全薬会議の提言(1999年版)

国民の健康と生命を守る医薬品づくりをめざして

1999年10月22日
全薬会議幹事会

職場、業界、行政の改善をめざす私たちの要求・課題–

Ⅰ.はじめに−1980年代からの医療、医薬品産業

  • (1) 日本国憲法第25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を国民に保障し、その第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国の責務を確にしている。国民のこの権利を現実のものとするための闘いによって 医療保障制度を拡充させてきた。
  •  1980年代に入り、「増税なき財政再建、行財政改革」の名のもとに、軍拡・臨調路線が始まり、1981年7月の第2次臨調行政調査会の第1次答申では、「国際社会に対する貢献」と「活力ある福祉の実現」をかかげ、後者については「自己責任」と「自助努力」を強調した。この臨調行革は、軍拡路線の推進の一方で、福祉や教育など国民生活全体の公共サービスの後退と切り捨そのものであった。厚生省は、この答申に基づいて医療、福祉の切り捨てと大企業の参入を具体化してきた。
  •  1997年の財政構造改革の最終報告で、社会保障全領域の営利市場化のために、規制を緩和し、そのための再編成(構造改革)をすることが明らかにされている。このことは、医療・福祉・年金から国が撤退する方向を示すもので、労働者・国民全体の社会保障の後退・撤退につながることになる。お年寄りや弱いものいじめをやめさせ、「誰でも、いつでも、どこでもかかれる国民の医療を守る」運動が重要となってきている。
  •  これからの闘いは、憲法25条(生存権、国の社会的使命)を守る観点でこうした厚生行政に対決することが必要である。
  • (2) 臨調行革路線の「医療の適正化」「医療費の適正化」のもとで薬価算定方式の見直しや薬価引き下げが行われてきた。1981年の18.6%の薬価引き下げとその後の連続的な引き下げは、中小製薬企業にとって極めて大きな打撃となった。
  •  1984年10月、薬務局長の私的諮問機関である医薬品産業政策懇談会は最終報告で①国際化、②特化、③新薬開発と大衆薬の活性化などを業界の望ましい姿として示し、これを実現するために「各企業が合理化を進めるとともに自主的再編を含め適切な企業戦略を展開していくことが必要」であるとした。この新薬開発、国際化路線は、その後の産業政策でも貫かれている。
  •  その結果、新薬開発競争や販売競争が激化し、儲け本位の経営が行われ、国民の医薬品に対する信頼を失墜させる企業の反社会的事件は後を絶たない。その中でも、薬害エイズはスモン、サリドマイドと並んで戦後最大の最も悲劇的な薬害の一つである。また、日米経済摩擦の問題から、医薬品が対米輸入超過であるにもかかわらず、1985年に日米MOSS(市場指向性分野別)協議が決定され、米国は医薬品の製造・販売承認の行政的諸規制の大幅な緩和による日本市場の解放、非関税障壁の撤廃を強く要求し、これを突破口として、薬価基準や診療報酬のあり方などに大きく踏み
  • 込んできている。
  •  日米欧の新薬の承認審査基準の統一化会議(ICH:医薬品規制ハーモナイゼイション国際会議)を通じて、世界的な多国籍企業の地位を強化し、支配する「規制緩和」が進み、一方ではそれが中小にとっての「規制強化」となり、企業淘汰の波が押し寄せている。
  •  また、医療行政の側面では、新薬の高薬価及び薬価差益に対する国民の批判から、薬価基準制度の見直しが行われているが、先発品と後発品の薬価格差を固定化する銘柄別薬価収載は依然として継続されてきている。
  •  以上の情勢を反映して、国際的な業界再編の動きも活発で吸収・合併が展開されている。その結果、国内の外資の統廃合が行われ、大がかりなリストラ「合理化」が行われている。また。増収増益を上げている大手製薬企業も今日の不況に便乗して次々と合理化、リストラを発表し実行してきている。
  •  医薬品という生命関連商品を取り扱う医薬品企業は、より高い水準の倫理性、社会性を持ち、有効性、安全性、品質の確保に努め、優れた医薬品を提供しなければならい使命がある。それを実現するために製薬企業に働く労働者は行動しなければならない。

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Ⅱ.全国薬業労働者連絡会議の発足と闘い

  • (1) 私たちは、1988年全国薬業労働者会議の結成以来、「国民の健康と生命を守る医薬品づく り」という目的実現のため、薬業に働く労働者の生活と権利を守る職場での闘いとともに、業界や行政との交渉を通じて、争議の解決、企業や行政の反社会的事件の責任追及、医薬品の承認や薬価決定の過程の公開、薬害エイズをはじめすべての薬害の完全救済などを要求し、また中小企業の経営や雇用の安定を求めてきた。その結果、多くの課題で前進してきており、私たちの活動や要求が国民的な要求と一致するものであることを確信している。
  • (2) 大正製薬争議団村上氏の呼びかけにより、1982年3月、薬業争議労組交流会が初めて開催され、職場の状況や発生している争議内容について交流が行われた。翌1983年には様々な業界や職場、行政などの問題を話し合うための交流が行われ、大阪では「薬業労組交流会」が発足し、東京では1984年「薬業問題を考えるシンポジウム準備会」が発足した。
  •  1985年からは、東京と大阪が春闘や一時金闘争時の共同宣伝行動、1985年11月には厚生省交渉も開始された。その後シンポジウムも継続して開催された。そして、1988年5月には東京・大阪合同の拡大事務局会議が名古屋で開かれた。
  • この席上で、
    • ① 国民の健康と生命を守る医薬品づくり」をめざす。
    • ② そのために「労働者の生活と権利をを守り、職場・業界・行政の民主化実現」をめざす。
    • ③ 「共闘組織で一致した要求で行動」する。
    •  を確認し、名称(案)を「全国薬業労働者連絡会議(略称:全薬会議)」とすることを決定した。そして1988年10月28日に結成総会を開催し、正式に発足した。
  • (3) 私たちは、全薬会議の結成総会で医療制度の改悪や薬業における様々な問題が、臨調行革路線と厚生行政が進める大手企業育成の産業政策にあり、こうした行政や医薬品に対する国民の信頼を失墜させる医薬品企業の反社会的事件は、安全・有効・高品質の医薬品を求める国民との間に矛盾が拡大していることを明らかした。これらの問題は一労働者一労働組合の闘いのみによっては解決しえないことを確認し、薬業に働く労働者が結束して「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」をめざし、連帯しようと呼びかけた。
  • (4) 全薬会議は、規約の中で「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」と「労働者の生活と権利を守り、職場・業界・行政の民主化実現」を明確にし、その実現のため結成以来活動を行ってきた。その活動の基本は次の3つの原則と3つの路線として、明確化される。
    • ① 活動の基本原則(活動3原則)
      • 医薬品は人類の健康の確保とそれを通じて実現される豊かな社会の発展に寄与することを目的とするものであり、次の原則を銘記する。
      • ◆ 医薬品は有用である反面多かれ少なかれ副作用(生体に有害な作用)を有するという危険性をもつ生命関連物質である。
      • ◆ 国民の健康と生命の維持、増進に寄与し、品質はもとより有効性、安全性に対する信頼のある社会的に有用な医薬品づくりを指向する。
      • ◆ 「有効で安全、高品質な医薬品の安定した供給を」という患者、国民、医療従事者の要求に応える活動をする。
    • ② 活動の基本路線(活動3路線)
      • 「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」という課題を次の路線で行動する。
      • ◆ 産・官・学の癒着構造をやめさせ、大企業本位、薬価問題など業界のもつ矛盾を打開し、業界全体の民主的な発展をめざす。
      • ◆ 医薬品の研究開発、生産(製造)、情報提供活動(販売)などの全過程において、生命の尊厳を守る倫理感と高い科学性をもつ。
      • ◆ 「有効で安全、高品質な医薬品の安定した供給」の国民的要求を掲げ、職場、地域、業界で率先して実現をめざす。

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Ⅲ.活動の発展に向けての提言

  •  全薬会議結成以来の闘いを踏まえて、製薬企業労働者として医薬品産業における課題や問題を整理し、「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」の立場から、次の提言を行う。
  • この提言を製薬企業のみならず、患者、薬害被害者、医師、薬剤師その他医療関係者とともに一層 深めることが医薬品企業の社会性の向上や信頼回復、そして製薬労働者と国民との共同運動の発展につながるものと確信する。 
  •  当然のことながら、この要求や課題は情勢によって変化するものであり、その改善状況や進行状況を見極めながら新たな提言へと展開していく予定である。

1.国民本位の厚生行政に向けて

  • (1) 憲法25条(生存権、国の社会的使命)を守り、医療制度改悪を改め、国民の健康と生命を守るため、必要かつ十分な医療を国民が享受できる医療、福祉制度の維持改善を計ることが重要である。
    • ① 健保本人の医療費2割負担を直ちにやめ、10割給付を復活させること。また、保険料の引き上げを行わないこと。
    • ② 高齢者の負担増につながる、外来受診料の増額と入院費の引き上げをやめ、老人医療費の無料化を復活させること。
    • ③ 差別医療ならびに患者切り捨ての医療法の改悪をやめること。
    • ④ 厚生年金、共済年金の支給年齢の65歳への繰延べをやめ、現行の60歳支給制を維持すること。また、国民年金の現行65歳支給制を改め、60歳支給制とすること。
  • (2) 厚生行政は、医薬品産業を省資源、知識集約型産業として位置づけ、新薬開発優先と国際化の産業政策と国際的な医薬品の承認基準の統一を推進してきている。これらは、一層新薬開発競争の激化と企業不祥事の温床となっている。安価で、高品質、有効・安全な医薬品を求める国民の声に改めて耳を傾け、国民の健康と生命を守る医薬品づくりの観点での産業政策とこのための基盤確立が求められる。
  • (3) 国民の健康と生命を守る医薬品づくり」に責任をもつ行政として、医薬品企業に対する研究開発、生産、販売にいたる全過程の監視と規制が必要であり、また、儲け本位の製薬企業に対して行政指導を行うことが重要である。
  • (4) 医薬品に関する承認審査過程並びに市販後の情報を全て公開することは不可欠であり、そのための法的整備が重要である。
    • ① 治験の審査、製造承認、供給についての責任(権限)を明確にすること。
    • ② 医薬品の承認審査過程(中央薬事審議会・審査センター・医薬品機構)を国民の立場、医療に関係する立場の人たちがすべてをチェックできるよう全て公開すること。
    • ③ 新薬承認に関する全てのデータの公開を制度化すること。
    • ④ 治験が開始された品目及び臨床試験まで進みその後開発が中止された品目についてその中止理由等の内容も含め公表を義務づけること。
    • ⑤ 新薬を含む全ての医薬品に関する情報を国民が共有できる体制を構築すること。
    • ⑥ 市販後の医薬品の安全性、有効性に関する情報を公表すること。
    • ⑦ GLP、GCP、GMP、GPMSPなどを通じ、査察の際は責任者だけでなく業務を担当する労働者に直接意見を聴くこと。また、労働組合から要請があった時は労働組合の意見を聴くこと。
  • (5) 薬害エイズ事件など医薬品をめぐる反社会的事件が繰り返されており、再発防止のためにはすべてを明らかにすることが重要である。
  •  さらに、事件の温床となっている厚生省からの製薬企業、製薬団体に対する一切の天下りを禁止することを法制化することは癒着構造を絶つために必要である。
    • ① 薬害や不祥事等の反社会的事件の原因と責任を徹底追及し、明らかにすること。
    • ② 反社会的事件を起こした企業及び不問に付されてきた行政の責任について明らかにすること。
    • ③ 全ての薬害被害者に対し、直ちに完全賠償を行うこと。
    • ④ 薬害(副作用とは異なる)を発生・拡大させた企業に対してペナルティー(製造停止、承認・製造業取消等)を科すこと。

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  • (6) 医療機関の経営は医療費抑制の中厳しい状況となっている、現在の診療報酬体系では薬価差益(薬価基準と購入価格との差)に頼らざるを得ず、差益が大きい新薬を使うシステムになっており、薬害や医薬品の使いすぎとの批判になっている。
  •  薬価差益に依存することなく診療できる診療報酬を設定することが必要である。
  • (7) 医療費抑制政策の中で連続的な薬価基準切り下げが行われる一方で、新薬の高薬価及び薬価差が大きな批判となり、薬価基準制度の見直しが行われている。しかし、成分・同一規格毎の格差(先発品と後発品)を温存しての見直しは問題であり、新たな患者負担を強いることは到底許されない。
  •  今、まず行うべきは現在の薬価基準制度の矛盾すなわち新薬の高薬価及び薬価差、先発品と後発品の価格差の是正である。
  •  また薬剤師が代替調剤を行うことができるようにすることも必要である。

2.薬価基準制度のあり方

  • 国民の医療に、「安価で有効・安全、高品質な医薬品」を提供するために、薬価差益及び新薬シフト等の問題を解決することが求められている。私たちは、医療用医薬品が医療保険を通じて提供されていることからも公的保険の自由市場化に踏みだし、患者にさらに負担を強いる参照価格制度等の導入に反対してきた。
  • 今、まず行わなければならないのは、新薬シフトや不透明な新薬の価格設定などの現行の薬価基準制度の問題点を解決することである。
  • ① 新薬の薬価基準決定にあたってその透明性を確保するため、決定過程を全て公開し、国民に理解が得られるものとすること。
  • ② 新薬シフト是正のため、現行「銘柄別薬価収載方式」をやめ、「統一名収載方式」にもどすこと。
  • ③ 現行「銘柄別薬価収載方式」を維持するのであれば、「安価で有効・安全、高品質な医薬品」を使用できる手だてを講じること。
  • ④ 1994年3月の「処方箋へ一般名を記載しても構わない」とする通知を実効あるものにすると同時に薬剤師が同一成分の他剤への代替調剤を認めること。

3.医薬品業界の改善に向けて

(1) 大手及び多国籍(外資系)製薬企業行動の民主的規制

  •  医薬品の生産金額のうち100社で約83%を占め、業界側の産業政策の基本的な考え方は日本製薬団体連合会(日薬連)や日本製薬工業協会(製薬協)の各委員会で検討されるが、その委員長などは大手出身者で占められ、製薬産業の方向の舵取りをしている。また、規制緩和により、外資系企業の国内進出が容易になり、世界的な規模での再編により、国内外資の統廃合が急速に進んでいる。こうした大手及び多国籍(外資系)企業は増収・増益あるいは減収であっても膨大な利益を確保している。
  •  これら大企業は、売上が伸びなくても利益を確保していく体制確立に向けて様々な人事・労務政策を展開し、この動向は、中小企業にも影響を及ぼしている。
  •  また、スモン、エイズなどの薬害や不祥事など反社会的事件を起こしているのも大手・外資系企業が中心であり、ICHの進展に伴い、グローバル化することが予想される。したがって、研究開発から供給まで、薬業労働者はもとより被験者、患者、医師、薬剤師などによる下からの民主的な規制と、政府・自治体などによる上からの公的な規制が重要であり、これによって儲け本位の製薬企業を国民の健康と生命を守る医薬品づくりへと発展させることができる。
    • ① ICH等の「規制緩和」は、大手及び多国籍(外資系)企業のみの利益を優先するものであり、これを改めて国内の医薬品業界の発展と国民本 位に転換すること。
    • ② 中小企業の発展も含め業界団体の運営にあたること。
    • ③ 大手製薬企業・卸による中小製薬企業・卸の自主性・主体性を否定する系列支配はやめること。
    • ④ 薬害や不良医薬品など一連の企業の反社会的事件の反省に立ち、大手企 業がその先頭に立って患者・国民の信頼回復につとめること。
    •  また、不正や反社会的事件を監視する行政・企業から独立した監視機構の設置も必要である。
    • ⑤ 無制限な企業の吸収・合併を規制し、吸収・合併にあたってはそこに働く従業員の雇用と生活を保障すること。
    • ⑥ 外資系企業は日本で企業活動を行う場合は日本の憲法及び関連法規を遵守すること。また、国内労働法規や労働慣行を遵守すること。

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(2) 中小製薬企業の育成と経営の安定化に向けて

  •  医薬品企業は約1,650社、うち医療用医薬品の製造業の企業は約550社で、医薬品企業の労働者は約21万人である。従業員100人以下の企業が約70%を占め、医薬品売上からみた集中度は上位10社で31%、50社で69%、100社で83%となっている。このように多くの中小企業が1割前後の医薬品生産をおこなっているのが現状である。
  •  この中小企業の社会的な責任、製薬企業における役割は、

    ◆ 少量多品種の医薬品を供給している。
    ◆ 安価な後発品、局方品などを主に製造・販売している。
    ◆ 大手企業の及ばない特殊分野の医薬品の開発を行っている。
   などがあり、医療における貢献は極めて大きい。

  •  一方、薬価改定等の影響を直接受け、中小企業は経営基盤が不安定になり、業績の低迷が続いている。また、研究開発力が大手に比べ弱いなか承認の厳格化、特許係争などにより、安価な医薬品の提供が難しくなるなど厳しい状況にある。
  •  「安価で有効・安全、高品質な医薬品」をという国民の要求を果たすためにも中小製薬企業の産業基盤の安定は必要である。
  •  中小企業経営者は、安全性・有効性の確認など研究開発の推進、高品質の確保だけでなく、情報収集や安定的な供給体制の整備などは当然のことながら行われなければならない。
    • ① 中小製薬企業の経営基盤安定、GMPのハード、ソフト改善などの近代化に向けての中小企業育成関連施策の推進、資金援助がなされること。
    • ② 少量多品種の医薬品を製造し提供している現状も考慮し、薬価基準等について配慮がされること。
    • ③ 銘柄別薬価収載方式を統一名列記方式にするなど安価な後発品の使用を促進する施策を講じること。例えば、国立病院などで品質再評価の結果「先発品と同等」とされた後発品の使用促進をはかること。
    • ④ 中小製薬企業における医薬品の情報の収集、提供等の体制(データベース化も含む)構築を業界団体並びに行政が推進すること。
    • ⑤ 業界として、安定的供給の面から大幅な薬価値引きによる販売やいわゆる「売り逃げ」などは、厳に戒めること。

4.薬業労働者の権利確立と労働条件向上

(1) 権利確立

  •  医薬品を研究開発、生産、情報提供活動(販売)する職場においてその過程をチェックできるのはそこで働く労働者であり、その労働者が良心と勇気をもって「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」という視点で行動すること、そしてそれを保障する体制が重要である。このことは、厚生省が私たちとの交渉で「労使関係が不正常な医薬品企業で不祥事が発生するということには蓋然性がある」「不祥事を防止するためには労働組合や社員が自由にモノが言える状況が必要である」との見解を表明していることからも明らかである。
    • ① 労働組合、労働者の諸権利を確立し、正常な労使関係を築くこと。
    • ② 医薬品に携わる労働者の自主性と権利を確立し、社内的に公開を原則とす指針を策定し、職場で自由にモノが言える体制、職場状況をつくること。
    • ③ 企業内に研究開発、生産、情報提供活動(販売)の全過程における問題の解決のため経営から独立した委員会を設置すること。
    • ④ 各企業で倫理観をもって行動、科学性への立脚・科学性を妨げるものの排除、研究者・技術者の良心に基づいて行動することなどを内容とした倫理 綱領を策定し、実践を保証する体制を確立すること。
    • ⑤ 日薬連「製薬企業倫理綱領」、製薬協「企業行動憲章」を遵守し、これに 反する行為をした場合には、厳しく罰すること。

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(2) 労働条件の向上

  •  国際化、新薬開発という産業政策と医療費抑制政策のなかで販売競争や開発競争が激化しており、薬業の職場では様々な問題が起こっている。生命関連物質である医薬品を取り扱うためには、そこに働く労働者の労働条件の向上は重要である。
  •  また、ここ数年大手・外資系企業を先頭に人減らし「合理化」、リストラが行われているが、その結果、製造現場での品質の問題、営業や研究開発の長時間労働による家庭破壊、在職死亡などが増えている。
    • 1. 恒常的な長時間労働をやめさせ、業界団体として規制することによって、年間労働時間を11,800時間以内とすること。
    • 2. 男女雇用機会均等法を守り、性による差別を直ちにやめ男女同一賃金とすること。
    • 3. 労働者への退職強要やいやがらせ、配置転換の強要はやめること。
    • 4. 配転・出向、職種変更については少なくとも1カ月前に内示し、組合並びに本人と協議し、同意を得て行うこと。
    • 5. 吸収、合併そのほか労働条件を変更する場合は、事前に組合並びに本人と 協議し、同意を得て行うこと。
  •  新薬開発競争激化に伴い、より微量で生物活性の強い物質が研究所、工場で取り扱われるようになっている。
  •  研究者、作業者の健康破壊・重篤な薬害発生の危険性がかつてなく高まっており、以下の対策を講じることが必要である。
    • 1. 健康診断を徹底すること。すべての製造所で定期検診のほかに特殊健康診断(特定化学物質)の実施を行うこと。
    • 2. 労働安全衛生の教育を充実すること。
      1. 安全衛生委員会の労働者代表に労働組合の代表を入れること。労働組合がない場合は、その選出は民主的に行うこと。
      2. 薬剤による暴露・健康影響についてのデータを公開すること。
      3. 労働者の健康を確保するため新規化合物の毒性情報を企業が積極的に公開し、国の責任において毒性リストを作成すること。
      4. 合成・創薬・探索段階での健康被害を予防するため研究職場の環境のガイドラインを作成すること。
    • 3. また、製薬企業の医薬品による健康被害(医薬品の暴露による薬害)を防止するため、行政として次の対策が必要である。
      1. 労働省と共同で一般的労働安全衛生面からの規制とは別に、健康管理上の基準を定めること。
      2. 医薬品の労働者への被害について、承認前、承認後を問わず厚生省に(労働省)報告させるなどの制度上の方策を講じること。
      3. 新医薬品の承認申請時に人体への影響を検討する試験項目の中に、大量に暴露される恐れのある労働者への安全性を検討する項目を追加すること。
  • MR(医薬情報担当者)に関して
    • 資格化制度については業界主導ではなく国の責任においてMRがだれもが資格取得できる制度とすること。
    • MRの目標達成のため人格を傷つける暴言、体罰、人事上の不利益扱いは行わないこと。
    • 「数字・成績がすべて(人格)」という現在の儲け本意のMRの業績評価をやめること。
  • GMPを遵守し、徹底させること。
    • 必要な適正な人員を確保し、適正に配置すること
    • 従事者の教育を徹底あい、教育訓練が不十分な労働者を医薬品製造に携わらせないこと。
    • GMP三役(品質管理責任者、製造管理責任者、製造管理者)の意見を尊重するなど、会社はその独立性を遵守すること。
    • 中小企業へのハード、ソフト改善のための資金貸付及び技術援助を行う制度を設けること。
    • 自動化ライン促進によって品質低下を招かないよう十分対応すること。
  • GCP、GLP、GPMSP等を基準を遵守し、徹底すること。

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Ⅳ.これからの全薬会議の方向

  •  この提案は、全薬会議と全薬会議に結集する労働組合・個人の10年余りにわたる職場、地域、業界での闘い及び活動に基づいて整理したものである。薬業労働者が、「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」をめざし、生活や権利、仕事や雇用、平和や民主主義を守る活動を患者、薬害被害者、医療従事者とともに展開することが、真に国民から信頼される医薬品づくりとなるものである。
  •  私たちは、今までの運動を一層を発展させ、自らが誇りをもって仕事を行ない、生命を尊重する医薬品産業とその一翼を担う薬業労働者して、国民的共同運動の展開と共闘体制の強化を基本に以下の方向を追求する。
    1. 大手・外資系企業が研究開発、生産、情報提供活動(販売)の全過程にわたって、中小企業を圧迫している現状を改善するため、日米欧の独占的大企 業の民主的規制の強化を求める運動強める。
    2. 医薬品企業と医薬品あるいは医薬品企業の監督官庁である厚生行政に対する監視体制の確立及び規制を求めていく。
    3. 日米欧での同時開発が行われ、多国籍企業の吸収・合併が進むなかでは、私たちの国内における活動のみでは多国籍企業の民主的な規制は不可能であり、国際的な連帯も視野に入れて活動する。
    4. 日薬連の「製薬企業倫理規定」、製薬協の「企業行動憲章」の徹底と遵守を求めていく国民的共同の取り組みを展開する。
    5. 医療労働者、患者、薬害被害者など医薬品に関わるすべての人々と国民的な共同の運動を展開する。

以上

全薬会議の提言(2008年版)

国民の健康と生命を守る医薬品づくりをめざして 提言(その2)–

2008年10月24日
全国薬業労働者連絡会議幹事会


0全国薬業労働者連絡会議(全薬会議)は、1988年に結成され、2008年10月で20周年を迎えた。全薬会議は結成以来、「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」という目的の実現のため、薬業に働く労働者の生活と権利を守る職場での闘いとともに、業界や行政との交渉を通じて、医薬品の承認制度や産業政策、薬価基準のあり方とその問題点の指摘、中小企業の経営や雇用の安定と後発医薬品の使用促進、争議の解決、企業や行政の反社会的事件の責任追及、薬害エイズ・ヤコブ病・肝炎などすべての薬害の完全救済と企業の謝罪・補償を要求するなど多彩な活動をしてきた。その結果、後発医薬品の使用促進や争議の解決など多くの課題で前進してきている。
0この20年の全薬会議の要求や活動は、国民的に合意できるものであり、今日的な情勢のもとでは、その闘いはいっそう重要となってきている。
0全薬会議は、結成10周年の節目の1999年に、「国民の健康と生命を守る医薬品づくりをめざして一職場、業界、行政の改善をめざす私たちの要求・課題について−」との提言を発表し、医薬品をめぐる情勢と課題、そこに働く薬業労働者が求める課題を明らかにした。
0国民の健康と生命を守る医薬品づくりを一貫して追及するとともに、この提言を基礎に全薬会議は行動を展開してきたが、この間ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)の進展、薬事法の改正、2回の医薬品産業政策の発表と、医療制度の改悪が行われるなど医薬品業界をめぐる情勢は大きく変化してきた。
0全薬会議結成以来の闘いとこの10年の情勢の変化を踏まえ、「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」の立場から、追加提言を行い、新たな発展をめざすものである。

1.この10年の医療・医薬業界を取り巻く情勢の変化

(1)医療制度の全面改悪

0自公連立政権は、社会保障給付の削減と負担増を迫り、野党抜きで医療改悪を次々 強行実施してきた。2002年10月から70歳以上のお年寄りには、2割負担、上限や定 額制の廃止(現行1割負担)、2003年4月からサラリーマンなどの本人負担3割への引き上げ、ボーナスからの保険料の天引き、政府管掌保険の保険料率の引き上げなどを押しつけてきた(年間1兆5,100億円の負担)。また、2005年10月からは、特別養護老人ホームなど介護施設へのホテルコスト負担導入(居住費、食費の全額自己負担)、軽度者が利用する訪問介護サービスの制限などの介護保険法が改悪された。そして、2006年に医療「改革」関連法により、同年10月からの現役並の所得がある高齢者の3割負担や、療養病床の食費・居住費の保険外しなどの自己負担化にはじまり、2008年4月からは、後期高齢者医療制度の実施や、70歳から74歳までの高齢者の自己負担2割化、混合診療の拡大、また、2012年3月までに入院患者の追い出しにつながる、療養病床の削減(現在ある38万床を15万床に〈医療型は25万床から15万床に、介護型13万床を全廃〉)など様々な医療改悪が実施され、あるいは実施されようとしている。
0このような医療制度を変質させ、国民皆保険を切り崩す医療制度改革は、憲法25条に明記された、生存権を破壊するものと言わざるを得ない。

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(2)医薬品業界は、薬事法改正とICHの進展、そして産業ビジョンの発表

①薬事法改正の動き
01979年に薬害スモンの被害者・患者や大型訴訟団の闘いによって、薬事二法(薬事法の抜本的な改正と副作用を救済するために医薬品被害救済基金の設立)が成立し、医薬品の承認制度と安全性の確認システムが前進した(施行は1980年)。この薬事法改正は、現行薬事法制定後最大の改正であったが、これ以降アメリカや製薬大企業・多国籍企業の不当な要求により、83年、93年、96年と連続的に「改正」が行われた。そして、2002年7月に、薬害エイズやヤコブ病の闘いにより、医療機器の安全対策の見直しや生物由来製品の安全確保の対策などの前進面が盛り込まれたものの、市販後安全対策の充実と承認制度の見直しや承認審査体制の見直しという、79年改正以来の抜本「改正」が行われた(2005年4月全面施行)。これらの改正は、製薬企業、特に大企業・外資系企業が従来から求めていた「承認制度と承認審査体制の見直し」を柱とするもので、これまでの製造承認(工場をもって、製造し販売する)から製造販売承認(工場を持たなくても医薬品の承認を取得できる=製造の全面委託)への移行と、承認をより早く行うための体制見直し(医薬品医療機器総合機構を改変)であった。
0一方、医薬品の販売に関する規制緩和も次々実施に移された。2003年9月に「医薬品のうち安全上特に問題がないものの選定に関する検討会」が設置され、医薬品の15製品群が新医薬部外品に指定され、コンビニなど一般の小売店でも販売されることになり、さらに、2006年6月には、一般用医薬品の販売制度の大幅な「改正」が行われた(2009年6月完全施行)。これは、医薬品のリスクに応じて1〜3類に分類し、1類については薬剤師による対面販売、2、3類については薬剤師の他に新たな専門家として登録販売者による販売を認めるなど、これまでの販売制度を大幅に規制緩和する「法改正」である。こうした規制緩和は、ドラッグストアやディスカウントショップなど、薬剤師不在問題の解消や、どこでも販売できるという要求を取り入れたものである。人の生命と健康に直接関わる医薬品をこのような規制緩和により販売することは、国民の健康と生命を守るという立場から極めて問題である。

②ICHの進展−必要な試験の減少と日米欧での同時開発・同時販売
0ICHは、日本・米国・EUそれぞれの医薬品規制当局と産業界代表を中心に組織されているが、その目的は「新薬承認審査の基準を国際的に統一し、医薬品の特性を検討するための非臨床試験・臨床試験の実施方法やルール、提出書類のフォーマットなどを標準化し、製薬企業による各種試験の不必要な繰り返しを防いで医薬品開発・承認申請の非効率を減らし、結果としてよりよい医薬品をより早く患者のもとへ届けること」とされている。しかし、その実態は、三極同時開発・同時販売という、多国籍企業や大企業の要求を取り入れ、承認申請に必要な試験を減らし、外国の臨床試験などのさまざまなデータを共有化することによって、より早く販売しようとするものである。そして、その結果、イレッサやタミフルなどが早期に承認・販売され、一方、患者に対して薬害を引き起こすという事態になっている。

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③2回の医薬品産業政策の発表−国際化と新薬開発をいっそう進める
0医薬品産業に対する政策は、これまで1984年の「医薬品産業政策懇談会」の答申から6回にわたって公表されているが、基本的なスタンスは、いずれも大手製薬企業優先の「国際化と研究開発の推進」であった。直近の産業政策(医薬品産業ビジョン)は、2002年、2007年の2回発表され、特に2002年の産業ビジョンは、全般的に触れたもので本格的なものであった。
0それは、10年後の国際競争力のある医薬品産業の構造として、<1>世界的に通用する医薬品を数多く有し世界市場で一定の地位を獲得する総合的な新薬開発企業(メガファーマ)、<2>得意分野においても国際的にも一定の評価を得る新薬開発企業(スペシャリティファーマ)、<3>良質で安価な後発品を安定的に、情報提供を充実させて販売する企業(ジェネリックファーマ)、<4>セルフメディケーションに対応し一般用医薬品を中心に開発する企業(OTCファーマ)の4つに明確に分類し、<1>のメガファーマは、(ファイザーなどの世界的大企業に伍していくことはできないため)3〜4社でかまわない、残りは特徴を持った企業などになるべきとの、業界再編の方向性を具体的に示したものであった。
0この医薬品産業ビジョンを検証して出されたのが、2007年の産業ビジョンである。基本的には2002年の医薬品産業ビジョンと同じ企業分類をしたうえで、<1>日本の医薬品産業の国際競争力は伸びていない、<2>創薬環境、市場そのものの国際競争力も失われている、という危機的な状況を課題と位置づけ、ビジョン策定の目的は「医薬品産業の国際競争力の強化、ドラッグ・ラグの解消」であり、最終的には「医療ニーズに対応した安全で質の高い医薬品が国民にできるだけ早く提供されること」ができる豊かな国をめざすことであるとしている。
02002年のビジョンも2007年のビジョンも基本的な内容は、いずれも多国籍企業や大企業の国際化と新薬開発の優先の他に許認可制度の緩和であり、「良い薬をより早く患者に提供する」ことをうたっており、そこには、患者の健康と生命を守る医薬品づくりを行うためにどうするか、という観点はなく、海外で上市されている医薬品を迅速に審査し、国内での承認、販売を急ぐというものである。
0こうした産業政策や薬事法「改正」などに必ず使われるのが、1993年の産業政策で初めて登場した「良い薬を早く世界の患者のために」という文言であるが、実態はイレッサなどの薬害をみれば、そうでないことは明らかである。

(3)薬害エイズ以降も続く薬害発生、企業の責任を明確にせず

0本来、医薬品は、有効性とともに副作用(生体にとって有害な作用)があることは、周知の事実であり、病気を治すには、患者は多少の副作用を受忍する必要があり、医薬品の使用にあたっては、医師が患者を診断し、適正に投与されたとしても、副作用が出ることはある。しかし、医薬品により受忍できないような副作用や有害事象が起こり、しかも、それが事前にわかっていたり、予測出来たものであれば、行政や企業の責任は免れない。これまでの薬害は、いずれも行政や企業の責任が問われてきている。
0全薬会議は、国と製薬企業が全ての薬害の早期救済と薬害の発生と拡大の責任を認めることを求め、独自の宣伝ビラと厚生労働省や業界団体への要請を行ってきた。しかし、血液製剤によるエイズ、脳硬膜によるヤコブ病などが、国、企業との間で解決したが、その後、血液製剤によるC型肝炎、インフルエンザ用抗ウイルス剤タミフルによる異常行動や突然死、間質性肺炎で数百名が死亡している肺ガン治療剤イレッサなどの薬害が発生している。C型肝炎は、薬害エイズと同じ構図であり、タミフル、イレッサは海外データに依存し安易に短期間に承認されたものである。これらの薬害のいずれも、製薬企業の社会的な責任が問われるものであり、また、医薬品の承認制度や産業政策が深く関わっている。

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(4)進む業界再編とリストラ・合理化

0産業政策や薬事法改正の動きのなかで、今、業界再編が国内外とも進んでおり、企業の“本籍”を探すことが大変なほど、大きな流れで推移してきている。国内でも山之内製薬と藤沢薬品工業(アステラス製薬<05年>)、三共と第一製薬(第一三共<07年>)など、大手製薬企業で残っているのは武田薬品だけあり、外資系製薬企業においても同じように再編が進んできている。一方、職場では高収益をあげながら、数百人単位の首切りなどリストラ・合理化が進んでおり、薬業労働者約19万人の1割にも達している。理不尽なリストラも多く、連日退職強要を受けたり、仕事を取り上げるなど、人権侵害が行われ、精神的な病に陥り何人も休職しているという職場もあるなど、健康と生命を守る医薬品をつくる職場とは到底思えない事態となっている。

2.全薬会議としての基本的立場

0医薬品という生命関連商品を取り扱う医薬品企業は、より高い水準の倫理性、社会性を持ち、有効性、安全性、品質の確保に努め、優れた医薬品を提供しなければならい使命がある。それを実現するために製薬企業に働く労働者は行動しなければならない。

(1)活動の基本原則(活動3原則)

0医薬品は人類の健康の確保とそれを通じて実現される豊かな社会の発展に寄与することを目的とするものであり、次の原則を銘記する。
①医薬品は有用である反面多かれ少なかれ副作用(生体に有害な作用)を有するという危険性をもつ生命関連物質である。
②国民の健康と生命の維持、増進に寄与し、品質はもとより有効性、安全性に対する信頼のある社会的に有用な医薬品づくりを指向する。
③「有効で安全、高品質な医薬品の安定した供給を」という患者、国民、医療従事者の要求に応える活動をする。

(2)活動の基本路線(活動3路線)

0「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」という課題を次の路線で行動する。
①産・官・学の癒着構造をやめさせ、大企業本位、薬価問題など業界のもつ矛盾を打開し、業界全体の民主的な発展をめざす。
②医薬品の研究開発、生産(製造)、情報提供活動(販売)などの全過程において、生命の尊厳を守る倫理感と高い科学性をもつ。
③「有効で安全、高品質な医薬品の安定した供給」の国民的要求を掲げ、職場、地域、業界で率先して実現をめざす。

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3.活動のさらなる発展に向けての提言

0これまでの全薬会議の闘いと、医薬品業界や医療制度を取り巻く情勢の変化を踏まえて、「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」の立場から、1999年発表の提言を見直し、次の提言を行う。
0この提言は、製薬企業労働者と、患者、薬害被害者、医師、薬剤師その他医療関係者、さらには国民との共同運動の発展につながるものと考えており、情勢の変化や闘いによって要求や課題は変化するものであるが、これらを踏まえながら新たな運動へ展開させていく予定である。

(1)国民ための医療制度を

0国は「小さな政府」「構造改革」と称して、社会保障の削減を行ってきている。自公連立内閣政権は、2002年度以降社会保障費の自然増分の2,200億円も削減する方針をとり続けて、すでに1兆6,200億円削減してきた。その結果、国民の暮らしをささえ、生命と健康を守るべき社会保障が、国民生活や将来への不安を増大させている。患者負担が大幅にアップし、医療にかかれないという深刻な状況は、医療が最も必要な高齢者、重症患者をねらい打ちにするもので、医療制度を変質させ、国民皆保険の切り崩す医療制度改革は、憲法25条に明記された、生存権を破壊するものである。
0国に対して国民の生活や健康を守り、安心して暮らせるよう、医療保険制度の改悪を中止し、必要かつ十分な医療を国民が享受できる医療・福祉制度を維持改善させるとともに、憲法25条の国民が健康で文化的な最低限度の生活を営めるよう、国が社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めることが求められている。
0これらをふまえて全薬会議は、以下の通り要求する。
①後期高齢者医療制度を廃止すること。
②健保本人の医療費3割負担を直ちにやめ、10割給付を復活させること。また、保険料の引き上げを行わないこと。
③高齢者の負担増につながる、外来受診料の増額と入院費の引き上げをやめ、老人医療費の無料化を復活させること。
④差別医療ならびに患者切り捨ての医療法の改悪、混合診療の導入をやめること。
⑤厚生年金、共済年金の支給年齢の65歳への繰延べをやめ、現行の60歳支給制を維持すること。また、国民年金の現行65歳支給制を改め、60歳支給制とすること。
⑥国民健康保険証の取り上げをやめること。
⑦保険証未交付を直ちにやめ、すべての国民に保険証を交付すること。
⑧「保険で良い入れ歯を」の声に応えるために、入れ歯の保険点数を大幅に引き上げること。
⑨育児介護休暇制度における休業時の賃金については、一時帰休の際保障されている60%以上の賃金の保障を企業に義務づけること。
⑩ビタミン剤、パップ剤、風邪薬及び漢方製剤などの保険適用除外を行わないこと。

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(2)医薬品産業のあり方について

02002年に「ゲノム創薬」や「テーラーメイド医療」の世界が広がっている10年後の国際競争力のある医薬品産業についての「医薬品産業ビジョン」が発表され、2007年にはその見直しが行われた。この新ビジョンでは、「国際競争力強化とドラッグ・ラグの解消」をめざすものとなっている。
0この新しいビジョンの特徴としては、継続的に新薬を出し続ける研究開発型の企業中心の発展を全面に打ち出し、一方では、特許が切れた後は後発医薬品への置き換えを促進することを明言し、新薬開発型企業の長期収載品に頼らない産業構造の転換を求めている。また、このビジョンは、新薬開発とその早期承認を推進するもので大企業・外資系企業優遇の政策となっている。
0安価で、高品質、有効・安全な医薬品を求める国民の声に改めて耳を傾け、国民の健康と生命を守る医薬品づくりの観点での産業政策とこのための基盤確立が求められる。
①多国籍企業、大手企業育成の産業施策でなく「国民の目線で見た医療や医薬品産業」政策を基本とすること。
②大手及び多国籍(外資系)製薬企業行動の民主的規制が求められる。
<a>承認制度の「規制緩和」は、大手及び多国籍(外資系)企業のみの利益を優先するものであり、これを改めて国民や患者の目線にたった国内の医薬品業界の発展と国民本位に転換すること。
<b>中小企業の発展も含め業界団体の運営にあたること。
<c>薬害や不良医薬品など一連の企業の反社会的事件の反省に立ち、業界団体である日本製薬工業協会(製薬協)や日本製薬団体連合(日薬連)の企業行動憲章、倫理綱領を遵守すること。
<d>薬害や不祥事など、その被害を発生させ、拡大させた企業に対して、業界自ら襟を正す姿勢をもち、対応すること。
 また、不正や反社会的事件を監視する行政・企業から独立した監視機構の設置も必要である。
<e>企業の利益を優先する、企業の吸収・合併については、そこに働く従業員の雇用と生活を保障すること。
<f>外資系企業は日本で企業活動を行う場合は日本の憲法及び関連法規を遵守すること。また、国内労働法規や労働慣行を遵守すること。
③中小製薬企業が社会的役割を果たせるよう国による施策を行うこと。
医薬品企業では、医薬品売上高は約1,230社中、医薬品売上高上位10社で約50%、50社で85%、100社で94%を占めている。従業員数は、ここ数年減少しているが約19万で、従業員100人以下の企業が65%を占めている。このように多くの中小製薬企業で1割前後の医薬品市場を競っているのが現状である。
0医薬品の売上は、医療用医薬品が約80%を占め、その多くは製薬協加盟の大企業が占めている。上場企業の多くは増収増益をあげている一方、いわゆる後発医薬品(ジェネリック医薬品)を取り扱う中小製薬企業は、後発医薬品使用促進政策もあり、一部企業では大幅な増収増益をあげてきているものの、多くの中小製薬企業は、薬価政策や承認制度等によって、不安定で厳しい状況にあることは変わりはない。この中小製薬企業の医療や医薬品産業における役割は、重要であり、今後ますます大きくなると考えられる。「安価で有効・安全、高品質な医薬品」という国民の要求を果たすためにも中小製薬企業の産業基盤の安定は必要がある。
0一方で、中小製薬企業経営者は、安全性・有効性の確認や品質の維持向上など研究開発の推進、情報収集や安定的な供給体制の整備などは当然のことながら行わなければならない。
<a>中小製薬企業の経営基盤安定、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)のハード、ソフト改善などの近代化に向けての中小企業育成関連施策の推進、それに伴う資金援助を行うこと。
<b>中小製薬企業が少量多品種の医薬品を製造し提供している現状も考慮し、薬価基準等について配慮すること。
<c>安価な後発医薬品の使用を促進する施策を講じること。例えば、国立病院などで品質再評価の結果「先発品と同等」とされた後発品の使用促進をいっそうはかること。
<d>中小製薬企業における医薬品の情報の収集、提供等の体制(データベース化も含む)構築を業界団体並びに行政が推進すること。
<e>業界として、安定的供給の面から大幅な薬価値引きによる販売などは行わないこと。

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(3)医薬品の承認制度のあり方について

0データねつ造・偽造事件、スパイ事件、血液製剤による薬害エイズ、ソリブジン副作用被害など医薬品に関わる企業不祥事は後を断たず、医薬品企業の倫理、治験のあり方など多くの問題が指摘されている。
0最近では、申請からわずか5カ月で世界に先駆けて日本で承認され販売された肺がん治療薬イレッサなどによる重篤な副作用被害が発生しており、現状の承認審査制度、市販後調査体制のあり方などについて行政及び企業の責任が問われている。これら新薬の安全性に係る問題は、新薬審査制度並びに産業政策に起因する問題でもあり、今後も起こりうる問題である。その背景には「良い医薬品を早く世界の患者へ提供」と称し、国内における臨床試験の省略を認めたり、早期承認のため審査期間短縮に重点を置くなどのグローバル化、規制緩和を大手製薬企業と一体になって推進してきた厚生労働省の姿勢にあり、行政の責任はきわめて重大である。

①1999年4月に医薬品の承認審査厳格化の原点となった昭和42年9月の薬務局長通知「医薬品の製造承認に関する基本方針」が廃止された。特に臨床試験などの論文公表廃止は、重大である。医師や患者が医薬品の有効性と安全性、有効性を客観的に評価できる手段を持つことにより、医薬品に対する信頼を確保できることが重要である。
0以前公表廃止を求めていたアメリカでも既に販売されている医療用医薬品の臨床試験結果が一般にも開示されたように、情報の透明性を高めようとする動きが高っている。2005年1月には、日本製薬工業協会が、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)ならびに国際製薬団体連合会(IFPMA)とともに、治験情報の登録と開示に関する共同指針を策定し、合意するに至った結果、承認を得た医薬品で探索的治験以外の治験についての情報公開が2005年7月から実施されている。しかし、肺ガン治療薬イレッサの副作用被害である間質性肺炎に関して、「申請前に実施され、企業により公表を拒否されたとされる」動物における毒性試験でその危険性が示唆されていたことなどが指摘されている。
<a>製造販売承認申請のために実施された臨床試験などのデータだけでなく、市販後に実施された試験など医薬品の安全性及び有効性に関わる全てのデータについて公表を製薬企業に義務づけること。
<b>新薬を含む全ての医薬品に関する情報を国民が共有化できる体制を構築すること。

②フィブリノゲン製剤などによるC型肝炎感染問題の教訓を踏まえ、厚生労働大臣が、「命を大切にする厚生労働行政、その原点に立ち返り、全力を挙げて二度と薬害を起こさない体制づくりに取り組みたい」と述べているが、実効性のある具体化を行うことが重要である。
<a>「既存の医薬品と比較し、患者にとって有用である医薬品であることが客観的に認められた場合にのみ、原則として承認する」など新薬の製造販売の承認基準を具体的に明示すること。
<b>市販後に、安全性や有効性などについて新たな問題が指摘された場合は、患者にとって有用であるかどうかを優先して検討すると共に、薬害の拡大防止のため、承認の取消を含め販売中止など適切な措置を行うこと。
<c>医薬品の適正使用のために新薬承認申請のために用いられたデータなど全ての情報を公開すること。
<d>治験の届出が行われた品目及び臨床試験まで進みその後開発が中止された品目について、中止理由等の公表を義務づけること。
<e>再審査に使用された市販後調査データなどの公開を企業に義務づけること。
<f>GCP(医薬品の臨床試験の実施に関する基準)、GMP、GVP(医薬品等の製造販売後安全管理に関する基準)、GQP(医薬品等の品質管理に関する基準)などの査察の際は、制度上の責任者だけでなく労働者、労働組合の意見を直接聞くこと。
<g>査察の結果について周知徹底させるためにその内容を企業担当者がいつでも閲覧できるようなシステム構築について、そのための法的な整備を含め行うこと。

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(4)薬害救済と根絶に向けて

0薬害エイズは、1996年3月、硬膜移植によるヤコブ病は2002年3月に和解、イレッサ、タミフルなどによる副作用被害(薬害)は依然として問題となっている。ウイルスに感染した血液製剤フィブリノゲンによる薬害C型肝炎については2008年1月に薬害肝炎被害者救済特別措置法が成立し、原告と国との和解となった。一方、医薬品企業に働く労働者として、薬害の根絶に取り組むと同時に、全ての薬害を救済することは重要である。
①薬害や不祥事等の反社会的事件の原因と責任を徹底追及し、明らかにすること。
②反社会的事件を起こした企業及び不問に付されてきた行政の責任について明らかにすること。
③全ての薬害被害者に対し、直ちに完全賠償を行うこと。
④薬害(副作用とは異なる)を発生・拡大させた企業に対してペナルティー(製造停止、承認・製造業取消等)を科すこと。
⑤薬害発生の原因となっている、臨床試験等の省略や早期承認という現行の承認制度を改めること。

(5)薬業労働者の権利確立と労働条件向上

①労働者の権利確立
0医薬品を研究開発、生産、情報提供活動(販売)する職場においてその過程をチェックできるのは現場の労働者であり、その労働者が良心と勇気をもって「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」という視点で行動すること、そしてそれを保障する体制が重要である。
0厚生労働省は「労使関係が不正常な医薬品企業で不祥事が発生するということには蓋然性がある」との見解を表明し、医薬品企業がその社会的要請に応えて責任を果たす上からも、労使関係が良好に保たれることが必要と述べています。また私たちの要請に対し、不祥事を防ぐためにも「ものが自由に言える職場であることが必要」との認識も示しています。
<a>労働組合、労働者の諸権利を確立し、正常な労使関係を築くこと。
<b>医薬品に携わる労働者の自主性と権利を確立し、社内的に全て公開を原則とする指針を策定し、職場で自由にモノが言える体制、職場状況をつくること。
<c>企業内に研究開発、生産、情報提供活動(販売)の全過程における問題解決のため経営から独立した委員会を設置すること。
<d>各企業で倫理観をもって行動、科学性への立脚・科学性を妨げるものを排除し、研究者・技術者の良心に基づいて行動することなどを内容とした倫理綱領を策定し、その実践を保証する体制を確立すること。
<e>「製薬企業倫理綱領」(日薬連)及び「企業行動憲章」(製薬協)を遵守し、これに反する行為をした場合には、厳しく罰すること。

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②労働条件の向上
0国際化、新薬開発を優先する産業政策と医療費抑制政策のなかで販売競争や開発競争が激化しており、薬業の職場では様々な問題が起こっている。薬業の現場では生命関連物質である医薬品を取り扱うため、そこに働く労働者の労働条件の向上は重要である。
また、ここ数年大手・外資系企業を先頭に人減らし「合理化」、リストラが大規模に行われ、その結果、製造現場での品質の問題、営業や研究開発の長時間労働による家庭破壊、在職死亡などが増えている。
<a>業界団体として規制することによって、恒常的な長時間労働をやめさせ、年間労働時間を1,800時間以内とすること。
<b>男女雇用機会均等法を守り、性による差別を直ちにやめ男女同一賃金とすること。
<c>労働者への退職強要やいやがらせ、配置転換の強要はやめること。
<d>配転・出向、職種変更については少なくとも1カ月前に内示し、組合並びに本人と協議し、同意を得て行うこと。
<e>吸収、合併そのほか労働条件を変更する場合は、事前に組合並びに本人と協議し、同意を得て行うこと。
<f>新薬開発競争激化に伴い、より微量で生物活性の強い物質が研究所、工場で取り扱われるようになっている。
0研究者、作業者の健康破壊・重篤な薬害発生の危険性がかつてなく高まっており、以下の対策を講じることが必要である。
○健康診断を徹底すること。
0△すべての製造所で定期検診のほかに特殊健康診断(特定化学物質)を実施すること。
0△労働安全衛生の教育を充実すること。
○安全衛生委員会の労働者代表に労働組合の代表を入れること。労働組合がない場合は、その選出は民主的に行うこと。
○薬剤による暴露・健康影響についてのデータを公開すること。
○労働者の健康を確保するため新規化合物の毒性情報を企業が積極的に公開し、国の責任において毒性リストを作成すること。
○合成・創薬・探索段階での健康被害を予防するため研究職場の環境のガイドラインを作成すること。
0また、製薬企業の医薬品による健康被害(医薬品の暴露による薬害)を防止するため、行政として次の対策が必要である。
○一般的労働安全衛生面からの規制とは別に、健康管理上の基準を定めること。
○医薬品の労働者への被害について、承認前、後を問わず厚生労働省に報告させるなどの制度上の方策を講じること。
○新医薬品の承認申請時に人体への影響を検討する試験項目の中に、大量に暴露される恐れのある労働者への安全性を検討する項目を追加すること。
<g>MR(医薬情報担当者)に関して
○資格化制度については業界主導ではなく国の責任においてMRがだれもが資格取得できる制度とすること。
○MRの目標達成のため人格を傷つける暴言、体罰、人事上の不利益扱いは行わないこと。
○「数字・成績がすべて(人格)」という現在の儲け本意のMRの業績評価をやめること。
<h>GMPを遵守し、徹底させること。
○必要な適正な人員を確保し、適正に配置すること
○従事者の教育を徹底し、教育訓練が不十分な労働者を医薬品製造に携わらせないこと。
○製造管理責任者、製造管理者等の意見を尊重するなど、会社はその独立性を遵守すること。
○中小企業へのハード、ソフト改善のための資金貸付及び技術援助を行う制度を設けること。
○自動化ライン促進によって品質低下を招かないよう十分対応すること。
<i>GVP、GQP、GPSP(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施に関する基準)等を基準を遵守し、徹底すること。

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(6)医薬品の販売等の規制緩和に対して

0規制緩和推進計画による医薬品販売の規制緩和では、一般用医薬品の医薬部外品への変更が認められ、コンビニなど一般の小売店でも販売されるようになっている。また、2006年6月の薬事法改正により一般用医薬品の販売に関して、そのリスクに応じて〜3類に分類し、1類については薬剤師による対面販売、2、3類については薬剤師又は新たな専門家として登録販売者による販売ができるようになるなど規制緩和策が進んでいる。
0しかし、人の生命、健康に直接関わり、薬剤師等資格を有する者によって扱われるべき医薬品が、コンビニ等で販売されることは、国民の健康と生命を守るという立場から問題である。
①医薬品の分類について、リスクが高いと評価され、薬剤師が対応する「第1類医薬品」は一般用医薬品の成分中約30成分にしかすぎないが、第2類医薬品のなかには、医療用でも使用されている医薬品も多く、スティーブンス・ジョンソン症候群など重篤副作用を有する解熱鎮痛剤なども含まれおり、分類の見直しにあたっては、実際の副作用被害等を考慮し、行うこと。
②医療用医薬品から一般用医薬品へ移行される、いわゆる「スイッチOTC」については、一般用医薬品に移行してから一定期間(例えば5年)、「第1類医薬品」として取り扱うこと。
③処方せん医薬品、非処方せん医薬品については、2002年の薬事法改正で導入されたが、劇薬でも処方せん医薬品に指定されていないものや、今まで「要指示薬」であったものでも、非処方せん医薬品になっているものあり、その基準を明確にするとともに、分類を見直すこと。

4.全薬会議さらなる発展に向けて国民的な共同を

0この提案は、1999年にまとめた提言と全薬会議の闘い及び活動に基づいて、改めて整理したものである。全薬会議の提言は、薬業労働者が、「国民の健康と生命を守る医薬品づくり」をめざし、生活や権利、仕事や雇用、平和や民主主義を守る活動を患者、薬害被害者、医療従事者とともに展開することによって達成されるものである。
0そのためには、医療労働者、患者、薬害被害者など医薬品に関わるすべての人々と国民的な共同の運動を展開し、真に国民から信頼される医薬品づくりをめざす事が必要であり、全薬会議は、引き続き、自らが誇りをもって仕事を行ない、生命を尊重する医薬品産業の一翼を担う薬業労働者の共闘組織として奮闘する決意である。
以上

【註】

  • ICH:International Conferenceon Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(日米EU医薬品規制調和国際会議)
  • GCP:Good Clinical Practice(医薬品の臨床試験の実施に関する基準)
  • GMP:Good Manufacturing Practice(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)
  • GPSP:Good Post-Marketing Surveillance Practice(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施に関する基準)
  • GVP:Good Vigilance Practice(医薬品等の製造販売後安全管理に関する基準)
  • GQP:Good Quality Practice(医薬品等の品質管理に関する基準)
  • MR:Medical Representative(医薬情報担当者)
  • OTC:Over The Counter Drug(一般用医薬品)
    • スイッチOTC(医療用医薬品を一般用医薬品に転用<スイッチ>した医薬品)
  • Drug lag:ドラグ・ラグ;日本と欧米との新薬の承認時間差又は海外で先に販売され、国内で販売されていない状態
  • ゲノム創薬:ゲノム情報を利用して、新しい医薬品や効果が高く副作用の少ない医薬品を開発すること。
  • テーラーメイド医療:患者個人個人に応じた医療で個別化医療も言います。