姫君にお仕置き(5)
「あ、うう」暗く陰惨な地下の拷問部屋。リルン姫は小さな喘ぎ声を上げた。
体にぴったりと張り付いてくるような、黒革の異様な拘束服。両胸にぽっかりと開いた二つの穴から、それぞれふくらみかけの乳房が晒されている。その先端、桜色の乳首に、フィズの唇が吸い付いていた。
リルン姫は反射的に、その愛撫から逃れようと身をよじった。頭上の両手首で、カチャカチャと金属音が鳴る。拷問部屋へ連れ戻されたとき、鎖で繋がれたのだ。
「はあ、はあ」
リルン姫の息は荒くなっていく。
フィズは彼女の前で、犬のように四つん這いになり、その唇だけで彼女を愛撫している。隠微な舌が硬くなった乳首をねぶりまわし、柔らかな唇が強く乳首を吸い上げる。唾液が溢れ、なめらかな乳房を汚していく。
「フィズリリーナ、そろそろいいでしょう」
薄暗い闇の向こうで、姉の声がした。ファーナ姫は椅子に腰掛けたまま、自分では手を出さずに、冷ややかにこちらを眺めている。
その命令を受けて、フィズが体を動かした。頭が床に着くほどに這いつくばる。両胸と同様に剥き出しになった股間を嬲ろうというのだ。
リルン姫の秘所は、やってくる快感を想像して、キュッとすぼまった。愛液がとぴゅと溢れ出し、股間を汚し、床を濡らす。
フィズの唇がその秘所に触れた。
「あっ、ああ、あああ」
リルン姫は声高く喘ぎ、激しく身をよじった。ガチャガチャと鎖が鳴る。脚を閉じようとするがいうことを聞かない。両足首にも鎖がはめられ、股間を大きく開いた状態になるよう、床に繋がれているからだ。
すでに勃起していたクリトリスを、フィズの淫らな舌がねぶる。溢れ出した愛液を掬い上げ、塗りつける。唾液と愛液の淫猥な混合物が、幼く美しいピンクの突起を、より艶やかに飾り立てる。
「ひ、ああ、ああ、だめ、そんなにしたら、リルンこわれちゃう」
リルン姫は荒々しく首を振った。目には涙が溢れ、口からも涎が垂れ始めている。
だが、フィズは容赦しない。蠢く舌が、割れ目を押し開いて、中へと押し入ってくる。くねり、ねぶり、突き上げる隠微な肉の性具。股間が熱くとろけ、ぐちゃぐちゃに掻き回される感覚。
「ああっ、ああ、ああ、やあ、リルンいっちゃう、いっちゃうよ」
両足を突っ張らせ、背中をのけぞらせる。激しく鎖が鳴る。感電したように腰が痺れ、快楽以外のあらゆる感覚が欠落した。それが急速に全身に伝播し、フィズの蠢く舌だけが、感じることのできるすべてとなる。
「あっ、あっ、あっ、ああっ、ああっ、ああああ、ああああああっっ」
リルン姫の幼い体は、びくびくと痙攣したかと思うと、ジャランという鎖の音と共に、がっくりと崩れ落ちた。
気の遠くなる感覚。が、リルン姫は気を失ってはいない。
(あ、変身しちゃう)
リルン姫は絶頂を迎えた浮遊感の中で思った。
皮膚の表面に粘液が分泌され、体細胞が美しく透き通り始める。
それと同時に、人間でいるときには思いもよらないほど感覚が拡大する。がっくりとうなだれているにもかかわらず、薄暗い部屋の中が見える。触手の受光器官は全身に分布しているため、服に覆われていない部分からなら外を見ることができるのだ。
四つん這いになっているフィズが見える。と同時に、触手特有の強烈な性欲がわきあがってきた。
(犯したい)
という欲望が全身を駆け巡る。今すぐ触手を伸ばしてフィズの衣服をずたずたに引き裂き、その性器に自らの生殖茎を挿入して愛液のすべてを注ぎ込みたい。黒髪に愛液を注ぎかけ、美しい体のすみずみまでを自分の分泌物で冒したい。
だが、まだ変身は終わらない。一本たりとも触手を動かすことはできないのだ。
もどかしい思いに耐えている間に、触覚が鋭敏さを増してきた。変身しつつあることに気づかないのか、フィズがまだ股間をねぶっている。変身途中に愛撫される感覚は、触手にしか分からない。まったく身動きできないときに、以前の何倍にも敏感になった性感帯を嬲られるのだ。
それは触手にとっては恐ろしく被虐的で屈辱的な快楽だった。人間で言えば、ちょうど今のリルン姫のように、身動きできないように拘束されて嬲り者にされる感覚に似ている。
もっともリルン姫は、それが嫌いではなかった。ファーナ姫にそうやって嬲り者にされることが時々ある。変身途中の乳房をもみつぶされたり、膣の中に手や触手を突っ込まれて体の中をぐちゃぐちゃに掻き回されたりする。それをされると、変身しながら愛液を止め処もなく垂れ流し、その後もぐったりとして、触手でありながら、抵抗もできずに嬲り者にされることになる。
フィズの舌は、それほどの強烈な愛撫ではなかったが、それでも変身途中のリルン姫には、悲鳴を上げたくなるほどの快楽をもたらした。
(はやく! はやく!)
脳がぐるぐると回る。興奮が全身を犯し、急き立てる。
(犯したい! 犯したい!)
脳細胞がばらばらになり、溶け出し、全身へと拡散していく感覚。
(もうすぐ! もうすぐ!)
あと少しで変身が完了し、フィズを思いのままに嬲りつくすことができる。
全身が熱い。理性が遠のき、欲望がすべてを支配する。もう、フィズを犯すこと以外、何も考えられない。
だが、次の瞬間、リルン姫は心の中で悲鳴をあげていた。
(あつい! あつい!)
灼熱の熱さ。拘束服に触れている部分が、焼けるような熱さを感じている。
変身の途中でありながら、リルン姫の体が跳ねた。突然悶え苦しみ始めたリルン姫を見て、フィズが驚き、怯えた表情を浮かべて身を引く。
細胞の一つ一つが、拘束服から逃れようと収縮し、粘液の分泌が止まった。変身のプロセスが逆転する。
「いやああああああああああ!!」
人間へと戻ったリルン姫は絶叫した。
荒い息。全身から力が抜ける。弛緩した秘所から、愛液が溢れ出した。
ファーナ姫は椅子から立ち上がると、妹に歩み寄った。
「リルン、それは触手用の拘束服です。今のあなたでは、それを着たまま変身することはできません」
リルン姫はうつろな瞳で見上げた。
「お姉さま…どうして…」
「あなたはフィズに欲情するあまり、理性を失ってしまいました。今のあなたは、本能のままに快楽を求める、ただの淫乱なけだものです」
リルン姫の瞳から、涙が溢れ、零れ落ちた。リルン姫は震える声で言った。
「リルンは…淫乱な…けだものです」
「あなたのようなけだものは、一生地下牢に閉じ込めておかなければなりません」
「はい、お姉さま…リルンは…お姉さまの奴隷です…何でもお姉さまのおっしゃるとおりにします」
ファーナ姫は床に膝を着くと、妹の瞳を覗き込んだ。
「聞きなさい、リルン。今日からあなたは、私とフィズリリーナの肉奴隷です。鎖に繋がれたまま、触手になることもできずに、毎日犯され続けるのです。ですが、もしあなたが、理性を取り戻して、その拘束服から逃れ出ることができれば、牢から出してあげます」
ファーナ姫の話にもかかわらず、リルン姫の瞳に希望の色は浮かばなかった。
「リルンには分かりません」
「どんな快楽の中にあっても、自分を見失わないことです。あなたにはそれができます。私の妹なのですから」
「あ…」
ファーナ姫の唇が、リルン姫の唇に触れた。零れ落ちた唾液の跡をねぶり、相手の口内に舌を侵入させる。
リルン姫が甘ったるい吐息を漏らし始めると、ファーナ姫は無慈悲に身を引いた。
「フィズリリーナ、例のものをリルンにつけてあげなさい」
「は、はい、ファーナ様」
フィズは怯えた子犬のように、びくりと反応した。壁に吊り下げられている性具の中からひとつを取り、リルン姫の前にひざまずく。
「あ、いや」
リルン姫は腰を引こうとしたが、鎖が音を立てるばかりで、体は動かない。フィズが手にしているのは、男根の形をした張形だった。それも単なる張形ではない。フィズの体温に反応したのか、先端がぐねぐねと蠢いている。
その男根が、リルン姫の濡れそぼった秘所に難なく挿入された。さらに、この張形は決して抜け落ちることがないよう、ベルトで固定することができるようになっている。フィズはリルン姫の腰にベルトを巻きつけ、さらに止め具に鍵を掛けた。もはやどうあっても、男根を引き抜くことはできない。
リルン姫を責め苛むためのすべての準備が終わると、ファーナ姫はフィズに命じて鎖を緩めさせた。滑車が回り、鎖が伸び、吊り上げられていたリルン姫の両腕がだらりと床に降りてくる。両足の自由も利くようになり、それに伴って、リルン姫の太腿は、挿入された男根に耐えるように、ぴたりと閉じられた。
「リルン、今日はもう眠りなさい」
ファーナ姫は冷たく言うと、フィズを連れて部屋を出て行った。
扉が閉まり、鍵が掛けられる。陰惨な拷問部屋に、リルン姫一人が取り残された。
蝋燭が一本、風に揺れているきりで、ほかに灯りはない。
その暗がりの中で、リルン姫は一人、意思を持たない男根に犯され始めている。
「あ、うう、う」
冷たい石の床に突っ伏した少女の影から、喘ぎとも、啜り泣きともつかない声が、漏れ始めた。