英国便り from 出見世先生


ココでは出見世先生より届いたメールや写真なんかをご紹介しております。


英国便り Vol.6〈7月28日〉

 出見世ゼミの皆さん、お元気ですか。
英国からみると、日本の雨が多く、いつもとは少し違う印象を受けていますが、実際には、いかがでしょうか。こちらの方は、3年ぶりの熱波に襲われ、大変暑いです。ロンドンは、北緯51度にあり、北緯43度の札幌よりもさらに北に位置しています。現在の北海道でも平成17年度の総務省の調査によれば、エアコンの普及率は15%です。ロンドンの普通の住宅、昔からある飲食店にはほとんどエアコンというものは設置されていません。そうした中で最高気温が33度になる状況を想像してみてください。もちろん、我が家にもエアコンはありません。3年前の夏にロンドンに来た経験から、渡英早々に3台の扇風機を買い、現在、それらがフル稼働していま す。
エアコンの室外機やアスファルトなどから生じるヒートアイランド現象が見られる東京とは異なり、ロンドンには中心部においても緑が多く存在し、木陰は涼しく、熱帯夜になることはありません。しかしながら、私達の住んでいる地域の住宅のみの特徴なのかもしれませんが、家の構造的には風通しが悪く、防犯のために窓を閉め切って寝たりすると、たいてい暑くて夜中に目が覚めてしまいます。また、窓を開けていると、様々な昆虫が入ってきます。シアトルのホテルにはあったのですが、ロンドンでは、網戸が用いられてはいないようです。今日も、我が家に大きな蜂が入ってきて、息子と遠くから出て行くのを見守っていました。
「ジャパン」という名の商品がスーパーやDIYのお店で売られています。皆さんは、何だと思いますか。実は、「防蟻剤」の商品名なのです。我が家にも、前の住人が残していった「ジャパン」があります。庭のある日本の方と話していると、たいてい蟻が部屋に入ってくることが話題になります。日本では、こうしたことが考えられますか。5月のことですが、深夜、台所の灯りをつけると、大量の蟻がシンク の辺りにうようよしていたことがありました。このときばかりは、これも前の住人が残していったものなのですが、殺虫剤を散布しました。シアトルに行っていた1週間あまりの間で、我が家にはたくさんの蜘蛛の巣ができました。しかも、かなり大きな蜘蛛もいました。
私は、小学生の頃、捕虫網を持ってトンボや蝶を追いかけていたので、それほど 昆虫や虫に対して驚きはしないのですが、私の家族は別です。こればかりは、好みや主観の問題でしょうか、ムシを好きになれと強制することはできません。息子は、カブトムシが主人公のアニメは好きだったくせに、バーチャルの世界でしか好きになれないようです。そのため、私が家族のためにそれらを始末しています。息子から、どうして家の中にこんなにムシが入ってくるのかと尋ねられたとき、思わず、ムシさんの住んでいるところに私達の方が侵入しているのかもしれないよと答 えました。少なくとも、現在の住まいはそんなところにあります。道路には、リスが走り、我が家の庭に、狐が入ってくることもあります。
こんなことを考えていると、「共生」という言葉の意味も改めて考えてみなければならないかもしれません。「自然との共生」と言葉で言うのは、とても簡単なことですが、実際には容易なことではありません。写真のような狭い我が家の庭でも、この時期、10日に1度程度は芝刈りをしなければなりません。植木のすきまには、油断をしていると刺々しい雑草や茨が大繁殖します。息子やその友達が庭で遊ぶことがなければ、荒れ放題の庭でもよいのでしょうが、そういうわけにもいきません。さらに、家を借りた際の契約書にも、借主が芝刈りをすることが明記されています。人間の労なくして自然との共生はありえないのですが、所詮、人間にとっ て都合のよい自然との共生でしかないのかもしれません。しかしながら、それは本当に互いにその存在を認め合って生きることになるのでしょうか。今日は、このくらいにしておきます。