八ヶ岳山麓(19)

パパと航ちゃん

航ちゃん ちょっと 聞いて 容子おばあちゃまの お話。 航ちゃんは お山へ 遊びに来てくれるたび どんどん 大きくなって おりこうさんになって、 あなたが いい子に育っていくのを見るのが 何よりの楽しみです。 航ちゃんを見ていると パパの小さい時のことが いろいろ 思い出されます。 やっぱり 航ちゃんは パパの子です。よーく似ています。 ママにも いっぱい 似ているけどね。  

パパは 幼稚園の頃から お外で どろんこになって 遊んで帰って来ても お家へ入るなり ピアノの前に座りました。 おててが どろんこで 気がつくと ピアノの鍵盤まで 泥だらけ、 手くらい洗ってからにしてよと おばあちゃまに言われました。 そのぐらい パパは ピアノが大好きだったの。

幼稚園の時 園長先生に 大きくなったら何になるの?と聞かれた時 ピアニスト か コックさんと即座に 答えていました。 大きくなったら その通りになりました。パパは お料理も 上手ですね。 航ちゃん 昨日 おばあちゃまが 同じことを 航ちゃんに聞いたら 指揮者って言ったのには びっくり仰天、 やっぱり パパの子ですね、そのタクトの振り方のうまい事、 体全体 すべてで 音楽を表していましたね。小沢征爾も 顔まけ。

パパの ピアノに合わせてタクトを 振るあなたは 立派なコンダクターでした。 最初 みんな 航ちゃんの後ろや 横から 見ていたのですが 気がついてみると 聴衆は 全員 航ちゃんの真正面に 席を移していました。  おばあちゃまは 笑いすぎて おなかの皮が よじれてしまいました。 でもすごい。 体中 音楽って 言うのでしょう。 どんなに おばあちゃまが笑っても みんなが笑っても  航貴君は 真剣そのもの、 まじめ顔。 すごいよ、すごい! 航ちゃん!。

   パパが小学校の低学年のとき、音楽の雑誌 レッスンの友“に おかあさんのコーナーがあり そこに 原稿を頼まれました。 ピアノを習っている わが子について 一言書くのです。 おばあちゃまは 今でも何を書いたか よく覚えています。  私が お夕飯の支度をする頃 宜広は ピアノをたたき始めました。 毎日です。 楽しげに始めるのですが やっぱり 時々 つまずいたり リズムを狂わせたり、そんな時 千切りしているお料理の手が  短冊になったり さいころになったり それは みんな 宜広の ピアノのせいだったのです。 その頃 おばあちゃまは この子は 本当に音楽が 好きな子だなって 思っていました。 でも 堂々と 行く末は 音楽家になるとは 恥ずかしくて言えませんでした。だっておばあちゃま 音楽のこと 何にも 知らないのですから、?こんなに音楽が好きな子です、だから 一生何か音楽に携わった道を選ぶことになるでしょう”と書きました。 あの時の原稿は残念ながら 手元にありませんが もし読み返したら、ああ やっぱり 思った通りの 大人になったと 思うでしょう。 

航貴君 あなたはどうなるでしょう。 楽しみです。それを見届けるまで おばあちゃま 頑張らなくっちゃ!  

 

                                              

  

 

 

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