小学校にフィジカル・コンピューティングを(其の1)


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2010年1月11日 小学生向けフィジカル・コンピューティング授業を構想する

2008年度からの3年間にわたって、MITメディアラボの「Scratch」というソフトウエアと「Picoボード」 というセンサボードなどを使った教育実践について研究しています。これには、Scratchで簡単なプログラミングを行い、さまざまなものを制御する活動 が含まれています。しかし、子どもたちを「プログラミング」や「ロボット制御」の達人にしようという目的は全くありません。

こうした学習活動を通して、論理的な思考力や判断力を培い、将来の生活に生きる力(問題解決能力や自己実現力、表現・コミュニケーション能力…etc)を身につけさせることがねらいです。

こ の研究には、少し面白い「しばり」があります。それは、「オープンソースを活用する」ことです。学校に導入されているコンピュータ環境は、地域によってま ちまちです。どんなに良い研究を行い、良い提案を行っても、誰もが実践できるようでなければ意味がありません。そこで、「KNOPPIX」や「Puppy」を使った1CD Linuxに、この研究で利用した環境を構築しておいて、誰もがすぐに実践できるようにしようと考えているのです。

そんな研究から得られた知見の一部を、将来的な展望も含めて書いておきたいと思います。題して「小学校にフィジカル・コンピューティングを」です。(更新:2016.4.24)

これまでの教材研究で、KNOPPIX 6.0.1上で動かしてきたScratchでしたが、バージョンが1.4になって楽器音がなるようになり、Mac版やWin版に一歩近づいた感じになりま した。しかし一方で、音声録音やカメラ撮影に不具合があったり、1.4の目玉でもあったWeDoが使えなかったりといった問題(追記:既に解決していま す。)があり、やりたかった学習活動ができない状況にありました。この状況から、一時は本気でオープンソースだけで取り組むというしばりをあきらめようか とさえ考えましたが、小学生でも使えそうなロボット教材「ミュウロボ」を教えて頂き、Scratchの改造までして頂いて、無事にKNOPPIXを使って研究を進めることができるようになりました。(以下のスクリプトは、Mac版Scratchで作ったものです。)


ミュウロボの制御基板は、結構汎用性があって、学習教材としての利用価値が高いことが分かりました。自動車型のロボットの制御に使うだけでなく、制 御基板単体で別のモータとつなぎ合わせて使うというのも面白いと思います。(その場合は、Scratch/locale内のpoファイルを編集し、ブロッ クの表記を改めた方が良いと思います)

ここまで研究を進めてきて「マイコン基板」という言葉を知り、さまざまなマイコン基板が開発・利用されていることを知りました。Linux版の Scratchでミュウロボが動かせたことはとても画期的なことですが、他のマイコン基板もLinuxから動かすことができたら、この研究の価値が高まる だろうと考えました。しかし、ことはそう簡単ではありませんでした。Linux版のScratchからWeDoが動かせなかったのと同様に、さまざまなマ イコン基板もその制御ソフトはWinのみ対応という場合が多く、Linuxから動かすためにはドライバや制御ソフトなどの自作が必要なようでした。当然の ことながら、私にはそんな技術はありません。そこで、オープンなマイコン基板で、Linuxに対応したドライバや制御ソフトがあるものをいくつか使ってみ ることにしました。

左が「Arduino」、右が「Gainer」 と言います。これには、さまざまなセンサや発光ダイオード、モータなどをつないで動かすことができます。(もちろん、単純につなげば良いってものではない のですが…)そのためのプログラミングもしなければなりませんが、動かすのはそう難しいことではありませんでした。(子どもたちにやらせるのは、ちょっと 敷居が高いかもです)

これらを中心に、いろいろなものをつなぎ合わせてさまざまな機能を持ったものを作るというのも、面白い活動になるだろうと思います。実際に、高等学 校や大学などでは、ブレットボードやユニバーサル基板などと合わせて、こうしたマイコン基板を使って電子工作を行う学習活動も行われているようです。しか し、私の相手は小学生。繊細な電子部品を扱わせるのはかなりコワいです。そこで、ちょっと思考実験してみました。

これまで、電子部品をつなぎ合わせていろいろなものを作るおもちゃとして、「電子ブロック」 というものがありました。これは、ブロックの中に電子部品が組み込まれていて、ブロックの外側の端子同士がつながることで電気が流れ、回路が完成するとい う仕組でした。子どもたちが電子部品に直接触れることなく電子回路を組むことができるというのは、とても画期的ですばらしいアイデアだと思いました。この 考え方をもう少し発展させて、さまざまな機能を持つセンサやアクチュエータを、ArduinoやGainerにつなげばすぐ使える状態でパーツを組んでお いてはどうかと考えました。ごく簡単な例で言えば、発光ダイオードを光らせるのに、発光ダイオード+数百Ω〜数kΩ程度の抵抗が必要なようですが、これを 組み合わせた状態のものを作って(小さな箱に詰めておいても良い)おいて、ジャンプワイヤなどでArduinoやGainerにつなげば、後はプログラム を書けば良いという状態になるのではないかということです。

この考え方を使えば、既に市販されているさまざまなセンサなども、そのまま(あるいは、ちょっと改造して)使うことができるのではないかと考えました。例えば、エレキットの「3端子メロディーICモジュール」などは、まさにそういう使い方ができるものと思っています。

こういうものを何種類か用意しておいて、「つないですぐ使える」という状態にして行けば、小学生でも十分にこうした活動ができるのではないかと考え ています。これから、どんなものが利用可能か、どんなものが必要かということについて考えて、できるものは試作して行きたいと思っています。

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