英国便り from 出見世先生


ココでは出見世先生より届いたメールや写真なんかをご紹介しております。


英国便り Vol.8〈8月28日〉

 出見世ゼミの皆さん、お元気ですか。
 ところで、世界で一番生活費が高くかかる都市はどこだと思いますか。2006年8月9日に発表されたUBSグループの調査では、ロンドンが、ニューヨークと並んで世界一生活費のかかる都市とのことです。ちょうどその頃、一部のゼミの皆さんはご存知の荻野さんが渡英していてお会いした際、ロンドンのモノの値段の異常な高さが話題になりました。計算を簡単にするために1ポンドを200円とした場合、地下鉄の初乗りが600円、バスの片道運賃が300円、ファーストフードのセットメニューが1000円、500mlペットボトルのソフトドリンクが自販機で200円などですから、物価の高い日本と比べてもとても高いですね。一方で、日常生活に欠かせないものの 一部は日本より安いかもしれません。たとえば、日本の食パンの3倍程度の大きさのパンが100円であったり、一部の肉や野菜などの値段も安かったりします。ビールやワインについても、安いものは日本と同じか安くなっています。持ち帰り専門の中華料理や英国伝統のフィッシュ・アンド・チップスなどどの持ち帰りも比較的安価だと思います。
 住宅についても、政策により低所得者向けの高層住宅が建てられていたり、居住する地域によって家賃の値段に極端に差があったりするので、物価の高いロンドンでも最低限の生活であれば、暮らすことができます。地下鉄は11歳、バスは16歳まで原則的に無料で利用できます。小売店の名前にも、“Cost Cutter”、“Saver”、“99p shop”などがあります。99ペンスは、約200円になりますから、日本の100円ショップに近い形態だと思います。そうした店の中には、日本の100円ショップで販売されているようなものを400円から600円程度で販売しているところもあり、中には、「日本城」のような名前の店もあります。並んでいる商品は、日本的なものもありますが、このようなデザインは日本では売られていないだろうというようなものもあり、また、店員は日本人ではないので、他の国の人が経営しているのだろうと思います。
 また、いわゆる総合スーパーには、マークス・アンド・スペンサー、テスコ、セイ ンズベリー、アスダなどがありますが、扱っている商品の価格帯が異なっています。マークス・アンド・スペンサーは、高価格帯の商品を扱っており、アスダは低価格帯のものを揃えています。前者は、百貨店と位置づけられるときもあるようですから、高価格帯になりますが、日本の百貨店と異なり、自社ブランドの商品のみを販売しています。後者は、1999年にウォルマートの傘下に入り、一店舗の店舗面積 を大きくして徹底した低価格を行なっているようです。テスコは、英国内で最大のシェアを有し、セインズベリーは、1990年代においては最大の売上を有していまし たが、現在は2位に低迷し、アスダの追い上げを受けています。テスコ、セインズベリー、アスダについては、企業活動を監視するNPOの対象となっており、同組織の評価がウェブでも公開されています。
 ウェイトローズ、モリソンズなどの食品を中心に販売するスーパーもあります。ウェイトローズは、ジョン・ルイスという百貨店の傘下に入っていることもあり、比較的高い価格帯の商品を扱っているのに対し、モリソンズは、低価格帯の商品が多いようです。私達のような新参者は、いろいろな店に行ってそのお店の品揃え ついてみることができますが、店ごとの客層は異なるように思います。どの店舗も私の家から同じ程度の距離にありますので、地理的な違いというよりも所得層の違いと見ることができるかもしれません。大学時代、英国の教育システムは、いわゆるパブリック・スクールを中心とする高所得層向けの教育とそうではない人たち向けの公立学校との複線型になっていることを学びましたが、現在の英国の小売店の顧客層を見る限り、教育と同様の格差がはっきり見て取れるような気がします。「格差社会」といわれるようになった日本においても、こうしたことが起きるのでしょうか。皆さんは、どう思われますか。
 さて、先日、誕生日を迎えました。「四十にして惑わず」という言葉がありますが、それから何年か経ったにもかかわらず、惑うことばかりです。息子が小さいこともあり、できるだけ日本と同じようにしようということで、写真のような誕生ケ ーキを買いました。インターネットなどで調べ、ようやく日本人の味覚に合うケーキを見つけ、買いに行きました。値段はほぼ日本と同じでしたが、そのお店では高い値段でケーキに飾るロウソクを販売していたのには驚きしました。私達は、カー ドを中心に贈り物用の商品を扱っているところで、金色のロウソク24本セットを 200円で買っていたのですが、ケーキ屋のものはその何倍もしました。日本のケーキ屋さんは、無料でサービスしてくれるところばかりでしたので、日英の違いをここでも感じました。