
*は楽譜の所在がつかめないもの、※は録音されたものが見つからないものです。
〈アイスランド〉 アイスランド・ピアノ作品集(CD、ミュージック東京、NSC309)の中にスヴェ
インピョルソン S.Sveinbjornsson などの純朴な作品*が入っています
〈ノルウェー〉 グリーグEdvard Hagerup Grieg (1843〜1907)が著名で、特に《抒情小曲集》
の中の《トロルハウゲンの婚礼の日》を推薦します。その他、《春のささやき》で
知られるシンディング Christian Sinding (1856〜1941)がいます。
2001年頃からセーヴェルー Herald Salverud(1897〜1992)が日本で紹介され
るようになりました。この人の作品にはノルウェーの民族性が明確であると言わ
れますが、それは旋法、リズム、形式においてであって、民謡主題の引用は一切
行っていません。従って、題名から素朴な作品だと思って聴いてみると、不協和
音に驚くことになります。
〈スウェーデン〉 ステンハンマル Wilhelm Stenhammar (1871〜1927)のピアノ曲は、シューマン
の影響が感じられる、たいへん華麗なもので誰にでも親しめるものだと思います。
CDはNAXOSから(ステンハンマル・ピアノ作品集:シヴェレーフ(p)、8.553730)。
〈フィンランド〉 ピアニスト館野泉さんによって発掘され、紹介された珠玉のようなピアノ曲は、
北欧の自然の美しさとそこに生きる人々の心を伝えてあまりあります。シベリウ
ス、メリカント、パルムグレン、カスキなどCD、楽譜多数。
〈デンマーク〉 ニールセン Carl Nielsen (1865〜1931)が最も有名。彼はグリーグ以降におけ
る北欧の代表的作曲家と見なされます。その作品は多調性を用いるなど革新的
傾向を示していますが、その根底には伝統的対位法と民族的旋律があります。
ピアノ曲全集(2枚)のCDが出ています(NAXOS)。
NAXOSからは2004年秋リスエアという人のCDも出ましたが未聴。
〈アイルランド〉 フィールド John Field(1782〜1837)の20曲にのぼるノクターンがショパンの先駆
的作品として有名です。
〈イギリス〉 日本ではあまり知られていませんが、アイルランド出身でのちにイギリス人となっ
たスタンフォード Charles Villiers Stanford (1852〜1924)の作品が、ロマン的なスタ
イルを持ち、最も親しみやすいと思います(CD:Stanford:24 Preludes,SetU;Three
Rhapsodies;Piano:Peter Jacobs; Olympia OCD-638)。
アイアランド John Ireland (1879〜1962)の作品は、耳にやさしい、イギリスらしく
落ち着いた、かつ洗練された音楽です (CD:IRELAND Piano Works Vol.1&2;
NAXOS 8.553700&8.553889)。
スコットランドではエリック・チショルム Erik Chisholm
(1904〜1965)*がいますが
とっつきにくく感じました。彼の「ケルト吟遊詩人の夜の歌」は、最近のケルトブー
ムの中ではどう受け取られるでしょうか(CD:Erik Chishoim Piano Music;Piano:
Murray McLachlan;Olympia OCD639)。なお、CD「スコットランドのピアノ曲集」
(Olympia OCD-264)にはScottの民族的な面白い作品、(There's
news, lassers,
news)*が入っており、スコットランドを紹介するにふさわしい曲だと思います。
〈オランダ〉 オランダ・ピアノ作品集(Niederlandische Klaviermusik)*(CD、Koch Inter-
national 310077H1、ピアノ:Jack de Bie)が出ています。モーツァルトやシュー
マンを思わす美しいメロディーがあります。
「オランダ初期ロマン派のピアノ協奏曲と室内楽」(CD:マーキュリー
Alpha052)。未聴。
〈ベルギー〉 ベルギー・ピアノ作品集(Belgian Works for Piano)(J.Jorgenの作品以外*)
(Rene Gailly 99009、ピアノ:Marie-Claude Werchowska)が出ています。優しい
旋律が嬉しい一枚。
〈ドイツ〉 バッハ、ベートーベン、ウェーバー、メンデルスゾーン、シューマン、ブラー
ムスの作品は、全人類の宝のようなもので、皆さんよくご存じでしょうから、詳し
い説明は必要ないと判断いたします。私は特にシューマンの《ノヴェレッテン》
を推薦します。またブラームスは特につらく苦しいときに慰めと励ましを与えてく
れる音楽だと思います。。
その他の作曲家としてレーガー Max Reger (1873〜1916)
は、ブラームスに出発
し、現代音楽との間に橋をかけた人として音楽史的には重要ですが、即興曲集
op.18、ユモレスク op.20、炉辺の夢 op.143 を聴いてみたかぎりでは、あまり印象
に残りませんでした。
〈オーストリア〉 ハイドン、モーツァルト、シューベルトの影に隠れて、他の作曲家はなか
なか目に入りませんが……。無調音楽、12音技法を創始したシェーンベルク
Arnold Schonberg (1874〜1951)とその弟子ウェーベルン
Anton Webern
(1883〜1945)、ベルク Alban Berg (1885〜1935)の新ウィーン楽派をあげるこ
とが出来ます。ただ私にはあまり理解ませんので批評はさしひかえます。
〈フランス〉 フランスのピアノ曲というと、まずドビュッシーとラベルの印象派の作品群が
思い浮かびます。これらはピアニストが好んで演奏しますが、聴衆の立場か
らみるとよくわからない曲も多いように思います。音楽における印象派は残
念ながら美術における印象派ほど親しまれてはいません。
ラベルの《夜のガスパール》の第1曲《オンディーヌ(水の精)》を例にとって
みましょう。これを予備知識なしにいきなり聴くとぼわーっとした感じで何がな
んだかわかりません。これはラベルがベルトランという人の詩に触発されて
創った作品で、「私」の前にに現れた水の精が自分の夫になってほしいと誘っ
てくるという内容のファンタジーです。このような作品世界が自分の人生にとっ
て意味があると思えるかどうかで、聴き方、受け取り方が全然違ってしまうで
しょう。
印象派についてゆけないピアノ・ファンにはフォーレ
Gabriel Faure (1845〜
1924)のしみじみとした抒情が胸にしみるのではないかと思います。
セヴラック Deodat de Severac (1873〜1921)の作品には南フランスの田園
の香りと労働への畏敬の念が歌われています。地方色が豊かで、かつ洗練さ
れており、第1級の作曲家として、広く知られていってほしいものです。
〈スイス〉 「18世紀のスイスのピアノ曲」というCDがあり、モーツァルトの同時代人である5人の作曲家の
作品が収録されています。それはそれなりに良いのですが、スイスらしさとか、大自然の響きを
期待したことには応えてくれませんでした。ヨーデルが聞こえてくるようなピアノ曲はないのでしょ
うか。(CD:The piano in Switzerland in the 18th
century、Doron Music Switzerland DRC5022、
ピアノフォルテ:Christine Sartoretti)
ブロッホ Ernest Bloch (1880〜1959)はスイスで生まれ、アメリカに移住した
ユダヤ人の作曲家です(→イスラエル)。
〈イタリア〉 スカルラッティだけではありません。ロッシーニ、ブゾーニのピアノ曲があり
ます。近年、関孝弘さんによって、ガルッピ、チマローザ、レスピーギなどの作品
が精力的に紹介されています(CDは徳間ジャパンコミュニケーションズから)。
カステルヌオーヴォ=テデスコ Castelnuovo-Tedesco
(1895〜1968)はフラン
ス印象派風の作品を作っています(CD:NAXOS 8.555856)。Franco
Margola
(1908〜1992)の作品の特徴は乾いた抒情(CD:Piano
Music of Franco Margola
piano:Alessandra Fabio、Rainbow Classics RW9704)。
〈スペイン〉 アルベニス、グラナドス、ファリャ。ここ十数年、モンポウ Federico Mompou
(1893〜1987)が売り出し中です。1990年の日本映画「櫻の園」のBGMはモン
ポウで、女学校を舞台のドラマにぴったり合っていました。この人の作品は線
が細すぎるとは思いますが。
05年カタロニア地方の作曲家オムスのピアノ曲のCD発売(Marco Polo、未
聴)。バスク地方にはグリーディ Jesus Guridi (1886〜1961)の作品があります。
CD(GURIDI:Piano Works、NAXOS 8.557633、Victoria
Aja(p))。最近、NAXOS
から「カタロニア地方のピアノ音楽」というCDも出ています(未聴)。
〈ポルトガル〉 モッタ Jose Vianna da Motta (1868〜1948)のCDが出ています(Marco
Polo 8.225116)。リストの最後のクラスで学んだ人で、リストの影響を強く受け
ながらポルトガルの要素を追求した人で、ポピュラーなラテンのリズムが心に
残ります。
〈ギリシャ〉 以前、Elena Muzalas の演奏した Greek Piano Music というレコードが出て
いました。マノス・ハジダキス Manos Hadjidakis の《一つの小さな白い貝のた
めに》 、コンスタンディニディスYanis Constandinidis (1903〜 ) の《ギリシャ
の島々の8つの舞踏曲》*などの個性的な作品がもっと紹介されてほしいもの
です。コンスタンディニディスの作品には南欧ギリシャの哀愁を帯びた旋律が
流れています。……太陽の輝く明るい国なのになぜなのでしょう。
コンスタンティニディス/ピアノ作品集:
(CD:Lyraマルエス(〇の中にS)CDO1174/75. ドムナ・ユーヌヒドゥ(p)、未聴)。
これらは12音技法のスカルコッタス Nikos Skalkottas
(1904〜 )より、ずっと
親しみやすいものです。
ギリシャ音楽の問い合わせ窓口は、
Music House, H.Nakas-C. Papagrigoriou Co,39 Panepistimou Str.-105 64
Athens Greece ( 3221786)。
〈マルタ〉 地中海の小島にピアノ音楽の伝統があり、多くの作品があることは驚きです。
CD:Piano Music from Malta(OLYMPIA OCD-489、ピアノ:Murray
Mclachlan)など
があり、地中海的な明るさとアラブの影響が感じられるメロディーを聴かせてくれ
ます。代表的作曲家はカミレリ Chares Camilleri (1931〜 )。
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