「ありがとうございます」と「ありがとうございました」

2003.10.13

これについては、Nifty の FNIHONGO MES 10 #170〜173
および MES 9 #376〜379 で話題になったことがある。(1998年2月14日〜16日)
それを参考にまとめてみる。

「ありがとうございます」と「ありがとうございました」との使い分けについては、
《まだ済んでいないこと》に対しては「ありがとうございます」と言い、
《すでに済んだこと》に対しては「ありがとうございました」と言う、
というのが当然 考えられる解答である。
例えば、過去のある日のことがらに関して感謝するとき、 「先日はどうもありがとうございました」と言う。(QWL02707 岳) また、未来のことについて「今度 本を貸してあげるよ」と ある約束を取り交わしたとき、 「どうもありがとうございます」と言う。(YHD04742 目細)
また、
お客が食事を終え、会計の意思を示したときは「ありがとうございます」を、 会計が済んで、お客が店を出るときには「ありがとうございました」を使う、 と接客用語のマニュアルに書いてあった。(VZE05460 菅原)
と言う人もいる。これは充分 納得のいく説明である。
これに対して、
会計の意志を示したときに「〜ございました」を言うことも多いのではないか、 席を立って帰ろうとすると「〜ございました」を言うところが多いように思う。 (MXE00027 かみむら)
と言う人もいる。

問題は、どういう状況を「済んでいない」と考え、 どういう状況を「済んだ」と考えるか、ということになる。
上の例で言うと、会計を中心に考えると、 支払いがまだのうちは「ありがとうございます」、 支払いが済めば「ありがとうございました」となるのは ごく当然のことである。
しかし、食事・会計を一体のものと考えると、 支払いは当然なされるものと見越して、 食事が済んだ時点で(支払いがまだでも) 「ありがとうございました」と言うことが考えられる。
こういう例があって、この問題を難しくしているのだ。

また、
タバコを吸いはじめたとき灰皿を自分のほうに寄せてもらったり、 両手に荷物を抱えているときにドアを押さえてもらったりしたときなど、 ちょっとした瞬時に終わってしまうありがたい行為に対しても 「ありがとうございました。」は使いにくいと思います。 (QWL02707 岳)
という指摘もある。つまり、普通は「ありがとうございます」と言う ということだ。
「瞬時に終わってしまうありがたい行為」、 つまり、済んだことなのに、なぜ「〜ございます」と言うのか。 これは、その行為をする方を考えていてはだめである。その 行為を享受する側を考えなければならない。 まだそれを享受していないから、「〜ございます」と言うのだ。 灰皿を使ったり、ドアを通り抜けるのはこれからなのだ。

スポーツ選手が優勝したときなど、 インタビュアーが「おめでとうございます」 と言うのに対しては普通「ありがとうございます」と答える のだが、前記、QWL02707 岳さんによると、 柔道の田村亮子選手の場合は、 こういう場面でよく「ありがとうございました」 と答えているそうだ。 それは「今回はもう終わった。次の目標に向かって がんばる」ということの現れだ、と解釈しているそうだ。

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