栄光のGS
〜懐かしの昭和 60年代グループサウンズ〜

黒沢進・魅惑のB級GS傑作集
黒沢進氏、出演ラジオ番組(83〜85年頃)再収録

女性パーソナリティー(以下、DJ):「NEC・サウンド・コミュニケーション、あなたのトップテン。
この番組は、毎回ゲストの方の選んだトップテンをカウント・ダウン方式でお届けしております。
今日は、GS研究家の黒沢進さんにおいで頂いております。
ところで、今日はB級GSということなんですけども、
A級とB級の違いというのはどのへんで分けていらっしゃるんでしょうか?」
黒沢:「そうですねー、ベスト盤が出てないGSというのはB級でしょうね。
それと顔が悪いということですね。」
DJ:「(笑)そんなこと言っちゃっていいのかな。」
黒沢:「売れなかった理由というのは、やっぱり音楽性よりもルックスなんじゃないでしょうかね。」
DJ:「そういう事を言いながら、メンバーを紹介するのも、かわいそうな気もしますが、
まずは、第10位から」
黒沢:「シルビーフォックスというグループの“風がさらった恋人”という曲なんですけども、
シルビーフォックスというのは、ミノルフォンのグループで、
前身が東京ベンチャーズってエレキのバンドなんですよね。」
DJ:「東京ベンチャーズってなんだか凄まじい名前ですね。」
黒沢:「そうですね。GS時代に出したこの曲もエレキ時代の名残りがまだ残ってる曲なんです。」


♪♪シルビーフォックス/風がさらった恋人♪♪(O・A)


DJ:「(笑)こんなに笑いながら聴いていていいのでしょうか?」
黒沢:「当時はね、ホント真面目に聴いていたんですよ。台風の日なんかね、これ聴いて僕涙流してましたね。
窓を突然開けて“サリーっ!”なんて言ったりして・・・何考えてたんでしょうね。」
DJ:「でもやってる人たちはホント、真面目にやってたんでしょうね。」
黒沢:「そうですね。やたらにテケテケテケテケが入って、エレキ時代が忘れられなかったんでしょうね。」


DJ:「さて、それでは第9位にまいりましょうか」
黒沢:「9位はですね、ガリバーズってグループがあったんですが、“赤毛のメリー”って曲です。」
DJ:「これは、どういったグループなんですか?」
黒沢:「宇崎竜童さんがマネージャーだったんですよ。このグループは。」
DJ:「そーなんですか!?」
黒沢:「このグループは、ずいぶん、ヒドいグループだったらしいですね。」
DJ:「ヒドいって、どういうことなんですか?」
黒沢:「オルガンの人なんて全然弾けないんですよ。でね、鍵盤のところにドミソって書いてね。
それで押して弾いたフリしてたという・・・」
DJ:「(笑)全体的にそうなんですか、他の人たちも」
黒沢:「まあ、音楽にみんな関心があったのかどうか、わかんないんですね。やっぱり、女の子目当てというか、
そういうんでGSやってた人っていうのは多かったんじゃないですか。」
DJ:「GSがモテた時代ですからね。」


♪♪ガリバーズ/赤毛のメリー♪♪(O・A)


DJ:「感動的な音が鳴りましたね、最後に」
黒沢:「あの汽笛の音はたまりませんね。」
DJ:「でも今のレコードのは、ギター上手ですね。」
黒沢:「あー、あれは多分スタジオ・ミュージシャンじゃないかと思うんですけどね。
まず、ガリバーズでは無理でしょう。本人たちは、ちょっとできないんじゃないですかね。」
DJ:「そうですか、でもここを経て今日の宇崎竜童さんもあるわけですね。」
黒沢:「そうですね。」


DJ:「えーそれでは、今度は第8位にまいりましょう。」
黒沢:「モージョというグループの“欲ばりな恋”です。このモージョってグループはですね、
今、ネイティブサンで活躍している本田竹彦さんがリーダーだったグループですね。」
DJ:「じゃあ、ほかの人達もわりとジャズっぽい方達が多いんですか?」
黒沢:「そうですね。みんな顔をみるとジャズの顔なんですよね。」
DJ:「顔が?GSの顔っていうのは、どういう顔ですか?」
黒沢:「GSの顔っていうのは・・・えー、まー、例えばアダムスとかですね・・・あるでしょ?」
DJ:「なんとなくわかるような気もしますが、ヘアスタイルがまず違いますものね。」
黒沢:「そうですね。アゴヒゲつけてますからね、みんな。このグループは」


♪♪モージョ/欲ばりな恋♪♪(O・A)


DJ:「さすが実力派のグループというか、音が厚いですね。」
黒沢:「そうですね。」


(CM)
DJ:「NEC・サウンドコミュニケーション あなたのトップテン。今日はGS研究家の黒沢進さんに
おいで頂きまして、“魅惑のB級GS傑作集”ということでお届けしております。
実はですね、黒沢進さん、素晴らしい本を自費出版なさったんですよね。
“資料・日本ポピュラー史研究、上巻・下巻”ということで。
こういう資料というのは今、資料が散逸しちゃって大変だったんじゃないですか。集めるのが」
黒沢:「そうですね。いろいろマニアの人とかに頭を下げて借りたり、国会図書館へ行って調べたりして、
そうですね。大変と言えば大変でしたね。」
DJ:「マニアの方っていうのはやっぱり、レコードをとにかく集めようという感じなんですか?」
黒沢:「そうですね。特にジャケットを欲しがるとかね。
僕なんかどこがいいのかな、なんて思ってるんですけどね。
でも、何といってもあのジャケットがいいって言うんですよね。」
DJ:「当時の異様なユニフォームがいいとか、そういう感じなんでしょうかね。」
黒沢:「そうでしょうね。あの独特の雰囲気が・・・今、レコード・ジャケットからちょっと味わえないですからね。」
DJ:「でもどうしてみんな華やかな制服を着てたんでしょうね。似合うに合わないにかかわらずという感じで」
黒沢:「あれが不思議ですよね。一律にあーゆーカッコさせられたっていうのは、
やっぱりプロダクションの力なんでしょうね。」
DJ:「そうですか。この本は自費出版という事なんですけど、普通の本屋さんで買えるんですか?」
黒沢:「えーっとね、買えません。直接置いてもらってる店だけにありますけど。
銀座の山野楽器とか、そういうところで売ってます。」
DJ:「そうですか。是非これは一度手にとって見て頂きたい本という感じがしますけどね。
さあ、今度は第7位に行きましょう―」
黒沢:「えーっと“汐鳴りの幻想”という曲です。
ボルテージというR&Bのグループとして期待されたグループなんですけどね。
当時、R&Bと称されていたものがどういうものか、聴いて下さい。」


♪♪ボルテージ/汐鳴りの幻想♪♪(O・A)


DJ:「いやあ〜驚きましたね。(笑)これがR&Bと言われてたんですね〜」
黒沢:「どう聴いても大漁節にしか聞こえないですね。これはね。
タイトルもスゴイですね。“汐鳴りの幻想”ってサイケな曲かなと思ったんですけどね。」
DJ:「もう、何か笑いが止まらない感じなんですけども、続けて第6位にまいりましょう。」
黒沢:「次はワリとマジな曲で、“夕陽のはてに”という曲なんですけども。演奏してますのが、
フランツ・フリーデルとブルーファイアというグループです。
えーとですね、昔、ロカビリー歌手でフランツ・フリーデルという方がいらっしゃったんですけども、
その方がGS全盛時代だというのでGSをやろうってんで作ったグループなんです。」
DJ:「外国の方なんですか?」
黒沢:「ええ、西ドイツの方です。正真正銘、西ドイツです。
よくニセ外国人というのがたくさんいましたけれども、それとは違います。」


♪♪ブルーファイア/夕陽のはてに♪♪(O・A)


DJ:「うわ〜という感じで、ブルーコメッツそっくりですね。」
黒沢:「そうですね。ブルコメの特色ってのは、語尾だけハモるってんですけども、
それを受け継いでますね、このグループも。」
DJ:「本当に歌い方もそっくりで」
黒沢:「もともと、弟バンドですからね、同じ事務所の」
DJ:「あー、そうなんですか。では、5位の曲は?」
黒沢:「“星の王子さま”という曲で、スケルトンズという京都のグループなんですけどね。
出だしの語りがまた何ともいえないですよ。」


♪♪スケルトンズ/星の王子さま♪♪(O・A)


DJ:「健気ですね〜」
黒沢:「名曲ですね。いつ聴いてもいいですね。」
DJ:「でも、スケルトンズってのは、ワリとよくテレビなんかには出ませんでしたか?」
黒沢:「京都では人気があったみたいですね。全国的な知名度はイマイチでしたね。」


DJ:「というワケで今度は第4位にまいりましょう。」
黒沢:「レンジャーズというグループの“赤く赤くハートが”という曲です。」
DJ:「これは、どういうグループですか?」
黒沢:「これは、クラウン・レコードの―B級GSのすごい宝庫なんですけども、そのエース格のGSですね。」


♪♪レンジャーズ/赤く赤くハートが♪♪(O・A)


DJ:「(絶句・・・)いやあ〜もう、どうしちゃったんですか。このグループは・・・」
黒沢:「不滅の名曲ですね、これは。」
DJ:「写真を見ると、髪は七三ですね、意外にも」
黒沢:「その奇妙なバランスがいいんですよね。」
DJ:「(笑)このリードボーカルの、この方は役者さんもやってたんですって?」
黒沢:「“次郎物語”って番組がありましたよね。主人公のお兄さん役で出てましたね。
で突如、それから数年ぐらい経ってレンジャーズのリードボーカルとして出てきたんで、僕はもうびっくり、
何だ、あいつじゃないかって思ってびっくりした事を覚えてますけど。」
DJ:「この曲もびっくりいたしました。(笑)さすが、B級という感じでしたけど・・・。
さて、いよいよトップ3にまいります。」
黒沢:「第3位が、ダイナマイツの“真夏の夜の動物園”です。タイトルからして、スゴイでしょ?
あのー、動物の擬声を使うんですね。何の動物かわかんないですけど、間奏で“ギャオ〜”とかね。
それがなんと言ってもたまらないですね。」


♪♪ダイナマイツ/真夏の夜の動物園♪♪(O・A)


DJ:「(笑)メンバーの人たちが声を出してるんでしょうね。」
黒沢:「すっかり、アフリカに行った気分になりましたね。」
DJ:「これは、夏の夜に聴いてみたいと思いますが・・・このダイナマイツというグループは、
黒沢さんの本によりますと、“杉並の悪ガキ達が作ったダイナマイツ”というクレジットがついて」
黒沢:「ヒドかったらしいですよ、ずいぶん。ちょっと、ラジオでは言えないですけど。」
DJ:「そういう人たちが多かったですね。みんな、やりたい事をやってた感じでしたね。」
黒沢:「しあわせでしたね。」

DJ:「それでは、第2位にまいります。」
黒沢:「えーと、フォーナインエースの“涙もかれて”という曲です。これはジョー山中さんがいたグループです。」
DJ:「ああ、そうですか。」
黒沢:「リード・ボーカルでジョー山中さんがいたんですけども、何故かこの曲ではね、歌ってないんですよね。
何やってるかと言うと、間奏で“ユー・アー・プリティー・ガール・・・”とか何とかね。
ワケわからない英語を言ってるだけなんですよね。ステージでは、その間何やってたんでしょうね。」


♪♪フォーナインエース/涙もかれて♪♪(O・A)


DJ:「こういうの聴くとGSのね、典型の曲調という気がするんですけど」
黒沢:「ジーンときますね・・・。」
DJ:「あ、そうですか。やっぱり、いちいち、こう感動しますね。」
黒沢:「遠い海が浮かんできますね・・・。」
DJ:「あ、海ね。海っていうの多いですね。設定に」
黒沢:「海、星でしょ、渚、太陽。このへんがGSの四大言葉かな。」
DJ:「そういうの入れると流行るという世界でしょうか。」
黒沢:「俳句の季語みたいなもんですね。これが、入ってないとGSじゃないという感じで。」
DJ:「なるほどね。さて、いよいよ第一位です。」
黒沢:「タックスマンの“ヨットと少年”という曲です。京都のGSなんですけどね。
この曲は、今リメイクでやったら流行るんじゃないか、と思うんですけど。
少年隊とかシブガキ隊とかにぜひ歌っていただきたいですね。」


♪♪タックスマン/ヨットと少年♪♪(O・A)


DJ:「美しい内容の歌ですね、これは。」
黒沢:「そうですね。中学校の頃なんか、この曲、朝聴いてから必ず学校に行ってたんですよね。」
DJ:「(笑)そうですか。元気になって」
黒沢:「元気にはなりませんけどもね、センチメンタルな気分のままで・・・」


(エンディング)
DJ:「今夜はGS研究家の黒沢進さんの選んだ“魅惑のB級GS傑作集”をお届けしました。
いかがでしたでしょうか。
私は、まだ興奮さめやらぬという感じなんですけどもね。ホントに良かったですね。」
黒沢:「なかなか、一回では理解してもらえないんじゃないかと思いますね。奥が深いから。
できたら、パート2もやりたいんで、また呼んで下さい。」
DJ:「ぜひぜひ。実にまあGSの人たちっていうのは人材が豊富でしたね。
今も活躍してる方がいっぱいいらっしゃいますものね。」
黒沢:「あの、男の宝塚って言われてるんですよ。人材輩出率がすごいでしょ。」
DJ:「そうですね。ジュリーとかショーケンとかね。
それから裏方でね、芸能プロダクションのマネージャーやったりとか編曲やったりとか。」
黒沢:「そうですね。スタッフにまわってる人も多いですね。あと、六本木でスナックとかね。」
DJ:「(笑)みんな栄光の時代を背負って輝かしく、背負って生きているという感じですね。」
黒沢:「重いですよ、あの栄光は。」
DJ:「ところで、黒沢さんは、この“日本ポピュラー史研究”というのは、
サラリーマン生活をしながらお出しになったんでしょ。今は、もう辞めちゃったんですか?」
黒沢:「今は、ちょっと事情がありまして、辞めております。」
DJ:「じゃあ今は、もうすっかりGSの世界に浸りきって生活してらっしゃる」
黒沢:「そうですね。GSひとすじ・・・」
DJ:「わき目もふらず、決して浮気もせず・・・」
黒沢:「いやいや、まあ、そういうワケでもないんですけどもね。」
DJ:「でも、これからもずっとこれを聴き続けて行こうと思ってらっしゃるんでしょ?」
黒沢:「ん〜、どうですかね・・・そろそろ重くなりかけてますから・・・」
DJ:「また違う展開もあるかも知れないという事ですね。今日はどうもありがとうございました。」
黒沢:「はい。」

※本ページは83〜85年頃に黒沢さんが出演したラジオ番組の模様を文字に起こして再収録したものです。

(黒沢さんが “この先もずっとGSを聴き続けるかはわからない”と言っているのは照れ隠しでしょう。)

 


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