琉球紀行 初めての沖縄旅行
2 沖縄はやはり台風の島か?
ところでこの沖縄行きの目的は、実はちゃんとした仕事なのです。
この物語の主たちは遺跡の発掘調査を主な仕事とする面々6名で、沖縄の宜野湾市にある沖縄国際大学を会場に1998年10月17日から19日まで開催される「日本考古学協会1998年度沖縄大会」に参加することが目的で、16日から19日までの3泊4日で出かけています。
でも、いろいろな都合により、17日から18日にかけて開催された講演会とシンポジュームはこの物語には登場しないことになっています。物語は16日から17日の夜、18日の夜、19日と飛びます。
話はまだ16日の沖縄空港。飛行機が着陸して通路を歩いて出口まで向かう途中、とにかく日差しが強く、見える樹木が見慣れないものばかりで、でも結構涼しいかも、などと感じたのはあくまで空港ビルの中に居てエアコンが効いていたからと知ったのは空港を出てからでした。遠足気分で歩いていた空港の通路でただひとつ、日の丸と星条旗を付けた黒光りした、平和に何も寄与することのない物体を脳裏に暗く記憶したのでした。
空港のロビーでは青いハイビスカス模様のシャツを着た若い、たぶん20代前半のニイニイが出迎えてくれて、どう見てもこれまで会ったことのない地方の顔つきをしたこのニイニイ、
「向こうにマイクロバスがありますから」
と言ったらしいのですが、「マイクロバス」しか聞き取れず。でもニイニイは先に立ってどんどん歩いていってしまうのでみんなで後をあわてて追いかけて行ったのですが、空港の入り口を出たとたんに、ムッとする強烈な暑さが押し寄せてきて、思わず「暑いですね」と青年に話しかけたら、「そうですか?」と今度は聞き取れる発音で不思議そうに返事を返された。こんなのが普通なんだね、きっと、とわれわれは目配せをしたきり、無言でマイクロバスに向かった。
マイクロバスに乗り込むのはわれわれだけで、空港を出ると右折して南に向かい自衛隊の敷地のあたりでゆるやかにカーブして5分ほど走ると国道331号線との交差点に至る。OTSレンタカーはこの信号を直進して100mほどの左手にあるこじんまりとしたところだった。建物に入ると右手のカウンターに若いネーネーが一人だけでいて、受付をしていた。もっとも同じマイクロバスで着いたのはわれわれだけで、6人いても借りる車は1台だけだから手続きは混雑しなかった。ところでこのネーネー、とても沖縄らしい顔立ちで、顔中目と鼻と口で、いまでいうなら国仲涼子を丸顔にしたようなとても可愛いネーネーであった。その後、次の年だったか、このレンタカー店に再び立ち寄ったときには、このネーネーはもう居なかった。
今回の沖縄行きには6人も大挙して押しかけたので、レンタカーも大きめのワンボックスタイプにした。これだと6人みんな乗れる。運転はこのタイプに慣れているSが自薦した。まず、さっきの信号を左折して331号線を南下した。さきほどから空模様はかなり怪しくなっていたのだが、豊見城市と糸満市を過ぎ、南部戦績のひめゆりの塔に近づくころには暴風雨の中を走っていた。海の側だから「自分の車だったら走らないね。塩ですぐ錆びるからね」と話しつつ車は東に向かって走るので、横風を受け、サトウキビが畑から倒れ込んできて車にビタビタ当たり始めた。この先、331号線をひたすら進んで3時間ほど、珊瑚礁の海と暴風雨を満喫するのだが、後年このときのことを思い出して、とても沖縄らしい特色の一端を体験したという感動が残った貴重な経験となったのでした。 続く