航ちゃんの涙

航ちゃんは 仲良しの綾ちゃんと一緒に 近くの公園のお砂場で 遊んでいました。ママたちはちょっと離れた所で 見守っていました。 暫くすると 綾ちゃんのお兄ちゃんもその仲間に入ってきたのです。すると 航ちゃんが 突然 わっと泣き出しました。 どうして泣き出したのか 解らなかったのです。 眠くなったのか位の気持ちでその場は 考えていたのです。やがて 泣きやんだ航ちゃんは言いました。
Wママ さっきは泣いてごめんね、 航貴 本当は綾ちゃんみたいに お兄ちゃんが欲しくなったの、でもいいよ 航貴には 裕美ちゃんがいるから”ママは暫く絶句しました。綾ちゃんがお兄ちゃんと仲良く 遊んでいるのを見て すごく羨ましかったのでしょう。 裕美ちゃんは 従妹の 小学3年になる 女の子です。
“パパも大好きだけど 裕美ちゃんの方が もうちょっと 好き”とのこと。航ちゃんにそこまで慕われて裕美ちゃんも 悪い気はしないようだ。兄弟のいない二人は めったに会う機会もないのに お互いに 凄く大事に思っているようなのです。 血が呼ぶのかなとママは言います。  

“ねえ おばあちゃま 航貴 補助なしで 自転車に乗れるようになったよ、”と興奮気味に 電話をしてきた。“でもね 泣いちゃったの。”どうしたことかと よく話を聞いたら なんとそれは うれし泣きのようだったのです。 思わず涙が出たのでしょう。去年のクリスマス プレゼントとして おじいちゃまに 補助つきの 二輪車を買ってもらったのです。 少し大きかったので ずっと 補助輪をつけて乗っていました。 もう そろそろ はずしてもいいかなと はずしたばかりなのです。 パパが 後ろを支えて 2〜3回 練習しているうち あっという間に 一人で乗れてしまったのです。自分でも びっくりしたのでしょう。 そうとは知らず ママは 男の子はそんなに すぐ泣くものではありませんと きつく叱りました。 後で航ちゃんは じっと考えていました。そしてテレビでおじさんが 高いお山へ登ったとき そこで おにぎりを食べて こんなに おいしいおにぎりを食べたことがないと涙を流していた、 航貴の 気持ちは それとおんなじかもしれないよ ママと。パパとママは 爆笑。こいつの頭の中は 解らんなあと 呆れていた。

 
             航貴 満5才 (淑徳幼稚園)   2004年6月記

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八ヶ岳山麓(19)