山での生活を始める直前 パソコンなるものを 初めて手にしました。マウスを動かすのに宙を切って動かし、 つまり 手で 次の位置まで 動かしさえすればいいのかと思っていたのです。そこまで 無知とはと まわりの人が あきれ返りました。 そうです 全く 何も知りませんでした。何十年か前 車の免許を取った時 世間が 急に 狭くなったように感じたのと 同じような 一代革命でした。 そして 山の中で生活しても これ一つで 世界の何処とでも、誰とでも 結ばれると 夢のように感じたものです。 それは単なる夢に近いもので 現実には それが 自分のものになるとは考えられなかったのです。あれから十年近く ぼつぼつ、 手探りで やり始め 何とか 簡単なことは こなせるようになりました。不思議なもので 最初のうちは 得体の知れない 怪物のような 不気味な存在でした。増やす心算もないのに 画面がどんどん増えて 消そうとすると 一層増えてと言った具合で、どうにも手に負えなかったのです。 寝るにも寝られず 目をつむってもパソコンが頭を駆け巡る、 癇癪を起こして ついに 電源をぱっと切ってしまった。 とんでもない事です。一番基本的なこと 、それすら 忘れてしまう愚か者。誰が聞いても そんな アホなと思うでしょう。 その結果 メモリーは 全部 すっ飛んでしまって 博が 苦労して 入れ直し、 そんな事の繰り返し。 電気やのお兄さんとは 恋人ほどの親密な??付き合い。彼にとっては すごく 迷惑らしいが そこは年の功 ひたすら 頭をさげて、 買いたくないものまで買ってと言う具合、こちらもそれなりの 努力を重ねた。ひょんなことから知り合った福山市の 女性とメル友になり 1年少々、 長いメールのやり取りも 200通近くになり 二人合わせて400通、 一冊の本になりそう。 顔を見たことも 声を聞いた事もない不思議な友達 これもパソコンならではの 楽しみ。メル友と言えば 一般にはうさんくさい、若者の遊びのように取られそうだが 私たちのような 明るく 楽しく 健全な 現代にしか存在しない 友達のあり方もあることを 知って欲しいと思っている。 生活環境といい、 場所といい 全く対照的な2人、片や山の中、 片や 瀬戸内の海の近く、何から何まで 違っていた。共通するものは 物事に対する感性が似ていること、何日も訪れる人もない冬場でも パソコンから 現れる メールを見ると その日は その人と お喋りをしたことになる。 お茶でも飲みながら お喋りでもするかと パソコンに向かう。初めのうち 怪物のように思われたパソコンが いまでは 暖かみのある 人間と変身した。
ところで この ミステリアス フレンドとは この秋 ついに ご対面の運びとなった。 今では 顔も声も知っている。 でもこれからも この不思議な関係は続きそう。
2003年10月記
ボケ防止の一策、特効薬になればと願いながら