花より触手(1)出会いの日
暗い祝福の小部屋の中で、アルマは体を支えるための横木につかまったまま、絶望的な喘ぎを漏らした。「ぁ…んっ…んんっ…くっ…ぅ…ぁああ…やっ…あぁ…ぁ…」
後方へと淫らに突き出された下半身から、グチュグチュと淫靡な音が聞こえている。何本もの触手が群がって、アルマの下腹部を嬲っているのだ。
膣の中を何度も触手が行き来する。粘液と愛液が入り混じった液体が、その度にじゅぶじゅぶと女陰から溢れ出してくる。腰から胸にかけて絡みついた触手は、くねりながら乳房を撫で回し、粘液でべとべとにしながら、執拗に愛撫を続けていた。硬くなった乳首がジンジンと痺れ、出ないはずの母乳でも噴き出しそうだった。粘液の催淫効果で全身が感じやすくなっている。
いったいいつまで犯され続けなければならないのだろう。あれから何日たったのか、アルマにはもう分からなかった。朝の祈り、夕方の祈り、そして夜の瞑想の時間になると、シスターたちが入れ替わり立ち代りアルマに祝福を授けるのだ。祝福という名の陵辱を。
「主はとこしえに乙女を犯し辱めたり」
アルマを犯しているシスターが恍惚とした声を上げた。次の瞬間、アルマの背中に、触手の生温かい愛液が吹きかけられた。粘液よりも刺激的な液体に、一瞬肌が焼けるような錯覚を覚える。快楽の熱は皮膚から急速に体内へと侵入した。
「あぁあああああっ!」
アルマは絶叫した。膣が収縮し、腹の中で蠢く触手を押し潰そうとするが、それにもかかわらず触手は恐ろしい力で暴れまわった。絶頂に頭が真っ白になり、体がびくびくと震える。永遠にも思える恐ろしい快楽の時間。魂は宙に飛び、何も分からなくなる。
再び暗闇が戻ってくる。体から力が抜け、アルマはずるずると床に崩れ落ちた。体がぽかぽかとあたたかい。快楽の火照りが全身を覆っている。
アルマの中からずるりと触手が引き抜かれた。
「あなたに幸福が訪れんことを」
シスターがいい、手を合わせて祈りのポーズをとる気配がした。
アルマはまだ身動きできなかったが、喘ぎながら何とか言った。
「ありがとう…ござい…まし…た…」
アルマはイヴの像の前で祈っていた。最初に触手の神に犯された少女。シスターたちは美しく気高い至高の存在だというが、アルマにとってはエロティックな像に過ぎない。ただ、触手に犯された挙句、その姿をこんな風にして晒されてしまうという恥ずかしさには、何か親近感を覚える。アルマの体は祝福を授けられたときの粘液でまだべたべたしていた。下着はもちろん、衣服はべったりと肌に張り付いている。祝福の証である粘液を拭き取るとご利益がなくなってしまうので、祝福を授けられた者は、その日一日はそのままで過ごすのだ。
一日三回祝福を受けているアルマは、常に粘液にまみれていた。触手の甘い香りが絶えず全身を包み、淫らな気分から抜け出せない。性感帯が過敏になったままで、ずっと犯され続けているような気がする。
今もアルマは祈りながら、過去の陵辱を思い出していた。女陰が開き、あふれた愛液がパンティに染み込んだ粘液と入り混じる。
下半身に痺れたような快感が広がり始めたところで、アルマは慌てて立ち上がった。そのまま祈っていたら逝ってしまっていただろう。教会の中はがらんとしていたが、無人ではない。椅子に座って祈りを捧げている人がいたし、奥の祝福の部屋からは、誰かが祝福を受けている淫靡な声が漏れ聞こえていた。
立ち上がったところで突然目がくらんだ。バランスが崩れ倒れそうになる。
(うわ、エッチのし過ぎだ)
思ったのと同時に、アルマの体は何者かに抱きとめられていた。
ゆっくりと目を開ける。優しそうな美しい顔が覗き込んでいた。シスターではない。だが、ここで何度か見たことがある顔だった。
「大丈夫?」
相手の声に、アルマは何かぞくぞくするのを感じた。
「大丈夫です」
アルマがいうと、相手はそっとアルマを放した。それから優しく微笑み、
「祝福を受けるのもほどほどにね」
アルマは真っ赤になって頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
相手が去ると、アルマはいつの間にか隣に来ていたシスター・イネルルンサに尋ねた。
「あの人は誰ですか」
「近所で花屋をやっているマルルーネさんです。ここで飾っている花は、みんなあの方に頼んでいます」イネルルンサは微笑を向けた。「気になりますか?」
アルマははにかんだ。
「えと、やさしそうな人ですよね」
「夜のミサに時々来ていらっしゃいますよ。今夜もお邪魔しますとおっしゃっていました」
「なんですか、それ」
「触手と人間がイヴ様の前で交わって、主とイヴ様に感謝を捧げる儀式です。あなたも参加してみますか。素敵な方と出会えるかもしれませんよ」
深夜、人々が寝静まったころ、教会には人々が静かに集まってきた。中は暗い。イヴの像の足元に立てられた一本のロウソクのみが唯一の明かりだった。中央の通路を挟んで、右側が人間、左側が触手たちの席だった。アルマは人間の少女たちに混ざって椅子に座り、シスターの主と陵辱を賛美する話を聞きながら、ちょっと失敗したと思っていた。暗すぎて、マルルーネがどこにいるか分からない。
やがて話が終わったのを合図に、人々は立ち上がった。左右の席からめいめいに歩み寄る。
アルマがどうしようかと迷っていると、向こうから影が近づいてきた。自分より頭半分ほど高いということしか分からない。もうどうすることもできなかった。これから、この誰とも分からない相手に犯されるのだ。
相手は有無を言わせずアルマを抱き寄せた。いきなり唇を重ねてくる。服を脱ぐといった手間は必要ない。ここに入ってくる前に、皆、全裸になっている。
「んっ…んん…」
相手の舌がアルマの口の中をまさぐる。アルマも必死で合わせようとするが、相手は完全にアルマを子ども扱いし、その自在に動く舌でアルマを翻弄する。唾液が吸い上げられ、また吐き戻される。アルマはうまく受けることができず、溢れた唾液が喉を伝って胸元まで垂れていく。
そうしながら、相手の手はアルマの背中を撫で、尻を撫で回し、最後に太腿の間に入り込んで股間に触れた。
「あっ」
アルマが思わず声を上げると、相手は少し驚いたようにつぶやいた。
「あら、あなた…」
アルマは再び背中がぞくぞくするのを感じた。間違いない、昼間の声。マルルーネだ。
マルルーネは椅子に腰を下ろすと、アルマを導いた。
「後ろ向きに」
言われるがままにマルルーネに背を向け、その膝の上に座る。背中に二つのふくらみが当たる感触。
あたりの席ではさまざまな影が蠢いていた。もう人間の姿ではなくなった影もある。ヌルヌルしたものが立てる淫靡な音。それに少女たちの喘ぎ声が教会の中に響き渡る。
背後から伸びたマルルーネの手が、アルマの乳房を揉み始めた。優しく丁寧な愛撫。柔らかな肉が変形し、熱を帯び、生み出された快感が広がっていく。
「んっ…ぅ…はぁ…ぁ…あぁ…」
気持ちよさに甘ったるい喘ぎを漏らす。
マルルーネの指先が、硬くなった乳首を撫でると、ピリピリとした快感がアルマの体を走り抜けた。
「あっ…んっ…く…ぅ…」
やがてマルルーネはアルマの太腿に手を這わせると、ぴったりと閉じられていた太腿を左右に広げた。マルルーネの膝にまたがるような姿勢。そして無防備になった股間に手を伸ばす。
くちゅ。愛液に触れる音。濡れた割れ目はすでに口を開け、挿入を待ち望んでいる。
「ぅ…あぁ…はぁ…はぁ…ぁ…んっ…」
割れ目の周辺を撫で回されるもどかしさに、アルマはむずがった。まるでねだったいるかのように腰がくねり、背中とマルルーネの乳房が擦れ合う。
その腰を、マルルーネの腕がしっかりと抱き締めた。空気が言葉にはできない変化を起こし、アルマは本能的な恐怖を感じて淫らな動きをぴたりと止めた。少女の本能が、これから自分が犯され辱められることを告げている。
ヌルリとしたものが尻に触れた。マルルーネの股間から生えた触手なのか。それは成長しながら尻の谷間を擦り、無防備な前面へと回りこんだ。そのままいやらしく口を開けた女陰へと潜り込んでくる。
「いやぁ…」
アルマは泣きそうな声を上げた。異物を押し戻そうと膣が閉まるが、もはや手遅れだ。それはどんどんアルマの中へと入ってくる。ただの触手ではない。侵入してくるにつれ、それは太さを増し、女陰を力ずくで押し広げていく。これまで見たこともない太い触手なのだ。
「だめ…そんなの入らない…いや…ぁ…だめ…」
逃れようともがくが、しっかりと抱き締めたマルルーネの手はびくともしない。
「いや…いやぁ…」
腹の中が異物で一杯になる。アルマは涙を流しながら首を振った。下腹部がそれと分かるほど膨らんでる。あどけない女陰は、その太いもので無惨にも限界まで押し広げられていた。腰に力が入らない。恐怖と絶望のためか、愛液が止め処もなく溢れ出してくる。
「力を抜いて」
背中でマルルーネがいった。アルマはいうとおりにしようとするが、腹の中に詰まったモノの存在感がそれを許さない。膣はあくまで異物を排除し、締め付けようとする。
ゆっくりとそれは動き始めた。アルマは恐怖に泣き叫んだ。
「だめっ…だめぇっ! いやっ、動かないでっ、こわれちゃう、いやぁああああっ!!」
触手は次第に動きを早めていく。内蔵が掻き混ぜられるような異様な感覚に全身が戦慄する。過敏になった乳房をマルルーネの両手がしっかりと鷲掴みにし、揉みしだき始めた。
「あっ、あっ、あひっ…ひゃ…ぁああっっ…あぁあああっっ!!」
アルマは太いモノで貫かれ、身動きできないままに犯された。恐怖に竦んだ体が触手の動きに合わせてびくびくと痙攣する。瞳と股間からは、まるで失禁したかのように生温かい液体が溢れ続けた。
「…あっ…あうっ…うっ…ぅ…ぁ…あぁぁ…ぁ…」
恐ろしい緊張のためか、アルマの反応は急速に弱まっていった。催淫効果を持った粘液が体を蝕むつれて、恐怖と快楽が入り混じり、意識を朦朧とさせていく。筋肉はゆっくりと弛緩し、やがてアルマの体はぐったりとマルルーネに寄りかかった。
意識が遠い。お腹の中で何か大きなものが攀じれ、のたくり、蠢いている。それはおぞましいと同時に、心地のいい感覚。優しい手が全身を這い回り、まさぐっている。霞んだ意識の向こうから、少女たちが犯される淫らな声が聞こえてくる。誰もが犯される快楽と絶望に満ちた世界。
突然アルマは陵辱が終わったことを知った。いつの間にか意識を失ったのだろう。背中に硬い感触。椅子に寝かされているのだ。周囲ではまだ陵辱が続いていた。そしてマルルーネの影がアルマを見下ろしていた。
「大丈夫?」
優しい声がいった。
アルマは体を起こそうとして、体が自分のものではなくなったように力が入らないことに気づいた。マルルーネが手を差し伸べてアルマを起き上がらせた。
「大丈夫です」
アルマが答えると、相手は安堵したような息を漏らした。そしてアルマの耳元に顔を近づけ、囁く様に言った。
「明日の朝、ここでまた会いましょう」
アルマは椅子に座り、いつものように祈りを捧げていた。ステンドグラスを通して朝日が差し込んでくる。やがて扉が開く音が響き、アルマは弾かれた様に立ち上がった。振り返るとそこに待ち続けた相手が佇んでいた。心臓が鼓動を打ち、頬が熱くなる。
「よかった、来てくれたのね」
相手は安堵したように言った。
「マルルーネさん!」
アルマはうれしそうに声を上げ、駆け寄った。
「私の名前を知っているの?」
「シスター・イネルルンサから教えてもらいました。私、ここにお世話になってて、それで…」
アルマの言葉は突然のキスで中断された。あたたかく柔らかな感触。そして舌が入り込み、口の中を蠢き回る。
「っ…んっ…んんっ…」
やがてマルルーネは唇を離すと尋ねた。
「あなたの名前は?」
アルマは快楽のためにとろりとした瞳で答えた。
「…アルマレーナです。アルマって呼んでください」
「アルマ」
マルルーネは真っ直ぐアルマを見つめて言った。
「私と一緒に暮らしましょう」