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携帯電話ケース

横向きバージョン
携帯電話の機能の充実とともに、従来機種よりサイズが若干長い機種が多くなってきたようです。
携帯ケースは縦型より横型の方が使い勝手が良いのではということで作ってみました。
このタイプは湿した革をプレスして製作するので結構手間がかかるのですが、完成品はそれなりの存在感があるように思えます。
正面と裏面。製作過程は縦型バージョンと同じです。
縦型バージョンの製作過程です。
【材料】
●牛革(厚さは使用場所により1mm程度から1.6mm以上まで使い分けます。)
●アメ豚(内側に貼る薄いブタ革です。)
●革用接着剤(乾燥後も柔軟性があるタイプ)
●染料
●マジックテープ(百円ショップにあるもので十分)
●手縫い糸
●板(本体の型枠を作ります。)


【道具】
●カッター
●はさみ
●万力
●半田ごて
●ステッチング グルーバー(手縫用の溝付け)
●手縫針
●手縫いパンチ(手縫用の穴あけ)
●手縫用固定機
●筆

1 ケースの本体部分を成形する
 接着剤の種類にもよると思いますが、皮革用接着剤のほとんどが貼り合わせる両面に接着剤を薄く伸ばし、数分おいて貼り合わせる手順です。牛革と豚革を貼り合わせます。
 端の方から狙いを定め、波が押し寄せるイメージで行えばシワだまりが生じにくいようです。(実は単純な作業ほど大変なんです。)
2 板で型枠を作る
 凹側は厚さ3センチ以上の板を使用し、凸側は携帯サイズを若干上回るサイズに切断してサンドペーパーで丸みをつけ、それぞれ板に貼り付ける。
 革のロスを少なくすることや作業効率を高めるため、携帯2個分を同時に作成します。
3 プレス作業
 
1の革を全体がまんべんなく水分を含む程度に浸し、型枠にあわせた後、プレスします。携帯ケース作りで最もわくわくする作業です。
 
この作業では、革に傷つけないよう布をあてています。
 
4 型枠から外す
 半日以上放置した後、型枠から外します。ご覧のとおり革は驚くほどよく伸びるものなのです。
裏側もうまくできてます。
(この方法ならペンケースや小物入れ、バッグ,お面など応用はいくらでもあることに気付きます。)
これから先の工程で使用する型紙です。サイズは標準的な携帯電話機にあわせるのは云うまでもありませんが、今回は市販(ダイソー)のマジックテープの3センチ幅をベースに構成しています。
5 マジックテープの加工
 今回の携帯ケースは金具を付けません。フタを閉じる部分やズボンのベルトに止める際もマジックテープを使用します。
 マジックテープは加熱で溶解します。革との接着部分の境界をハンダゴテで加工します。
 加工後はこうなります。両端の半円部分が加熱した場所です。
6 帯部分にマジックテープを組み込む

左端は完成品
表側になる革と内側の腰のある豚革に加熱して加工したマジックテープをはさむ。

 マジックテープ部分は疲労度の高い部分です。しっかり接着しなければなりません。口金おさえを使って圧着します。
 (市販の口金押さえに革を貼り付けておけば、作業過程で革に傷付けにくくなります。
7 手縫い部分に溝をつける
 縫い目の納まりをよくするためにステッチンググルーバーで溝をつけます。こんな便利な道具があるんです。
縫い針を通す穴あけ道具
糸の種類や太さに応じて使い分けます。左は『目打』、右『パンチ』
8 背面部分を手縫いする
 帯部との接着は1箇所です。画像の上3分の1の場所が縫い付けてあります。
10 凸側の革に縫い付ける
手縫いでは通常2本の針を使って交互に縫っていきます。1本の針で縫った場合は縫い目の見映えがよくありません。
そのため両手を使うのですが、小さい作品の場合は固定できないため固定装置が必要です。

(仰々しく見える装置ですが、実はDIYショップの特売品として入手したもの。緑色は万力。引き金のついている器具は木工用のクランプ。革と接する面には布を巻いています。)
11 縫い合わせる前の準備
 
背面部分と表面部分とを接合する前に、縫い目の溝きりをしておく。
 また、縫い合わせる前に接合部分には両面テープを貼って固定する。
12 仕上げ作業
 
エッジ部分をドレッサーで磨き、接合部分を一体化する。
 なめらかになったら、その部分を染料で筆塗りする。
13 仕上げ作業その2
 
12のエッジ部分に水溶きしたCMCを塗り、へり磨き(革の端財や布でも十分)で艶が出る程度になるまでこする。
CMC:革の切口のケバダチをおさえる目的などに用いる糊材。粉末状なので水に少量加えゲル状になったところを使用します。成分はダイエット食品やアイスクリームなどに含まれる食物繊維グリコール酸ナトリウム。
14 仕上げ作業その3
 13の作業後、よく乾燥させてコバ仕上材を塗る。この塗り加減次第で作品は上品にも下品にもみえてしまうので命がけの工程なのです。
コバ仕上材には数種類ありますが、左端のコバコートが一般的に使用されている。
15 最後の仕上げ
 
レザーラッカーを全体に塗って完成
造形や機能を追求していくと全体像はシンプルになることを実感します。とても素人とは思えない完成品にただただ(自分の手先に)感心するばかりです。
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