英国便り from 出見世先生
ココでは出見世先生より届いたメールや写真なんかをご紹介しております。
英国便り 番外編(2)〈7月8日〉
出見世ゼミの皆さん、お元気ですか。
日本では、4年生の方が立教大学、慶応大学、埼玉大学との合同ゼミに参加されている頃だと思いますが、私の方は、昨日、無事、“Business
Ethics in the Corporate Governance Era”と題するコンファレンスでのパネリストの仕事を終えました。私の参加したパネルは、“Business
Ethics in Japan and Korea”というテーマで、総括をシアトル大学のベン・キム先生がされました。私の他に、ネブラスカ・リンカーン大学のサム・リー先生が韓国の財閥とそのコーポレ
ート・ガバナンスについて話され、中京大学の村山元英先生がトヨタ自動車のコーポレート・ガバナンスと経営について話をされました。
私は、三番目に“Corporate Governance in Japan”というテーマで、1980年代までの日本のコーポレート・ガバナンスは終身雇用や系列などの日本型経営に影響され「内」なる利害関係者に指導されてきたこと、1990年代初頭のバブル経済崩壊
以後の企業業績の低迷と企業に関係する不正行為が相次いで発覚したことがコーポレート・ガバナンス問題を認識させる契機になったこと、会社法の改正を含め、現在、コーポレート・ガバナンス改革が進展していること、一方で、企業倫理やCSR
についても一部の企業で実践から定着の段階に入っていること、日本で活動する企業は広く利害関係者に対して説明責任を果す必要があることなどを話しました。
ベン先生からは、20分以内でそれぞれ報告を行うとの厳命を受けていましたので、19分でまとまるように話して、最後に、“I
end of my speech, just in time”で締めくくり会場から笑いと拍手を浴びました。サム先生も村山先生も、アメリカのビジネス・スクールで教えているように片手をズボンのポケットに入れ、身振り、手振りで冗句をまじえて話をされたので、最後に一つだけ冗句を言おうと狙ったことがうまくいきました。パネル終了後は、何人かの方から“Good
job!”と 声をかけられ名刺の交換を求められたので、一定レベルの報告ができたと思っています。
コンファレンスに参加していくつかのことを学びました。まずは、英語でも日本語でもコミュニケーション力が重要であることです。同じ英語を読むとしても、顔を下に向け原稿だけを見て読んでいるのと、原稿に目を向けながらも時おり会場に目
を向けるのとでは、会場からの反応は異なります。2回目の英語での発表ということもあり、自分自身は後者の段階に達することができたと思っています。
さらに、視野を地理的にも歴史的にも広くしなければならないということです。コ
ンファレンスの参加者は、日本や韓国だけでなく、南アフリカ、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、インド、中国、オーストラリア、イギリスから来ています。アメリカ商務省のイガー・アブラモフ氏の話によれば、アメリカ商務省は、世界経済の発展のために好ましいコーポレート・ガバナンスを途上国においても広めることが
重要であると考えており、各国の腐敗防止に関わっているNGOのトランスペアレン
シー・インターナショナルとも仕事をしたいと考えているとのことでした。
私たちのパネルを総括したベン先生は、日本の歴史にも詳しく、滞在中のベン先生との話の中で隣国との関係を考える上で、超長期的な歴史的関係の重要性を再認識しました。ベン先生は、しばしば“open
mind”という言葉を口にされ、私自身も今後の在外研究で実践していこうと思いました。
