「お役所物語/日本年金機構 その二」の巻

 で、手続きに必要な関係書類を管轄の日本年金機構の事務所に郵送した。今後は毎
月末に銀行から自動引き落としされることになる。仕事を普通にきちんとする女性職
員のおかげで国民年金保険加入の手続きは簡単に終わった。

が、日本年金機構という組織は物事をそう簡単に終わらせたくない組織らしい。その
体質が「厚生労働省年金局から年金業務について委託を受けている」からなのかどう
かは分からない。

と、書類を郵送してから20日程経った夕方、日本年金機構の事務所の女性職員から電
話がかかってきた。

職員「大変申し訳ございませんが、銀行の自動引き落とし処理が完了しておりません
ので、今月末の銀行での引き落としができません。今月は現金でお支払いいただけま
すでしょうか?」
私「少し面倒ですがやむを得ませんね。でも、書類をお送りしたのは20日程前ですよ。
まだ自動引き落としの処理ができないのですか?」

職員「はい。通常、書類をいただくとすぐにご指定の銀行に引き落としの処理依頼を
出すのですが、本日現在銀行から処理をしたとの連絡が来ておりません。今日の5時
が締め切りですが、おそらく来そうにありませんので現金でお支払い下さい」
私「引き落とし処理をするのにそんなに時間がかかるものですかね?」

職員「私共は何事も迅速かつ正確に処理をしておりますが、なにせ銀行様はこうした
処理が遅いもので」
私(心の中では、「んっ? 迅速かつ正確に処理をしている?」と思いながら)「そう
ですか、銀行はこの種の処理が遅いのですか。それならその銀行に知り合いがいます
ので今から状況を聞いてみます」

と、受話器を切ったのだが、瞬間その受話器の向こうから「えっ!あっ!えっ!」と
慌てた声が聞こえた様にも思える。

私としては、その銀行に知り合いがいるとはいっても、特に状況を聞いてみるつもり
はさらさらない。私はそれなりに忙しいのである。思うに、私の書類は日本年金機構
の漆塗り製の立派な未決済箱に積まれているのではなどと想像を巡らしていた。

と、5時少し前に先程の職員から電話がかかってきた。なんとはなく、息が切れてい
る感じもする。
職員「お客様!たった今、たった今、銀行から処理が完了したとの連絡が参りました。
これで銀行引き落としができますので、現金でのお支払いは不要でございます。」

これでやっと、国民年金保険の加入が完了したのである。

意地悪な想像をしてみる。私が「銀行に聞いてみる」という、事務所側にとっては想
定外の戦法にでたものだから、「ヤバイ!」と思ったか、いや日本年金機構が「ヤバ
イ」などという庶民的な言葉は使わないだろう、「旧社会保険庁時代の仕事体質が依
然残っているとクレームを受ける可能性を否定できなくはない!」と思ったか、慌て
て未決済箱を調べて銀行からの「処理完了」書類を見つけたのではないかと想像する
のである。これ、私の勝手な想像ですよ。

と、突然今度は桂文珍師匠が登場するのである。

文珍師匠「えー、まあ、世の中ってそんなもんやないですかね。けったいな人間がぎょ
うさんいて、それがー、それはそれで面白いのんとちゃいますかね?」



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