英国便り from 出見世先生
ココでは出見世先生より届いたメールや写真なんかをご紹介しております。
英国便り Vol.19〈2月25日〉
出見世ゼミの皆さん、お元気ですか。
先日、PCAW(職場における公益)のガイ・ディーンさんを訪問しました。PCAWは、1993年に設立され、1998年に英国で制定された公益開示法に大きな影響を与えたといわれる非営利の組織です。いわゆる、内部告発のための支援をしている組織ですが、ディーンさんをはじめ、弁護士の資格を有する方々から構成されています。ディーンさんとは、2002年にPCAWのオフィスを訪ねて以来、2004年11月18日に明治大学とブリティッシュ・カウンシルの共催で行なわれた公益通報者保護法シンポジウムに講師の一人として参加されなど、親しくお付き合いをさせていただいています。そのシンポジウムでは、私が司会を担当しました。昨年は、ディーンさんは、オーストラリア等で内部告発の制度作りに関わっていたため、お目にかかることができなかったのですが、ようやく昼食をとりながら、話をすることができました。ディーンさんの関心は、2006年に施行された日本の公益通報者保護法の実効性についてでした。日本では制定に向けた議論が始まった頃から、大企業を中心に「相談窓口」、「ヘルプライン」、「ホットライン」等々の名称で整備が進みました。ただ、それが機能しているかどうかについては、個々の企業により異なります。中には、形式的に存在するだけで機能していないものもあるでしょう。最近、報道された企業の問題行動の発覚についても、外部の調査により明らかになったものは確認できますが、内部通報制度がどのように関わったかは、少なくとも英国からはよくわかりません。話題は、官公庁等における制度の状況にも及びました。企業部門とは異なり、公的セクターにおける制度の整備状況については、私の立場のようなものからは、よく見えませんので、そのように答えざるを得ませんでした。
また、ディーンさんは、日本のマスメディアの内部通報制度の関心はどうなっているかと私に質問しました。法律制定時に比べて、メディアが直接取り上げることは少なくなっているが、内部通報制度を含む内部統制制度への関心が高まっていることを伝えました。ディーンさんから、日本の従業員の高い忠誠心が内部告発を阻害しているという意見があるが、どう思うかとも尋ねられました。昨今の日本の消費者の反応を理解している忠誠心の高い従業員であるならば、消費者の信頼を損ないかねないような問題を隠そうとする事柄について、まず、内部通報をするだろうと答えました。会社への忠誠心の高さからというよりも、個々の利益をまず優先する風潮が内部通報制度をうまく機能させないのではないかと答えました。私がこうした話をした後、ディーンさんは、日本はまだ導入段階にあり、これから発展するだろうと言われました。機会があれば、PCAWが行なっている担当者向けの研修に参加させてくださるとのことなので、今から楽しみにしています。週末には、ケンブリッジにいる関東学院大学の青木先生のお宅を訪問しました。ケンブリッジの駅に着いて、驚いたことは、駅前に停められている自転車の多さです。学生の多くが自転車を利用しているようです。
写真は、ケンブリッジ大学ジャッジ経営研究所です。英国のコーポレート・ガバナンス研究のため、何人かの先生を訪ねたことがあります。そのときは、あまり感じなかったのですが、現在住んでいるところとは異なり、ケンブリッジはとてもにぎやかな観光地です。大学を中心に発展した街ですが、歴史的な建造物がたくさんありました。
