英国便り from 出見世先生
ココでは出見世先生より届いたメールや写真なんかをご紹介しております。
英国便り Vol.7〈8月15日〉
出見世ゼミの皆さん、お元気ですか。
報道されている通り、英国内で大規模テロの企てが発覚したことを受け、こちらではテロへの警戒が厳しくなっています。渡英して4ヶ月が過ぎましたが、自分達の安全は自分達で守らなければならないということは、絶えず忘れないようにしています。悪意のある人もやさしさを装って近づいて来るものです。「海外安全情報」などでも具体的に日本人が被害にあった例が紹介されていますが、私達の身近でも少し前のことですが、息子の通う日本人学校の周辺で、いわゆる寸借詐欺まがいのことがありました。子供が急病で病院に連絡をとりたいから1ポンドか2ポンド貸してほしいと、目に涙を浮かべて言うのです。ある人がコインはないけど、携帯電話なら貸してあげるといったら、電話は使わずにそのままその場を立ち去ったそうです。こうしたことは、英国だから起きるということではないでしょうから、どこにいるかに関わらず、皆さんも気をつけてください。
さて、12日に家族で教育的ツアーに参加し、「くまのプーさんの森」と「シェフィールド・パーク」に行ってきました。私達は「プースティック」というゲームをしたり、「プー」のグッズが揃っているお店に行ったりしました。「プースティック」というゲームは、橋の上から木の枝を落とし、誰の枝が橋の反対に早く出てくるかを競うものです。お店では、「プースティック」に関する日本語のルールブックも売られていました。日本では、「プーさん」といえば、ディズニーのキャラクターの方が有名になっていますが、原作は英国で書かれました。作者はA.A.ミルンで、もっともは、自分の息子クリストファー・ロビンのために書かれたものです。そして、その物語の挿絵を書いたのが、E.H.シェパードでした。その後、ミルンはある企業に「プー」の権利を売却し、その企業がディズニー社に権利を売却し、ディズニーの「くまのプーさん」が作られることになります。あまりに「プー」のキャラクターが人気を得たためか、あるいは、原作の「プー」とディズニーの「プー」が異なっているためか、そのキャラクターの権利をめぐる訴訟合戦も起こりました。2006年6月にミルンの孫娘がディズニー社に対して起こしていた裁判が結審し、ディズニーの勝訴が確定しています。
「シェフィールド・パーク」は、ナショナル・トラストが管理する自然豊かな公園です。ナショナル・トラストは、インターネット上のフリー百科事典『ウィキペディア』も紹介しているように、歴史的建築物と自然の保護を目的として設立された非営利組織で、正式名称は「歴史的名勝と自然的景勝地のためのナショナル・トラスト」(National Trust for Places of Historic Interest or Natural Beauty) といいます。そうした名勝や景勝地が“for ever, for everyone”(いつまでも皆のために)の理念の下、守られているのです。その設立は、1895年で経済的に維持できなくなった貴族などが邸宅や庭園をナショナル・トラストに寄付し、同組織が管理運営を行なっています。ナショナル・トラストのホーム・ページによれば、同組織は慈善活動であり、政府から完全に独立しており、会費を払っている340万人の構成員(メンバー)と4万3千人のボランティアを有し、1200万人以上がナショナル・トラストが管理する土地にお金を払って訪れているとのことです。写真にあるように、自然豊かな場所であるばかりでなく、以前は貴族が住んでいた建物がそのまま残されているのです。もちろん、そうした自然や建物を維持するためには、費用がかかり、その費用の一部は会費や寄付の他、入場料や土産品の販売により賄われています。
ナショナル・トラストのホーム・ページを見ると、構成員による年次総会が行なわれており、年次報告書が公表されている他、ナショナル・トラストのガバナンスに関する報告書も公表されていることがわかります。日本では、特定非営利活動促進法(NPO法)により財務関係のものを含め、各種報告書の提出が求められていますが、NPOの定着・発展のためには、ますますの情報公開が必要だと思います。
