- ①月経のしくみ・閉経と更年期
- 月経のしくみ 月経は視床下部、下垂体、卵巣がお互いに刺激しあって起こります。 視床下部が、下垂体を刺激するホルモンを分泌し、それを受けて下垂体が卵巣内にある卵胞を刺激するホルモンを分泌するのです。 そして卵胞の1つが成熟しはじめると、そこからエストロゲンが分泌され、妊娠に備えて子宮内膜が厚くなります。 エストロゲンが増えると、下垂体はさらに視床下部の命令を受けて黄体化ホルモンを分泌し、成熟した卵胞を刺激します。 すると卵胞から卵子が飛び出し、卵子が卵管に吸い取られて受精の準備が整います。 排卵後の卵胞は「黄体」となり、プロゲステロンと少量のエストロゲンを分泌します。 プロゲステロンは受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整えますが、受精が行われないと黄体は退行し、両ホルモンの量も減ります。 結果、子宮内膜がはがれて起こる出血が月経です。 両ホルモンの分泌量が減ると、再び視床下部が下垂体を刺激するホルモンを分泌し始めます。そうして、周期的に月経は繰り返されるのです。
- 閉経と更年期 今まで規則正しい月経を持っていた女性が、ある年齢に達すると次第に卵巣の機能が低下し、月経の乱れが起こり、やがて月経が止まります。 これが閉経です。 日本人の平均的閉経年齢は42歳~56歳位ですが、人によっては45歳~55歳までの幅があります。この時期を更年期と呼んでいます。 この時期になると、卵巣から分泌された女性ホルモンである、エストロゲンが卵巣の機能低下によって、分泌しなくなります。 視床下部が下垂体を刺激するホルモンと下垂体が卵巣を刺激するホルモンを過剰に分泌することになります。その結果、パニック状態を起こしてしまいます。 視床下部はホルモンの中枢だけでなく、自律神経の中枢の役目も果たしています。 中枢である視床下部の混乱が端末にまでおよび、自律神経のバランスを狂わせるのです。 エストロゲンは生殖だけでなく、大脳や自律神経、血液中の脂質や血管、骨など様々な期間とも関わっていますから、身体のあちこちで不調がおきます。 それに加えて自律神経が失調をきたすため、卵巣の老化する更年期には、のぼせや火照りなどの自律神経失調症をはじめ様々な症状が表れるのです。
- ②更年期症状・骨粗鬆症と虚血性心疾患アルツハイマー型痴呆とエストロゲン
- 更年期の症状 更年期の症状はエストロゲン欠乏によるもので、代表的にはのぼせ(ほてり)、発汗、不眠、憂鬱、めまいなどがあります。のぼせは閉経に達した女性の50%以上が経験します。 上半身がカーッと暑くなる感覚で、30秒~5分間続きます。 同時に汗がダラダラと流れることがあります。のぼせによって眠りが浅くなり、疲労感が増します。 泌尿器の症状として、尿道や膀胱が萎縮し排尿の調子が悪くなったり、咳やくしゃみによって尿が漏れやすくなります。 また、膣に潤いがなくなってヒリヒリし、セックスが苦痛になってきます。
- ③ホルモン補充療法の実際
- ホルモン補充療法の実際 エストロゲン補充療法にはいくつかの方法があります。 患者さんの年齢、治したい症状、手術歴などによって、薬の種類や量・投与方法などを決めます。 今、エストロゲンは一日一回の内服や塗布剤、二日一回の湿布があります。 少ない量で骨粗鬆症や虚血性心疾患の予防には充分ですが、不愉快な更年期症状が完全になくならないことがあります。 そういう時には、薬の種類や量を変えます。症状が落ち着いてくれば、徐々に薬の量を減らしていきます。 骨粗鬆症や虚血性心疾患の予防のためには長期間のみ続けることが必要ですが、薬が身体に合わない時はいつでもやめることができます。
- エストロゲン補充療法の副作用 エストロゲン補充療法の欠点としては以下のようなものがあげられます。 ●子宮体癌発生の可能性 ●性器出血の可能性 ●乳癌の発生との関係 ●乳房がはったり、痛んだりする。 ●血栓症 子宮がある人では、エストロゲンだけを長期間のみ続けると子宮体癌の発生率が高くなります。 しかし、エストロゲンと黄体ホルモン剤を併用すると、子宮体癌の発生がほとんどゼロに近いことから、この問題については心配がいりません。 煩わしいことですが、子宮体癌が守るためには仕方がないことです。 アメリカではエストロゲン補充療法の臨床試験で5年間投与していたら、乳癌の発生率が高くなるという報告があります。心筋梗塞や脳卒中や静脈血栓症の確立が増えています。 しかし、結腸癌・直腸癌の相対的確率が減ります。
- エストロゲン補充療法を受けられない人 以下のような方には、原則としてエストロゲン療法を受けられません。 ●大きな子宮筋腫がある人 ●乳癌の手術を受けた人 ●胆石のある人 ●肝臓病のある人 ●肥満 ●高血圧 ●過去、現在を含めた喫煙習慣者 ●血栓症のある人
- むすび 更年期は性成熟期から老年期にいたる段階にたとえられます。更年期を迎えた女性はそれぞれに、自分なりの方法で階段を登っておられることと思います。 やすやすと登りきる人もあれば、手助けなしには登れない人もいます。 どうしてもきつくて息切れしている方、あるいは老後の健康に不安を持っている方にとって、ホルモン補充療法は病院ができる1つの大きな手助けです。 しかし、ホルモン補充療法には上にあげたようにいくつかの欠点があり、すべての方にお勧めできるわけではありません。 更年期ホルモン補充療法は大きな柱ではありますが、それ以外にも様々な治療法があります。 例えば、更年期障害は古くから「血の道症」と呼ばれ、たくさんの漢方薬が使われ効果を上げてきました。 また、女性ホルモンや漢方薬以外にも、自律神経を調整し、更年期障害を軽くする薬があります。 一方、更年期障害は心理的ストレスがあるとひどくなるので、薬に頼るだけでなく、趣味や生き甲斐を持つことや、自分にあった方法で更年期をのりきり、穏やかな老年期を迎えていただきたいと思います。

