よしなしごと
筆まかせのあれこれ ― 白梅咲く旧居の思い出 ―
衣冠とは 地位や格式を示すものであったとしても
衣装とは 華美や感性を競うものであったとしても
珍味を口にすることもなく 豪邸に君臨することもなく
宝玉で飾り立てることもなかった 大方の民にとって
衣服とは 寒さをしのぐものだっただろう
糧として喰らい 雨露を避け 風雪を防ぐほどに居したように
身をかばうほどの 衣だっただろう
富貴な者が風雅な文化と伝統を紡ぐように
継承されるべき庶民の知恵と矜持を胸に
守りたいのは 布を粗末にしない伝統
伝えたいのは 身に添うものを愛しむ心
© 楳軒 和服生活雑記
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