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予算の乏しい日本の公立学校現場にあって、フィジカル・コンピューティング環境を学習活動に活かそうと思うと、機材の値段が大きな壁になります。こ のことは、オープンソース・ソフトウエアを利用するときとは大きく異なります。オープンソース・ソフトウエアを利用する場合は、既に導入されているPCを 使うことを前提とすれば、ソフトウエア自体が無料で利用できるので、メンテナンスの費用を除けばが新たな費用負担が発生しないのに対して、フィジカル・コ ンピューティング環境を整えるためには、どうしても現物(電子部品やそれに類するもの)が必要になるため、無料で利用するというわけにはいきません。金銭 的に余裕のない学校現場にあって、このことは致命的とも言えます。そのため、できるだけ安価にフィジカル・コンピューティングの学習環境を構築する必要が あるのです。
格安のArduino互換機を作るというの は、こうした学校現場の切実な状況に対して、少しでも子どもたちの学習機会を保証し、よりよい学習環境を構築するために重要なことなのです。その作り方は 何通りか考えられるのですが、比較的簡単にできて、子どもたちの過酷な使用に耐えそうな方法を選び、1,000円前後で作れる格安Arduino互換機を 試作することにしました。
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AE-ATmega |
ejackino |
まず、目をつけたのが秋月電子通商で製造・販売されている「AE-ATmega」というATmega168/328用マイコンボード(I/Oボード)でした。名前にはArduino互換ボードらしさがありませんが、「アーデュイーノ互換マイコン・ボードを作る」に付録されている「ejackino」に酷似していて、一目見ればArduino互換ボードであることがわかります。しかも、価格が安い。そこで今回は、このAE-ATmegaで量産することを念頭に置きながら、手元にあったejackino基板を使って、格安Arduino互換機を作ろうと考えました。
「アーデュイーノ互換マイコン・ボードを作る」に掲載されている通りにejackino を組み立てると、2,000円弱くらいの費用がかかってしまいます。それでも本家Arduinoに比べれば安いと言えますが、目指すのは1,000円前後 ですのでまだまだ倍近いことになります。『マイコン・ボードは裸のマイコンが動くための最小の舞台』とありますが、これをさらに切り詰めたいのです。目標 達成のために「USBシリアル変換IC」の周辺を大きく削ろうと考えました。前回の最後で紹介した「MetaBoard」を応用すれば、USBシリアル変換ICを使わずにUSB接続が可能になるだろうと考えたのです。早速、「ちっちゃいものくらぶ」で、ちびでぃ~のキット(ATmega328PにMetaBoardと同じブートローダが入っている)を購入して実験を進めました。結果、無事に格安Arduino互換機ができ上がりました。これを「Metajackino?(仮称)」とし、既に写真を公開したのですが、その作り方などをここにまとめておきます。
◯ボード部
| 部品名 | 必要数 | 価格(参考) | 備考 |
| ejackino基板 | 1 | 「アーデュイーノ互換マイコン・ボードを作る」 (定価2,520円)付録 |
秋月のAE-ATmega(150円)でも可* |
| 10kΩ抵抗(茶黒橙金) | 1 | 1円 | 100本入100円 |
| 1kΩ抵抗(茶黒赤金) | 2 | 1円×2 | 100本入100円 |
| 整流ダイオード(1A以上:10DDA10) | 1 | 31円 | 1N4007(秋月で20本入り100円)でも可 |
| 22pFセラミックコンデンサ | 2 | 5.2円×2 | 10本入52円 |
| 0.1μF積層セラミックコンデンサ | 3 | 10円×3 | 10本入100円 |
| 16MHzクリスタル | 1 | 50円 | 10個入り500円 |
| タクトスイッチ | 1 | 10〜30円程度 | お好みで |
| スライドスイッチ | 1 | 25円 | 4個入り100円 |
| 三端子レギュレータ(5V1A) | 1 | 25円 | 4個入り100円 |
| 100μF電解コンデンサ(小型) | 2 | 56.7円×2 | 10個入り567円 |
| 発光ダイオード | 2 | 5円程度×2 | お好みで |
| 2.1mmDCジャック | 1 | 25円 | 4個入り100円 |
| 2×3ピンヘッダ | 1 | 6円程度 | 1×40(40円)から切り出して2つ並べた |
| 1×6ピンソケット | 2 | 20円×2 | |
| 1×8ピンソケット | 2 | 30円×2 | |
| 1×4ピンソケット | 1 | 10円程度 | 1×20(50円)から切り出した |
| ATmega328P | 1 | 250円 | |
| 28ピンICソケット(スリム) | 1 | 20円 | 10個入り200円 |
*AE-ATmegaを利用する場合は、整流ダイオードがブリッジダイオード(@20円/5個入り100円←取り付けに工夫が必要)になります。
◯USBコネクタ部
| 部品名 | 必要数 | 価格(参考) | 備考 |
| 68Ω抵抗 | 2 | 1円×2 | 100本入100円 |
| 1.5kΩ | 1 | 1円 | 100本入100円 |
| 0.1μF積層セラミックコンデンサ | 1 | 10円 | 10本入100円 |
| 3.6Vツェナーダイオード | 1 | 21円 | 3.5〜3.7V |
| 青色LED(ツェナーダイオード代替) | 1 | 7.5円 | 20本入150円 |
| 1×4L型ピンヘッダ | 1 | 5円程度 | 1×40(50円)から切り出した |
| ユニバーサル基板 | 1 | 100円 | 20×24 |
| USBケーブル | 1 | ? | 廃品利用 |
※USBケーブルは、自宅にあった古いUSB機器の配線を流用しました。コネクタだけなら秋月で50円程度です。
ボードだけなら、1,000円未満で作ることができますし、900円以下で作ることも夢ではありません。USBコネクタについては、ちびでぃ~の的 な発想で作りました。スケッチを流し込んだ後は、電池やACアダプタで動かすことにすれば、数本用意すれば足りるだろうと思います。
まず、ejackinoの回路図、MetaBoardの回路図、USB直結Arduino互換ボードの回路図を見比べて、共通のところはそのままにして、USBシリアル変換に関わる部分だけを変更するように考えました。そして、ボード部とUSBコネクタ部を分けて作ることにして、作業にとりかかりました。
◯ボード部
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◯USBコネクタ部
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USBコネクタ(表)
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USBコネクタ(裏)
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※USBのケーブルが細い場合は、ホットボンドなどで補強するとよいでしょう。
ここまでできたら、あとはパソコンにつないでMetaBoardブートローダを書きこむだけです。今回も今までと同じよ うに、Arduino-IDEを使って、MacからAVRISPmkIIを経由してブートローダを書きこんでみました。ejackino基板にはICSP が用意されている(AE-ATmegaも同様)ので、ここにAVRISPmkIIを接続します。(▼を合わせることを忘れずに)同時に電源も別に必要なの で、Metajackino?にアダプターか電池をつなぎます。あとは、Arduino-IDEのメニューからたどって、「w/ AVRISP mkII」を選択するだけです。
本家Arduinoとはピンの使い方が異なる(2番ポート、4番ポートがUSBデータのやり取りに使われていて、7番ポートがGNDにつながってい るが、1番ポートおよび2番ポートはシリアル送受信に使っていない)ため、スケッチを変更したりシールドの配線を変更したりする必要はありますが、そのこ とだけ注意すれば小学校で使う程度のことなら問題なさそうです。また、USBコネクタ部を別に作ってあるので、USBに接続する必要がない状態になった ら、USBコネクタ部をはずして使うこともできます。我ながらよくできたと自画自賛。(USBハブにつなぐと電源が安定しない感じなので、パソコンに直接 つないだほうが良いみたいです)
ついでに、Diavolino(10枚$36)でもできるかどうか、思考実験してみました。部品数は若干減るのですが、基板の値段がAE-ATmegaの倍以上なので、最終的に100円くらい高くなります。特別な事情がない限り、AE-ATmegaを使ったほうが良いと思います。
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