旅立ち

  平成10年   
     6月24日 いつも頑張り屋さんの由佳ですが、今回はまいっていました。
「もう嫌だよ」
「早く直してよ」
「お母さん、どこにも行っちゃだめだよ。ずっと一緒だよ」
「寝るのが恐いよ。目を覚ますと変なところへ行っちゃうよ」
由佳、ここを乗り越えよう。もう少し、もう少しだけ頑張ろうね。
       25日 午後、顆粒球輸血をした時に、先生より家族を呼んだほうがいいと言われた。
突然、本当に突然こうなるんだね。
家族皆で由佳を見守ります。
痰のからみがひどく、息づかいも荒いのですが、一生懸命に話をする。
「身体拭きする。シャンプーもする」   いつもは嫌がる事なのになぜ? 
身体拭きをして、髪の毛も拭いて、パジャマを着替えました。
「きれいになったよ」と言ったら、とても満足そうな顔をしました。
水分をうまく飲めず、ほとんど鼻から出てしまいますが、、
それでも今まで飲みたくても飲めなかった分を取り戻すかのように、一生懸命飲もうとする。
オレンジ、メロン、グレープ、お水、お茶、次から次へと一口づつ飲む。
苦しい中、話をする。
「お兄ちゃんと遊びたい」
「今すぐ遊びたい」
「何でもいいから遊びたい」
「おうちへ帰りたい」
「お家で料理したい。ホットケーキ焼くの。ラーメン作るの」
「お兄ちゃん、お父さん、お母さん・・・」
   
     6月26日 午前3時45分    由佳は天国へと旅立っていきました。
             享年8才
             とてもきれいな顔。いつもの由佳の顔。
             声をかけると「な〜に?」と返事しそう。
             あまりにも急だったような気がしてならない。
   
             きれいになった由佳。
             先生方や担当看護婦さんがお別れを言いに来てくれたよ。
             さあ、おうちへ帰ろう。
             外は、大雨だね。みんな泣いているよ、由佳。
   
          8才の小さな身体で、普通の大人が一生かかっても体験しないような肉体的、精神的苦痛、
          そして非常に辛い治療に弱音を吐かずに耐えてきました。
          我が子ながら、「よく頑張った。由佳はえらいぞ」と褒めてあげたいと思います。
          2度の入院、約2年の入院生活、療養期間を含めると、由佳の人生の大半は病気との闘いでした。
          4才から8才の一番の遊び盛りの闘病生活はとても辛い日々だったと思いますが、
          体調の良かった時の由佳の笑顔は、最高に私たちを楽しくさせてくれました。
              「由佳 ありがとう」                                                
                                            〜由佳パパ〜