第18回「賢い消費者になる!」
皆さんこんにちは、行政書士のコウダです。
突然ですが、皆さんは人を騙したことはありますか?
もっと言うのなら、人を騙して何かを手に入れたことはありますか?
おそらくほとんどの人の答えは「NO」のはずです。
友達同士で嘘をついたりとかあるかもしれませんが
その結果として何らかの利益を得たりしたことは、
まずないはずです。
実際それが普通です。
基本的に私たちは、人を信じてい生活しています。
他人が自分を騙したりして利益を得ようとは考えているとは
思っていないはずです。
そのためお店で売られているモノの品質や効能を信じて生活しています。
ほとんどの場合、その信用が裏切られることはありませんし、あってはならないことだと思います。
当然のことですが商売でも人間同士の関係でも信用が第一であり、
それなくして社会秩序は成り立ちません。
しかし、時折「騙す」ことで利益を得ようとする人や業者が出てきます。
残念ながら業者が本気で「騙すこと」を考えたら、我々消費者には防ぎようがありません。
なかには始めからだますことを目的にしている悪徳業者もいます。
正直、「よくもまぁそんなこと考えつくなぁ」と感心してしまう方法を使う業者もいたりします。
実際、かなり法律を詳しく勉強しないと思いつかないような抜け道商法を行っている業者には
何かしらの法律担当者がいるはずです。
そういう業者に対して、一般消費者は余りにも無力です。
騙されないようにと思っていても、相手の方が1枚も2枚も上手で、
結局騙されてしまうという事が多々あります。
騙されない1番の方法はと言えば、「何も買わないこと」なのでしょうが、
それは余りにも非現実的です。
せいぜい「ちゃんとしたお店以外では何も買わないこと」ができる事の限界かと思います。
それでも、やっぱり騙されるときは騙されてしまうものです。
では実際に騙されてしまったときはどうしたらいいのか?
今回はその対応について書いてみようと思います。
(我ながらものすごく硬い内容を書いているとやや反省しつつ書いていきます。)
例
B子さんが道を歩いていると
「そこの綺麗なお姉さん、美白に関するアンケートに答えていただけますか?」
と声を掛けられました。
丁度暇な上に美白に関して興味があったB子さんは軽い気持ちでアンケートに答えました。
すると、
「アンケートにお答えしていただいたお礼に、無料美肌診断をして差し上げます」と言われ、
あれよあれよと言う間に近くのビルにあるエステサロンに連れていかれました。
で、そこで無料美肌診断を受けたのですが、
「あなたの年齢肌は〜」「この美容液を使って、
さらに月2回のエステで余裕で10歳は若返ってタマゴ肌!云々」などと言われ
訳の分からないまま美容液の購入と1年分のエステ通いの契約を結んでしまいました。
数日後、B子さんは「美容液が肌に合わないし、
エステに通う時間もお金もないので解約したいのでお金返してください。」と業者に電話しました。
すると、業者は「いやいや、ちゃんと契約したし契約書だってあるんだから、それに
美容液は使っちゃんたんだよね。じゃぁ解約も返金も無理だよ。」と返答してきました。
B子さんはどうしたらいいのでしょうか?
この場合、B子さんが最初にできるのは「クーリングオフ制度」の利用です。
「クーリングオフ」と言う言葉は皆さんも聞いたことがあるか思います。
クーリングオフ制度と言うのは簡単に言えば契約の撤回や解除制度のことです。
このクーリングオフ制度はほとんどの契約に関して使える便利な制度ですが、
使える条件があります。
条件として法定契約書書面受領後から原則8日以内に行使する事。
相手に対して書面により通知する事。などです。
但し、一般的な店舗販売、通信販売、現金3000円未満の取引きでは使用できません。
また、購入後使用した分については契約解除は出来ません。
B子さんの場合、
アンケート商法、キャッチセールス商法と呼ばれるものに巻き込まれてしまったと考えられます。
これらの商法は、クーリングオフ制度においては訪問販売とみなされています。
訪問販売はクーリングオフの対象になります。
またエステに関しては特定継続的役務提供という長たらしい名前の取引きとして
クーリングオフ制度の対象になります。
よって、B子さんはこの業者に対して8日以内に書面によりクーリングオフ制度を利用し、
契約を解除し、支払った代金を取り戻すことができます。
但し、使用した美容液の分は代金を取り戻すことはできません。
エステについても施術を受けた分は取り戻せません。
エステの様な特定継続役務提供取引きは最初にかなり高額な代金を払っていることが多く、
クレジット契約を結ばされている事もよくありますが、これも解除できます。
また、これらの継続的取引はクーリングオフができる8日以内を過ぎていても
解除が可能です。
時々、「いやぁ〜うちはクーリングオフができないんだよ」と
嘘をつく業者がいたりしてクーリングオフ期間の8日が過ぎてしまう事がありますが、
この場合はクーリングオフ期間は延長されます。
クーリングオフ制度は消費者ならだれでも利用できる便利な制度ですが、
行使可能期間が原則8日以内と短いのがやや欠点です。
例えば、騙されているのに騙されている事にいつまでも気が付かないことがあった場合、
人から指摘されて始めて「え?もしかして騙されているの?」みたいなことになったりします。
それが契約から8日を過ぎていた場合、クーリングオフ制度は利用できません。
上記の例で言えば、B子さんは契約から8日経過以降に解約手続きをしても
エステの方は解約できますが、美容液に関しては解約できないことになります。
この場合、B子さんが解約できる可能性は何処にもないのでしょうか?
もし、8日が過ぎてしまったら解約できる手が何一つないと言うのだったら、
消費者保護としては余りにもお粗末です。
そんなわけで、B子さんにもまだ解約の機会はあります。
それが「消費者契約法」です。
消費者契約法は、
基本的に契約関係において弱い立場に置かれる消費者を保護する目的で制定されています。
消費者契約法には、業者による不実告知や断定的判断の提供などの
不適切な行為によって結んだ契約は6か月以内なら取り消せるとあります。
B子さんの場合なら、「美容液〜10歳若返る」は
不実告知や断定的判断の提供にあたる可能性が高いので契約を取り消せます。
この場合、業者に対して内容証明などの正式文章を送る必要があるので、
一般の消費者にとってはやや大変かもしれませんが、それでもやるだけの価値はあると思います。
「じゃぁ6カ月過ぎちゃったらもうお手上げなの?」と言う方がいるかも知れません。
実はまだお手上げではありません。
時間経過ごとにだんだん行使できるハードルは上がってきますが、
全ての法律の要である「民法」があります。
以前このコラムでもかるく紹介したと思いますが、民法には錯誤、詐欺、脅迫による
行為の無効や取り消しの規定があります。
ケースによっては立証など大変かもしれませんが、
それでも泣き寝入りしたくない人や金額が大きい契約の際には行使する意味はあります。
日々の生活で契約はいたるところで発生しています。
それが契約であることすら意識せず行われているものも多くあります。(過去コラム参照)
そんな契約の中にはトンデモナイものが紛れ込んでいたりします。
日常の中の非日常みたいな感じです。
そんな非日常的契約に巻き込まれないように注意しつつ、
もしもの場合は、クーリングオフ制度などを利用する知識を持つ事が「賢い消費者」になる秘訣です。
今回はここまでです。
何やらやたらとお堅い話をまた書いてしまいました。
毎回毎回、「次回は面白おかしく」と書いている割にちっとも面白くかけなくて
我ながら落ち込んでしまいます。
しかしそれでもなお開き直りに近いのですが、
「次回こそは面白おかしいお話を書きたいと思います。」と書きつつ今回は終了です。
読んでいただき有難うございました。
ではまた
行政書士 コウダ