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小さい頃のアルフレッドに似ている部分もあるし、似ていない部分もある。
おそらく似ていない部分の方が多いのだろうが、どうしても重ねてしまうし比較してしまう。
アルだったら抱き締めれば泣き止んだのにとか、ピーターはあいつより天の邪鬼だとか。 テレビのCMで見たおもちゃがどうしても欲しいとピーターがごねるので、二人で買い物に出た。 仕事は恐ろしいほど山積みになっていたが、すぐ帰る、帰ったらすぐ片付ける、と側近を言いくるめて来た。 実を言えば二人で出かけたことは今までなかったのだ。アーサーが仕事詰めだったせいもあるが。 思えば、アルフレッドとも街に出かけたこともなかった。彼が幼い頃は、体が弱くて外へ出るのは危険だったし、 海を渡るのにも何日もかかった。アーサーがアメリカを訪れる時は、大抵が夕方頃に家に着き、次の日の昼には帰った。 何日か滞在できても、アーサーは家の中にいるか庭を散歩するかで、アルフレッドも出かけたいとごねることはなかった。 けれど二人で出かける約束だけはしていた。 (今度コッツウォルズへ行こうか。イギリスで一番きれいな土地なんだ、アルに見せてやりたい。) (今度休みが取れたら、一週間くらい滞在できるようにするから、二人で西海岸まで行ってみよう。) (今度ロンドンを案内してやる。不本意だけど、パリも。きっとアルも気に入るよ。) 口約束だった。どれも果たさない内に彼は独立した。 今日はシチューがいいのですよ、とおもちゃを手に入れて上機嫌なピーターが鼻歌を歌いながら言った。 「パパの所に帰らなくていいのか?」と言うと、「ひとりで夕飯じゃあんまりにも不憫なんでいてやるですよ」 と返ってきた。 きっとお前は、万一独立できたとしてもシチューをせがむんだろうな、とアーサーはちょっと笑った。 |
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夕食はシチューの約束
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