人工生命と蛾の隠蔽色の進化

人工生命
 人工生命 (artifitial life)*とは、計算機の仮想空間上などの上で、計算機の定める規則に従って生活、死亡、繁殖などを行う生物模型である。(*印は岩波生物学辞典第四版にある項目)ふつう、複数個体を同時に生活させ、その相互作用も考えることがある。特に、生活、死亡、繁殖などの規則を遺伝子*を模したプログラムで表現し、繁殖の際にそのプログラムに突然変異*が起きたり、有性生殖*により両親の規則を混ぜ合わせて子供の規則を作ることができる。これにより、人工生命は進化*を模倣することができる。

 特に、人工生命のうち、遺伝的規則の適応進化 *だけを取り上げたものは、遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm*)と呼ばれる。遺伝的アルゴリズムは神経回路模型(neurocomputing*)と並んで、生命を模した「プログラム」である。神経回路模型が人間の試行錯誤による学習*を模したプログラムなら、遺伝的アルゴリズムは進化を模したプログラムである。ともに、パズルのような演繹的な解法が見つからない問題を解くのにも利用される。どちらも生物現象の説明だけでなく、巡回販売員問題(traveller’s salesman problem)など非生命現象に応用されているが、ここでは生物進化を模倣した例であるSPXを紹介する。SPXは兵庫県博の沢田佳久氏が考案した人工生命による自然選択体験ゲ−ムである。

 

蛾の隠蔽色の進化
 蛾は、背景と紛らわしい模様を進化させることにより、鳥などの捕食者から逃れてきた。あるいは一斉羽化や毒物含有(化学防御)などの防衛手段も進化させている。特に他の生物を模倣することを擬態 *mimicryという。無害なアブがハチに似た黄色と黒の縞模様(警告色)をもつように、天敵が忌避する目立つ生物に似せる標識的擬態*(狭義のmimicry)と、擬態にはシャクトリムシが小枝に似るように発見しづらくなる隠蔽的模倣*(mimesis)がある。前者にはさらに自分が無害なアブの場合をBatesian mimicry(ベーツ擬態)、2種以上の有害な動物が同じ警告色をもち、天敵への警告を強めるMullerian mimicry(ミュラー擬態)がある。熱帯魚などで目の中まで縞模様をつけて尾部に黒い斑点をつけ、頭の位置を錯覚させる形質も擬態である。

 隠蔽的擬態には、青虫やバッタが背景の草むらにあわせて緑色をしたり、ウサギが夏と冬で体毛の色を変える隠蔽色 *も含まれる。

 このような警告色や隠蔽色は、生物が天敵から逃れるために意識的に工夫して進化してきたものではない。突然変異と自然淘汰により、たまたま天敵の被食を逃れた個体が子孫を残し、擬態した形質が子に遺伝し、突然変異を伴い、ますます擬態を進化させた個体が生き残ることを繰り返した結果である。他の個体よりも罷職されにくい個体が子孫を残す上で有利になる。 


人工生命
蛾の隠蔽色の進化

探索像
遺伝的アルゴリズム

分散処理
進化的安定状態と永久変動
人工生命に芸術は作れるか?





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