日本列島は多様な地質体を有していますので、算出する鉱物の種類も豊富です。現在(2007年)までに、
およそ1150種が確認されています。
一方、石川町とその周辺町村分だけでも156種ほど確認されていますが、これは国内鉱物の14%にあたります。さほど面積が広くない町レベルの地域でこれほど多種類の鉱物が見れる場所は極めてまれと言われています。
石川町内からだけでも現在のところ、122種類の鉱物が確認されており、特にペグマタイト鉱物に関しては、明治時代より岐阜県苗木地方、滋賀県田上山地方とともに日本三大ペグマタイト産地の一つとして知られており、普通の鉱物であっても巨大結晶から稀産鉱物まで71種類ほどが確認されています。これは町内から産する鉱物全体の約60%を占めています。
特に注目されるのは、石英(水晶、煙水晶)・カリ長石・鉄電気石・緑柱石・鉄ばんザクロ石・雲母類の巨大な結晶で、他の産地に比べて群を抜いています。また、希土類元素やレアメタルを主成分とする鉱物24種類も見つかっていることです。
モナズ石・ゼノタイム・サマルスキー石・石川石・鉄コルンブ石・フェルグソン石・褐簾石などがこれにあたります。これらの中でも、ウラン・トリチウムの多い鉱物は昭和11年から太平洋戦争末期にかけて注目され、特に戦争末期には核エネルギー原料として、理化学研究所の飯盛里安,畑晋らによってウラン化合物の分離回収研究が行われました。
他方、石川町東部には御斎所・竹貫変成岩が分布しており、その岩石鉱物として多くの編成鉱物を産出しますが、中でも灰ばんザクロ石・緑簾石・苦土電気石は国内有数の大きさの結晶として知られています。
鉱物種が多岐にわたり、とりわけペグマタイトを構成する結晶鉱物が大きく、希元素鉱物の種類の多い。
このことが鉱物の宝庫、「石川町」と称される所以なのです。
■展示期間 2014年(平成26)7月26日(土)〜11月30日(日)
■場所 石川町立歴史民俗資料館
福島県石川郡石川町字高田200−2
電話 0247−26−3768
■主催 石川町教育委員会
■休館日 毎週月曜日
■観覧料 無料
■緑柱石 ベリリウム、アルミニウムを主成分するケイ酸塩鉱物で、結晶形は六方晶系に属します。
石川地方の緑柱石は明治26年に初めて学会に紹介され、国内の数ある産地の中でも、
石川地方の緑柱石は結晶が大きさ、産出量の多さで他を圧倒しています。
緑柱石の透明で無傷なものは3月の誕生石、アクアマリンとして流通しています。
■展示内容
・石川地方のペグマタイトから産した緑柱石いろいろ
・石川地方の緑柱石の産状写真
・奥会津の非ヘグマタイト性の緑柱石
・県内各地の緑柱石
・世界各地の緑柱石ファセットカットした宝石(アクアマリン、モルガナイト)
出版案内 「ペグマタイトの記憶―石川の希元素鉱物と二号研究のかかわり」
2013年(平成25)8月30日、石川町教育委員会から
「ペグマタイトの記憶、石川の希元素鉱物と『二号研究』のかかわり」が発刊されました。
石川地方は国内最大級のペグマタイト産地と称され、海外の博物館にも石川地方産鉱物標本が
収蔵されているほどです。
その研究の歴史は古く、明治時代、学校法人石川高等学校長(当時は石川義塾)森嘉種こそがその研究の端緒を開いた人物です。森当時の帝国大学等の地質鉱物学者と交流を持ち、自ら採取した鉱物を提供し、石川地方の名を世に知らしめた。
そして、石川地方から産する希元素鉱物、ウラン鉱石が研究されることになり、先の太平洋戦争で、日本の軍部も新兵器原子爆弾の研究(二号研究)に着手しました。仁科芳雄博士を主任研究員として、理化学研究所で進められました。
しかし東京が大空襲を受けると、理化学研究所は分散疎開を余儀なくされました。石川町には1945年(昭和204月)、石川町にあった選鉱工場を理研希元素工業扶桑第806工場に移譲されました。 そして、「二号研究」原料班理研飯盛里安研究室石川分室が置かれました。短い期間であったが日本の原爆研究が行われました。
今回、現時点での資料や研究成果がまとめられ、発刊されました。 (序説参照)
構成
第一章 希元素鉱物研究史
第一節 前史
第二節 希元素鉱物研究
第二章 鉱産資源のペグマタイト鉱物と希元素鉱物
第一節 ペグマタイト鉱物
第二節 希元素鉱物
第三節 戦後復興
第四節 戦後ウラン鉱床探査
第五節 鉱業の衰退
第三章 原発研究開発の経過
第一節 研究体制と推移
第二節 財団法人理化学研究所
第三節 第八陸軍技術研究所
第四節 石川地方における希元素鉱床開発の系譜
第五節 学徒勤労働員
第六節 ジルコン工場から「理研希元素工業扶桑第806工場」に移譲
第7節 「二号研究」の瓦解
第八節 戦争終結までの道程
第四章 戦後の石川町と飯盛里安の足跡
第一節 戦後の石川町
第二節 飯盛里安の足跡
第三節 人造宝石の研究
第四節 理研希元素工業扶桑第806工場の遺構
第五節 希元素鉱床採掘の遺構
ページ数 273ページ
1822年、フランスの結晶学者アウイの命名によります。和名では「文象花崗岩」「巨晶花崗岩」さらに俗和名では「鬼みかげ」とも呼ばれています。
ペグマタイトにもいろいろな種類がありますが、一般的にはペグマタイトと言えば、花崗岩ペグマタイトを指します。県内では阿武隈高地、なかんずく石川地方に数多く賦存し、国内における代表的地域となっています。
1)ペグマタイト鉱物の形成の場、生成環境
基本的に天然の化学物質たる鉱物は、マグマあるいは熱水と呼ばれる非固体状態からの物質から生成されます。溶けていた化学成分が温度・圧力の低下によって鉱物として結晶化したものです。
花崗岩のような深成岩では、比較的ゆっくりマグマが固化するので、構成物質が粗いのが特徴です。しかし、もとのマグマ全部がそのまま単純に固化するわけではなく、普通の構成鉱物が入りにくい元素や揮発性の物質を多く含んだマグマ溶液がしだいに集まっていきます。これがすでに固化した花崗岩やその周辺を被う岩石の隙間に入り込んで、更に粗い優白質の鉱物(石英・長石)の集合体として塊や脈をつくることがあります。これをペグマタイトと呼んでいます。
ペグマタイトの主な構成物質は、花崗岩本体とほぼ同じ(石英・長石・雲母類)ですが、結晶が多きいことと軽い元素(リチウム・ベリリウム・ホウ素)、希土類元素、放射性元素を主成分とする鉱物が濃縮することが特徴です。大きなペグマタイトは町の西北部に集中しています。
2)ペグマタイトの構造
ペグマタイトは通常、花崗岩との境界部に文象構造(第1帯}と言われる特徴的組織が存在し、その内部に向かって雲母・電気石やザクロ石などの鉱物を含む長石帯(第2帯)があり、中心部は塊状の石英で構成(第3帯)されています。
3)資源としてのペグマタイト
ペグマタイトを構成する石英や長石は純粋な成分に近いものが多く、良質な窯業原料になります。石川町では明治末期より昭和47年にかけて、陶磁器やガラス、金属ケイ素の原料として採掘がおこなわれました。近年の調査でその採掘・試掘箇所は100ケ所に及ぶことがわかりました。
現在でも石英は半導体材料ほか多くの産業、長石はセラミックス産業には欠かせませんし、ニオブ・タンタルなどの希元素も、近代産業には必要不可欠な物質であり、世界的に需要が高まっています。
今日では「地殻から人類への最大級の贈り物」と称されています。
「希元素」とは一般的に「地殻中の存在量が少ないか、存在料はやや多くてもまとまった鉱床を造ることが少ない元素」であると説明されていますが、どの元素を「希元素」とするかについては明確な定義はありません。
長島乙吉・弘三著「日本希元素鉱物」では、花崗岩ペグマタイトに濃縮される元素に限定し、リチウム・ルビジウム・セシウム・ベリリウム・希土類元素・ウラン・トリウム・ジルコニウム・ハフニウム・ニオブ・タンタル・ホウ素を希元素としています。これら元素を成分として含む鉱物を「希元素鉱物」と呼んでいます。
希元素鉱物をさらに分類すると下記のように分けることができます。
1)放射性鉱物
ウランを主成分として含まれる鉱物です。閃ウラン鉱・燐灰ウラン石のように町内からは11種類のウラン鉱物が発見されています。放射性鉱物と言ってもその産出は非常に稀で、標本程度に発見さるにすぎません。
2)トリウム鉱物
トリウムを主成分とする鉱物で、町内からはトール石・ブロック石・トロゴム石などが知られています。産出は非常に稀です。
3)希土類元素鉱物
「希土類元素」とは元素番号57から71のランタン系とスカンジウム、イットリウムを含めた17元素を指し、これら元素を含んだ鉱物を希土類元素鉱物と言います。該当鉱物として、モナズ石・ゼノタイム・褐簾石・ユークセン石・ポリクレース石などがあります。
4)ニオブ・タンタル鉱物
ニオブ・タンタル・チタンを含む複合酸化物で、フェルグソン石や鉄コルンブ石・ユークセン石・ポリクレース石・サマルスキー石・石川石などが該当します。
5)ジルコニウム鉱物
ジルコニウムを主成分とする鉱物で、ジルコンはその代表的鉱物です。先の大戦中では軍納鉱石として、石川町でもその採掘・選鉱が試みられました。
6)ベリリウム鉱物
ベリリウムを主成分とする鉱物で、緑柱石がその代表的な鉱物です。先の大戦ではベリリウム資源として採掘が試みられました。
ほかに極めて稀な鉱物ですが、金緑石・水酸ハーデル石があります。水酸ハーデル石は数年前に国内では2例目として発見されました。
(鉱物調査員橋本悦雄著 石川の鉱物の特徴より)
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