琉球紀行 初めての沖縄旅行
1 おじさん沖縄にいけるのか?
仙台空港のロビーに不気味なアナウンスが響く。
「11:40分発沖縄行きANA463便をお待ちのお客様にお知らせします。沖縄行きANA463便は、台風接近中のため、那覇空港に着陸できない場合には大阪伊丹空港に着陸いたします。あらかじめ・・・・・・」
仙台空港なんて慣れてないし、そもそも飛行機に乗るのは3回目。昔、セスナ機には遺跡の空中写真撮影のために乗ったことはあるけど、とてつもなく具合が悪くなって、2時間ほど乗った後半はずっと吐きとおしで横になってて。ところがセスナから降りたとたんに、
「腹減ったね。ラーメンでも食べに生きましょう」
とやって仲間にすごく怒られた記憶がある。その後、関西方面の博物館巡りをすることになった際、若い同僚に「飛行機とホテルのセットで○○○円なんですよ」と普通より1/3程の料金になるパック旅行をすすめられ、不承不承大阪空港を一往復しただけ。このときは帰りの便が低気圧のためすごく揺れて、飛行機に慣れてる同僚も口数が少なくなっていた。私は口数どころではなく、顔面蒼白になってシートベルトを両手で握りしめたまま、身じろぎもしなかった。
アナウンスは聞こえたけど、沖縄には飛行機で行くしか方法がないし、でも大阪に降ろしてどうしろっていうんだろう、宿だって取ってないよ、沖縄のホテルとかレンタカーの予約はどうなるの、なんて頭の中はいろんな考えが渦巻いていた。まわりでは一緒に沖縄に行く同僚たちが、
「とにかく仙台にはまだ台風が来ていないから離陸はできるんだって。問題はどこに降りるかだよね。」
「ふうん。で大阪かなんかに降りたときは料金はどうなんの?」
「いったん仙台空港から飛び立ったら料金は戻らないんだって。」
「ええー、じゃあ大阪で泊まるとか帰ってくる費用はどうなるの。沖縄からの帰りのチケットの払い戻しはないの」
「さあ〜、安いパック旅行だからねー、無理じゃないー」
どんどん気持ちが落ち込んで、気分が悪くなってきた。
自宅から空港まで車を運転しながら、台風は来てるけど仙台はいい天気だし、台風のために自分の乗る飛行機が欠航するとか、別の空港に連れて行かれるなどということはカケラも意識していない。ただ「初めて沖縄にいける」と考えただけで、遠足のときとか、大変な覚悟をして買った650ccのオートバイをバイク屋に受け取りに行くときのような、胸がドキドキ高まるのを楽しみながら仙台バイパスを走っていた。
とにかく時間は刻々と過ぎ、手荷物検査が終わり、搭乗の時刻となって飛行機は無事飛び立ったのでした。飛び立つことは。飛行機の外はなにしろ白い雲ばっかりなのでひたすら居眠りをしていると、突然「飛行機は最終の着陸態勢に入りました。テーブルや背もたれは元の・・・・・」とスチュワーデス(今はCAキャビンアテンダントだっけ?)のアナウンスが聞こえてくる。え、どこの空港に、ときょろきょろしていたら、何のことはない、台風より若干早く飛行機が無事、那覇空港に滑り込んだのでした。もっとも、この1時間後、暴風雨の中を旅するハメになるのですが。 続く