝都大の湯川研究室を訪れる草薙。
そして帝都大出身の石神という男に
会ったことを湯川に話す。
そうすると湯川が"あの石神か!"。

湯川と石神は同級生だった。
湯川が物理科、石神は数学科。
話したことはわずかだが、
互いに天才と認め合った仲だ。

事件のことはさておき、
石神に会いたくなった湯川。
草薙から石神の住所を聴き、
石神と20年ぶりの再会をする。
石神も高等な学問の話を出来る
旧知との再会に喜ぶ。
石神の部屋で2人で飲み明かした。

帰るときに石神が言ったこと
から石神に疑いを持つ湯川。
草薙には何も言わず石神の
身辺を調査を始める湯川。
そんな友人に不信感を持つ草薙。
2人の固い友情に溝が生じ始める。

石神と花岡靖子の共犯なら、
この完全犯罪があるかも。。
辛い思いで調査を続ける湯川。
草薙と一時的な和平を結び、
情報を得る湯川。
そして湯川には信じたくない
結論に辿りついてしまった。

そんなとき石神が警察に出頭した。
"私が富樫を殺しました。"
ショックを受ける湯川。
警察の調査結果と合致する供述。
"ストーカー"石神は一方的な
片思いから靖子の元夫を殺した。
全てが上手く繋がる。
片や新しい恋人にプロポーズされ
幸せの絶頂にいる靖子。

"本当の"真実を知る湯川は全てを草薙に告げる。
それは共犯者の靖子も知らない事だ。
自分が出頭することも全て計画通りだったのだ。
自分をストーカーと貶めても靖子を守った石神。

せめて石神が守りたかった靖子を守りたい湯川、
警察として全てを暴く必要のある草薙。
2人の友情をかけて全てを靖子に話す湯川。
靖子の行動の一つで2人の友情は壊れる。
靖子が本当を話しても石神は救われない。
それだけの事を石神はやってしまった。
ここで石神の苦労を壊していいものか、
自分は本当に幸せになっていいのか?
そんなとき娘の美里が自殺未遂をしてしまう。。。

湯川は石神と会う。"ストーカー"かつ"殺人者"
を自ら装い悪びれる石神。
そんな石神を見て、切なくなる湯川と草薙。

接見が終ったあと、石神が見たもの。
それは全てを話す靖子だった。
完全なる犯罪計画は崩れ去った。
最後の最後で靖子を守れなかった・・・。
「石神さんだけ悪者に出来ない・・」
靖子は石神に土下座をして謝る。
石神は涙をこぼし吼える。。。
抑えようとする警察。
そのとき湯川が警察の前に立ちはだかる。
「せめて泣かせてやれ・・。」
最後は石神に優しく接する湯川がいた。

− − − − − − − − − − − 

というお話でした。
結構、面白かった。というか切なかった。
なんか話の途中から、こりゃかなり
切ないオチになると予想出来た。
予想通りだったんだけど、そこまで
切なくなるとは・・・。

普通で完全犯罪をやる犯人は事件を
起こして、そのあとは何食わぬ顔
で逃げ切る事だ。
しかし天才数学者・石神は違った。
愛する靖子親子が幸せになること、
それだけではない。
石神が辿りついた数学の本質、それは
論文や研究が評価されることではない。
もっと純粋なる数学への愛。
獄中に入ることで時間に囚われず
数学の研究に打ち込めるのだ。


石神の計画は完璧だった。
実行犯の花岡一家を庇いつつ、
自分だけが悪役になる。
そして警察、共犯の靖子にさえも
気付かれるはずのない重大な犯罪。
究極の自己犠牲。
全てが上手く行っていた。

天才・湯川に会わなければ・・。

切ないのが靖子。不幸のどん底にいた。
不幸の元凶の富樫を殺してしまった。
そして目の前に現れた献身的に自分を
守ってくれる石神。
純粋に愛してくれる新しい恋人。
「なぜこんなに愛してくれる人がいるのに
自分は不幸なのか・・・。」
最後は自身の幸せを選ばず、良心に
従って行動した


主人公は石神だが、このストーリーで
軸になっているのが湯川−草薙の友情。
過去2作の短編集では固い友情が強調された。
そして今回はそれが大きく揺らぐ。
「友人だが同時に刑事だ。」湯川が
草薙に言った重い一言。
愛すべき石神の完全犯罪に気付き、
全てをしまい悲しむ湯川。
過去の短編集では見せなかった人間らしさ。
湯川との友情もあるけど、最後まで刑事の
職務を全うしようとする草薙。

2人ともカッコよい。

やっぱり短編集ではガリレオこと湯川の
人間性というのがハッキリしていなかった
感じだけど、今作でよく見えた。
正直言って過去2作の短編集はそれなりに
面白かったけど、グッと来なかった。
でも今回はグッと来たよ。

ちょっとラストは感動しましたよ。
そんな感じです。



死神の精度 ACCURACY OF DETH

著 伊坂幸太郎

久しぶりに伊坂幸太郎作品が文庫化されていた。
この作品は金城武主演で3月に映画が上映される。

主人公は人間ではなく死神
ということでストーリーの紹介。
− − − − − − − − − − − − 
主人公は死神。
人間界では"千葉"と名乗っている。

仕事は1週間後に不慮な事故、事件で死ぬ
予定になっている人間を調査すること。
そして結果を""、"見送り"のどちらかで上司に報告。
"可"なら予定通りにその人間は死ぬ。
"見送り"ならその人間は死なない。


千葉はとてもクールな死神。
取り敢えずは真面目に調査をするが、
大抵の報告は"可"
好きなものはミュージック。
だからCDショップで試聴するのが大好き。
何故か仕事のときは雨が降っている。
だから千葉は青空を見たときがない。


そんな彼が様々な人間の調査を行う。

・ストーカーまがいのクレイマーに悩まされる苦情処理係りの女性
・命がけで弟分を助けに行く任侠に熱いヤクザ
・イケメンなのにダサい眼鏡をかける片思い中の青年
・母親をナイフで刺し、若者を殺した凶悪犯
・一人で床屋を営む老女

苦情処理係りの女性を悩ませるストーカーの意外な正体は?
そして千葉が彼女にどのような判定を下すか?

任侠に熱いヤクザは弟分を助ける事が出来るか。

イケメンなのにダサい眼鏡をかける青年の片思いは実るのか?
青年の以外な秘密、そして千葉は青年をどうするか?

子供の頃のトラウマから母親を傷つけ、更には殺人を犯した凶悪犯。
千葉は凶悪犯と十和田湖に向かう。何故、十和田湖に行くのか?
そして目的地の十和田湖に着いた凶悪犯の行動は?

千葉を死神と見抜いたナゾの床屋を営む老女。
千葉は彼女の意外な正体を知ることに。
そして最後に千葉が見た感動的な景色とは?
− − − − − − − − − − − − 

やっぱり伊坂幸太郎作品は面白い。
それぞれのキャラクターが良い。
そしてホロリとさせられる。
最後は読者が伊坂幸太郎の巧妙なトリックに
引っかかっていることに気付く。

クールな死神の視点から様々な人間を描いている。
中でも片思いの青年の話はちょっと切なかったなぁ。
何故、彼が一生懸命に生きようとしたか?
最後に彼が明かした秘密が切ない。
その話が最後の老女の話と繋がったときは、
"やられた!"って感じだった。

千葉が凶悪犯と十和田湖に向かう時、
仙台に立ち寄ったときには伊坂作品の
なかでも名作である"重力ピエロ"の主人公
である春が登場。千葉と会話をしている。

つい電車のなかでニヤッとしてしまった。
ここら辺は伊坂ファンにしか分からない
お楽しみと言うことで。

千葉自体は死神なので生死については
とても冷静に見ている。(仕事なので)
しかし彼を通して様々な人生の最後を
読んでいくと生きることの大切さを感じる。
最後の老女と千葉のシーンがそういう意味で
とても感動的だ。


とても爽やかな、そして感動的な死の物語。
読んだあとの爽やかな感動が良かった。
相変わらず良い話を書くなぁ。

映画では千葉を金城武、
苦情処理係りの女性を小西真奈美、
というキャスト。
小西真奈美に関する報道で既に
あらすじのネタばれ感があるのだが。
こちらも期待と言うことで。



麻雀放浪記 1青春編、2風雲編

著 阿佐田哲也

ご存知"坊や哲"の話デス。
理由は知らないけど10月に文春文庫
のラインナップにこの作品が追加。
もともと興味のある作品だったので、
手にとってみました。ストーリーは・・・

− − − − − − − − − − −
終戦直後の上野。

主人公である阿佐田哲也がある人物と再開する。
それは片腕の"上州虎"。少年哲也が工員として
働いていた工場で博打を教えてくれた人物。

そんな上州虎は上野の行われているサイコロ
を使った"チンチロ博打"で負けっぱなし。
哲也は上州虎に博打場に連れて行ってもらう。
ここで"坊や哲"と呼ばれるように。

そして後にライバルとなる"ドサ健"と出会う。
哲也は働きもしないで博打の才能で稼ぎまくる。

ひょんな事からドサ健と銀座のクラブに行く。
そして金持ちの愛人である"ママ"と出会う。
博打三昧の日々がばれた哲也はママの家に転がり込む。
そしてママから"職業"麻雀の基本を学ぶ。
ママとコンビ打ちを始める哲也。
様々な雀士と打ち、メキメキと腕を上げていく。

かたやドサ健も上州虎と組み、麻雀屋で大きくボロ儲け。

哲也はママと過ごした日々も終り一人の雀士として自立。
そこで凄腕の"出目徳"と出会う。
出目徳のオヒキ(相棒)としてコンビ打ちに専念する哲也。
出目徳の必殺技を学び、二人のコンビネーションはより強まる。

そして出目徳−哲也コンビはライバルのドサ健と勝負。
結果は出目徳−哲也コンビの圧勝。
ドサ健は何もかも失い、愛する女性を連れ山谷に落ちていった。

ドサ健を倒した哲也の次の目標は"出目徳超え"。
吉原の女性を買いつける"女衒の達"という男と新たにコンビを組む。

復活したドサ健、出目徳、女衒の達、哲也による大勝負が始まる。
それぞれコンビは組むことなく、各自がバイニンとしての
プライドをかけて勝負をすることに!
そして勝負は衝撃の結末に!

ここまでが"青春編"、"風雲編"は・・・

あの大勝負から時間が経ち。。。。
哲也はすっかりヒロポン(覚せい剤)中毒に。
やくざの代打ちで生計を立てている。

しかしヒロポンが切れヘマをした哲也は
イカサマがばれてしまう。

東京に居れなくなった哲也は大阪に。
なんとか中毒から開放された哲也は
大阪で"ブウ麻雀"と出会う。
全くルールが違うため東京で鳴らした"坊や哲"
も手も足も出ない。

そして知り合ったドテ子とコンビを組み"ブウ麻雀"を学んでいく。

また因縁のある"ママ"との再開。

最後は京都の寺で坊主が仕掛けるイカサマと対決。
− − − − − − − − − − −

というダメ人間"坊や哲"の話デス。
実は全4巻だが、自分は2巻で挫折。
出てくるキャラクターが全員、ダメ人間のような。
アニメ化された"哲也"とは大違いなイメージ。
あんなにカッコ良くない。

作品中に哲也が言う自分とドサ健の欠点がある。
素人をカモにして儲ければよい、金を得る1番の安全策。
しかし哲也、ドサ健はそれでは飽き足らず
強い相手との勝負を求めてしまう。
そのために女性を吉原に売り飛ばそうとするドサ健。
こいつら狂っている。ギャンブル中毒だ。

間違ってもギャンブルにはまらないようにしないと。
というのが読んだ感想。



探偵ガリレオ

著 東野圭吾

というワケで話題の"ガリレオ"を読みました。
月9で話題というのもあるんだけど、
昔から作者の東野さんに興味があった。
学生時代に研究室の人に東野さんが大学時代の
事を書いたエッセイを借りた。
実は自分は東野さんとほぼ同じ学問を専攻していた。
読んでいて"分かる、分かる"という感じ。
で、今回は話題になっているんで読んでみた。
はっきし言ってストーリーはあるような無いような。

− − − − − − − − − − − 
警視庁捜査一課の草薙俊平は不可解な
事件になると大学の友人を訪ねる。
そして捜査に協力するように頼む。

その友人は帝都大学助教授の湯川学。
長身で色白。黒縁眼鏡をかけた秀才タイプ。
物理学の世界では超が付く天才。


気難しいから事件に気を向かせるのが大変。

というワケで草薙は湯川の協力を得て、
不可解な事件のトリックを暴いていく。
− − − − − − − − − − − 

えーっとですね、先日書いた"半島を出よ"に
比べるとなんと単純な・・・。
でも探偵モノなんてこんなモノですよね。
ホームズにしたって簡単に筋を書いたらこれくらい。

これは"理系謎解き"がメインの小説です。
ストーリーはないから"こんなトリックだったのか!"
と関心することが多かったかな。
確かに目の付け所が理系っぽいね。
俺も小説家になりてぇ!!と妄言を吐いてみる。


あとで知ったけどガリレオシリーズで東野さん
は直木賞取ったみたいです。確かに新鮮な感じはする。
東野さんはネタを色々持っているんだろうな。

ドラマでは湯川準教授は福山さん。
(最近は"助教授"って言わないからね。)
あとがきによると湯川さんのモデルは佐野史郎だって。
確かにそんな感じ。
福山さんはカッコ良すぎだろう。と無意味に突っ込んでみる。
相棒は柴咲コウ。って女かい!オリジナルキャラかなぁ。
原作のままだとちょっと地味だからね。
でも観れる時間に家にいない。
録画するほどか?という事も考えてみる。
取り敢えずは録画してみるか。


天璋院篤姫

著 宮尾登美子


今年の大河ドラマ"風林火山"もいよいよクライマックスに
向けてストーリーが加速してきました。
というワケで来年に目を向けてやろう!と思いまして。
来年は宮尾登美子さん原作"天璋院篤姫"デス。
宮崎あおい主演ですね。。
まあドラマの話は置いといて原作読みました。
感想はなんというか"切ない"っすね・・・。

ストーリは・・・・。
− − − − − − − − − − − − − − − − − − −
薩摩島津家の分家に生まれた篤姫
丈夫な体を持ち健康そのもの、そして学問を嗜み
様々な書物を読む。周りが認める聡明さ。
そして幸せな家庭環境で生きてきた。
気付いたら二十歳になって婚期を逃していた。

そんな篤姫に人生の転機が。
篤姫の聡明さに目を付けた島津斉彬
斉彬は篤姫を自分の娘とし、13代将軍家定
正室として大奥に送り込むことに。
何故かと言うと14代将軍に一橋慶喜を推挙させるため。

色んな障害がありつつも無事に徳川家に輿入れをする。
大奥に入ったものの大奥ならではの風習に迷う篤姫。
何より夫である家定が病弱。故に子供が出来そうにない。

そして忘れちゃいけないのが斉彬からの命令
である慶喜を将軍に推挙する件。
篤姫は慶喜の会見する機会を得る。
しかし慶喜は本心を見せず、冷たい態度に徹底する。
ちょっと失望する篤姫。
同時期に次期将軍のライバルである紀州徳川家の
徳川慶福と会見する。
慶福は10才ながら周りの気遣いも出来てなかなか聡明。
篤姫的には"良いじゃん慶福!でも慶喜公は・・・・"。

さて大奥に馴染みつつ、篤姫は家定からも信頼を得る。
そして病弱な家定が"篤姫なら自分の代わりに政治をしても・・"
というまでに。でも家定と篤姫の交わりはなし。

いい感じに大奥ライフを送る篤姫。
しかし世の中は厳しく、斉彬、家定が急死。気付いたら未亡人。
そして将軍は徳川慶福こと家茂が14代将軍に就任。
篤姫は徳川家を動かそうとしたら、大老に井伊直弼に就任。
しかし政治に口出しが出来るわけもなく井伊が独占政治を始める。
そして安政の大獄が始まる。。。

世の中の動きに失望しつつ、10歳年下の家茂とは
姉弟のように仲が良い篤姫。
カワイイ弟の結婚を頑張って取り仕切る篤姫。
そんな家茂のお相手は天皇陛下の妹君である和宮
和宮を輿入れするにいたって朝廷と幕府の間で
ゴタゴタあったが何とか無事輿入れが終った。

あー良かった、と思っていた篤姫。
しかし和宮が大奥に京風の風習を持ち込み混乱。
"姑"篤姫も巻き込まれることに。
このとき篤姫はかつての天敵だった大奥取締役で
ある滝山にも認められ大奥の主にのし上がっていた。
島津の分家の姫君から大奥を仕切るまでに大出世。
周りから見れば凄いのだが全く満たされない篤姫。

"嫁"和宮との関係、大奥の混乱でヘトヘト。
癒してくれるのは飼い猫の"さと姫"だけ。

そんな大奥の混乱を置いといて、時代は維新へ加速。
徳川家の威信はガタ落ち。。。。
まあ不幸は続くもので仲が良かった家茂が急死。。。
明らかな毒殺に憤慨する篤姫。
皮肉にも自分が推挙するはずだった慶喜が将軍に。

そんな篤姫を尻目に時代は動く。
とうとう明治維新を迎える。
篤姫も江戸城を出る事となる。

そして明治時代となって篤姫の人生は変わる。
大奥というしがらみがなくなり、ひたすらに
次世代の徳川家のために生きる。
かつて天敵だった和宮と2人で東京の町を歩いたり。
激動の人生から一転、穏やかな余生を送ることに。

しかし不幸なんだなぁ、篤姫の人生は。
せっかく仲良くなった和宮が急死。
飼い猫も死んでしまうんだよね。
結局、最後まで一人だったよ。
− − − − − − − − − − − − − − − − − − −
えーっとなんか切ないですね。
これが来年の大河か。。。
自分は途中で挫折しそうな気がする。
でも篤姫は宮崎あおいぴったりかも。
何となく"出来る女"風な感じがする。

江戸時代の女性は大変ですね。
まず自分の生きたい通りに生きれない。
偉い家に生まれると親の言う通りに生きるしかない。
庶民に生まれたら貧困と戦わないと生けないけど。

語弊があるけど"聡明でない"女性ならそれでも"幸せ"
と思えるかもしれない。でも篤姫みたく頭良くて
徳川家を動かせるくらいの"聡明な"女だと
自分の置かれたポジションが分かっちゃう。
分かりすぎるのも良い事ではないかも。

いやー今の時代は良い時代だ。
女性の社会進出が認められ、ある程度は好きに生きれる。
(これが良いか、悪いかは賛否両論なんだろうけど)
この小説読んでこの百年で時代は大きく変わったなぁ、
と実感することが出来た。


半島を出よ
著 村上龍

 村上龍さんはテレビでよく観る。
"カンブリア宮殿"の司会者、あるときは中田ヒデの友達だったり。
正直言って偉そうなオジサンだなぁ、という感想を持っていた。
てなワケで作品を読んでやろうと、思いこの作品を手にした。

流行の北朝鮮モノなワケです。
帯には「北朝鮮のコマンドが、満員の福岡ドームを武装占拠!」
簡単に言うとそんな作品でした。で詳しく書くと以下の通り・・・・・。

−− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −−
2010年、日本。日本は世界から孤立していた。
失業率が9%になり、市民はATMが使えない。
会社は給料を払えない、安定して給料をもらう公務員に対しての
一般市民の感情は悪化していった。

そしてここは川崎、ホームレスが集まっている地域があった。
その地域を仕切るのはノブエというホームレス。
殺傷用ブーメランを操るタテノという少年が現れた。
それを見たノブエはタテノのかつての盟友イシハラのいる
福岡に行くことを勧めるのだった。

遡ること9ヶ月。ここは北朝鮮・平壌。軍部のエリートたちが映画を観ている。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
二次大戦中にナチスがアメリカにマンハッタンに軍隊を送る。
そして軍隊はマンハッタンを占領し、ナチスへの反乱軍を名乗る。
アメリカが混乱するなか決死隊がワシントンへ行き
ルーズベルト暗殺を計画する。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
この映画のような計画を日本に対して実行することを決める。
そして実行する場所は福岡に決まった。
ミッションのコードネームは"半島を出よ"

2011年4月2日。ここは福岡ドーム。今日はパリーグ開幕の日。
ホークスがマリーンズを迎えて開幕戦を行う。
そこに9人の北朝鮮のコマンドが潜入。
そしてロケット弾でオーロラビジョンを破壊!
4万人以上の観客を人質に立てこもった。
そして9人は"北朝鮮に対する反乱軍"を名乗る。

政府は人質を取られ何も出来ない。
そんな中、500人以上の"援軍"が現れる。
彼らはホークスタウンのホテルを本拠地に
"高麗遠征軍"を名乗り福岡を統治し始める。

そして政府が行ったのは"福岡封鎖"だった。
いつしか市役所も一般市民も高麗遠征軍の協力を始める。
これは政府が送ったSATの作戦ミスによる市民の死、
くすぶっていた東京への不信感が原因するのだった。


この福岡で状況を静かに見守る集団があった。
イシハラという(自称)詩人が率いるホームレスの少年たち。
その中には武器のプロ、爆破のプロ、有毒生物のプロがいる。
そのなかにはタテノの姿もあった。
少年たちはそれぞれ暗い過去を持ち社会に馴染めない。
そしてカリスマであるイシハラの下に身を寄せている。
イシハラグループは実は大量の武器を購入している。

そして高麗遠征軍は犯罪人(勝手な解釈による)を拷問に
かけて資産を没収。それを資金にマネーロンダリングを
行い福岡統治を進める。北朝鮮兵士たちは故郷の貧しい
生活を思いつつ福岡市民と交流を重ねるのだった。


そしてイシハラグループが動き出す。
高麗遠征軍の統治が続くのか?日本に奇跡が起こるのか?
そして衝撃の結末が!!!!
−− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −−

という話です。あーぁ説明が長くなってしまった。
この小説が凄いのは登場人物の紹介ページが8ページある。
こんなに人名を覚えきれるか?初めから北朝鮮兵士の名前を覚える気なし。
半分以上は載せる必要ない脇役ばっかしじゃん。

ストーリーはテンポが良い。結構、読み易い作品だった。
この事件に関わる北朝鮮兵士、福岡市民、イシハラグループの
全員が主人公かな。強いて言えばタテノかもしれない。

村上先生が危機管理がなっていない政府、
危機意識を持たない日本国民に対して警告を発したいワケだね

読み間違うと思想的要素がちょっと強すぎるかも、と思う。
北朝鮮軍の持つ残虐性を強調していますね。拷問やら処刑式やら。
北朝鮮通ではないから本当かどうか分からん。

そして日本国を北朝鮮兵士の視線から描いている。
やはり共産主義の国で貧しい生活を送る彼らから
我々日本人はどのように写るのか?
とは言え作品の中の北朝鮮兵士に感情移入できないなぁ。

面白かったけど、特に感動はないなぁ。


しゃべれども しゃべれども
著 佐藤多佳子

 今年の本屋大賞は佐藤多佳子さんの
"一瞬の風になれ"だったわけで。
今回読んだ作品は佐藤さんの作品で平成12年に
文庫化されている"しゃべれども しゃべれども"。
なんで急に読みたくなったかと言うと、最近
TOKIOの国分太一主演で映画化されたワケで。
映画を観たんで原作との差異を交えつつ本書を紹介・・。

主人公は咄家である外山達也こと今昔亭三つ葉。
"真打"にはまだ遠い"二つ目"の三つ葉。
話が覚えるのは早いのだが、咄家としては
イマイチ伸び悩む日々。。。

そんな三つ葉が師匠の今昔亭小三文が講師を
勤める"話し方講座"について行く。
そしてひょんな事から三つ葉も生徒をとって
が話し方講座をやることに。

生徒は友達でテニス教室の講師である綾丸良、
美人だが無愛想な十河、元プロ野球選手の湯河原、
関西弁がいじめられている小学生の村林。
良はテニスの腕はあるのだが吃音が原因で上手く
コーチングが出来ない。
十河は無愛想が原因で、いつも怒っている
ように見られてしまう。
湯河原は現役当時は代打の切り札として
各球団で活躍。解説者になったのだが上手く話せない。
村林は大阪から引っ越してきて、関西弁が原因で
クラスに馴染めていない。
(映画では良が出ていない。)

話し方講座ということで"まんじゅうこわい"を
覚えることに。始めたのだが講座をやる度に
生徒はケンカばっかし、困る三つ葉。
また片思いだった郁子さんが結婚する事を知り、
失恋のショックの三つ葉。
またまた勢いでつい師匠の十八番の"茶の湯"
を一門会でやると宣言してしまう。
自らプレッシャーを背負い込むことに・・・。
(映画では演目が"茶の湯"ではなく"火焔太鼓")
もう人の事を構っている状態ではない。。。

不器用な故に上手く伝えられない登場人物たち。
三つ葉のお節介のおかげで徐々に一体感が出てくる。
三つ葉自身も自分の芸の原点が師匠の落語が
好きだった事を再認識することに。

そして一門会の日が来る。
二日酔いの最悪の状態で高座に臨む三つ葉。
しかし快心の高座を務めることが出来た!
師匠に"俺そっくりじゃねぇか。"とほめられる。
自分の落語の原点は師匠の落語、真似ることから
初めても良いんだ。

快心の出来に満足した三つ葉は、この快感を生徒たちに
味合わせてあげようと落語発表会をやることに。
出来の良い村林、十河が"まんじゅうこわい"を披露することに。
関西弁の"まんじゅうこわい"を披露する村林。
関東弁の"まんじゅうこわい"を披露する十河。
(映画では十河が"火焔太鼓"を披露する)

この教室を経て三つ葉、そして生徒たちが
ちょっぴり勇気を手にする。
そして最後は三つ葉と十河が井の頭公園で
互いに好いている事を確認してハッピーエンド。
(映画では井の頭公園ではなく隅田川水上バス)

ストーリー自体は華やかではなく地味、不器用な
登場人物たちが落語を通じて自分と向き合っていく。
生徒たちのサイドストーリーが良い。
自分の事を言われているようでキツイけど。
ストーリーを通して"人に気持ちを伝えることの難しさ"
を痛感させられる。

"しゃべれども しゃべれども"気持ちが伝わらない。
そんな事はいつも感じている。
つうか自分は"しゃべれない"かな・・・。
なかなかこの問題は難しいっす・・・。

映画の方だけど原作の雰囲気そのままで良かった。
国分太一の落語もかなり上手いと思った。
十河役の香里奈の"火焔太鼓"はまあそんなもんかな。。。
香里奈は美人だから良いか。
村林を演じた子役の森永君は演技が上手い、落語も良かった。
彼がこの映画のMVPのような気がする。
湯河原役の松重さんは渋くてよかった。
三つ葉の祖母役の八千草薫さんがいる事で
映画がほのぼのムードに。癒されます。
さすが宝塚三大美女。

最後の三つ葉と十河が好きあっている事を確認する場所が
井の頭公園ではなく、隅田川の上という演出は良かったような気がする。
エンディングに"ゆず"の曲が流れて爽やかさ抜群!

そんな感じで結構好きな話でした。


グラスホッパー
著 伊坂幸太郎

 今年の6月に文庫化された伊坂作品。
今回のテーマはズバリ"殺し屋"!!

ということで本作品のストーリーは・・・。

"非合法な"クスリを売る会社<フロイライン>に
勤める元教師の鈴木。
実は鈴木の奥さんはこの会社の社長の息子に
轢逃げされて命を落としていた。
鈴木は復讐の機会を伺うために潜入していた。

そんなある日、鈴木は会社から"殺人"を命ぜられる。
どうやら過去が会社にばれていたらしい。
そして社長の息子の前で仕事をしないといけなくなった。

監視役の比与子と共に息子のところに行くときに。。。
目の前で復讐の矛先である息子が殺される。。。。
どうやら"押し屋"が息子を押して車に轢かせた。
すぐさま"押し屋"を追跡する鈴木。
"押し屋"らしき人間の家を突き止める。
ある事情から組織に黙って行動を始める鈴木・・・。

そして第二の主人公である殺し屋"鯨"の登場。
"鯨"はエモノを使わず相手を自殺させるプロ。
どうも最近は自分が手にかけた(?)相手の幻覚
が見えて仕方ない。。。
そして彼も"押し屋"を追うことに。

また第三の主人公である殺し屋"蝉"の登場。
"蝉"はナイフを使って仕事えお行う。
一家殺害等のあまり人がやりたがらない仕事が多い。
はたまた彼も"押し屋"を追うことに。

この三人が出会うとき事件が大きく動く。
そして衝撃の結末へ!

てな感じの小説。"殺し屋"という多少、重いテーマ
ながらやはりコミカルな印象をうけるのは
伊坂幸太郎の文章力とキャラクター達の面白さ。
"殺し屋"業界に紛れ込んでしまった鈴木が面白い。

そして"鯨","蝉"も結構面白い。
死者の幻覚と話す"鯨"、"蝉"と上司との会話。
なんかコミカルで笑ってしまう。

どの登場人物が嘘をついているのかが分からなくなる。
そしてあっと驚く答えが待っている。

結論としてはとっても面白かった。
これは映像化したら面白いかも。
"鯨"は阿部寛,"蝉"はオダギリジョーかな。
うーん、鈴木は思いつかない。。。

そんなことより是非、一読して欲しい作品デス。
何故彼らのコードネームが"鯨","蝉"なのか?
何故タイトルがグラスホッパーなのか?
読んでのお楽しみって事で。。。



チルドレン
著 伊坂幸太郎

 今年の5月に文庫化された伊坂作品。
ちょっと変わった家裁調査官である陣内を描く。

主人公である陣内を中心に大学時代の友人
である鴨居、ひょんなことから巻き込まれた
銀行強盗をきっかけで知り合った盲目の青年永瀬。
永瀬の彼女である優子。
そして家裁調査官の後輩である武藤。

そんな彼らからみた"陣内"という人間。
陣内はとっても自分勝手な人間だ。
でもなんか憎めない。

この小説の不思議なところは時系列がバラバラ。
あれですね"アヒルと鴨・・"みたいな感じデス。
学生時代の陣内、家裁調査官の陣内。
やっぱりみんな憎めない。
この小説では大事件は起きない。でもなんか面白い。

この話でやけに思い出すのは学生時代の陣内の一言。
"なんでみんな永瀬にはやさしくするんだ?"
なんでみんな自分には優しくしないのに盲目の永瀬には
世の中は優しいのか?
そんなの当たり前じゃん。って読んでいて最初は思った。
これは"ノーマライゼーション"の究極な考えですね。
障害者、健常者なんて考えを全く持たないで
永瀬と友人付合いをしている陣内。
そんな陣内からみると世の中が異常に見えるらしい。

"アヒルと鴨・・"では暗に外国人差別の問題を提示して
いたけど、これは結構はっきりと障害者差別を提示している。

他の作品に比べるとちょっと地味な感があるが、
読んでからちょっと考えると深い作品。



インド旅行記1−3
著 中谷美紀

 なんか読むものないなぁ、みたいな感じで
手に取ってみたこの作品。

中谷美紀さんといえばなんと言っても"ケイゾク"!
学生時分に見て一気にファンになったもんなぁ。
"犯人分かっちゃったんですけど・・・"良かったなぁ。
最近の中谷美紀って痩せ過ぎじゃないか?
という気持ちでいたけどそのナゾが解けた作品だった。

女優・中谷美紀がカメラとパソコン持ってインドに
行ってきました、てな感じの全三巻。
どうやら映画"嫌われ松子の一生"の後に疲れていた
からインドに行きたかったらしい。
基本的に良いホテルに泊まって、観光して、ヨガの
クラスを転々としている様子を日記にしたためている。

カメラを無くしたり、パスポートを無くしたり。。
パスポートを無くしたときの警察の対応の悪さに、
"自分は日本で有名な女優で、日本に帰ったらこの事を
言ってやる!!"と警察を脅すところは度胸があるなぁ。
でもインド人は中谷美紀なんて知らないから、
ウソだと思われているかも。。。
基本的には職業はフリーのライターと名乗っていたらしい。
確かに度胸が良くなきゃ一人でインド行けないよな。。

さて何故、中谷美紀が痩せたかというと・・・
"なんちゃってベジタリアン"になったらしい。
肉をとらない食生活をずーっとやっているらしい。
シーフードとかは食べているからベジタリアンではない。
まあそれはそれで構わないけど・・・。

本書のなかで撮影した写真が載っているけど
なかなかいい写真だと思う。

一つ気になったのが文章量の変化。
中谷美紀は東西南北インドを制覇しているのだが・・・
−− −− −− −− −− −− −− 
インド旅行記1 北インド編  359ページ
インド旅行記2 東西インド編 229ページ
インド旅行記3 南インド編  224ページ
−− −− −− −− −− −− −− 
段々と文章量が減っているような・・・・。
やっぱり何度も行く度に感動が薄れたのか・・・。

結論、30歳前半の女性が一人でインドに行って
観光とヨガを満喫しましたぁ!みたいな感じ。
特に感動なし。以上って感じです。

それにしても中谷美紀と渡部篤朗のウワサ
は本当なのか・・・、ちょっと気になる。


凍りついた香り
著 小川洋子

 "博士の愛した数式"が有名な小川洋子さん
の恋愛小説っていうかミステリー小説というか
ファンタジー小説というか・・。

話は主人公である私が同棲中だった
恋人の弘之を亡くすところから始まる。
最初から重ーい雰囲気から始まるこの小説。

恋人の弘之が自殺をした。
調香師だった彼が何故自殺をしたのか。

そして彼の弟である章と知り合う。
章を通じて知らなかった彼が見えてくる。

曲芸でお金を貰えるほどのスケートの腕前だった。
そして日本代表に選ばれるほどの数学の天才だったこと。

章を通じて彼の実家に行く、そして初めて彼の母親と出会う。
母親はあるときから精神が参ってしまっているらしい。
章が介護してあげないと厳しい状態だった。
母親は彼のことを溺愛している。

彼の事を調べていくとプラハに辿り着いた主人公。
彼が日本代表として参加した数学コンテストが
行われた場所であるプラハ。
過去の事を追っていくと彼が自分のために
調合してくれた香水と同じの匂いつられて、
孔雀の番人なる不思議な人物とめぐり合う。
そしてそこで主人公は昔の彼に出会い、
彼が一生抱えていた暗い過去を知ることに。。。

このようなストーリーですが。。。暗すぎるって。。。
"博士の愛した数式"は爽やかな感動を呼ぶけど、自分の
読んだ他の小川作品("沈黙博物館"、"密やかな結晶")
そして本作はとにかく切ない、不条理、絶望感、暗い。
"博士の愛した数式"もそう読めないこともないか。

あえて内容は書かないけど"沈黙博物館"、"密やかな結晶"も
凄いですよ。恐らくストーリーに入り過ぎると落ち込むこと
請け合いです!!伊坂作品は映像化したら見たいと
思うけど小川作品はキツイ。

あの上品ミセス風の小川洋子さんの雰囲気を期待して
作品を読むとギャップが凄いんで要注意です。
また読者を引き込む文章の力があるから凄いんですけど。
小川洋子さんは"不条理小説の女王様"デスネ。


あかね空  
著 山本一力

 最近、映画化された山本一力さんの時代小説。
直木賞を獲った作品だったりします。
恥ずかしながら最後は泣きそうになってしまった。

話は。。。。

京の豆腐を江戸に広めんと深川にやってきた永吉。
そして永吉の面倒を良く見てくれる桶職人源治。
そのむすめの"おふみ"。おふみは永吉に一目惚れ。
どうにか永吉の商売が軌道に乗るように手伝う。

二人は結婚。深川の長屋の面々に祝福される二人。
長男・栄太郎、次男・悟郎、長女・おきみが生まれる。
いつしかおふみ−永吉の間にギクシャクしていく。
長男・栄太郎が産まれて溺愛するおふみ、それに不安を覚える永吉。
原因は次男・悟郎が産まれたと同時に"おふみ"の父親が不慮の
事故で亡くなってしまったこと。
不幸が重なるもので長女・"おきみ"が産まれると母親が亡くなる。

しかし一家の頑張りから裏長屋から表通りに店を構えるまでに。
相変わらず栄太郎を溺愛するおふみ。
甘やかされて育った栄太郎は店の売り上げに手をつける有様。
怒った永吉は栄太郎を奉公に出すことに。
一方、悟郎、おきみはしっかりものに育っていく。

栄太郎は博打に手を染めて行き、永吉−おふみを悩ませる。
悟郎は豆腐職人として腕を上げていく。
そして栄太郎に対して堪忍袋が切れた永吉。
ついに栄太郎は勘当されてしまう。
その日、永吉が帰らぬ人になってしまう。

それ以降のおふみと3人の子供の話は切な過ぎる。
おふみの栄太郎への溺愛が痛い。家族の絆って何だろう。
おふみの死で物語は終わりを迎える。
もう本当に涙、涙・・・。

映画では永吉は内野聖陽(勘助ですな)、おふみに中谷美紀。
映画を観に行こうと思っていたが泣くのが確実なんでやめます。
二人をイメージして読んでいたけど、最後の方は痛くて痛くて。
たった400ページの小説だったけど感動が詰まっていた。

家族ってなんだろう。仲良くするだけが絆じゃない。
いろいろお互いに不満があっても言い合えるのが家族だ。
家族の間にギクシャクするものがあってもきっと分かり合える。

この考えは理想なのかなぁ。


ハゲタカ 、 ハゲタカU  
著 真山仁

 先日までNHKで放映されていたドラマの原作を読んでみた。

やはりドラマを観ていたこともあり、ドラマとの相違点は
どこかなぁ、みたいな感じで読み進めた。
読んでみたのは良いのだが長いって、"U"があるとは知らなんだ。

読んだ感想としてはドラマより面白いんじゃないか。
でも文章としてはちと読み難いかったかも。
その原因はポンポン出てくる経済用語。
説明はしてくれるが正直分からん。

そんなことを書いているとストーリーに入れないんで
簡単にストーリーを紹介。

大蔵省(古いなぁ・・)の前で脱税の疑いがかかっていた
会社社長が割腹自殺をする。それがすべての始まり。

ニューヨークでジャズピアニストを目指す鷲津政彦。
彼はピアニストの道か、企業買収家の道か選択を迫られていた。
そして母親の一本の電話で企業買収家の道を選ぶ。

三葉銀行のエリート行員である芝野建夫。
最近は奥さんとの間でギクシャクしている。
そんな空気に一人娘もちょっと呆れ気味。
バブルのつけである不良債権の回収に勤しむ毎日。

日光、随一の観光ホテルのワンマン社長を父にもつ松平貴子。
最近は父のワンマン経営で経営が傾きがち。
彼女は父の反対を押してスイスのホテル経営を学ぶ大学に進む。

この3人が物語の主人公。

そして時が経ち外資ファンドの日本法人ホライズンの社長に
なった鷲津と芝野が出会ってしまう。
鷲津は"ゴールデンイーグル"の異名を持つ企業買収家となっていた。
そして鷲津の悪魔的な戦略で次々と買収を進めていく。
常に芝野は煮え湯を飲まされる。
いつしか銀行に嫌気が差して三葉銀行をやめる芝野。
芝野は企業再生家として友人が経営するスーパーを立て直す。

貴子は父と喧嘩をして自身は家族が経営するホテルではなく
東京の名門ホテルで働いている。
しかし大好きだった祖母が亡くなったことで、父を経営から
追い出してホテルの建て直しに奔走する。
しかしそのホテルもハゲタカの餌になりつつ・・・。

3人が複雑に絡み合っていく。再生家として貴子に助言する芝野。
ハゲタカである鷲津とその餌である貴子の微妙な関係。

まあこんな感じでストーリーが進んでいくわけです。
正直言って話しの経過が良く分からなくなります。
チーム鷲津が鉄壁のチームワークで買収を進めていく様は壮観。
彼女のリン、若手のアラン、鷲津の良き理解者である堀。
それに対して常に芝野は孤独な戦いを強いられる。

結局どんな風に話がケリがつくかと言うと、勝負は全て鷲津の
一人勝ちということで。
鷲津が何故ハゲタカになったが明らかに。これで"ハゲタカ"は終わり。

そして"U"。
とある理由で日本にいることが出来なくなった鷲津。
企業買収の空しさを感じつつ世界旅行中。
そして芝野はアル中になった奥さんの介護をする毎日。

そんな中、鷲津の愛すべき弟子であるアランが不審死。
ドロドロと金にまみれた人間しか出てこないこの小説で
唯一癒し系のキャラだったアラン。
アランの死に自責の念で、ショックを受けた鷲津は
再びハゲタカとして活動再開。
芝野も再び企業再生家としての活動を始める。
再びあいまみえる二人。

そして貴子のホテルはあっさりと乗っ取られる。

自暴自棄気味の鷲津は調子に乗りすぎてホライズンをクビに。
しかし再びチーム鷲津が再結成して"サムライ・キャピタル"を作る。
いつしか芝野、鷲津が共闘していく。
ベクトルが違うけどお互いを認め合っている二人。
なんと最後には鷲津が総理大臣を恐喝するという衝撃の展開に。
ホンマかいな。

最後は二人の勝ちで終る。
しかしアランの死に隠された真相の手掛かりを貴子を知っていた!
"to be continued...."
だってさ。まだ"V"がでるワケね。

何が面白いって、悪役であるはずの鷲津が大活躍なのが良いですね。
実直な芝野が煮え湯を飲まされてしまう。
そして出てくる固有名詞がリアル過ぎ。三葉は恐らく三和と思われる。
三葉が大型合併をしてUTB(UFJ?)になったり。
経営危機になった"鈴紡"(鐘紡?),つぶれてしまった山野証券(山一?)。
総理大臣は石動慎一郎、なんか聴いたことあるぞ。
やっぱりそのままドラマ化は無理だよなぁ。

確かに面白かったのだが、それ以上に疲れが出てきた。
どうやら経済小説って奴は疲れるらしい・・・・。
"V"は読むかどうか微妙だなぁ。


アヒルと鴨のコインロッカー  
著 伊坂幸太郎

 最高に面白かったデス。
誰でも本を読むときに少なからず、脳の中にイメージが出来ると思う。
物語の最後でそのイメージが誤認識だった事に多くの人が気付くであろう作品。

物語は現在と二年前がシンクロしながら進んでいく。

 "現在"の主人公は数日後から仙台の大学で法学を学ぶ椎名君。
引っ越した矢先に同じマンションに住む河崎という男から、
本屋強盗の協力を頼まれる。目的は同じマンションに住む
アジア人にプレゼントする広辞苑の一冊のみ。
結果的には協力する羽目になってしまう。
役目は裏口でボブ・ディランの"風に吹かれて"を唄いながら扉を蹴ること。
結果的には強盗は成功した、と思われたが間違って
広辞林を盗んでしまっていた・・・。

 "二年前"の主人公はペットショップ店員の琴美さん。
最近、頻繁に起こっているペット殺しの事件に心を痛めている。
ペットショップの店長はクールな麗子さん。
彼氏はブータンからの留学生のドルジ君。
何故かよくあってしまう元彼の河崎。
そんな感じで彼女は生活をしている。
ひょんなことからドルジと琴美はペット殺しの犯人を目撃してしまう。
運悪くその時に定期入れを落としてしまい、犯人に身元がばれてしまう。
ドルジ、河崎ともに犯人を追いつめていく。

 この二つの物語がリンクしたときに読者は大きな勘違いに気付く。
そして"二年前"と"現在"を繋いでいる悲しい出来事が明らかに。

 結局は琴美、ドルジ、河崎という、奇妙な男女三人の二年に
渡る物語なのだ。椎名君は幕引きのために配役された脇役だった。

 この作品をめぐるキーワードを羅列してみる。
アヒル、鴨、ブータン、生まれ変わり、鳥葬、日本語、
ペット殺し、ボブ・ディラン、HIV、動物園
なんじゃこりゃ、という感じです。気になったら今すぐ本屋に行くか、
今年の夏に公開される映画をお楽しみに・・・。
あとは作品タイトルにもご注目!という感じでした。